評価は 
 
一年前、双子の妹を亡くしたジョニー。父親も失踪し、母親はクズ男と付き合い始めて薬漬けの毎日。
そんな状況で、ジョニーは親友のジャック、ジョニーの力になりたいと願う刑事ハントと共に、妹・父の行方を追っていく……。

 
ジャックの家族、ハントの家族も含め、歯車の狂った家族が再生していくまでを描くヒューマンドラマとして、とても面白い作品で、アメリカ・イギリス二つのミステリ賞を受賞したのもうなずける作品だと思いました。


真犯人に関しては、割とあっさり推理できてしまうのですが(怪しい人間が少ないので……)、真犯人の犯行動機もまた、家族を想ってのことで。許せない犯罪であることは間違いないのですが、こんなところにも家族の絆が持ち出されてくるあたりが、何とも言えずやるせないですね。
「正」の意味だけではなく、「負」の意味でも描けており、作品に深みを与えているように感じます。


作中で最も読者に嫌われるであろう、ジョニーの母と付き合っているクズ男は、もう少し苦しんでも良かったのになぁとは思いましたが(苦笑)。
最後も、ハッピーとは言わないかもしれませんが、読後感の良い終わり方で気に入りました。


読書に明け暮れた2014年を締めくくるにふさわしい力作でした。