評価は A-。


面白い。
面白いんだけど……いくらなんでも長すぎるよなぁ、と堪え性のない僕などは思ってしまいました。
文庫版1050ページの作品で、面白くなるのが700ページ過ぎからというのは……。

以前、小野不由美の「屍鬼」
(最初の200ページがクソつまらないけど、そこを乗り越えると残り2000ページ全てが素晴らしい)ぐらいのスロースタートなら我慢するけど、3分の2は焦らしすぎですぜ。


文句を言いつつも、

ローシュ神父の

「あなたにそばにいてもらえるのだから、わたしはあらゆる人間の中でもっともしあわせな男です」

のシーンと

 
「リンゴを落としたわよ」といって、ロズムンドに返そうとふりかえった。ロズムンドの手は、落としたリンゴを拾おうとするように前にのばされたままだった。
「ああ、ロズムンド」とキヴリンはいった。

のシーンはジーンときました。


特に後者。

この描写は、いいよなぁと。人間の死、キャラクターの死を描いた作品はそこそこ読んでいるつもりですが、
この「死」の描写は鮮烈で良かった。


快方に向かっている、と見せかけてこれか……と。
(たぶん死ぬだろうな)とか思いながら読んでいたのに、それでも意表を突かれましたよ……。


あまりに死者が多すぎて、お墓を先回りして掘ってしまう農夫も良かったなぁ。


「死の描写」が印象に残るお話でした。