評価はS~Eで。
【1章 シナリオ評価 B+ ヒロインお気に入り度 A-】
片岡ともさんらしいポンコツヒロイン登場。
この方は本当にこの手のヒロインを描くのが巧いんですよね。
ちょっとトロい子と、それにいたずらする主人公という構図は他作品でも結構見るのですが、
主人公の『いじり』が強すぎて不快だったり、トロい子の反応がつまらなかったりすることが多いです。
あるいは、トロいだけでかわいくなかったり。その点、のぞみ先生はちゃんとトロかわいいのが嬉しいです。
特に僕はキツい感じのキャラクターいじりが好きではないのですが、ともさんのテキストは安心して読めるんですよね。
のぞみ先生の反応が見たくて、選択肢を選ぶ直前でセーブをとって全選択肢を試してしまう……。
昔は色んなゲームでそういう事をしていたんですが、いつしか時間に追われ、攻略サイトを見ながら最短ルートを通るようなプレイばかりをしていた私ですが、久しぶりにこういう素朴な楽しみ方をした気がします。
4ルート中、一番笑いました。
てか、「そこのお二人さん、ヒューヒュー」ってwww 一体いつの時代だよww
【2章 シナリオ評価 B- ヒロインお気に入り度 B-】
ハズレ、というほど酷くはないんですが、4編の中ではハズレ枠。
本当に当たり障りのない話なんですが、ちょっと主人公がお子さますぎたかなぁ。
せっかくのループ設定なら、もう少し面白い話が作れそうだなぁと思ってしまいました。
ヒロインは別に悪くないんですが、薄味。
【3章 シナリオ評価 A ヒロインお気に入り度 A+】
だから俺、こういう話に弱いんだって……。
ダカーポ2の某追加ヒロインとか、今回の3章とか、展開が解っててもしんみりしちゃうんですわ……。
主人公の高畑君の方に傷を持たせて、涼と出会う事で、前を向いて生きていくという設定も◎。
メルヘン脳な涼ちゃんも俺の好みまっしぐらだし、ラストもなぁ……。
あそこで「よーい、ドン」って台詞を選んだセンスは見事ですわ。
ほとんど接点のないクラスメイト同士が、一つの奇跡によって特別な一日を過ごすという設定も凄くいいですね。
【4章 シナリオ評価 A+ ヒロインお気に入り度 A】
ワナビの俺を狙い撃ちにするような話で、感情移入するなという方が無理……。
絵を描くことを諦めてしまった主人公のこの独白
『展覧会もギャラリーも俺には無縁だけど……何かが描けるのなら、描かれるのなら……。
雨の日だって、最高の一日になる』
とかもうアカンですわ。
共同作業のシーンもとても良くて、作品を締めくくるのに相応しいストーリーでした。
【総評】
非常に質の高い短編集で、本当に心が洗われました。
安易に奇跡のハッピーエンドにするのではなく、少し切ないけれど暖かい物語の着地のさせ方もとても好きです。
同ブランドで、似た方向性を持つ「120円の春」も大好きでしたが、こちらもとても気に入りました。
こういう作品、もっともっと増えてほしいなぁ。