評価はB+。




繊細でとてもかわいらしい千穂ちゃんと、心が病んでる真夜の対比は、まるで天使と悪魔のよう。
真夜寄りの選択肢を少しでも選ぶと、千穂ちゃんを汚して堕とすルートに入ります。
これはこれでエロ……いと思うんですが、pororiさんはシナリオのテキストは良いのに、エロテキストは(個人的に)イマイチなのであまりエロくないのが残念。ねちっこく描いて、シーン数とボリュームをもう少し増やせば、相当心にダメージの行く凌辱ゲーが出来あがったのに……と書いておいてなんですが、そうならなくて良かったとも思いましたw
鬱耐性のない僕には、耐えられないかもしれん……。


そんな、真夜ちゃんの誘惑を退けていけば、千穂ちゃんと結ばれるエンディングに。
こちらのルート、特に最後の「千穂と公園に行った後のシーン」は圧巻でした。


本当は品行方正なのに、髪を金色に染めていた理由を語る千穂。そして初めて主人公に、気持ちをぶつけるシーンはちょっと泣きそうになりました。



千穂「バカみたいでしょ…あたし、この髪、この写真(父親が自分を捨てる前、髪を染めていた)見て染め始めた」
  「あたし、お父さんのこときらいじゃないよ。お父さんのこと、きらいになりそうな自分がきらいなだけで」
  「お父さんも、お母さんも、だいすきで……だいっきらいだ!」
  「きらい、きらい、きらい、きらい……きらいなのが、きらい……。好きでいたいのに、理解したいのに」
  「そんな自分が、一番いやだ……どうしよう、どうしたら自分から離れられるの?」
  「ひとりでいたいよ……こんなふうに好きな人に、迷惑かけたくないよっ……」
  「そしたら……そしたらね。気立ての良い子に育って、ちゃんと恋して……好きな人に好きって言える。迷惑かけるだけのお荷物にならないで済むんだ」


千穂の台詞をいくつか抜き出してみましたが……本当に、繊細で心の綺麗な娘だと思います。
本作は夜のひつじ作品の中では、やや中央値が低いようですが、個人的にはかなり気に入りました。


まぁ、真夜の『歪み』に対してはちょっと説得力が足りない気もするので(お兄ちゃん大好き以外に何かあったっけ)、真夜の方に目を向けると少々厳しいような気もします。
あくまでも『不器用だけど繊細な』千穂に対応する『外面は良いけど、どす黒いものを抱えている』真夜という感じでしょうか。