「好き好き大好き、超管理してあげる」、「妹『お姉ちゃん、クソビッチなんで私にしませんか』」の二作についての当感想に、
残響さんがコメントをくださいました。
以下、引用させていただきます。

>>
この二作が「あまり書くことない」というのは、ふうむシナリオに重厚さを求めるfeeさん(と勝手に仮定して)には肩すかしだったかしら? 


というか夜のひつじって、スタンスはストイックだけど、基本短編で、鬱傾向のあるもの以外は(自分、こっちを避けてますが)「すっと寄 
り添う」か「まぁるく包み込む」みたいな感覚のを出しますから……ようは直接的にこっちに「ずがーん!」と出会い頭衝突しない、って感じ(にぼくには思える) 

ぼくはこの二作を、えろすけレビューで結構解釈して読んだのですが……(とくにさやかちゃんと純愛、については結構想うとこがあった)。でも別に「たいして解釈せずとも」と仰る部分も、わかります。でもそのぼく解釈が、「無理に解釈してない?」と見られても、サモアリナン諸島、と、気持ちはわかる。 

ところで、このかさんが「ビッチではない」とfeeさんがレビューでお書きになられましたが、もちっとそこのとこを掘って聞かせていただいてもよろしいでしょうか? 


はい。
残響さんの質問にお答えする前に、私にとっての「夜のひつじ」作品の雑感を書かせていただきたいと思います
(質問をダシにして、語りたいだけとも言う)。


まずは私がプレイした夜のひつじ作品を、好み順、そしてやや雑なタイプ分類も付記してリストアップさせていただきます。
未プレイ作品もありますので、的外れな事を言っているかもしれませんが……。
(というか、1か月ぐらい前にプレイした作品ばかりなので細部とか割と適当なんですが……的外れだったらどうしよう)


(殿堂入り):なし

(かなり好き):「相思相愛ロリータ」(ヒロイン1人、包容型)、
         「義妹ホールと妹ホールド」(ヒロイン2人、天使と悪魔型)

(好き):「彼女、甘い彼女」(ヒロイン1人、包容型)


(まぁまぁ好き):
「幼馴染と10年、夏」(ヒロイン1人,幼馴染型)、
「幼馴染の心が読めたらどうするか」(ヒロイン1人,幼馴染型)、
「妹『お姉ちゃんクソビッチなので私にしませんか』」(ヒロイン2人、天使と悪魔型)、
「好き好き大好き超管理してあげる」(ヒロイン2人、天使と悪魔型)

(好みからはずれた):
「純情セックスフレンド」(ヒロイン2人、天使と悪魔型)


と、このようになります。雑なタイプ分類ではありますが、1つずつ見ていきたいと思います。
まず、大きく分けて、解りやすい分類で行きますと、
「ヒロインが2人いるタイプ」のものと「ヒロインが1人のもの」の2種類ですね。


コメントをいただいた2作はいずれも、「ヒロイン2人、天使と悪魔型」に該当しますが、とりあえず「ヒロイン1人型」から。


★ヒロイン1人型作品について

夜のひつじ作品の多くは、『寂しさ』と『甘さ』の2成分からできているように感じます。
『寂しさ』を「闇」と言い換えてもいいかもしれません。

この『寂しさ』が最も強く出ている、ヒロイン1人型作品が「相思相愛ロリータ」であると私は思います。
主人公はブラック企業に勤め、孤独です。そうした孤独を、埋めてくれるヒロイン。
逃避先としての「ロリータ」がいるわけです。
この「ロリータ」自身もまた、主人公に「逃避」しているわけですが、ヒロイン自身が抱える『寂しさ』よりも主人公側の事情が強調されていると思います。


この「相思相愛ロリータ」に比べ、やや『寂しさ』を緩和した作品が「彼女、甘い彼女」になります。
個人的にはこれぐらいのバランスが「ちょうど良く」感じます。適度に甘く、適度に寂しい。
「相思相愛ロリータ」は少々、寂しさが強い……まぁそこがいいんですけれども。


「幼馴染と10年、夏」は3章に分かれていますが、H11編は「彼女、甘い彼女」ぐらいのバランスでしょうか。
H14、H16……特にH16編は甘さしかなく、個人的にあまり好みに合いませんでしたが、H11の状況を踏まえて考えればその甘さも作られた甘さ、なのかもしれません。


「幼馴染の心が読めたらどうするか」は、既読のヒロイン1人型作品の中では最も明るくポップな内容でした。
実はこの作品が本サークルの中で初めてプレイした作品でもありますが、こちらは『いつ心を読んで、いつ読まないか』という駆け引きを疑似的に楽しめる……要はゲーム要素が好みだったというわけなので、他作品に対する評価軸とはまた少し違うかもしれません。


★ヒロイン2人、天使と悪魔型作品について


ヒロインが2人用意されている作品には、全て「天使と悪魔型」という分類をしました。

これは、容姿、もしくは性格の明度の問題で、明るい側を天使、暗い側を悪魔と呼称しております。

「義妹ホールと妹ホールド」では、千穂が天使、真夜が悪魔。
「純情セックスフレンド」では、未弥が天使、透が悪魔。
「お姉ちゃんクソビッチ」では、さやかが天使、このかが悪魔。
「好き好き大好き超管理」では、なななが天使、まよりが悪魔。という分類になります。

このかを除いて、皆、髪の色が黒・青系統のヒロインが悪魔に属し、茶・赤・金系統のヒロインが天使に属します。
ちなみにヒロイン1人型作品の場合は悪魔は存在せず、ヒロインが天使ということになります。


天使、とは言っても=「心に闇が存在しない・寂しさが存在しない」わけではありません。
ただし、あくまでもライトサイド、もしくは常識サイドに属しているということになります。


★「天使と悪魔」のコントラストが強い2作品について


この中でも、「天使と悪魔」が最も対比的に描かれているのが「純情セックスフレンド」と「義妹ホールと妹ホールド」の2作です。


「純情セックスフレンド」において、主人公が抱える闇を恋人(天使)の未弥は癒す側の立場であり、
悪魔である透は、主人公を自らの闇へと引きずり込む側の存在であります。
未弥を選んだ主人公は立ち直り、前向きにリハビリへと取り組んでいきます。
透を選んだ主人公は、SEXに溺れ、未弥ともども奈落へと突き進んでいきます。

(個人的にはセフレを何人作ろうと、そこまでダークサイドという印象はないんですが)
セフレだらけの透の周囲は、世間的な価値観・倫理に反する「ダークサイド」な世界になります。


「義妹ホールと妹ホールド」において、千穂(天使)を闇の道へと引きずり込むのが真夜(悪魔)になります。
(個人的には近親相姦をしようが3Pをしようが、そこまでダークサイドという印象はないんですが)
真夜ルートは近親相姦、3Pという爛れた楽しみに身を浸す、世間的な価値観・倫理に反する「ダークサイド」な結末を迎えます。


さてこの2作ですが、主人公の選択によって、『天使』が堕ちる作品ということが共通しています。
ではなぜ僕の評価が真っ二つになったかと言いますと、
「純情セックスフレンド」では、透の働きかけはほぼ全てが主人公にされている一方で
「義妹ホールと妹ホールド」では、真夜の働きかけはかなりの部分、千穂をターゲットになされています。

僕個人としては、天使のようなヒロインが堕ちていくところに、ぞくぞくとしたエロスを感じるわけなのですが、
真夜に『堕とされた』千穂に対し、未弥は『勝手に、唐突に堕ちた』感が否めませんでした。
透は主人公を堕とすことに全力を挙げていますが、未弥はそれに付き合って堕ちる必要がないように思うからです。
僕は男色ではないので、主人公が堕ちていくシーンを見せられても、ぞくぞくとしたエロスは感じませんでした。


もう一点を挙げますと、元々は主人公が近親相姦という形で真夜を堕とした「義妹ホール~」に比べ、
透は元々主人公とは何の関係もなく堕ちた存在です。
元々、実の妹として。そして主人公自らが原因となってダークサイドに堕ちた真夜と、
何だかよくわからない理由で既に堕ちている赤の他人の透。この業の違いと言いましょうか。

真夜に惹かれる理由も、千穂を堕とす快感も伝わった「義妹ホール」に比べると、
透に特に惹かれる要素を感じなかった「純情セックスフレンド」は弱かった、というのが、評価の大きく割れた2作への感想になります。


★「天使と悪魔」のコントラストが弱い2作品 ①妹「お姉ちゃんクソビッチなので私にしませんか」について


ここに該当するのが、本題の「好き好き大好き、超管理してあげる」と「妹『お姉ちゃんクソビッチ』~」
ということになります。


語りやすいのは後者です。
この作品は、要はH大好きなお姉ちゃんと堅物の妹が主人公を取り合う物語。
なのですが、今一つ物足りないポイントを幾つか挙げますと、1つは「お姉ちゃん」の悪魔度です。

このお姉ちゃん、Hが大好きで誰彼かまわずHをしてしまうんですが、
同傾向にある『純情セックスフレンド』の透と比べて陰気なところが何一つありません。
それならば……それならば、別にそのままでも良いのではないでしょうか。
エンディングの一つで、「主人公を本気で好きになったから、主人公一筋(ただし妹と3P)になった」というものがありましたが、このかさんは別にセフレ大勢なままでも大丈夫なように思ったのです。

一方の妹のさやかちゃん。こちらはこちらでかわいいです。
かわいいんですが、別にお姉ちゃんに堕とされる危険があるわけではなく、単純に主人公の事が好きという。


テーマ性らしきものを汲み上げるならば、
「世間の常識に照らせばビッチと呼ばれ、悪く言われるお姉ちゃん。でも、お姉ちゃんは悪い子じゃないし、私はそんなお姉ちゃんが大好き」というような話になります。
これは、(私が嫌いな)処占厨の人には刺さる話かもしれませんが、
「Hが大好きでセフレを沢山作っている女性」=「悪い人じゃない」

(好きな男性に一途な女性が、必ずしも人格的に素晴らしい人間とは限らないように、
誰彼かまわず身体を開く女性が、必ずしも人格的に劣った人間ではない。)

というのは僕にとっては至極当然の事になります。
語られているテーマには同意なのですが、わざわざ言われなくても解っているんだよなぁ、というところです。


「天使と悪魔」要素の強い二作品では、いずれも「SEX」の力で天使を堕とす、というギミックが活かされており、
これがエロゲ的な楽しみ、エロス/背徳感へと繋がっていました。
しかしだからと言って、本来は「SEX」の力だけで天使が堕ちるわけがないのです。
無論、「義妹ホール~」、「純情セックスフレンド」二作ともに、「SEX」の力だけではなく、周囲の状況や登場人物たちの丁寧な心理描写を踏まえた上で、最後の一押しにSEXを持ってくることで、素晴らしい作品に仕上がっていたと思います。

では、「周囲の状況」がそれを許し、「(陰鬱な)心理」がそれに伴わなければ?
答えは簡単、いくらSEXをしたって「天使」は堕ちません。
旧来的なSEX=悪の観点からすれば、このかさんは悪魔です。
と、同時にSEXによって堕ちなかった天使、それこそがこのかさんでもあるのです。


また、透のところでも触れましたが、なぜこのかさんがSEX依存症のようになったのか。
その辺りについての描写も不足していたように思われ、「このかさんはそういう人なんだ」としか思えなかった点もマイナスでした。


で、残響さんの
>>このかさんが「ビッチではない」とfeeさんがレビューでお書きになられましたがもちっとそこのとこを掘って聞かせていただいてもよろしいでしょうか? 

というところについて。
これは、単純に『ビッチ』という単語の定義問題ですね。



こちらがwikipediaの『ビッチ』の項目です。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%83%E3%83%81 

日本語表現辞典ではこのようになっております。

http://www.weblio.jp/content/%E3%83%93%E3%83%83%E3%83%81


簡単に言ってしまえば、
元々は「雌犬」という意味。『嫌な女・不快な女・身持ちの悪い女など』に対して使われる、
『女性を罵る言葉』であるという話です。
最近の、特にオタク界隈ではこうした辞書的な用法ではなく、単純に「身持ちの悪い女性キャラ」に使われる事が多いように思いますが、個人的にはどうしても『女性を罵る言葉』という印象が強いです。

つまり、間違ってもプラスイメージの用語ではない。


さて、僕はこのかさんについて、「性に奔放ではあるけれども、性格の悪くない女性である」と思っています。
そもそも、性に奔放であること自体が、僕にとってマイナス要素には(さほど)なりません。
つまり彼女に対して不快感はない。
よって、性に奔放ではある(身持ちの悪い)という点は否めないものの、それを糾弾するつもりが全くないため、
マイナスイメージの単語、罵倒語である「ビッチ」という単語は、僕には馴染まないように思うのです。

付け加えますと、「性に奔放か否かは関係がなく」、「性格が悪く、嫌な、不快な女」。
これこそが、僕にとって「ビッチ」の称号に相応しい女性像ということになります。


そして、まぁ言葉狩りのような真似をするつもりはありませんし、他人様がどういう使い方をしても構わないといえば構わないのですが、たかだか身持ちが悪い『程度』のことで、ヒロインの事を気安く「ビッチ」呼ばわりする
言語感覚にも、個人的には反感を抱いています。
まぁ、反感を抱くといっても、適当に流していますけどね。
一々噛みついたりはしません。


言葉はナマモノなので、時とともに意味が変質していきます。
「ビッチ」という単語はまさにそんな感じで、「悪意を持って」使う人と「悪意がなく」使う人が混在している状況にあります。
悪意の要素が完全に消し去られ、悪意のない単語として「ビッチ」が定着した時、
僕は初めてその単語を軽々しく使う事を許容できる、自分でも使用できるようになるのだと思います。


なお、本作では、さやかが「ビッチなんて言葉を使ってごめんなさい。お姉ちゃん大好き」のような台詞があったように記憶しているので(うろ覚え)、さやかは「ビッチ」を『マイナスイメージの単語』だと認識していたはずです。
大好きなお姉ちゃんだけど、世間的な常識を考えると『マイナスイメージを持たれても仕方ない行動をしていた』ために、まだよく知らない主人公に対して、謙遜や羞恥心や何やらが入り混じり、「つい」使ってしまった単語が『クソビッチ』。
ビッチが汚い単語だからこそ、「世間的な常識に流され」、「本当はそんなに汚いとも思っておらず、大好きですらある姉」を悪く言ってしまう妹の葛藤に繋がるわけですね。


本作が「天使と悪魔型」に分類した上述2作(「義妹ホール~」「純情セックスフレンド」)とは違う点について言及するならば、
上述2作は「ライトサイドの常識」とも言える『純愛(1対1の愛)』を天使側が体現し、
「ダークサイドの誘惑」(主に複数プレイ)を悪魔側のヒロインが体現しています。

しかし本作と、後述する「好き好き大好き超管理~」では、「ライトサイドの常識」であるはずの『純愛(1対1の愛)』を、天使側が歩み寄る(お姉ちゃんクソビッチ~)、更には自らが破棄(好き好き大好き超管理)するというプロットが展開されます。


この辺りから察するに、porori氏自身は「ライトサイドの常識」を必ずしも全肯定はしておらず、
「義妹ホール~」「純情セックスフレンド」の二作では、天使ヒロインを堕とす演出として
「ライトサイドの常識が踏みにじられる事」→「ダークサイドへの転落」を描いたに過ぎないことが解ります。

「義妹ホールと妹ホールド」、あるいは「純情セックスフレンド」の悪魔側ヒロインルートと、
「お姉ちゃんクソビッチ~」、「好き好き大好き超管理」のエンディングには、表面で起こった事実だけを取り出してみれば、そう大きな違いはないからです。
しかし読後感は違う。それは、プレイした方ならお分かりになるかと思います。



★「好き好き大好き超管理してあげる」について

さて、語りにくいのはこちらの作品になります。
この作品は最も「天使と悪魔」性の薄い作品になりますが、いみじくも残響さんが批評空間レビューで
『太陽と月』という表現を使っていらっしゃるように、
やはり、なななが太陽(天使)で、まよりが月(悪魔)という関係性であることに間違いはないはずです。
もっとも、ここまで見てきた3作品と違い、なななは常識サイドの人間とは言い切れないのですが、まぁ陽性/ライトサイドの住人ということでここはひとつ。


何故語りにくいかと言いますと、理由が説明されていないから、というのもこれまた残響さんのレビューそのままで恐縮なのですが、結局なななという女の子も、まよりという女の子も、どうしてあぁなったのか、
その背景描写が本作からはほぼ見えてこない。
付け加えれば、無表情ボケ不思議ちゃんヒロインとは僕は非常に相性が悪いため、まよりちゃんに惹かれないのですね。

とすると、なななちゃんになるわけですが、本作にはいわゆる『闇』がない。
「お姉ちゃんクソビッチ~」には、世間の目というものをさやかが意識していたために、このか本人は恐らく抱いていないであろう闇が、作中に生まれています。


しかし、本作にはその闇すらがない。

教え子とのエッチ? えー? まじぽん? センセのえっち、でもいーじゃん Go Go きもちーこと おっけーだよ!
妹とのエッチ? えー? んー? あり? ありといえばありかなー だって好きなんでしょ? ありありだよー!


という感じで、まぁとにかく闇がない。
闇がないからそれはもう、なななちゃんという天使を信じて全てを委ねましょう、ぐらいの感想しか湧かない。

一作を通して「世間の常識からたとえ反していても、自分の目で見た相手を。
自分の価値観で捉えた良識を信じ、実践しましょう」を描いた『お姉ちゃんクソビッチ』のテーマを、
本作では、なななというヒロインのノリだけで軽々と爆破している。


それはそれで僕は良いと思うけれど、つまりこれは「お姉ちゃんクソビッチ」という作品から、さやかの葛藤を取り除いた、変奏曲的な作品だと思ったわけです。
で、「お姉ちゃんクソビッチ」のテーマ自体が、僕にとっては特に語るべきものではないので(↑で散々語ってるじゃんとか言わない)、本作について語る事は輪をかけてないのです。


僕自身の思考自体が、「他人に対して過度な迷惑をかけないならば、基本的に好きにすれば良い
(性に奔放だろうが、同性愛だろうが、近親相姦だろうが、お好きにどうぞ。)」という、
ななな的……というと、彼女ほど信念は強くなく容易にぐらついてしまうので、さやか的ぐらいにしておきましょうか。
さやか的な発想なので、なななが「いーじゃん いーじゃん ごーごーだよ!」と言えば、僕も「そうだよそうだよごーごーだよ!」と。それで終了なんですよね。


もちろん物語テーマではない、外形的な要素を挙げるなら、たとえばなななの言語センスだとか、
なななのチアコスの脇コキがエロいとか、語れなくはないんですが……まぁ、はい。


★物語類型

このように物語類型に強引に落とし込むと、そこから零れ落ちるものがあるという懸念は踏まえた上で、
強引に落とし込ませていただくと、「夜のひつじ」さんの描く物語のバリエーションはそこまで広くない。
いえ、広くない事が悪いとは思いません。
だって僕、初期の健速さんとか好きだし(初期の健速さんなんて完全にワンパターンでしょ)。
【というか、創作小説で毎回同じようなテーマで書いている自分を完全否定することになってしまうw】


その、「広くない」事に加えて「短編」であることも含めて、一作について熱く語れば語るほど、
その他の作品について語れることは少なくなってしまう
(同じような事を毎回語る事になる)。

作品によって、バランス感覚を変えるだけの器用さをporori氏は持っていますし、何より毎回楽しませてくれるので、僕はこれからも夜のひつじさんに注目していきたいと思っています。
なのでdisとかそういうことではないんですが、これが、「語る事が少ない」と書いた理由になります。


★語り落としたところ

夜のひつじさんは、ヒロインの台詞を描くのが本当に巧くて、いつも感心させられます。
その中でも白眉はやはり、「好き好き大好き超管理」のなななでしょうか。
彼女のリズミカルな、単語のチョイスときたら。台詞ではなく、まるで音楽のような、彼女のセリフ。
それを生み出した、ライターの腕にはやはり唸らざるを得ません。
究極的には、あのセリフ回しこそがなななの個性だと思います。

まよりの不思議ちゃんなセリフ回し。ぶっきらぼうな千穂のセリフ回し。
やわらかなひらがなを駆使した、まこのセリフ回し。


そうしたヒロインの巧みなセリフ回しを、僕は毎回楽しみにプレイしています。




残響さんの質問に答える形で、長々と「夜のひつじ」について語らせていただきましたが、
こんな形で良かったでしょうか?


また何かありましたら、お気軽にご意見をお寄せください!