話 115/150 人 120/150 絵 80/100 音80/100 その他システム50/100 印象 35/50

合計 480/650(105位/約180ゲーム中)  ESにつける点 80


グランドルートを含めた全5ルートの評価は、S~Eで

・伊吹那津奈 A+ ・黎明夏帆 A- ・暁有佐 A- ・導木ほのか B ・グランドルート B+

といったところ。
単独ライター故か全体的に質が高く、大外れと言えるルートはありません。
弱小ロケット部ビャッコが駆け抜けた青春を追体験できる作品として、本作の高い評価も頷ける……んですが、
気になる点もいくつか。


一つは、とにかく展開がワンパターンすぎること。


ヒロイン4ルートではいずれも、「ロケット製造に行き詰る」→「全然関係ない事をする」→「新しいアイディアを閃く」
という展開の繰り返しになっています。
更に、エンタメの王道といえばそれまでですが、「大会優勝」で「ハッピーエンド」。


こうなると、1ヒロイン目、2ヒロイン目ぐらいまではともかく、3ヒロイン目、4ヒロイン目ともなってくると
先が読めて読めて仕方ない。
単体で見れば決してレベルの低い読み物ではないのですが、1つぐらい「ビター」なエンドがあっても良かったし、
ロケット開発シーン(アイディアの閃き方)ももう少しバリエーションが欲しかったです。
僕は有佐→那津奈→ほのか→夏帆の順でやったんですが、3ルート目あたりから露骨にテンションが下がりました。
だって、どのルートも大枠が一緒なんだもん……。


また、これは僕がバカなだけかもしれませんが、ロケット知識の説明があまり巧くなくて、理解するのが大変……というより半分ぐらい聞き流しました。
シナリオ本編で、夏帆が説明してくれる部分はまだ解りやすいんですが、下ネタにたとえられたほのかの説明を聞いてもわかりづらいし、用語説明「Glossary」の文章などは、教本をそのまま丸写しにしたのかな?と思えるぐらい硬い文章で、正直意味がわかりませんでした。


それから、ごく稀に「空気の読めないギャグ」を入れてくるところ。
たとえば有佐ルートで、「ロケット発射の許可を得ようと、帰りの遅い父親を待つシーン」があります。
待っている間何をしているかと思うと、なぜか主人公の家で下半身を露出して遊んでいる(エッチ本番ではなく、本当に遊んでる)んですね。
それを父親に見つかるシーンがありますが……普通、こんな大事なシーンで、そんなくだらない遊びをしている余裕なんてありますか?
僕は読んでいて、すんごく白けてしまいました。
ほのかルートでもその手の「悪ふざけ」がありましたが、どうもなぁ……。
このライターさんは次回作の「私が好きなら~」でも思ったんですが、下ネタが面白くないんですよね。


後は、バグ。
『直近の選択肢の判定結果が、他のセーブデータに影響を与えてしまう不具合』があります。

私の場合、「ほのかルート」で起こりました。
「ほのかルート」を着々と進め、ほのかのオヤジさんが倒れ、ほのかとHをして、ほのかとフォーセクションズに参加する流れだったのに、「フォーセクションズ」の当日朝、迎えに来てくれたのはなぜか夏帆。
公園でブランコに乗って、今までの夏帆との思い出を語り出す乙矢君。……もう目が点になりましたよ。
慌てて修正パッチを当てたら、今までのプレイデータ(観たCGなど)が全部消えちゃうし……。
このバグで、2点ほど減点しています(バグがなければ82点をつけていました)。


ルートごとの感想ですと、那津奈ルートが一番面白かったです。
フォーセクションズの「推進」部門、チャイルドⅥがARCの機体と鍔迫り合い、ついに最後まで残ったシーンが、
本作をプレイしていて最も興奮したシーンです。
我慢比べをクライマックスに持ってきたのは、新鮮で面白かった。

(と思ったら、ほのかルートのクライマックスも我慢比べでした。那津奈を先にやったせいもあって、ほのかルートは微妙だった)


有佐ルートは告白のシーンが良く、夏帆ルートは、夏帆の視力に関する話が良かったです。
あと、夏帆ちゃんかわいい。
ほのかルートで良かったのは、ARCのコウノトリ先輩の独白かなぁ。

ほのかルートは前述した「バグ」の煽りも食らっているのですが、ほのかの下ネタはあまり好きじゃないし、
「セフレ誤解」ネタも、乙矢とほのかの間だけならほほえましく読めるけれども、妹がしゃしゃり出てきてウザかったし
あまり良い印象はありません。
(大地が、妹のほのかの身を案じるのは解るけど、ゆいは出しゃばってくるなよと思ってしまった)


どのルートも結構楽しめたはずなんですが、作品テーマやルートごとのテーマといったものもない(少なくとも僕には読み取れなかった)し、「よくできたエンタメ」以上のものは感じ取れなかったんですよね。
プレイ中楽しければそれで良い、と言われればそうかもしれないんですが……。


割と似たタイプの作品だと思う、「蒼の彼方のフォーリズム」や「この大空に翼を広げて」には、僕の心に訴えかけるテーマ性があったことを考えると、本作は1ランク落ちるかなぁと。


まぁ、そうは言っても面白かったんですけどね。