子供の頃からずっと楽しく遊んできた、隣の家の女の子、蟹沢きぬ。
皆から恐れられていたけれど、誰よりも友達想いな、伊達スバル。
そんな二人(+1人:フカヒレ)に囲まれて、楽しくもダラダラと過ごしてきた対馬レオ。
これは、そんなどこにでもいそうでなかなかいない、対馬ファミリーの物語。


最強無双の鉄乙女や、大財閥のお嬢様、霧夜エリカ以外にも、竜鳴館学院には飛びぬけた才能を持つ生徒がいる。
それが、(一学期EDによれば)陸上で五輪代表にも選ばれた伊達スバルである。
スバルの父親は元陸上選手。だが、酒浸りになり、家族に暴力を振るうようになってしまった。
そんな父親を誰よりも憎みながらも、父親譲りの優れた遺伝子を受け継いだスバル。
対馬レオとは比べ物にならないほど、ドラマチックな宿命を背負っているのが、本シリーズの親友キャラである伊達スバルなのである。
端整な顔立ちと陸上の才能、そして家事も万能で、女子生徒からも人気のある好男子。


そんなスバルが恋をしている相手は、同じ友人グループの蟹沢きぬ。
親からも出がらしとバカにされ、レオからも女性として意識されていない。
甲殻類、小蟹ちゃん、カニみそ、カニチャーハン……まぁ何でもいいが、およそヒロインらしからぬヒロインと言おうか、
身近にいる、性別を意識せずに付き合える異性の悪友。
言っちゃなんだけども、オトコオンナみたいな扱いをうけている、ちんちくりんのカニに、
伊達スバルが恋をしている。
それどころか、グループのもう一人である対馬レオまでもがカニに恋をするようになる。
「女」としてカウントされていないような野生児みたいな女の子が、何気に逆ハーレムを形成しているという、そんなところがおかしいのである。

付け加えるならば、本作において大した活躍を見せないフカヒレ君ではあるけれど、
彼の存在は、緩衝材のような働きをレオ・スバル・カニの3人に及ぼしている。
カニと同レベルでバカをやってくれるフカヒレの存在が、カニの女性性を抑え、グループ内での恋愛関係を緩やかなものとし、三角関係が発覚した後もグループのバランスを保つ役割をしているといえる。

レオ以外の対馬ファミリーの共通点と言えば、家族からの疎外。
スバルは父親に暴力を振るわれ、カニは母から育児放棄をされ、フカヒレは姉に虐待をされている。
本作のライターはフカヒレの重要性を全く理解できていないようだが、フカヒレもまた対馬ファミリーにおいて、欠かすことのできない人物である。


カニとの仲が進展するのは10月4日。ファーストキスの思い出を語り合うシーンだ。
レオのファーストキスの相手はカニ、そしてカニのファーストキスの相手はレオだった。
普段なんとも思っていない相手でも、そんな話をしたらやはり意識はしてしまう。
そしてその直後、隣のクラスの村田にカニが突き飛ばされ、レオは思わずカッとしてしまう。
「女の子」であるカニを守る、このシーンはカニを「女性」として意識する上で大切なシーンだ。
事実、その後レオは少しずつカニを意識するようになっていくのだが、実際の距離は劇的に縮まりはしない。
今までどおり、なぁなぁと楽しい対馬ファミリーの時間が流れていく。
カニのワガママにレオがキレたりと、いつも通りの時間が流れているように見えて、
文化祭ではカニからほっぺにキスをされたりと、今までと少し違うような、友だち以上恋人未満な
甘酸っぱい時間が流れていく……。
そして11月14日、レオは思い切って「2人で買い物に行こう」とカニを誘う。
それに対し、レオの誘いの意味(2人で、の部分)をくみ取ったカニは笑顔でうなずく。

客観的に見て、ここで『相思相愛』であることがある程度解るようになっているのだが、
実際のところ「買い物イベント」は作中では描かれていない。
そして、その3日後、スバルが爆弾を落とすのである。
「カニが好き」であること、そして「陸上の強豪校にスカウトされていること」を。
そしてその翌日、スバルがカニを呼び出すところをレオは見てしまう。

ショックを受けたレオはその後、部屋に引きこもってしまう。
一体どんな顔をしてこれからカニやスバルと接すれば良いのだろう?
スバルとカニを取り合うことなんてできない。取り合ったってスバルに敵いっこないし、
親友から幸せを取り上げるわけにもいかない。
でも俺はカニが好きなんだ。どうしたら……と悩むわけである。
主人公としては情けない話ではあるが、まぁ、気持ちはわかる。

そしてレオはカニを避け始めてしまう。
12月2日、様子のおかしなレオに、カニは悲しみと憤りをぶつける。
ギクシャクとした二人の関係。本格的にダメになってしまうのだろうか。
あんなに仲の良かった、出来の悪い妹みたいだったカニとはもう笑い合う事はできないのだろうか?

12月9日、スバルから大事な話があるという。
びくびくしながら向かったレオだったが、スバルの姿はそこにはなかった。
なんと、事故に遭って入院してしまったらしい。

12月15日、フカヒレと乙女さんに檄を飛ばされ、レオはようやくスバルのお見舞いに。
そこで、スバルは「カニに告白して振られた」とレオに告げる。
スバルに「俺がカニを守る」と誓い、その足でカニの家へ。
勢いのままカニに告白。
「散々待たせやがって……ほんとにチキンだよな、おめーは」と言いながらも、カニの目には薄っすらと涙が……。

その後はひたすらイチャイチャしているだけっすね。
あ、でも最初のHシーンとお風呂でのHシーンは割とエロかった。カニ相手にエロスを感じてしまうとは……不覚。実は1回抜きました。
で、スバルも退院して、またみんなで楽しく過ごすことになった対馬ファミリー。
7年後、レオとカニはめでたく結婚しましたとさ。


完。

このシナリオで一番問題なのは、「一学期」の焼き直し感満載である上に、「一学期」よりもつまらない事である。
カニをヒロイン格にする以上、どうしてもスバルとの関係性をも絡めざるを得ず、似たような話になってしまうのは無理もないだろうが、スバルとの対決にしろ、スバルのその後や青春度などなど
いずれも「一学期」に比べて1ランク落ちると言わざるを得ない。
まぁ「一学期」の事は「一学期」の記事で書くことにして(←予定なので確定ではありません)、今回は、「二学期単体で」見てみよう。


まず、特にシナリオ上、大きな破綻はない。
だが、あまりにも盛り上がりに欠ける点は否定できないだろう。
というのも、「伊達スバルVS対馬レオ」の蟹沢きぬ争奪戦は、レオの不戦勝なのである。


スバルが機先を制してカニに告白。そしてカニはその告白を断っている。
なんとあのスバルからの告白を断るとは……そして「ボクはこう見えても(レオに)一途なんだよ!」と告げるカニの一途さは、なかなかかわいらしいものがあるが、とにかくスバルは既に勝負に敗れた。
そして、そのスバルがフラれてからようやく動き出すのが、我らがレオ君なのである。
それの何が悪いの? と聞かれれば別に全く悪くないのだが、盛り上がりに欠けるのはこうしたレオの慎重さ(チキンさ)に原因がある。


普段はチキンだけど、ここぞという時に覚醒するのが、やや中二病が入っている対馬レオの特性。
しかしこのルートのレオは、カニが突き飛ばされたシーン以外では結局「覚醒」しないままなのだ。



それでは最後に評価を


SーE

レオ B- 感情移入面では問題ないので、なりきり的にはOK。ただし全く活躍はしない。
カニ B  まずまずだけど、ライターがカニの良さをイマイチ理解してないような……。
シナリオ C+ 盛り上げに完全に失敗した1学期の劣化コピー……。破綻は特にないが……。
羨ましさ B+ 隣の家に幼馴染が住んでて、そのまま結婚とかw
青春度 B- もっと青春できただろ……。

Hシーン B
データ シーン回想数6:
    レオの射精回数:6回+2?(この後更に2回射精した、的な文があるので。つーかこのデータ要らなくね!?) 
    sex回数:4回 H日数:4日 カニの逝った回数:多分0
  

総合満足度 C-