吉川三国志の評価はB。横山三国志の評価はB+。


まず、吉川三国志の感想を書きますと、『リメイク版:三国志演義』という印象を持ちました。
「三国志演義」を、日本人向けに、より読みやすくしたもの……という事になっています。
が、「三国志演義」自体、小中学生でも読める代物でもありますし、
孔明の死後が書かれていない、たまーに間違いがある(太史慈が呉三代に仕えた事になってたり)ので、
本音を言えば「演義」を読んだ方が良いような気がします。
ただまぁ、「演義」の『〇合撃ちあった』一辺倒の戦闘描写が嫌いだとか、
『さて、続きはどうなりますことか』と言っておきながら、どうという事もない、あの調子が寒くて嫌だ、という方にはこちらをお薦めしておきます。

これから「三国志」に触れるという方は、「三国志演義」or「吉川三国志」、どちらかを手に取っていただければ、大体の三国志ストーリーは理解できると思いますので。


横山三国志は、吉川三国志をかなり忠実に漫画にした感じです。
ではなぜ、評価がちょっとだけ高いかと言いますと、それは『漫画』だからです。


つまり、「三国志」にこれから触れるなら、やはり「三国志演義」を読むのが良いのです。
吉川三国志でもまぁいいですが、吉川三国志を読むガッツがある人なら、演義だって普通に読めるはずです。そういう意味で、吉川三国志は中途半端だと思うのです。

「三国志演義」を読むガッツがない人は、「吉川三国志」だって多分読めません。
そこで「横山三国志」の出番です。さすがに漫画だし、読めるよね?
長編小説が読めない人にも、「三国志」を伝える事ができる、という意味で「横山三国志」は評価できると思います。
後、「画」の力というか、いつも泣いている印象の劉備さん。劉封が死んだシーンでは結構ほろりとしましたね。


た・だ・し。
赤壁の次に大きな合戦(だと思う)である、官渡の戦いをスルーしているのだけは、
ちょっと困ります。
この戦いは、天下分け目の合戦だったはずです。
この部分だけは、頑張って三国志演義か、吉川三国志で補完してください。


後、「呉」に関しては吉川&横山、どちらもほとんど触れていませんので、
こちらは三国志演義を読んでください。
というわけで結局のところ、演義を読めばいいんじゃ?と思ってしまうわけですが、
何はさておき、このような大長編をものしただけでも、吉川&横山両先生は称賛に価するとは思います。