娯楽度 9

・メキシコVSドイツに並ぶ大会最大の『驚き』。クロアチアが勝つ事自体は必ずしも驚きではないが、内容も伴った上での3-0という結果には驚いた。チームとしての完成度が3ランクは違った。

・アルゼンチンは前節の『メッシに全てを任せる』戦術からやや改善され、球離れが全体的に良くなった。しかし、『改善されても、このレベル』かという感じで、到底ベスト4以上を望めるチームではない事が、この試合で明らかになった。戦術的にはやや改善されたものの、初戦、中盤の底で存在感を発揮していたバネガを起用しない采配には疑問が残った。

・クロアチアは強かった。特に組織化された中盤のプレッシングが猛威を振るい、完全にアルゼンチンを制圧。そこからモドリッチ、ラキティッチらがパスをサイドに散らし、ペリシッチ、レビッチ、そしてSBからオーバーラップしてきたヴルサリコが。時にはサイドにポジションを変えたマンジュキッチが基点を作る。チーム全体でもぎ取った勝利だが、特にモドリッチ、ラキティッチ2人の存在感は際立っていた。

・良い意味でも悪い意味でも、審判がファウルを全然取らないため、非常に激しく、荒れた展開になった。クロアチア、アルゼンチン双方共に足の裏を見せたプレイが散見され、あまり良い印象ではないが、敢えてポジティブに評すれば『闘っていた』。
(最初にマンジュキッチがメルカドを削り、次にタグリアフィコが報復的にマンジュキッチを削った。どちらにもカードが出なかった。その後もこういう展開は続いた。
オタメンディがラキティッチの頭を故意に蹴飛ばそうとしたシーンですら、イエローカード。
審判の頭の中身がどうなっているのか、正直知りたいものだ)

・この日のクロアチアのパフォーマンスは圧巻で、大会のダークホースに名乗りを上げたと言える。
ただ、Euro2016でもクロアチアは予選リーグでハイパフォーマンスを見せ、優勝候補の一角に名乗りを挙げたか!? と期待させておきながら、トーナメントでは無残なパフォーマンスで散った経緯もあり、まだベスト4以上を期待するには早いかもしれない。



アルゼンチン代表採点 3

GK カバジェーロ 3・5
DF オタメンディ 3
  サルビオ 4・5→パボン 5
  メルカド 4
  タグリアフィコ 2・5 
MF マスチェラーノ 4・5 
   ぺレス 5→ディバラ 4
  メサ 5
  アクーニャ 4・5 
  メッシ 5
FW アグエロ 4→イグアイン 5

監督 サンパオリ 3 

クロアチア代表採点 9

GK スバシッチ 7
DF ヴィダ 7
   ロブレン 5・5 
  ストゥリニッチ 6
  ヴルサリコ 7
MF ラキティッチ 8 
  モドリッチ 8・5 MOM
  ペリシッチ 6→コバチッチ 6
  レビッチ 6・5→クラマリッチ 5・5
  ブロゾビッチ 6・5
FW マンジュキッチ 6・5→コルルカ?

監督 ダリッチ 8

【欠場者情報】
FW カリニッチ(クロアチア) 監督判断による大会追放


今大会、既にエンジン全開のスペインとポルトガルを除き、列強国のエンジンがなかなかかからない。
だが、彼らの多くは恐らく『スロースタート』なだけだ。恐らくは。
そんな列強国の中で、『これは本当にヤバいのでは?』と強く思わされる国がある。
アルゼンチンだ。
なぜなら『とにかくメッシ頼り』というのは、この国がもう2010年大会で極めて強く出た悪癖である。
2014年もその傾向は強かったが、なんとかサポートメンバーのディ・マリアらがメッシの負担を軽減していた。
今回のアルゼンチンの初戦は、2010年大会の彼らにソックリである。
なお、2010年はベスト8でドイツと当たり、惨敗した。


一方のクロアチアは、モドリッチを中心としたロングパス精度が極めて高い、
ダイナミックな攻撃を展開した。彼らの質に疑いの余地はない。
チームとしての完成度では、確実にアルゼンチンを上回る。
ひょっとすると実力でも上回っているかもしれない。

それでもこの試合は、アルゼンチンの勝利を予想する。
それは迷信にも似た、『相性』の問題だ。
クロアチアはVS南米勢に対し、極めて相性が悪いのだ(1勝3分7敗)