・本当によく頑張った。負けたけれど、4試合の中で一番良い試合を見せてくれたように思う。

・中盤からのプレスが、ベルギー本来の『地上戦』を封じ込め、互角に渡り合った。攻めては柴崎のパスセンスとの閃きが特に素晴らしく、長友は大会通して好パフォーマンスを披露した。

・2ゴールを先取した後、試合の流れを変えたのはマルティネス監督の迅速な対応だった。
日本に封じられていた『地上戦』を捨て、非常事態用オプションの『空中戦』に移行。
メルテンス→フェライニの交代は完全にそのサインで、見事にフェライニやヴェルトンゲンの空中戦でしてやられた。

・ラストの3点目。ベルギーのカウンターこそが、彼らの『本来の形』。デ・ブライネがサイドに開き、早めのクロスを上げ、ルカクが真ん中で潰れてその裏という形は、ゴールの前にも一度作られていた。完全にベルギーが狙っていた『型』にやられてしまったが、逆に言えば、後半の40分まであの形を出させなかったのは大善戦だと思う。

・ベルギーは守備が脆く、あまりにも前傾姿勢なそのスタイルは、1つの好チームとして考えればともかく、『優勝候補』としては厳しいように感じた。
攻撃のタレントが多いのは確かだが、それを無理やり全員ピッチに送り込むような先発陣で、たとえば本来ウイングのカラスコなどは良い所が全く出ていない。
次のブラジル戦は、このままではかなり厳しいように感じた。




娯楽度 8・5+1(日本人補正)

日本代表採点  7・5


GK 川島永嗣  6・5
LSB 長友佑都 7
RSB 酒井宏樹  6・5
CB  昌子源 5・5
   吉田麻也 6・5
CH 柴崎岳 7 →山口蛍 5
DH 長谷部誠  6
LSH 乾貴士 7
RSH 原口元気 6→本田圭祐 6
OH   香川真司 6
FW 大迫勇也 5・5

監督 西野朗 6・5


ベルギー代表採点 6・5

GK ティボー・クルトワ 6 
CB ヤン・ヴェルトンゲン 7
  トビー・アルデルワイレルド 5・5 
  ヴァンサン・コンパニ 5
RWB トーマス・ムニエ 6・5
LWB ヤニック・カラスコ 4 →ナセル・シャドリ 7
DH  アクセル・ヴィツェル 5
CH  ケビン・デ・ブライネ 7
RWG ドリーズ・メルテンス 5→マリアン・フェライニ 6・5
LWG エデン・アザール 7 MOM
CF  ロメル・ルカク 6・5

監督 ロベルト・マルティネス 7

【展望】

率直に言って、厳しい。
勝機があるとすれば、ベルギーに対する相性の良さ(2勝2分1敗で勝ち越し!)はあるし、
つけ入る隙が無いわけではない。しかし、厳しい。


ベスト16進出を決めた日本。しかし、胸を張って誇れるほど、質の高いサッカーができただろうか?
10人のコロンビアに勝った試合が、恐らくベストパフォーマンスだった。
セネガル相手に見せた粘りは評価できるが、日本ペースだったとは言えない。
ポーランド戦に至っては、語る価値もない。

まず組み分けに恵まれ、対戦順に恵まれ、更にカルロス・サンチェスのハンドに助けられ、
最後には他会場の結果にまで助けられた。
運も実力のうち。だが、あまりにも運の要素が強すぎるように感じている。

こんな冴えないパフォーマンスでトーナメントに上がってきたのは、日本と、それにデンマークだけだ。
奇しくも2010年、デンマークを倒したあの日本の戦いぶりには、ワクワクさせられたものだ。
今大会の日本には、まだワクワクさせてもらっていない。
ベスト16という立派な成績とは裏腹の、この斜に構えたような盛り上がらない気持ち。
正当な勝ち上がりではあるが、『説得力のある』勝ち上がり方ではない。


とはいえ、思いっきり日本贔屓で書かせていただくならば、称えたい選手は何人かいる。
まず、守備陣全体。中でも左SBの長友は、本当に安心して観ていられるSBだ。
MFの柴崎は日本で最もクオリティを生み出せる選手だろう。
乾の果敢な仕掛け、香川と大迫の連携。とりわけ大迫の攻守にわたる奮闘は頭が下がるほどだ。


しかしそれもこれも、『日本代表全体』の印象となるとどうしても輝きはくすんでしまう。
カウンターが鋭いわけでもなく、守備が固いわけでもなく、ポゼッションの質が高いわけでもない。
乾&長友を中心に左サイドから仕掛けたい、という狙いはわかるが……。
『日本らしいサッカー』は見えないままだ。


そんな日本とは別の事情で、未だに真の姿が見えないのがベルギーだ。
システム、送り出す選手の顔ぶれを見るととにかく『攻撃的』の一言に尽きる。
ここまで前傾姿勢のチームもそうはない。
前線にルカク、アザール、メルテンスの3人を並べるだけでなく、デ・ブライネにカラスコまで起用している。
日本で言うなら、大迫、香川、岡崎、乾、本田の同時期用みたいな感じだ(ちょっと違うか)


これでバランスがとれるのか?と思ってしまうのだが、ベルギーの所属するグループGは
強敵不在で、真価を問われる機会がほぼ皆無に近かった。
攻撃面でも然りで、チュニジアとパナマに叩き込んだ8ゴールが、彼らの攻撃力をそのまま表しているわけではない。
(もっとも、日本の守備力もこの両国と大差ない気はするが)


とはいえ、攻撃のタレントは豪華すぎるほどに豪華だ。
セリエA屈指の技巧派アタッカーのメルテンスに、チェルシーのエースであるアザール。
そして主砲ルカク。
アシスト・マスターのデ・ブライネを一列下げて守備的な位置で起用するほど、前線の駒は揃っている。
問題は、彼らの連携がどこまで取れているか。
2014・2016では、豪華なスター選手たちが、てんでばらばらに戦っていたベルギー代表。
今大会は新監督マルティネスの元、連携が改善されているようにもみえるが、相手が相手なのだ。

より強いチームとの対戦で、どうプレイするのかを見てみたいところだが、1回戦の相手は日本……。
そしてここを勝ち上がると、準々決勝では突然ぶっつけ本番でブラジルと当たる事に……。
ベルギーの真価は大会が終わってもまだ、解らないままという可能性もありそうだ……。