・セットプレーでは無類の強さを誇り、オープンプレイでは大した事のないイングランド。
ここまで極端なチームも珍しい。名キッカー、トリッピアーのキックが、イングランドの攻撃の全て。
そう言い切ってもいいぐらい、トリッピアーのキックは今大会のイングランドを支えてきた。

・トリッピアーのセットプレイに合わせるのは、空中戦で無類の強さを誇るマグワイア、ストーンズ。そしてケイン

・多彩なセットプレーを用意してきたサウスゲイト監督の手腕も見事だった。

・だが、オープンプレイの迫力のなさは、この代表チームの限界だった。攻撃をする気がない、一部の引きこもりチームとは違い、アリやスターリング、リンガードといった選手が攻撃的な姿勢は見せている。しかしクオリティが低い。オープンプレイの攻撃力は、大会中でも中位以下だろう。

・守備力に関しても、あまり褒められたものではない。スウェーデン戦を除き、全ての試合で失点。パナマにすら失点している。とはいえ、この戦力でベスト4は、いくら相手に恵まれたとはいえ、素晴らしい戦いぶりだった。

・3試合連続の延長戦。決して諦めないクロアチアは、マンジュキッチを中心に気持ちを前面に出して闘っていた。今日特に凄かったのが、ペリシッチヴルサリコの2人。
1得点1アシストだけではない。相手を追いかけ、ボールを奪回し、攻撃に絡み、アグレッシブにシュートを撃つ。7つの肺を持つかのようなスタミナとアグレッシブさで、ペリシッチはこの試合の主役となった。
ちなみに、僕が10点満点をつけたのは、今大会初めてである。

・ヴルサリコは、トリッピアーと並び大会を代表するSBに成長した。この試合でも、ストーンズのあわやのヘディングをライン上でクリア。先制点をアシストするなど、大車輪の活躍だった。

・守っては守護神スバシッチの安定感も心強い。モドリッチ、ラキティッチだけじゃなく、サイドのレビッチとペリシッチ、そしてマンジュキッチと、攻撃陣はほぼ完璧で、オープンプレイでは完全にイングランドを凌駕していた。


・個人的な感情で恐縮だが、フランスはベルギー戦でのあの時間稼ぎで、応援する気がなくなった。
クロアチアはこんなに苦しい試合でも時間稼ぎなどせず、最後までゴールを求めて攻めた。
大国と呼ばれるアルゼンチン、そしてイングランドを中盤で圧倒できるクロアチア。

決勝の相手はフランスで、さすがに苦しいが、是非頑張ってもらいたい。
戦力的にもフランスが完全に優勢だが、最後までひたむきに戦うチームに優勝してもらいたいと思っている。






娯楽度 9・5

イングランド代表採点  6・5

GK ジョーダン・ピックフォード 6・5
CB カイル・ウォーカー 5→ジェイミー・ヴァーディ― ?
  ハリー・マグワイア 6
  ジョン・ストーンズ 6
RWB キーラン・トリッピアー 7 
LWB アシュリー・ヤング 5.5→ダニー・ローズ 5・5
DH ジョーダン・ヘンダーソン 6→エリック・ダイア― 5・5
CH デレ・アリ 5・5
LWG ジェシー・リンガード 4・5 
RWG ラヒム・スターリング 5・5→マーカス・ラッシュフォード 6
FW  ハリー・ケイン 6・5

監督 ガレス・サウスゲイト 7




クロアチア代表採点 10

GK ダニエル・スバシッチ 6・5
RSB シメ・ヴルサリコ 8
LSB イバン・ストゥリニッチ 5→ヨシプ・ピバリッチ 6
CB ドマゴイ・ヴィダ 6
   デヤン・ロブレン 5・5
DH イバン・ラキティッチ 6
DH マルセロ・ブロゾビッチ 6
OH  ルカ・モドリッチ 6→ミラン・バデリ ?
LWG イバン・ペリシッチ 10 MOM
RWG アンテ・レビッチ 6→アンドレイ・クラマリッチ 5
FW マリオ・マンジュキッチ 7・5→ヴェドラン・コルルカ 5

監督 ズラトコ・ダリッチ 9

【欠場者情報】
FW 二コラ・カリニッチ 大会追放



大会前には全く予想も出来なかったカードだ。

事ここに至っても、イングランドの強さが今一つ言語化できない。
セットプレーは強い。間違いなく強い。
バリエーションも豊富で、サウスゲイト監督が綿密に用意してきた事が窺える。
キッカーを務めるトリッピアーの精度は高く、空中戦では大会最強とも思えるマグワイア、ストーンズ、ケインらに合わせる。

対戦相手にも恵まれた。パナマ、チュニジアを倒してベスト16。
コロンビア、スウェーデンを倒してベスト4。そしてクロアチアを倒せば決勝へ。
いわゆる列強国との試合は1試合もない。
また、『見ていて面白い試合』も特にない。
初戦のチュニジア戦が一番面白かったが、エキサイティングな試合はそれだけだった。
ベスト4にも関わらず、印象が弱いのはそのせいだろうか。

セットプレーは強い。しかし、セットプレー以外は?? 
アリ、リンガード、スターリングらがアグレッシブに攻めていくが、破壊力が高いとはお世辞にも言えない。
しかし、今日の試合はイングランドが有利だろう。


クロアチアは2試合連続で120分を戦い、疲労の蓄積が懸念される。
また、ヴィダの軽率な政治的パフォーマンスにより、ロシアファンからブーイングが飛ぶことも間違いないだろう。
モドリッチを中心に、レビッチ、ペリシッチ、マンジュキッチらが絡むクロアチアの攻撃は美しいが、
(PKキッカーとしてはともかく)ラキティッチは期待ほどの輝きを見せておらず、
控えを見回しても、バデリやブロゾビッチは良いとして、他に『戦力を落とさずに戦える』控え選手は少ない。特にモドリッチ、レビッチ、ペリシッチ、マンジュキッチの4人は代えが効かない。
GKスバシッチの負傷具合も心配だ。