エロゲ対談などで普段仲良くしていただいている、残響さん向けの推薦図書100作です。
強制とかでは全くないです。
基本内輪ネタですが、もちろん、残響さん以外の方も読むことを前提に記事を書いていますので、
何かの参考になれば幸いです。
基準は
・残響さんと話していて、彼が好みそうだと思われる作品
・残響さんが好きな村上春樹繋がりで、村上春樹と関わりがありそうな作品
・残響さんが好きな森博嗣繋がりで、「森博嗣の100冊」に挙がっている作品・作家で残響さんが嫌いではなさそうなもの
・残響さんが既読である事を、僕が確信をもって知っている作品は省いた。
(たとえば「マリア様がみてる」とか)
1 トリストラム・シャンディ/ロレンゾ・スターン
2 吾輩は猫である/夏目漱石
3 アメリカの鱒釣り/ブローディガン
4 銀河ヒッチハイクガイド/ダグラス・アダムス
5 黒死館殺人事件/小栗虫太郎
上記5冊は『ヘンテコ』な作品群である。
個人的には非常に読みづらく感じるため一般には薦めない。
奇妙奇天烈な作品であり、作者の『駄弁り』に付き合わされている感覚すら受ける。
『1』に感銘を受けた夏目漱石が『2』を書いた、という繋がりもある。
『5』はミステリのオールタイムベスト級作品である。
僕はこの5冊はどれも、「合わなかった」。
漱石は『猫』タイプの作品と、『こころ』タイプの作品があるが、僕は圧倒的に後者のファンである。
6 さようなら、ギャングたち/高橋源一郎
7 スローターハウス5/カート・ヴォネガット
この2作も『ヘンテコ』ではあるが、読みやすいと思うため、他の方にもお薦め。
『7』は村上春樹が影響を受けているらしい。
同著者の「タイタンの妖女」は爆笑問題の太田さんが大好きだ、という逸話があるが、
個人的には「スローターハウス5」の方が短く、それでいて洗練されているように思う。
どちらもテーマ的には同じ(のはず)。
8 ドグラマグラ/夢野久作
これも読みづらい。
エロゲーマー的には『水夏』第3章のオマージュ元ということでもあり、見逃せない、と言いたいが
薦めにくい。ただ、残響さんはこういうリズムの文章は好きそうだ。
9 ドン・キホーテ/セルバンテス
10 老人と海/アーネスト・ヘミングウェイ
11 魔の山/トーマス・マン
12 薔薇の名前/ウンベルト・エーコ
13 失われた時を求めて/マルセル・プルースト
14 エロ事師たち/野坂昭如
15 シブミ/トレヴェニアン
しんみりと人生の無常を感じるような作品である。
とは言え、過度に暗いというわけではない。
『9』などは大爆笑しながら読めてしまい、最後には感動する名作なので他の方にもお勧めだが、長い。
『14』は一般的にも非常にお薦めだが、残響さんには下ネタが̪̪̪引っかかる可能性はあるか。そこさえ乗り越えられるなら気に入ると思う。
『13』はクッソ長いので、読んだだけで自慢したくなってしまうが、内容自体はそこまで読みづらいものではない(しかし、長すぎる)。のんびり数か月かけて読むのも良いのではなかろうか。
16 地球の長い午後/ブライアン・オールディス
17 パノラマ島奇譚/江戸川乱歩
風景描写の美しい2編である。風景描写が好きだと仰っていた記憶があるので挙げてみた。
「16」は『ナウシカ』に影響を与えたとも言われている。
18 かもめのジョナサン/リチャード・バック
19 精神寄生体/コリン・ウィルソン
精神修養的な話が大好きっぽい残響さんなら気に入るであろう作品。
「19」は、精神修養から始まってMMR的なトンデモ話を説得力を持って描いており、最後には壮大なバカ話で〆る、皆に薦めたい作品だが、恐らく絶版のため図書館でしか読めないはず。
コリン・ウィルソンは残響さんの好きなラブクラフトともつながりがあるので、そちら方面からもお薦め。
20 地獄のハイウェイ/ロジャー・ゼラズニイ
世界崩壊後。終末世界を駆け回る、というシチュエーションが大好きっぽいので挙げた。
普通に面白い。
世界崩壊後の世界を描いた作品には、たとえば大傑作「ザ・スタンド」などがあるが、残響さん向きかと聞かれると微妙である。
21 生ける屍の死/山口雅也
22 バベル17/サミュエル・ディレイニー
「21」はパンク+ゾンビ探偵(グロはない)の傑作で万人にお薦めしたい一品。
「22」は一転、明らかに一般向けではなく、残響さん狙い撃ちの一品で、
色彩豊かな音色と、謎言語で酩酊感を味わえる(が僕はダメだった)。
「22」が気に入ったなら「ベータ2のバラッド」や「ノヴァ」あたりに手を伸ばしてみるのもお薦め。
23 ホットロック/ドナルド・ウェストレイク
24 切断/ジョイス・ポーター
抱腹絶倒系ミステリで秀逸な2品。
どちらも超お薦めであるが、「24」は下ネタが引っかかり残響さんにはまさかの劇薬になる可能性もある。そういう懸念はあるが、多分大丈夫だろうということで挙げた。
25 われはロボット/アイザック・アシモフ
いつも薦めているのだが読んでもらえず、そろそろしつこく思われていそうな一品だが、
『ロボット』ものを語る上では絶対に外せない里程標的作品だし、何より面白い。
それこそ「Planetarian」だとか、あるいは「美少女万華鏡 神が造りたもうた少女たち」などの
ロボットを扱ったギャルゲ・エロゲをプレイする上でもできれば触れてほしい作品。
これが気に入ったなら、『鋼鉄都市』、『はだかの太陽』へと進んでほしい。
アシモフには『永遠の終り』という超スケールの名作SFもあるので、ロボットではなく、
「タイムマシン」系のワードにビビっとくる方にはそちらをお薦め。
26 高慢と偏見/ジェイン・オースティン
27 高慢と偏見とゾンビ/セス・グレアム・スミス
「26」は旧き良きイギリス貴族社会を舞台にした純愛恋愛小説であり、落ち着いた雰囲気ながら
『読ませる』作品である。
「27」はそれを茶化して悪ふざけしてしまったような一品であり、『こんなのありかよww』と思わせつつ、こういう悪ふざけは残響さんは嫌いではない、と思う、多分。
ただし「26」に感動し、「26」を汚してほしくないという方には「27」は薦められない。
28 魔界転生/山田風太郎
29 マタレーズ暗殺集団/ロバート・ラドラム
「ハッタリ」の効いたバトルアクション小説では出色の二作。
真正面から『中2作品』を描くなら、これぐらいはやってほしいと思わせる、偉大なる中2作品である。
個人的に、エロゲの中2作品に全然ノレない(『鬼哭街』とか『Phantom』を中2と言って良いなら、その辺りは素晴らしかったが)のは、この「魔界転生」や「マタレーズ暗殺集団」あたりを基準に考えているせい。
30 死にゆく者への祈り/ジャック・ヒギンズ
31 針の目/ケン・フォレット
こちらも中2的な、「影のある暗殺者モノ」。
クールで凄腕の暗殺者でありながら、人間味も持ち合わせ、「情」との葛藤を描いた哀切なる2作。
残響さんがこういうのを好きかは不明だが、寡黙で格好良い男キャラは好きそうで、なおかつ
読んでいてしんどすぎないと思われるためチョイスした。
32 利腕/ディック・フランシス
こちらは暗殺者ではないが、「寡黙で格好良く、人情味のあるヒーロー」が主人公の勧善懲悪型小説である。
やや「男のやせ我慢」が鼻につくところはあるが、逆にそういうダンディズムも魅力だ。
離婚した前妻の父(かつての義父)と主人公の心温まる友情なども読ませる。
この作品が気に入ったら「大穴」、「敵手」に進もう。
(本当は「大穴」を先にした方がいいのだが、最高傑作は「利腕」だと思う)
33 刺青の男/レイ・ブラッドベリ
残響さんはブラッドベリを2作読んでおり、気に入っていらっしゃるので、間違いなく外れる事はない鉄板の1作。
ブラッドベリ未読の方は、「火星年代記」あたりを薦める。
34 都市/クリフォード・シマック
35 一角獣・多角獣/シオドア・スタージョン
36 たんぽぽ娘/ロバート・F・ヤング
大体、ブラッドベリが好きな人はこの辺りも好きやろ?
という感じで割と鉄板系のロマンチック郷愁SF3作。
「35」のスタージョンの、特に短編作品は、やや郷愁・甘みは薄く、奇形度が上がっているが、
『ブラッドベリ系』(と言うのもどうかと思うが)に分類しても大きく間違ってはいないはず。
「34」は『火星年代記』好きには漏れなくお薦めできる、滅びゆく星と種族をしみじみと描いた一作。
シマックなら短編集『愚者の聖戦』も良い。こちらはドラえもん的ワクワク感のある、見逃せない作品集。
「36」はロマンチック度ならこの中ではダントツ。「CLANNAD」のことみシナリオで引用された事で、鍵っ子にもお薦め。
37 ある日どこかで/リチャード・マシスン
38 トムは真夜中の庭で/フィリパ・ピアス
39 思い出のマーニー/ジョーン・ロビンソン
40 君にしかきこえない/乙一
ロマンチックSFの繋がりで。
残響さん向け、というよりは僕が大好きな『タイムロマンスファンタジー』群だが、
残響さんも多分嫌いではない、はず。
切なくも美しい時空を超えた交流にビビっと来る人向け。
41 真理先生/武者小路実篤
42 富士日記/武田百合子
のほほん、とした、平穏な日常の中に「人生」の深みを感じる2作。
武者小路実篤は、『創作技法上』、アカデミックな場でのウケが悪いが
この独特の「のほほん」感は素晴らしいと思う。
43 ガープの世界/ジョン・アーヴィング
上で紹介したヴォネガット系統の味わいがある作家。
ヘンテコ度はやや薄いが、「スローターハウス5」が気に入ればこちらも薦めたい。
村上春樹繋がりでもある。
人生は楽しい事も辛い事もあるが、うまくユーモアで受け流していこうじゃないか、という感じの、
楽しくも切なく、でも楽しくて不思議な作品群である。
44 鏡は横にひび割れて/アガサ・クリスティ
45 五匹の子豚/アガサ・クリスティ
46 終りなき夜に生れつく/アガサ・クリスティ
「森博嗣の100冊」で、クリスティは3作を占めている。「ABC」「アクロイド」「予告殺人」である。
しかし、クリスティファンの僕としては、どれも上質とは言いかねる(単に僕の趣味からズレるともいう)。
特に「46」は『アクロイド』の完全上位互換なので、歴史的意義を考えて『お勉強』をしたい人以外には、こちらを薦めたい。
『アクロイド』に娯楽性とロマンチック恋愛を付け足した、『叙情的アクロイド』だ。
クリスティから3作、というとどれを選ぶか非常に迷うが、「ABC」はポワロ、「予告殺人」はマープル作品なので、ポワロから「五匹の子豚」、マープルから「鏡は横にひび割れて」をチョイスした。
とにかくクリスティは名作が多すぎるので、この辺りが面白ければ
「オリエント急行の殺人」、「ナイルに死す」、「葬儀を終えて」、「ポケットにライ麦を」などなど、どんどん深みに入っていってほしい。
ちなみに「ABC」を選ぶくらいなら、
森さんも選んでいるデアンドリアの「ホッグ連続殺人」をお薦めしたい。
「被害者の繋がりが見えづらい連続殺人」という意味でお薦めだ
(「九尾の猫」もそうだし、森さんはそういう作品が好きなんだと思う)。
以下、「森博嗣の100冊」を基準に何冊か選んでみる。
47 九尾の猫/エラリー・クイーン
48 Yの悲劇/エラリー・クイーン
森さんはクイーンから4作も挙げている。
そこで僕が4作を挙げるならこの2作+「災厄の街」、「十日間の不思議」となる。
「47」を楽しまれた方は、この2作も読んでほしい。
ただ、サイコサスペンスなので、残響さんの健康にダメージがあるかどうかは何とも言えないところだ。恨むなら森さんを恨んでくれ(苦笑)。
「48」に関しては、森さんは「Xの悲劇」を挙げている。森さんの初ミステリだった(又聞き)ということで納得だが、明らかに「48」の方が上だと思う。
49 推定無罪/スコット・トゥロー
森さんの100冊から。文句なしに面白い、法廷モノの傑作である。
50 暁の死線/ウィリアム・アイリッシュ
アイリッシュは『幻の女』だけが突出して有名だ。
叙情的で、都会生活の中でのロマンチックかつ奇妙な邂逅を描く作家である。
『幻の女』も実に良い作品だが、それに引けを取らない『50』をここではお薦めしたい。
『黒い天使』などもお薦めだ。
51 死の接吻/アイラ・レヴィン
森さんは「ローズマリーの赤ちゃん」を選んでいるが、個人的にはこちらを推したい。
もっとも、「ローズマリー」がゴシックホラーで、こちらはテクニカルな倒叙サスペンスなので
ジャンルがそもそも違うため、一概に比較はできないが……。
52 ラストチャイルド/ジョン・ハート
森さんはハメット、チャンドラ―、ロス・マクドナルドというハードボイルドの系譜から1作ずつを選んでいるが、個人的にはこの系統はあまり好みではない。
ジョン・ハートはいわゆる『現代のロス・マク』であり、今読むならこちらを推したい。
この作品が気に入った方は、「キングの死」あたりもお薦めだ。
『さむけ』により近い(上に、より面白い)のはリチャード・ニーリィの「心ひき裂かれて」だが、
残響さんが気に入るかは不明である。
53 虚無への供物/中井英夫
「黒死館殺人事件」、「ドグラマグラ」と並んで日本3大奇書と呼ばれているらしいが、
ダントツに読みやすく、ダントツに娯楽性の高い作品だ。
『うみねこのなく頃に』で書かれているような内容は、既に中井英夫が大昔に書いている(しかもずっと面白い)
54 24人のビリーミリガン/ダニエル・キイス
森さんは「心の鏡」を挙げているが、残念ながら僕は未読だ。未読作品を薦める事はできない。
ダニエル・キイスは好きな作家で、『アルジャーノンに花束を』と「54」は屈指の名作である。
『アルジャーノン』は残響さんがダメージを食らいそうな作品なので避けたが、こちらもダメージを食らうかもしれない(食らう確率はやや低いと思うが)
そういう意味で、薦めて良いものかは解らないが、素晴らしい作品なので他の方には強くお勧めしたい。
55 魍魎の匣/京極夏彦
森さんは「絡新婦の理」を挙げている。
京極堂シリーズは(「塗仏の宴」と「邪魅の雫」は個人的にダメだったが)名作揃いで、「絡新婦」も本当に素晴らしいが、個人的には「55」がベスト。
「姑獲鳥の夏」、「絡新婦の理」、「陰摩羅鬼の瑕」など、気に入ったらどんどん読み進めて行ってほしいシリーズだ。
56 パラサイトイブ/瀬名英明
57 ブラッドミュージック/グレッグ・ベア
森さんが挙げた「56」はやはり名作だと思う。
「57」は海外版『パラサイトイブ』
(『57』の方が先なので、むしろパラサイトイブ=瀬名版『ブラッドミュージック』)
とも呼ぶべき名作で、どうせならセットでお薦めしたい。
58 天の光はすべて星/フレドリック・ブラウン
子供の頃の夢を、大人になっても抱き続ける初老の男が、夢を掴みかける物語。
切なくも愛しい。エロゲ「ひまわり」あたりが好きな方にもお薦め。
いつまでも少年のまま、宇宙への夢を抱く生きざまに浪漫を感じる。
59 秒速5センチメートル/新海誠
アニメ映画版でもいいし、小説版も非常に良い出来なので、双方薦める。
片思いの記憶をずっと胸に温めていた男の恋愛作品で、『合う・合わない』はハッキリ分かれる作品だが、残響さんには『合う』と半ば確信している。
半オマケ(小説以外)
60 蒼の彼方のフォーリズム
『架空スポーツ』、『勝負の楽しさを根幹に据えている』あたり、明らか~に残響さん向きの作品である。
実際、クオリティも素晴らしく、万人にお薦めできそうな名作エロゲだ。
61 紫影のソナーニル
残響さんは『スチパンシリーズ』は好きだったはず。『ソナーニル』は未プレイでしょうか?
個人的スチパンシリーズNo1はこの、『紫影のソナーニル』です。
62 CLANNAD
鍵っ子なら、鍵ゲー最高傑作(だと勝手に僕が思っている)の「CLANNAD」はやろうぜ!!
強制とかでは全くないです。
基本内輪ネタですが、もちろん、残響さん以外の方も読むことを前提に記事を書いていますので、
何かの参考になれば幸いです。
基準は
・残響さんと話していて、彼が好みそうだと思われる作品
・残響さんが好きな村上春樹繋がりで、村上春樹と関わりがありそうな作品
・残響さんが好きな森博嗣繋がりで、「森博嗣の100冊」に挙がっている作品・作家で残響さんが嫌いではなさそうなもの
・残響さんが既読である事を、僕が確信をもって知っている作品は省いた。
(たとえば「マリア様がみてる」とか)
1 トリストラム・シャンディ/ロレンゾ・スターン
2 吾輩は猫である/夏目漱石
3 アメリカの鱒釣り/ブローディガン
4 銀河ヒッチハイクガイド/ダグラス・アダムス
5 黒死館殺人事件/小栗虫太郎
上記5冊は『ヘンテコ』な作品群である。
個人的には非常に読みづらく感じるため一般には薦めない。
奇妙奇天烈な作品であり、作者の『駄弁り』に付き合わされている感覚すら受ける。
『1』に感銘を受けた夏目漱石が『2』を書いた、という繋がりもある。
『5』はミステリのオールタイムベスト級作品である。
僕はこの5冊はどれも、「合わなかった」。
漱石は『猫』タイプの作品と、『こころ』タイプの作品があるが、僕は圧倒的に後者のファンである。
6 さようなら、ギャングたち/高橋源一郎
7 スローターハウス5/カート・ヴォネガット
この2作も『ヘンテコ』ではあるが、読みやすいと思うため、他の方にもお薦め。
『7』は村上春樹が影響を受けているらしい。
同著者の「タイタンの妖女」は爆笑問題の太田さんが大好きだ、という逸話があるが、
個人的には「スローターハウス5」の方が短く、それでいて洗練されているように思う。
どちらもテーマ的には同じ(のはず)。
8 ドグラマグラ/夢野久作
これも読みづらい。
エロゲーマー的には『水夏』第3章のオマージュ元ということでもあり、見逃せない、と言いたいが
薦めにくい。ただ、残響さんはこういうリズムの文章は好きそうだ。
9 ドン・キホーテ/セルバンテス
10 老人と海/アーネスト・ヘミングウェイ
11 魔の山/トーマス・マン
12 薔薇の名前/ウンベルト・エーコ
13 失われた時を求めて/マルセル・プルースト
14 エロ事師たち/野坂昭如
15 シブミ/トレヴェニアン
しんみりと人生の無常を感じるような作品である。
とは言え、過度に暗いというわけではない。
『9』などは大爆笑しながら読めてしまい、最後には感動する名作なので他の方にもお勧めだが、長い。
『14』は一般的にも非常にお薦めだが、残響さんには下ネタが̪̪̪引っかかる可能性はあるか。そこさえ乗り越えられるなら気に入ると思う。
『13』はクッソ長いので、読んだだけで自慢したくなってしまうが、内容自体はそこまで読みづらいものではない(しかし、長すぎる)。のんびり数か月かけて読むのも良いのではなかろうか。
16 地球の長い午後/ブライアン・オールディス
17 パノラマ島奇譚/江戸川乱歩
風景描写の美しい2編である。風景描写が好きだと仰っていた記憶があるので挙げてみた。
「16」は『ナウシカ』に影響を与えたとも言われている。
18 かもめのジョナサン/リチャード・バック
19 精神寄生体/コリン・ウィルソン
精神修養的な話が大好きっぽい残響さんなら気に入るであろう作品。
「19」は、精神修養から始まってMMR的なトンデモ話を説得力を持って描いており、最後には壮大なバカ話で〆る、皆に薦めたい作品だが、恐らく絶版のため図書館でしか読めないはず。
コリン・ウィルソンは残響さんの好きなラブクラフトともつながりがあるので、そちら方面からもお薦め。
20 地獄のハイウェイ/ロジャー・ゼラズニイ
世界崩壊後。終末世界を駆け回る、というシチュエーションが大好きっぽいので挙げた。
普通に面白い。
世界崩壊後の世界を描いた作品には、たとえば大傑作「ザ・スタンド」などがあるが、残響さん向きかと聞かれると微妙である。
21 生ける屍の死/山口雅也
22 バベル17/サミュエル・ディレイニー
「21」はパンク+ゾンビ探偵(グロはない)の傑作で万人にお薦めしたい一品。
「22」は一転、明らかに一般向けではなく、残響さん狙い撃ちの一品で、
色彩豊かな音色と、謎言語で酩酊感を味わえる(が僕はダメだった)。
「22」が気に入ったなら「ベータ2のバラッド」や「ノヴァ」あたりに手を伸ばしてみるのもお薦め。
23 ホットロック/ドナルド・ウェストレイク
24 切断/ジョイス・ポーター
抱腹絶倒系ミステリで秀逸な2品。
どちらも超お薦めであるが、「24」は下ネタが引っかかり残響さんにはまさかの劇薬になる可能性もある。そういう懸念はあるが、多分大丈夫だろうということで挙げた。
25 われはロボット/アイザック・アシモフ
いつも薦めているのだが読んでもらえず、そろそろしつこく思われていそうな一品だが、
『ロボット』ものを語る上では絶対に外せない里程標的作品だし、何より面白い。
それこそ「Planetarian」だとか、あるいは「美少女万華鏡 神が造りたもうた少女たち」などの
ロボットを扱ったギャルゲ・エロゲをプレイする上でもできれば触れてほしい作品。
これが気に入ったなら、『鋼鉄都市』、『はだかの太陽』へと進んでほしい。
アシモフには『永遠の終り』という超スケールの名作SFもあるので、ロボットではなく、
「タイムマシン」系のワードにビビっとくる方にはそちらをお薦め。
26 高慢と偏見/ジェイン・オースティン
27 高慢と偏見とゾンビ/セス・グレアム・スミス
「26」は旧き良きイギリス貴族社会を舞台にした純愛恋愛小説であり、落ち着いた雰囲気ながら
『読ませる』作品である。
「27」はそれを茶化して悪ふざけしてしまったような一品であり、『こんなのありかよww』と思わせつつ、こういう悪ふざけは残響さんは嫌いではない、と思う、多分。
ただし「26」に感動し、「26」を汚してほしくないという方には「27」は薦められない。
28 魔界転生/山田風太郎
29 マタレーズ暗殺集団/ロバート・ラドラム
「ハッタリ」の効いたバトルアクション小説では出色の二作。
真正面から『中2作品』を描くなら、これぐらいはやってほしいと思わせる、偉大なる中2作品である。
個人的に、エロゲの中2作品に全然ノレない(『鬼哭街』とか『Phantom』を中2と言って良いなら、その辺りは素晴らしかったが)のは、この「魔界転生」や「マタレーズ暗殺集団」あたりを基準に考えているせい。
30 死にゆく者への祈り/ジャック・ヒギンズ
31 針の目/ケン・フォレット
こちらも中2的な、「影のある暗殺者モノ」。
クールで凄腕の暗殺者でありながら、人間味も持ち合わせ、「情」との葛藤を描いた哀切なる2作。
残響さんがこういうのを好きかは不明だが、寡黙で格好良い男キャラは好きそうで、なおかつ
読んでいてしんどすぎないと思われるためチョイスした。
32 利腕/ディック・フランシス
こちらは暗殺者ではないが、「寡黙で格好良く、人情味のあるヒーロー」が主人公の勧善懲悪型小説である。
やや「男のやせ我慢」が鼻につくところはあるが、逆にそういうダンディズムも魅力だ。
離婚した前妻の父(かつての義父)と主人公の心温まる友情なども読ませる。
この作品が気に入ったら「大穴」、「敵手」に進もう。
(本当は「大穴」を先にした方がいいのだが、最高傑作は「利腕」だと思う)
33 刺青の男/レイ・ブラッドベリ
残響さんはブラッドベリを2作読んでおり、気に入っていらっしゃるので、間違いなく外れる事はない鉄板の1作。
ブラッドベリ未読の方は、「火星年代記」あたりを薦める。
34 都市/クリフォード・シマック
35 一角獣・多角獣/シオドア・スタージョン
36 たんぽぽ娘/ロバート・F・ヤング
大体、ブラッドベリが好きな人はこの辺りも好きやろ?
という感じで割と鉄板系のロマンチック郷愁SF3作。
「35」のスタージョンの、特に短編作品は、やや郷愁・甘みは薄く、奇形度が上がっているが、
『ブラッドベリ系』(と言うのもどうかと思うが)に分類しても大きく間違ってはいないはず。
「34」は『火星年代記』好きには漏れなくお薦めできる、滅びゆく星と種族をしみじみと描いた一作。
シマックなら短編集『愚者の聖戦』も良い。こちらはドラえもん的ワクワク感のある、見逃せない作品集。
「36」はロマンチック度ならこの中ではダントツ。「CLANNAD」のことみシナリオで引用された事で、鍵っ子にもお薦め。
37 ある日どこかで/リチャード・マシスン
38 トムは真夜中の庭で/フィリパ・ピアス
39 思い出のマーニー/ジョーン・ロビンソン
40 君にしかきこえない/乙一
ロマンチックSFの繋がりで。
残響さん向け、というよりは僕が大好きな『タイムロマンスファンタジー』群だが、
残響さんも多分嫌いではない、はず。
切なくも美しい時空を超えた交流にビビっと来る人向け。
41 真理先生/武者小路実篤
42 富士日記/武田百合子
のほほん、とした、平穏な日常の中に「人生」の深みを感じる2作。
武者小路実篤は、『創作技法上』、アカデミックな場でのウケが悪いが
この独特の「のほほん」感は素晴らしいと思う。
43 ガープの世界/ジョン・アーヴィング
上で紹介したヴォネガット系統の味わいがある作家。
ヘンテコ度はやや薄いが、「スローターハウス5」が気に入ればこちらも薦めたい。
村上春樹繋がりでもある。
人生は楽しい事も辛い事もあるが、うまくユーモアで受け流していこうじゃないか、という感じの、
楽しくも切なく、でも楽しくて不思議な作品群である。
44 鏡は横にひび割れて/アガサ・クリスティ
45 五匹の子豚/アガサ・クリスティ
46 終りなき夜に生れつく/アガサ・クリスティ
「森博嗣の100冊」で、クリスティは3作を占めている。「ABC」「アクロイド」「予告殺人」である。
しかし、クリスティファンの僕としては、どれも上質とは言いかねる(単に僕の趣味からズレるともいう)。
特に「46」は『アクロイド』の完全上位互換なので、歴史的意義を考えて『お勉強』をしたい人以外には、こちらを薦めたい。
『アクロイド』に娯楽性とロマンチック恋愛を付け足した、『叙情的アクロイド』だ。
クリスティから3作、というとどれを選ぶか非常に迷うが、「ABC」はポワロ、「予告殺人」はマープル作品なので、ポワロから「五匹の子豚」、マープルから「鏡は横にひび割れて」をチョイスした。
とにかくクリスティは名作が多すぎるので、この辺りが面白ければ
「オリエント急行の殺人」、「ナイルに死す」、「葬儀を終えて」、「ポケットにライ麦を」などなど、どんどん深みに入っていってほしい。
ちなみに「ABC」を選ぶくらいなら、
森さんも選んでいるデアンドリアの「ホッグ連続殺人」をお薦めしたい。
「被害者の繋がりが見えづらい連続殺人」という意味でお薦めだ
(「九尾の猫」もそうだし、森さんはそういう作品が好きなんだと思う)。
以下、「森博嗣の100冊」を基準に何冊か選んでみる。
47 九尾の猫/エラリー・クイーン
48 Yの悲劇/エラリー・クイーン
森さんはクイーンから4作も挙げている。
そこで僕が4作を挙げるならこの2作+「災厄の街」、「十日間の不思議」となる。
「47」を楽しまれた方は、この2作も読んでほしい。
ただ、サイコサスペンスなので、残響さんの健康にダメージがあるかどうかは何とも言えないところだ。恨むなら森さんを恨んでくれ(苦笑)。
「48」に関しては、森さんは「Xの悲劇」を挙げている。森さんの初ミステリだった(又聞き)ということで納得だが、明らかに「48」の方が上だと思う。
49 推定無罪/スコット・トゥロー
森さんの100冊から。文句なしに面白い、法廷モノの傑作である。
50 暁の死線/ウィリアム・アイリッシュ
アイリッシュは『幻の女』だけが突出して有名だ。
叙情的で、都会生活の中でのロマンチックかつ奇妙な邂逅を描く作家である。
『幻の女』も実に良い作品だが、それに引けを取らない『50』をここではお薦めしたい。
『黒い天使』などもお薦めだ。
51 死の接吻/アイラ・レヴィン
森さんは「ローズマリーの赤ちゃん」を選んでいるが、個人的にはこちらを推したい。
もっとも、「ローズマリー」がゴシックホラーで、こちらはテクニカルな倒叙サスペンスなので
ジャンルがそもそも違うため、一概に比較はできないが……。
52 ラストチャイルド/ジョン・ハート
森さんはハメット、チャンドラ―、ロス・マクドナルドというハードボイルドの系譜から1作ずつを選んでいるが、個人的にはこの系統はあまり好みではない。
ジョン・ハートはいわゆる『現代のロス・マク』であり、今読むならこちらを推したい。
この作品が気に入った方は、「キングの死」あたりもお薦めだ。
『さむけ』により近い(上に、より面白い)のはリチャード・ニーリィの「心ひき裂かれて」だが、
残響さんが気に入るかは不明である。
53 虚無への供物/中井英夫
「黒死館殺人事件」、「ドグラマグラ」と並んで日本3大奇書と呼ばれているらしいが、
ダントツに読みやすく、ダントツに娯楽性の高い作品だ。
『うみねこのなく頃に』で書かれているような内容は、既に中井英夫が大昔に書いている(しかもずっと面白い)
54 24人のビリーミリガン/ダニエル・キイス
森さんは「心の鏡」を挙げているが、残念ながら僕は未読だ。未読作品を薦める事はできない。
ダニエル・キイスは好きな作家で、『アルジャーノンに花束を』と「54」は屈指の名作である。
『アルジャーノン』は残響さんがダメージを食らいそうな作品なので避けたが、こちらもダメージを食らうかもしれない(食らう確率はやや低いと思うが)
そういう意味で、薦めて良いものかは解らないが、素晴らしい作品なので他の方には強くお勧めしたい。
55 魍魎の匣/京極夏彦
森さんは「絡新婦の理」を挙げている。
京極堂シリーズは(「塗仏の宴」と「邪魅の雫」は個人的にダメだったが)名作揃いで、「絡新婦」も本当に素晴らしいが、個人的には「55」がベスト。
「姑獲鳥の夏」、「絡新婦の理」、「陰摩羅鬼の瑕」など、気に入ったらどんどん読み進めて行ってほしいシリーズだ。
56 パラサイトイブ/瀬名英明
57 ブラッドミュージック/グレッグ・ベア
森さんが挙げた「56」はやはり名作だと思う。
「57」は海外版『パラサイトイブ』
(『57』の方が先なので、むしろパラサイトイブ=瀬名版『ブラッドミュージック』)
とも呼ぶべき名作で、どうせならセットでお薦めしたい。
58 天の光はすべて星/フレドリック・ブラウン
子供の頃の夢を、大人になっても抱き続ける初老の男が、夢を掴みかける物語。
切なくも愛しい。エロゲ「ひまわり」あたりが好きな方にもお薦め。
いつまでも少年のまま、宇宙への夢を抱く生きざまに浪漫を感じる。
59 秒速5センチメートル/新海誠
アニメ映画版でもいいし、小説版も非常に良い出来なので、双方薦める。
片思いの記憶をずっと胸に温めていた男の恋愛作品で、『合う・合わない』はハッキリ分かれる作品だが、残響さんには『合う』と半ば確信している。
半オマケ(小説以外)
60 蒼の彼方のフォーリズム
『架空スポーツ』、『勝負の楽しさを根幹に据えている』あたり、明らか~に残響さん向きの作品である。
実際、クオリティも素晴らしく、万人にお薦めできそうな名作エロゲだ。
61 紫影のソナーニル
残響さんは『スチパンシリーズ』は好きだったはず。『ソナーニル』は未プレイでしょうか?
個人的スチパンシリーズNo1はこの、『紫影のソナーニル』です。
62 CLANNAD
鍵っ子なら、鍵ゲー最高傑作(だと勝手に僕が思っている)の「CLANNAD」はやろうぜ!!