☆まえがき
ミステリを書きたいと思った事はこれまで一度もないが、
こんなものを見つけたので、挑戦してみた。
書いてないとすごく難しいことのように思えるが、書くと簡単なのである。これまで作品にはオリジナルが義務づけられてきたが、今回はトライすることが重要で、できばえは問うていない。ハードルを超すためにパクリありにした。
……ホントかよ!? 密室モノは誰でも書けるって?? うせやろ?と思ったけど、
パクリありで、できばえも問わないなら軽い気持ちで書いてみよっと。
と思って出来上がったのがコレ。
創作期間2日(ただし、最初に途中まで書いて2週間放置したので、書き始めてから完成まで2週間)。
出来は、酷いです。推理は不可能です。真面目に推理してこれを読んだら、最後に怒ると思います。
☆トイレ殺人事件 1章
辻崎美緒は後悔していた。あの時なぜ、その一言が言えなかったのか、と。
薄汚れたクリーム色の扉。ノブの下部には鮮血の赤。
危険、止まれ、入るな、の赤。女性を表す赤。
信号はいつ青に変わるのか。まだか、まだなのか。
一刻も早い救済を渇望する者にとって、時の歩みは蟻めいて遅い。
扉の先に広がるのは、地上に現れた魂の楽園。
誰かの視線を常に感じ続ける監獄の中で、唯一無防備になれる桃源郷。
ここで選択を迫られる。この扉に固執するべきなのか? 転進という選択もありうる。
楽園は一つではない。そもそも……
恨めし気に美緒が眺めた別の扉には、無情にも故障中の文字。
そうなのだ。
美緒が勤める小さなファミリーレストラン、ステーキジョニーズ桜散坂4号店が唯一誇れるアメニティ、別名女性用トイレは故障中。
30名程度の客しか収容できないこじんまりした店とは言え、さすがにトイレが2つはありえない。
よく知らないけど、建築なんたら法に引っかかっているのでは!? そんな法律があるにせよないにせよ、トイレのない店に客が居付かないのは当然である。
子どもたちのはしゃぎ声が、美緒の耳を襲う。微笑ましい二人だが、今は「うるせぇ!」と思ってしまう。騒ぐな。膀胱に響く。
21時23分。休憩時間は22時までだが、生理現象はそれまで待ってはくれそうにない。
美緒はそれでも待っている。トイレが空くのを待っている。
睨んでも睨んでも扉は空かない。
ウェイトレス・衝撃のお漏らし事件まであと3分29秒……3分28秒……タイムリミットは迫っている。
結城翔は、後にこう振り返っている。あの時、その一言を言えなくて良かった、と。
彼は迷っていた。辻崎美緒の様子が変なのだ。
もじもじと下半身をすり合わせたり、左手の裏を右手でぎゅっとツマんだりしている。あんなことをして痛くないのだろうか? 違う。痛いのだ。
痛みに何かを紛らわせていたのだ。美緒の視線が落ち着きなくさまよう先には、トイレの扉がある。
時計を見る。20時52分。なるほど、律義な彼女らしく休憩を待とうという事だろうか?
その志は買う。勤務中に度々トイレに向かいすぎるとサボりだと勘違いされてしまうかもしれない。
そういう遠慮が美緒らしいと思う。もっと、肩の力を抜いてもいいのに、と翔は思う。
けれど、クソ店長三村六彦はそんなことまでネチネチとイヤミを言いかねないクソ野郎だ。
その六彦はと見ると、客の水を補充しに回っているようだ。
いつも独りで来ている、腹に脂肪を蓄えた男性が、今日は女性を連れている。
唾を飛ばしかねない勢いでまくしたてる彼に、たまに相槌を打つ中年女性。
あれは、彼の妻だろうか? てっきり独身かと思ったが、あんな男にも奥さんがいるのなら俺が美緒ちゃんと……いやいやそれは話が飛躍しすぎだ。
ふっと見ると、美緒と目があった。それだけで、心臓が暴れ馬のように駆け出してしまう。
「トイレ、我慢しているの? いいから、行きなよ」と、心の中で翔は呼びかけた。
いや、実際に口に出して言おうと思った。
けれど、それは女性に対してデリカシーに欠ける発言かもしれない。勘違いだったら恥ずかしい。
そのトイレから、一人の子どもが飛び出した。
まだ小学生……あれはたけお君だったか、みこと君だったか。このファミレスをよく利用する小学生二人組は、ヤンチャな盛り。
とても賑やかで、それが迷惑でもあり、かわいくもある。
「ちゃんと手洗った!?」「うっせー、これでも食らえ!」「わぁぁ! ちゃんと拭いてよーー!!」
片方が水滴を飛ばし、もうそれだけで大騒ぎ。
小学生が出てきたということは……美緒ちゃん、今ならトイレ空いてるよ! 翔の視線があまりに熱かったのか、美緒は戸惑ったように自分の顔を指さす。そうそう、美緒ちゃん。辻崎美緒ちゃん。仲良くなったらみおっちって呼んでいいかな? それとも辻ちゃん? って今大事なのはそこじゃない。伝えなきゃ、今こそ熱い気持ちを伝えなきゃ!
「辻崎さん……その~」
決意を固めて口に出したその声は、あまりにか細く情けなく響き、それだけで翔の意気を挫きかけてしまう。
「へ? あぁ、結城さん、なんですか?」
「ちょっと言いにくいんだけど、あのですね」それでも何とか先を続け、視線を向けたトイレの先には
「あ、クソ……!」先ほどまで客を捌いていた、三村六彦店長が吸い込まれていくのであった。
「クソ……?」
違う違うよ、う●こじゃないよ。アイドルはう●こしません!
う●こをするのはあのクソ店長くらいだ!
って、一度入るとなかなか出ないクソ店長がトイレに入ろうとしてる~~~~!!!
「ゆ、結城さんもトイレ待ち?」
「も?」
「うん、あたしはトイレ待ち。そろそろ休憩だから、いいんだけどね!」
結城さんは落ち着きなく視線を宙へ飛ばした挙句、
「そっか、トイレ1つは厳しいよね」と目を伏せた。
先輩に当たるはずなのに、どうも頼りない。女性と話し慣れていないんだろう。
あのね、結城さん。シモの話1つで顔を赤らめるほど、現代女性はウブじゃありませんことよ?
でも、う●こじゃなくておしっこだから! そこ間違えないように! おし…
あ、意識したら余計にぃ……
☆2
中年男性とその奥さん、二人の子ども。今日は、暇だ。と結城翔は思った。21時24分。
客のラッシュも辛いものだが、暇は暇である意味辛い。必然的に時計を何度も眺めてしまう。
退勤はまだか。
忙しい時は、時間が飛ぶように過ぎる。しかし、三村と同じシフトの時は、暇な方が良い。
すぐに余裕をなくして怒鳴るからな、あいつ。
そういえば、と翔は思う。三村はどこにいるんだ?
はっと、トイレに視線をやるとあろうことか、辻崎美緒の青ざめた姿があった。
おいおい、休憩入ってからもう20分経つんだぞ!?
「美緒ちゃん、三村は!?」、
「まだ……みたい」
「クソ、何してるんだろ! 気分悪いのかな?」
「あたし……もう、限界……」
「店を出て、少し先にファミマがあるでしょ。あそこのトイレを……!」
「もっと早く言ってくれれば……今からじゃ、もう……」
「最悪、お客さんの目につかないところでなら……。ここじゃまずいよ、なんなら控え室で」
「そ、そうしようかな……」
「おいおい、トイレいつまで待たせんだよ!」
そんな二人に割って入った、野太い中年男性の声。
「おぉい! 中の人! 大丈夫か!?」
遠慮会釈なくガンガン扉を叩いたが、まるで反応はない。
「ちっ……ちょっと離れてな……」二人に下がるように命じると、男性客は……
「ちょっ! マジ!?」全体重を載せたキックで、文字どおり扉を蹴破った!
美緒が求め続けた魂の台座。
店に1つしかないその神聖な便座に腰をかけ、魂の抜けたような顔で三村はいた。
いや、過去に三村として認識されていた、抜け殻の器だけがそこに遺されていたというべきか。
『小さな兵隊さんが7人、食事に行ったら1人が喉につまらせて、残り6人』
誰かの残した落書きが、トイレの壁に描かれている。
三村の足の間には、場違いに思えるトランプのカード。三村の首が、ガクリと垂れた。
「うぉっ、マジかよ!」男性客が唸り、
「なんなんです!? うちの人がまた何か……」連れの女性が遅れてやってくる。
何やら賑やかになってきたな、と他人事のように思う翔。
「110番すべきじゃねぇか? ……俺はしたくないが」
「何を言ってるんですか、あなた! あなたの出番じゃないですか! あのね、皆さん。この人は星降坂2丁目勤務の……」
「だぁ~~~! 今日は非番なんだよ! ゆっくりさせろよ!」
「渡場(どば)警部と言います。皆さん、この人の指示に従ってください」
警部よりも強い奥さん(?)が、その場を強引にまとめたその瞬間、
「あ、もう、ダメ……」辻崎美緒の足が、彼女の尿で濡れはじめ、慌てた夫人が男性陣の退出を促した。
☆3
「さて、事件について振り返るわけだが……」渡場警部のしわがれ声がファミリーレストランに響き渡る。事件が発生した現場に、人を入れるわけにはいかない。
表にはClosedの札が出されていた。
「この事件は、密室で起こった殺人だ。店長がトイレに入ってからこの店に入った者も、出ていった者もいない」
渡場警部はその場に集まった全員を睨むように、見まわした。
アルバイト店員の結城翔は、警部の視線を避けるように目を伏せた。
同、女性店員の辻崎美緒も、同じくうつむく。こちらは、先ほど演じてしまった失態を思い返しての事かもしれない。
「あなた! 私も容疑者なんですか!?」
警部の連れの女性……楠原頼子が抗議の声を挙げると、
「じゃ、君はいいや……」と目を伏せるのは警部の方だ。
「あぁ~~~ズルい! そこのオバサンがむじつなら、おれもむじつだろ! なんてったってコドモだし!」
一歩も引かないぞ、と警部をにらむのは生意気ざかりの小学三年生、相良武雄。
「あのな。頼子もそうだし君もそうだが、何も全員を容疑者扱いしているわけじゃない。ただ、現場が密室な以上、犯人が透明人間でもない限り、まだこの中にいるって事になるんだよ!」
「とーめいにんげんだったらどーすんだよ!」とわめく武雄をなだめ、
「トイレに窓はなかったんですか? 換気口とか抜け穴とか」と尋ねたのは武雄の友人、常盤ミコト。
「見てみりゃわかるが、四方は壁だよ。窓も何もありゃしない。至って普通の洋式便所だ。落ちていたのは、トランプ1枚だけ」
「スペードの6ですね」おずおずと翔が口を挟む。
「『小さな兵隊さんが7人、食事に行ったら1人が喉につまらせて、残り6人』」と武雄が元気に唱えた。
「武ちゃん?」怪訝そうなミコトに
「『そして誰もいなくなった』だよ! あれに出てきたマザーグースが、トイレに書かれていたんだ!」
「トランプが落ちているのも、不気味ですね……」恐る恐る頼子が口を挟み、
「スペードの6。小さな兵隊さんも、残り6人……」とミコトが呟く。
「ひっ!」押し殺した悲鳴を漏らした美緒に、一同の視線が集中した。
「て、店長の名前、六彦って言うんです。三村六彦……」
彼女の言葉が呼び水となり、堰を切ったように皆が一斉に喋り始めた。
周囲に立ち込めた不安が捌け口を求め、パニックとも呼ぶべき熱狂を現出した。
☆4
「静かに! 静かに! トランプのカードとかマザーグースの落書きとかそんなものは何の役にも立たん! とにかく状況を整理してみよう!」
場が静まったのは、もう何度目かの渡場警部の怒鳴り声。
諦めず何度も張り上げた結果、彼の声帯はひりひりと痛み、すっかりしわがれてしまっていた。
「まず、店長がトイレに入ったのが20時52分? 随分細かいな……」
「休憩が21時からなので。休憩時間前と退勤前はいつも時計を気にしているんです」
勤務態度を咎められると思ったのか、結城翔の声は小さい。
そんな彼に、小さく感謝のまなざしを向けたのは美緒だ。
「ん? 君の休憩は21時からだったの……あいたた!」渡場警部が疑問を口に出そうとした直前で、頼子が彼の頬をつねる。
「で、店長が出てこないので、俺がトイレのドアを蹴飛ばしたのが21時24分、か。その間には誰も……?」
「誰も出入りしていません。その……ずっと見ていたものですから……」
「1分1秒たりとも目を離さなかったというのかね?」
「さすがにそこまでは誓えませんけど……10秒に1度ぐらいは見ていたはずです。5秒に1度かも」
半分開き直って、美緒が答えた。
「この線で考えてもわからんな……えーと、そうだ。被害者の死因は何だったかな? トイレで発作を起こしただけかもしれんぞ?」
「それじゃ、マザーグースの落書きとトランプはどうなるんですか?」
「ただの偶然だ。そもそも落書きがいつから書かれていたかもわからん。弥生時代から書かれていたかもしれん」
「いえ……今朝は僕が掃除当番でしたが、落書きはありませんでした」
この人に任せて大丈夫だろうか?視線に込められた一同の意思を、警部は肌で感じ、苛立った。
「トランプに指紋はあったの?」
「なかった。あったらすぐに発表してる」頼子の指摘に答える声も、不貞腐れたように響いた。
「死因が解るまで、何もしない方が良いのでは?」至極もっともな声があがり、その場は解散になった。
☆5
「こないだのアレ、面白かったよな!」
長かった算数の時間が終わり、中休みの開始と同時にミコトに話しかけたのは、公立桜散坂小学校3年1組出席番号7番、相良武雄だ。
「面白いって……人が死んだんだよ?」
「人なら毎日死んでるよ。ニュース、ワイドショー、ドラマや漫画でだって、いっぱい死んでる」
普段は年齢相応の幼さを見せる武雄が、時折見せる冷徹な一面に常磐ミコトはぞっとする事がある。
「死因はニコチンによる血管収縮。臀部を針で刺された痕があった」
「そうそう!」
「武ちゃん、なんで、あんなことしたの……?」
「悪を成敗するのは正義の味方の役目だろ?」
大人びた一面を見せたかと思うと、こんな事を得意げに言う武雄を、どう捉えればいいのだろう。
武雄は悪い事をした。しかもそれに気がついていない。
気がつかなければ、また繰り返すかもしれない。もう二度とやってはいけない事なのだと、誰かが教えなければいけない。誰か、なんて言い方は逃げだ。私だ。私が教えなければならない、とミコトは思う。
生活に精一杯で、武雄の世話まで手が回らない彼の母親に、期待する事はできない。
けれど、もう絶対にやらせないためにはどうすればいいだろう。
亡くなった人には申し訳ないけれど、殺人者の烙印を背負ってこれからの人生を生き続けられるほど、武雄の心は強くない。
「みんながあいつの事をクソ店長って言ってた。あいつが嫌で、あの店をやめて行ったお姉ちゃんもいた。みんなあいつに迷惑してたんだ。やめさせるのは当然だろ?」
「そうだね」と頷くミコトに、「どうやったのか当てられる?」と尋ねる武雄。
「毒針だよね。ニコチンを塗った毒針。手袋をして、トイレの便座に毒針を置いた。手袋はトイレに流した。落書きとトランプも武ちゃんの仕業。理由は知らないけど、どうせ……」
「カッコいいだろ? ミコトが持ってた小説で読んだから真似してみたんだ」
トランプは鮎川哲也の『りら荘事件』。
落書きはアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』。
「ついでに、毒針はエラリー・クイーンの『Xの悲劇』だね。でもね、武ちゃん。もう絶対に、二度と、やっちゃダメだよ?」
「なんで? みんな喜んでるじゃん。あのクソ店長がいなくなって」
捕まったらどうするの?と聞けば、絶対に捕まるもんかと答えるだろう。
武雄をどうすれば説得できるのか。
トイレの密室騒ぎよりも、ミコトにとってそちらの方がよほど大きな謎だった。
「あのね」
けれどミコトは答えを見つけた。
武器を使うのは、人を殺す時だけじゃない。人を救うため、自らを救うため、使える武器もある。
「……あのトイレ、店長さんが次に座る保証はどこにもなかったよね。辻崎さんが次に座ったかもしれないし」
そこで言葉を切ると案の定、武雄の顔がみるみる青ざめていくのがわかった。
「私が座ったかも、しれないんだよ」
三村店長を殺したこの子に、罪がないわけがない。けれど、この子は鵜呑みにしただけなのだ。
周囲の大人たちが、店長を悪く言う言葉をそのまま受け取って、正義は悪を倒すものだと思い込み、
あまりにも狭い視野でそれを実践した。
どうすれば人を殺せるのか。その答えは、私が教えてしまったようなものだ。
私が読んでいた推理小説の中に、彼は答えを見つけたのだ。
*殺人を犯したジャッキーを、ドルリー・レーンは一度は赦した。
私は、武ちゃんを見捨てない。彼を死なせないし、殺人犯にもさせない。
「も、もしミコトがトイレに入ろうとしたら、オレが絶対……」
辻崎さんじゃなくて、まず出てきたのは私の名前。
「じゃあ辻崎さんだったら? 他人がトイレに入るのを、武ちゃんは妨害できる? それに、三村店長が本当に嫌な人だったか、武ちゃんはどうして判断できるの?」
「それは……だって皆が言ってたから……」
「じゃあ、皆が私の事を悪く言ったら、武ちゃんは私を悪だと思うのね?」
武雄の顔が奇妙に歪んだ。
Fin
パクリ元
アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」のマザーグース。登場人物の人数に合わせて、数字だけ改変しました。
鮎川哲也「りら荘事件」死体の側にトランプ
エラリー・クイーン「Xの悲劇」 ニコチン毒針と手袋
エラリー・クイーン*「Yの悲劇」 他人の日記(ヨーク・ハッタ―)を読んで、子供(ジャッキー)がその通りにした。探偵のドルリー・レーンは一度はジャッキーの犯行を罪のないものとして見逃した。
ジョイス・ポーター「ドーヴァー警部シリーズ」 渡場警部の元ネタ。
☆あとがき
密室トリックに興味がない人間が、密室トリックを書くとこうなる……。
うん、ごめんね。
おしっこを我慢している美緒ちゃんと、彼女に片思いする店員の翔くんを書いている時は楽しかったよ。
別におしっこフェチではないんだけどね(ホントだよ)。
しっかし、きたねー話だなこりゃ(溜息)
真面目に書きますと、密室殺人(犯人を推理してもらう)という制約があるせいで、一人ひとりのキャラをしっかり均等に書き込むことが出来なかったのが残念でした。
もっと生前の店長と、バイト店員2人。
生前のお子様2人組や、ミコトちゃんの仄かな恋心やらなにやら、といった事を書き込みたかったけど、書き込んだら長くなっちゃう(元記事には20~50枚という指定があったけど、50枚を超す可能性が出てくる。そのうえ、肝心の??密室部分には全く関係ない)し、
まぁ、手遊びにそこまでガチになるなら、もっと他に書きたいものがあるよね、って事で。
推理モノとしてクズなのは承知の上で、投稿しました。ごめんね!
多分一生でもう書くことはないと思うので(多分ね!)赦してね!
表現とかが下手糞なのは、純粋に僕の技量不足です。もっと良い文章が書けるように努力します。
ミステリを書きたいと思った事はこれまで一度もないが、
こんなものを見つけたので、挑戦してみた。
①密室殺人もの 天城一の用語による「内出血型トリック」を狙う――自殺にみせかける密室殺人状況をつくる。最近の作例でいえば、柄刀一の「緋色の紛糾」(『御手洗潔対シャーロック・ホームズ』所収)のタイプ。
②人物の職業を具体的に描き入れる。
なお、「20枚程度の作品を約三週間で仕上げる」という制約のため、次の付帯事項をつけた。
③先行作品からトリック借用を許す。その場合は、参考作を必ず明記すること。
天城一は密室トリックはアマチュアの作業、一番難しいトリックは鉄道トリックであると言っている。実際、密室物が流行しているし、それは誰でも書けることの証明といえよう。書いてないとすごく難しいことのように思えるが、書くと簡単なのである。これまで作品にはオリジナルが義務づけられてきたが、今回はトライすることが重要で、できばえは問うていない。ハードルを超すためにパクリありにした。
……ホントかよ!? 密室モノは誰でも書けるって?? うせやろ?と思ったけど、
パクリありで、できばえも問わないなら軽い気持ちで書いてみよっと。
と思って出来上がったのがコレ。
創作期間2日(ただし、最初に途中まで書いて2週間放置したので、書き始めてから完成まで2週間)。
出来は、酷いです。推理は不可能です。真面目に推理してこれを読んだら、最後に怒ると思います。
☆トイレ殺人事件 1章
辻崎美緒は後悔していた。あの時なぜ、その一言が言えなかったのか、と。
薄汚れたクリーム色の扉。ノブの下部には鮮血の赤。
危険、止まれ、入るな、の赤。女性を表す赤。
信号はいつ青に変わるのか。まだか、まだなのか。
一刻も早い救済を渇望する者にとって、時の歩みは蟻めいて遅い。
扉の先に広がるのは、地上に現れた魂の楽園。
誰かの視線を常に感じ続ける監獄の中で、唯一無防備になれる桃源郷。
ここで選択を迫られる。この扉に固執するべきなのか? 転進という選択もありうる。
楽園は一つではない。そもそも……
恨めし気に美緒が眺めた別の扉には、無情にも故障中の文字。
そうなのだ。
美緒が勤める小さなファミリーレストラン、ステーキジョニーズ桜散坂4号店が唯一誇れるアメニティ、別名女性用トイレは故障中。
30名程度の客しか収容できないこじんまりした店とは言え、さすがにトイレが2つはありえない。
よく知らないけど、建築なんたら法に引っかかっているのでは!? そんな法律があるにせよないにせよ、トイレのない店に客が居付かないのは当然である。
子どもたちのはしゃぎ声が、美緒の耳を襲う。微笑ましい二人だが、今は「うるせぇ!」と思ってしまう。騒ぐな。膀胱に響く。
21時23分。休憩時間は22時までだが、生理現象はそれまで待ってはくれそうにない。
美緒はそれでも待っている。トイレが空くのを待っている。
睨んでも睨んでも扉は空かない。
ウェイトレス・衝撃のお漏らし事件まであと3分29秒……3分28秒……タイムリミットは迫っている。
結城翔は、後にこう振り返っている。あの時、その一言を言えなくて良かった、と。
彼は迷っていた。辻崎美緒の様子が変なのだ。
もじもじと下半身をすり合わせたり、左手の裏を右手でぎゅっとツマんだりしている。あんなことをして痛くないのだろうか? 違う。痛いのだ。
痛みに何かを紛らわせていたのだ。美緒の視線が落ち着きなくさまよう先には、トイレの扉がある。
時計を見る。20時52分。なるほど、律義な彼女らしく休憩を待とうという事だろうか?
その志は買う。勤務中に度々トイレに向かいすぎるとサボりだと勘違いされてしまうかもしれない。
そういう遠慮が美緒らしいと思う。もっと、肩の力を抜いてもいいのに、と翔は思う。
けれど、クソ店長三村六彦はそんなことまでネチネチとイヤミを言いかねないクソ野郎だ。
その六彦はと見ると、客の水を補充しに回っているようだ。
いつも独りで来ている、腹に脂肪を蓄えた男性が、今日は女性を連れている。
唾を飛ばしかねない勢いでまくしたてる彼に、たまに相槌を打つ中年女性。
あれは、彼の妻だろうか? てっきり独身かと思ったが、あんな男にも奥さんがいるのなら俺が美緒ちゃんと……いやいやそれは話が飛躍しすぎだ。
ふっと見ると、美緒と目があった。それだけで、心臓が暴れ馬のように駆け出してしまう。
「トイレ、我慢しているの? いいから、行きなよ」と、心の中で翔は呼びかけた。
いや、実際に口に出して言おうと思った。
けれど、それは女性に対してデリカシーに欠ける発言かもしれない。勘違いだったら恥ずかしい。
そのトイレから、一人の子どもが飛び出した。
まだ小学生……あれはたけお君だったか、みこと君だったか。このファミレスをよく利用する小学生二人組は、ヤンチャな盛り。
とても賑やかで、それが迷惑でもあり、かわいくもある。
「ちゃんと手洗った!?」「うっせー、これでも食らえ!」「わぁぁ! ちゃんと拭いてよーー!!」
片方が水滴を飛ばし、もうそれだけで大騒ぎ。
小学生が出てきたということは……美緒ちゃん、今ならトイレ空いてるよ! 翔の視線があまりに熱かったのか、美緒は戸惑ったように自分の顔を指さす。そうそう、美緒ちゃん。辻崎美緒ちゃん。仲良くなったらみおっちって呼んでいいかな? それとも辻ちゃん? って今大事なのはそこじゃない。伝えなきゃ、今こそ熱い気持ちを伝えなきゃ!
「辻崎さん……その~」
決意を固めて口に出したその声は、あまりにか細く情けなく響き、それだけで翔の意気を挫きかけてしまう。
「へ? あぁ、結城さん、なんですか?」
「ちょっと言いにくいんだけど、あのですね」それでも何とか先を続け、視線を向けたトイレの先には
「あ、クソ……!」先ほどまで客を捌いていた、三村六彦店長が吸い込まれていくのであった。
「クソ……?」
違う違うよ、う●こじゃないよ。アイドルはう●こしません!
う●こをするのはあのクソ店長くらいだ!
って、一度入るとなかなか出ないクソ店長がトイレに入ろうとしてる~~~~!!!
「ゆ、結城さんもトイレ待ち?」
「も?」
「うん、あたしはトイレ待ち。そろそろ休憩だから、いいんだけどね!」
結城さんは落ち着きなく視線を宙へ飛ばした挙句、
「そっか、トイレ1つは厳しいよね」と目を伏せた。
先輩に当たるはずなのに、どうも頼りない。女性と話し慣れていないんだろう。
あのね、結城さん。シモの話1つで顔を赤らめるほど、現代女性はウブじゃありませんことよ?
でも、う●こじゃなくておしっこだから! そこ間違えないように! おし…
あ、意識したら余計にぃ……
☆2
中年男性とその奥さん、二人の子ども。今日は、暇だ。と結城翔は思った。21時24分。
客のラッシュも辛いものだが、暇は暇である意味辛い。必然的に時計を何度も眺めてしまう。
退勤はまだか。
忙しい時は、時間が飛ぶように過ぎる。しかし、三村と同じシフトの時は、暇な方が良い。
すぐに余裕をなくして怒鳴るからな、あいつ。
そういえば、と翔は思う。三村はどこにいるんだ?
はっと、トイレに視線をやるとあろうことか、辻崎美緒の青ざめた姿があった。
おいおい、休憩入ってからもう20分経つんだぞ!?
「美緒ちゃん、三村は!?」、
「まだ……みたい」
「クソ、何してるんだろ! 気分悪いのかな?」
「あたし……もう、限界……」
「店を出て、少し先にファミマがあるでしょ。あそこのトイレを……!」
「もっと早く言ってくれれば……今からじゃ、もう……」
「最悪、お客さんの目につかないところでなら……。ここじゃまずいよ、なんなら控え室で」
「そ、そうしようかな……」
「おいおい、トイレいつまで待たせんだよ!」
そんな二人に割って入った、野太い中年男性の声。
「おぉい! 中の人! 大丈夫か!?」
遠慮会釈なくガンガン扉を叩いたが、まるで反応はない。
「ちっ……ちょっと離れてな……」二人に下がるように命じると、男性客は……
「ちょっ! マジ!?」全体重を載せたキックで、文字どおり扉を蹴破った!
美緒が求め続けた魂の台座。
店に1つしかないその神聖な便座に腰をかけ、魂の抜けたような顔で三村はいた。
いや、過去に三村として認識されていた、抜け殻の器だけがそこに遺されていたというべきか。
『小さな兵隊さんが7人、食事に行ったら1人が喉につまらせて、残り6人』
誰かの残した落書きが、トイレの壁に描かれている。
三村の足の間には、場違いに思えるトランプのカード。三村の首が、ガクリと垂れた。
「うぉっ、マジかよ!」男性客が唸り、
「なんなんです!? うちの人がまた何か……」連れの女性が遅れてやってくる。
何やら賑やかになってきたな、と他人事のように思う翔。
「110番すべきじゃねぇか? ……俺はしたくないが」
「何を言ってるんですか、あなた! あなたの出番じゃないですか! あのね、皆さん。この人は星降坂2丁目勤務の……」
「だぁ~~~! 今日は非番なんだよ! ゆっくりさせろよ!」
「渡場(どば)警部と言います。皆さん、この人の指示に従ってください」
警部よりも強い奥さん(?)が、その場を強引にまとめたその瞬間、
「あ、もう、ダメ……」辻崎美緒の足が、彼女の尿で濡れはじめ、慌てた夫人が男性陣の退出を促した。
☆3
「さて、事件について振り返るわけだが……」渡場警部のしわがれ声がファミリーレストランに響き渡る。事件が発生した現場に、人を入れるわけにはいかない。
表にはClosedの札が出されていた。
「この事件は、密室で起こった殺人だ。店長がトイレに入ってからこの店に入った者も、出ていった者もいない」
渡場警部はその場に集まった全員を睨むように、見まわした。
アルバイト店員の結城翔は、警部の視線を避けるように目を伏せた。
同、女性店員の辻崎美緒も、同じくうつむく。こちらは、先ほど演じてしまった失態を思い返しての事かもしれない。
「あなた! 私も容疑者なんですか!?」
警部の連れの女性……楠原頼子が抗議の声を挙げると、
「じゃ、君はいいや……」と目を伏せるのは警部の方だ。
「あぁ~~~ズルい! そこのオバサンがむじつなら、おれもむじつだろ! なんてったってコドモだし!」
一歩も引かないぞ、と警部をにらむのは生意気ざかりの小学三年生、相良武雄。
「あのな。頼子もそうだし君もそうだが、何も全員を容疑者扱いしているわけじゃない。ただ、現場が密室な以上、犯人が透明人間でもない限り、まだこの中にいるって事になるんだよ!」
「とーめいにんげんだったらどーすんだよ!」とわめく武雄をなだめ、
「トイレに窓はなかったんですか? 換気口とか抜け穴とか」と尋ねたのは武雄の友人、常盤ミコト。
「見てみりゃわかるが、四方は壁だよ。窓も何もありゃしない。至って普通の洋式便所だ。落ちていたのは、トランプ1枚だけ」
「スペードの6ですね」おずおずと翔が口を挟む。
「『小さな兵隊さんが7人、食事に行ったら1人が喉につまらせて、残り6人』」と武雄が元気に唱えた。
「武ちゃん?」怪訝そうなミコトに
「『そして誰もいなくなった』だよ! あれに出てきたマザーグースが、トイレに書かれていたんだ!」
「トランプが落ちているのも、不気味ですね……」恐る恐る頼子が口を挟み、
「スペードの6。小さな兵隊さんも、残り6人……」とミコトが呟く。
「ひっ!」押し殺した悲鳴を漏らした美緒に、一同の視線が集中した。
「て、店長の名前、六彦って言うんです。三村六彦……」
彼女の言葉が呼び水となり、堰を切ったように皆が一斉に喋り始めた。
周囲に立ち込めた不安が捌け口を求め、パニックとも呼ぶべき熱狂を現出した。
☆4
「静かに! 静かに! トランプのカードとかマザーグースの落書きとかそんなものは何の役にも立たん! とにかく状況を整理してみよう!」
場が静まったのは、もう何度目かの渡場警部の怒鳴り声。
諦めず何度も張り上げた結果、彼の声帯はひりひりと痛み、すっかりしわがれてしまっていた。
「まず、店長がトイレに入ったのが20時52分? 随分細かいな……」
「休憩が21時からなので。休憩時間前と退勤前はいつも時計を気にしているんです」
勤務態度を咎められると思ったのか、結城翔の声は小さい。
そんな彼に、小さく感謝のまなざしを向けたのは美緒だ。
「ん? 君の休憩は21時からだったの……あいたた!」渡場警部が疑問を口に出そうとした直前で、頼子が彼の頬をつねる。
「で、店長が出てこないので、俺がトイレのドアを蹴飛ばしたのが21時24分、か。その間には誰も……?」
「誰も出入りしていません。その……ずっと見ていたものですから……」
「1分1秒たりとも目を離さなかったというのかね?」
「さすがにそこまでは誓えませんけど……10秒に1度ぐらいは見ていたはずです。5秒に1度かも」
半分開き直って、美緒が答えた。
「この線で考えてもわからんな……えーと、そうだ。被害者の死因は何だったかな? トイレで発作を起こしただけかもしれんぞ?」
「それじゃ、マザーグースの落書きとトランプはどうなるんですか?」
「ただの偶然だ。そもそも落書きがいつから書かれていたかもわからん。弥生時代から書かれていたかもしれん」
「いえ……今朝は僕が掃除当番でしたが、落書きはありませんでした」
この人に任せて大丈夫だろうか?視線に込められた一同の意思を、警部は肌で感じ、苛立った。
「トランプに指紋はあったの?」
「なかった。あったらすぐに発表してる」頼子の指摘に答える声も、不貞腐れたように響いた。
「死因が解るまで、何もしない方が良いのでは?」至極もっともな声があがり、その場は解散になった。
☆5
「こないだのアレ、面白かったよな!」
長かった算数の時間が終わり、中休みの開始と同時にミコトに話しかけたのは、公立桜散坂小学校3年1組出席番号7番、相良武雄だ。
「面白いって……人が死んだんだよ?」
「人なら毎日死んでるよ。ニュース、ワイドショー、ドラマや漫画でだって、いっぱい死んでる」
普段は年齢相応の幼さを見せる武雄が、時折見せる冷徹な一面に常磐ミコトはぞっとする事がある。
「死因はニコチンによる血管収縮。臀部を針で刺された痕があった」
「そうそう!」
「武ちゃん、なんで、あんなことしたの……?」
「悪を成敗するのは正義の味方の役目だろ?」
大人びた一面を見せたかと思うと、こんな事を得意げに言う武雄を、どう捉えればいいのだろう。
武雄は悪い事をした。しかもそれに気がついていない。
気がつかなければ、また繰り返すかもしれない。もう二度とやってはいけない事なのだと、誰かが教えなければいけない。誰か、なんて言い方は逃げだ。私だ。私が教えなければならない、とミコトは思う。
生活に精一杯で、武雄の世話まで手が回らない彼の母親に、期待する事はできない。
けれど、もう絶対にやらせないためにはどうすればいいだろう。
亡くなった人には申し訳ないけれど、殺人者の烙印を背負ってこれからの人生を生き続けられるほど、武雄の心は強くない。
「みんながあいつの事をクソ店長って言ってた。あいつが嫌で、あの店をやめて行ったお姉ちゃんもいた。みんなあいつに迷惑してたんだ。やめさせるのは当然だろ?」
「そうだね」と頷くミコトに、「どうやったのか当てられる?」と尋ねる武雄。
「毒針だよね。ニコチンを塗った毒針。手袋をして、トイレの便座に毒針を置いた。手袋はトイレに流した。落書きとトランプも武ちゃんの仕業。理由は知らないけど、どうせ……」
「カッコいいだろ? ミコトが持ってた小説で読んだから真似してみたんだ」
トランプは鮎川哲也の『りら荘事件』。
落書きはアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』。
「ついでに、毒針はエラリー・クイーンの『Xの悲劇』だね。でもね、武ちゃん。もう絶対に、二度と、やっちゃダメだよ?」
「なんで? みんな喜んでるじゃん。あのクソ店長がいなくなって」
捕まったらどうするの?と聞けば、絶対に捕まるもんかと答えるだろう。
武雄をどうすれば説得できるのか。
トイレの密室騒ぎよりも、ミコトにとってそちらの方がよほど大きな謎だった。
「あのね」
けれどミコトは答えを見つけた。
武器を使うのは、人を殺す時だけじゃない。人を救うため、自らを救うため、使える武器もある。
「……あのトイレ、店長さんが次に座る保証はどこにもなかったよね。辻崎さんが次に座ったかもしれないし」
そこで言葉を切ると案の定、武雄の顔がみるみる青ざめていくのがわかった。
「私が座ったかも、しれないんだよ」
三村店長を殺したこの子に、罪がないわけがない。けれど、この子は鵜呑みにしただけなのだ。
周囲の大人たちが、店長を悪く言う言葉をそのまま受け取って、正義は悪を倒すものだと思い込み、
あまりにも狭い視野でそれを実践した。
どうすれば人を殺せるのか。その答えは、私が教えてしまったようなものだ。
私が読んでいた推理小説の中に、彼は答えを見つけたのだ。
*殺人を犯したジャッキーを、ドルリー・レーンは一度は赦した。
私は、武ちゃんを見捨てない。彼を死なせないし、殺人犯にもさせない。
「も、もしミコトがトイレに入ろうとしたら、オレが絶対……」
辻崎さんじゃなくて、まず出てきたのは私の名前。
「じゃあ辻崎さんだったら? 他人がトイレに入るのを、武ちゃんは妨害できる? それに、三村店長が本当に嫌な人だったか、武ちゃんはどうして判断できるの?」
「それは……だって皆が言ってたから……」
「じゃあ、皆が私の事を悪く言ったら、武ちゃんは私を悪だと思うのね?」
武雄の顔が奇妙に歪んだ。
Fin
パクリ元
アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」のマザーグース。登場人物の人数に合わせて、数字だけ改変しました。
鮎川哲也「りら荘事件」死体の側にトランプ
エラリー・クイーン「Xの悲劇」 ニコチン毒針と手袋
エラリー・クイーン*「Yの悲劇」 他人の日記(ヨーク・ハッタ―)を読んで、子供(ジャッキー)がその通りにした。探偵のドルリー・レーンは一度はジャッキーの犯行を罪のないものとして見逃した。
ジョイス・ポーター「ドーヴァー警部シリーズ」 渡場警部の元ネタ。
☆あとがき
密室トリックに興味がない人間が、密室トリックを書くとこうなる……。
うん、ごめんね。
おしっこを我慢している美緒ちゃんと、彼女に片思いする店員の翔くんを書いている時は楽しかったよ。
別におしっこフェチではないんだけどね(ホントだよ)。
しっかし、きたねー話だなこりゃ(溜息)
真面目に書きますと、密室殺人(犯人を推理してもらう)という制約があるせいで、一人ひとりのキャラをしっかり均等に書き込むことが出来なかったのが残念でした。
もっと生前の店長と、バイト店員2人。
生前のお子様2人組や、ミコトちゃんの仄かな恋心やらなにやら、といった事を書き込みたかったけど、書き込んだら長くなっちゃう(元記事には20~50枚という指定があったけど、50枚を超す可能性が出てくる。そのうえ、肝心の??密室部分には全く関係ない)し、
まぁ、手遊びにそこまでガチになるなら、もっと他に書きたいものがあるよね、って事で。
推理モノとしてクズなのは承知の上で、投稿しました。ごめんね!
多分一生でもう書くことはないと思うので(多分ね!)赦してね!
表現とかが下手糞なのは、純粋に僕の技量不足です。もっと良い文章が書けるように努力します。