S→味わい深く、いつまでも心に残りそうな作品

再起/ディック・フランシス……
Aに近いS。
フランシス86歳でも衰えず、内向的だが熱い情熱を持つ主人公が攻撃を食らい、そこから仲間の助けを借り、不屈の闘志で立ち上がる競馬シリーズの醍醐味は健在。
シリーズ内でも上位レベルで面白いが、唯一の不満点としては『いつも通りすぎる』ところか。
考えてみればこのシリーズ、主人公も敵も必ず男性であり、最後は1対1の決闘である。それ自体が悪いことではないが、今回は共犯に女性がいたのだから、どうせなら悪女キャラをもっと際立たせても良かったのでは?
やはり英国紳士に女は殴れないのだろうか。

間違いなく良作だが、シッド・ハレー4部作(「大穴」→「利腕」→「敵手」→「再起」)の中では、
最高作「利腕」と2位「敵手」に比べてやや劣るのでSをつけるのは甘い?
いやでも面白いしな。良作!

VA文庫版 Planetarian―ちいさなほしのゆめ―/涼本悠一

人口過剰問題解決のために、宇宙へと乗り出した人類だったが、それも廃れた。
『スノーグローブ』では、昔は大人気だったデパート屋上のプラネタリウム。今は客がほとんど来ないそこで、少年との再会を待ち続けるロボット、ほしのゆめみの姿が描かれる。やがて第三次世界大戦が起こり、人類世界は壊滅的な打撃を受けた。

人類を破壊へと導いたのは大量の核兵器、そして自らが作り出した、
シスター服の戦闘用ロボットたちだった(『エルサレム』)。

時は過ぎ、人類は地中世界に潜って生息していた。
星を見る事もなく育つ地球人たち。
シスターの女神像(ロボット)が見守る集落に、一人の旅人が訪れる。彼は、手作りのプラネタリウムを子供たちに見せた。
子供たちの心には、今はもう見る事の出来ない星々が強く焼き付いた(『星の人』)

月に、チルシスとアマントというAIの双子がいた。
チルシスは言葉を覚え、すくすくと育ち、アマントは『船』を作った。
やがてチルシスは、言葉を伝えるため、地球へと旅立った(『チルシスとアマント』)

全体を通して言えることは、『終末モノSF』+『(アシモフの)ロボット』+『キリスト教』の3点がモチーフになっていること。
海外SFで言えば、アイザック・アシモフのロボット三原則をベースに、
レイ・ブラッドベリの終末観を味わえる、しみじみものSF。


はじまりはセントラル・パークから/アーウィン・ショー……幸福に暮らしていた一家が、子供が巣立っていき、パパとママのやりたい事も変わっていって愛情はありながらも離れていく、しんみり系作品。
何とも言えない余韻。

三国志/北方謙三……記事はこちらに書きました。

インフェルノ/ダン・ブラウン……記事はこちらに書きました。

ありふれた祈り/ウィリアム・ケント・クルーガー……
90点を超える勢いだった中盤までと比べ終盤少し失速した感はあるが、
年間トップ10には入るであろう作品。
特に、前半の幸せだった家族、父と、姉のアリエル、主人公、弟のジェイクの5人の関係性が暖かい(母も一応入れてもいい)。
また、目の見えないエミールと耳が聞こえない自閉症のリーゼ、
そしてエミール以外にリーゼが唯一心を許す、どもりのジェイクの関係も良い。酒に溺れながらも優しいガスが新たな幸福を掴み立ち直っていく姿や、一度は崩れかけながらも再び取り戻した父母の絆も非常に暖かく、繊細で読ませる。
やや気になるのは後半。
町で次々と人が死に、姉のアリエルも犠牲となってしまう。
この物語のテーマは、キリスト教的な『人を赦すこと』にあると思う。
母は父を赦したし、ジェイクはリーゼを赦した。
しかし、父はエミールを赦せたのか、主人公や母はエミールとリーゼを赦せたのか。
もし赦せないのだとしたら、果たして『罪』が誰にあったかを明示する意味があったのか
(エミールの罪は、明かさずとも読めばわかるようになっている。リーゼはわからないが、果たして裁くことも赦すこともできないのならば、
『犯人を見つける必要があったのか』)。興味がある
割と急いで読んじゃったせいもあり、ぼくの読解力不足もあって
その辺がなんだかしっくりこずにモヤモヤが残った。
とはいえ、読み終えた後、主人公が過ごしたニューブレーメンの一夏が、読者の心に香るような素晴らしい作品でした。11歳のジェイクが、神。主人公はヘタレ。


ナイチンゲールの沈黙/海堂尊……
前作「チームバチスタの栄光」が、ミステリという枠組みの中での論理的美しさを表現していたのに対し、
作者は本作で、ミステリという枠組みに頼らずとも詩的物語の美しさを表現してみせた。
個人的には奇策(一発屋ともいう)である「バチスタ」の方が印象深いけれど、逆に本作では奇策に頼らずとも面白い作品を生み出せる事がわかり、作者への信頼感が増した。
瑞人と由紀、そして小夜の関係性。小夜の歌に乗せて、由紀が海辺に舞うシーンが殊更印象深い。
次作も読みます。


吉永さん家のガーゴイル11巻/田口仙年堂(再読)……
再読のつもりじゃなかったんだけど、このブログを検索したら9年前(!?)に一度読んでたわ……。
まぁとにかく、面白かったし癒されたのでおk。
バカ騒ぎの中にも優しさが混じるこのシリーズは、心の清涼剤ですね


文学少女と飢え渇く幽霊/野村美月……
まず、この作品はエミリー・ブロンテの『嵐が丘』のオマージュ作品である。二次創作、と言っても良いぐらい、『嵐が丘』の魅力に頼っている部分がある。そこを割り引くかどうかが難しいけれど、作者は明確に『嵐が丘』のオマージュであると明示しているので、パクリではない。
現代日本を舞台に、『嵐が丘』で描かれた、狂おしく鮮烈な愛憎を見事に再現し、更に一ひねり加えた
『ライトノベル版 嵐が丘 ver1.5』。
古典名作でありながらややとっつきにくい『嵐が丘』の猟奇的な狂愛そのままに、魅力を更に加える事に成功したと感じた。ただし、全300ページ中、面白くなるのは200ページ以降とスロースタートなのはネック。
殺して、犯して、吐いて、拒んで、奪い尽くす愛。
叩いて、縛って、鎖を打って、刺して、憎む、愛。
邪魔する者を全て殺して、
時を戻して、親族全て殺し、結婚さえも利用して、
ただ、相手の心に憎しみを刻みつけることで、
自分を覚えていてほしい、
そんな愛の物語ですね。


文学少女と繋がれた愚者/野村美月……
このシリーズの特徴でもある、クライマックスの盛り上げ方、遠子先輩の口を通じて語られる作者の『魂の叫び』は必読。
過去の失敗に『繋がれ』て進めなくなったすべての『愚者』への、エール。
『どんな時も、心に理想を掲げる愚か者であって。失敗を恐れず行動する愚か者であって』。

一方、武者小路実篤の『友情』を『恋と再生の物語』と読み解くことはもちろん可能だけれど、前作の『嵐が丘』ほどの近接性はないような気がした点。
あまりにも小西さんがかわいそうで、結ばれて欲しかったという気持ちが1点で、ちょっとモヤッた。
けど、やっぱりこのシリーズ大好き。3作読んで全部85点以上なので、残り5冊大切に読みます。


クレイジーフラミンゴの秋/誼阿古……
中学1年生の女子、晴の初恋が描かれる作品。
「クレイジーカンガルー」と並んで、いやぁな感じのリアリティが強い作品だけど、
「カンガルー」の男子学生生活は全くなじめなかったのに対し、
こちらの「フラミンゴ」の方が心情的には共感できた。
同年代の男子の『ガキ臭さ』と、自らもまた『オトナとコドモの中間にいる、女子主人公』。
そして、年上の男性に感じる憧れと恋。
切なくて、良い作品ですね。
誼阿古はこの2作しか出してないけど、売れなかったのかなぁ。
明らかに売れそうな作風じゃないけど、『フラミンゴ』の方は良かったのでまた書いてほしい

A→読んで良かったと思える作品

五番目のサリー/ダニエル・キイス……
堅物で何もできないオドオド系のサリー、
みんなのまとめ役デリー、
知的で芸術を愛するノラ、
奔放でエッチ大好きなベラ、
乱暴で暴風のように物を破壊しまくるジンクス。

一つの身体に5人がいる、そんな物語。
ラスト、1人の人間になったサリーだけど、後ろ盾がいなくて本当に1人で生きていけるのか少し心配……

四日間の奇蹟/浅倉卓弥……
知的障碍者の千織と、過去の悔恨を抱え続ける元ピアニストの如月。
2人がある日訪れた施設(重度障碍者居住ホーム)は、慈しみに満ちた真理子たちスタッフが運営する、楽園だった。
そこで起こった、四日間の優しい奇蹟の物語。「いい話だなぁ」と思うし、ディテールもきちんと描かれていて心に残りそうな作品なのだけど、
読者が『奇蹟』を無条件に受け入れられるかどうかで判断が分かれそう。
個人的には、「そんな事があってもいいんじゃない?」とも思う一方で、童話のハッピーエンドのような釈然としない気持ちも残る。
あと結局、最後、千織はどうなったん? 障碍者じゃなくなったってことでいいの?


夏服を着た女たち(短編集)/アーウィン・ショー……
生々しくも、うまくいかない恋愛模様が多い短編集。
正直、(恋愛相手としては)ロクな女性が出てこないので、読んでいて厳しかったw
恋愛なんてするもんじゃないですね、と思ってしまったw

吉永さん家のガーゴイル12巻/田口仙年堂……
いつまでも時が止まっているかのような、愉快な御式町商店街にも、季節の移り変わりはある。
何より吉永家の長男、和巳が高校を卒業し、晴れて大学生になるのだ。
今まで相思相愛ながらも、『何となく』付き合ってきた後輩、片桐桃とも一波乱が起きたが、晴れて告白し、結ばれる。
「ガーゴイル」全15巻、時が動き出した12巻。

12巻単独の感想を書くなら、恋物語として悪くないと思うけれど、サイドエピソードとして流れる『チャック』の物語はインパクト不足、かなって思った。
和巳と桃の恋愛模様の話としては満足です。

復讐法廷/ヘンリー・デンカー……娘をレイプし、殺した相手は法の穴を突いて無罪放免。
父親はレイプ殺人犯を撃ち殺し、自首をした。
父親の「意思」で、「故意に」撃ち殺した。法律の条文どおりならもちろん有罪。
しかし法の穴を突く凶悪犯は無罪とされ、父親は有罪。それで本当に良いのだろうか?
という物語。

何の役にも立たない「法律」は「変える」べきである。
誰にとっても有害な「ルール」に従うべきではない。
しかしそれと同時に、守るべきと定められたルールを各々が勝手に破るのも、それはそれで危ういとも思う。

「ルールで決まっているから」を思考停止の道具として採用し、冷酷に、機械のように人を裁く『法』の在り方と、
「明らかにルールが間違っている!」と『個人が判断する』ことの危うさとどちらが危険だろうか。
ただ、この父親が無罪になったのは、良かったと思う。
フィクションとしてみるならば。あるいは、特例・個別ケースとしてみるならば。


異邦の騎士/島田荘司……
面白かったんだけど、終盤、「今まで信じていたものは全部嘘だった!」的な、いわゆる「ドンデン返し」が起こります。起こるんですが、ドンデン返し前の方が面白かったんだよなぁ。
あと、割と救いがないのもちょっと悲しい。面白かったですけどね。

ラブコメ今昔(短編集)/有川浩……
Bに近いA。自衛官をモデルにした恋愛短編集。
表題作「ラブコメ今昔」、3番目の「広報官走る」、6番目の「ダンディライオン」は面白かったし、
2番目の「軍事とオタクと彼」や5番目の「秘め事」あたりは正直あまり面白くなかったので評価に困るけど、読みやすいしいいんじゃないかな?

赤い予言者/オーソン・スコット・カード……
精神的なインディアン的世界観と、物質的な西洋白人の相容れない世界観の対立を、実際の史実を基に描いた歴史ファンタジー作品。
最後30ページ、無理やり駆け足で物語を締めた感じが拭えないのが残念だけど、そこまでは面白かった。

密封/上田秀人
……徳川家基の怪死と田沼意知暗殺事件をベースに、その闇を探る歴史ミステリ+バトルもの。
徳川一族の系譜が頭にないと、本気で混乱するので、家系図をつけてほしかった。面白いけど、江戸時代の知識がないと読みづらい。バトルはどうでもいい。

国禁/上田秀人
……1800年代初頭、徳川家斉の時代を舞台にした歴史陰謀もの+チャンバラな小説。
歴史陰謀部や江戸時代の蘊蓄が面白い。
主人公の人間関係とか、アクションシーンなどのエンタメ部分は小説としてはあまり面白くないけど、江戸時代のお勉強的な意味では面白いので続きを読むかどうか迷う。

侵触/上田秀人
……相変わらず、
江戸時代の陰謀→奥右筆が狙われる→ボディガードの主人公がバトル
→倒す
の公式で済まされる話ではあるけど、江戸時代の豆知識部分が面白いのが魅力。
しかし、江戸時代って本当に身分に強く縛られていて、皆が『家』の『禄』(お給料)や『家格』を少しでも上げよう上げようとし続けているのが息苦しいなぁ、という感想は変わらず。
というかそういう時代だったんでしょうね、多分。平和な時代で大きな変動が起こらなかったため、身分も固定され、先祖代々の『家柄』や『功績』で給料が決まり、生き方が固定される時代。
たぶん、黒船が今後襲来したり、大きな争いが起こるとはまだ誰も思っていなかった時代だとそうなるのかなぁ。『今』がずっと続く事なんて絶対ないのに、人間は、『今の社会体制』がずっと続く事を前提で、考えるものだなぁと思いました。



B→暇つぶし以上の有益な何かを得た作品

マリオネットの罠/赤川次郎……赤川次郎らしからぬ(??)割と重たい雰囲気。サスペンススリラーとしてさすが赤川さんと思わせる出来だけど、最後のどんでん返しは要らないし、ヒロインはひたすら気の毒だし、まぁ何というか(彼の中での)異色作だなぁと
しかしこれがデビュー作ですか

ジェネラル・ルージュの凱旋/海堂尊……「ナイチンゲールの沈黙」の裏にあたる物語だけど、
個人的に好きなキャラがいなかったせいか、ちょっとけん引力に欠けたかな。つまらなくは、なかったけども。救急病棟、小児科病棟の慢性赤字体質の話。


マリア様がみてる リトルホラーズ/今野緒雪……
リトルホラーと銘打っているように、奇妙で不思議で宙ぶらりんな話が集まっている。
『ワンペア』が怖くて、『ハンカチ拾い』がロマンを感じて良い。
ただ、良くも悪くも宙ぶらりんなのと、最後の『胡蝶の夢』(&【糊付け部分の、リトルホラーズ】)が一番つまらないため、読後感はちょっとしっくりこなかった。
また、祥子様たちが卒業してしまい、代わりに入ってくる新入生もまだいないので、物足りなさもあった。



アリアドネの弾丸/海堂尊……
前半は「イノセント・ゲリラ」に引き続きAi推進派 VS Ai拒絶派の論戦に終始し、退屈。
中盤以降事件が動きミステリとしては面白いものの、被害者・加害者共に魅力はなく、(加害者は不気味ではあるが)、ミステリとしても人間ドラマとしても最高峰の「チーム・バチスタ」や
、詩情イメージの美しさが印象深い「ナイチンゲール」にはだいぶ落ちる。

リオノーラの肖像/ロバート・ゴダード……時が過ぎ、少女は大人になる。
庭園を去り、新しい住人が庭園に住み、そして新しい物語を、繰り返された物語を。役者を変えて再演される物語。
過ぎ去りし過去は、夢幻のように揺らめき、いつかそこで起こった事実も、時の中に忘れられていく。

夏の日の声/アーウィン・ショー……面白いんだけど、感想に困る。
今は50代になった主人公が、近くの公園(学校?)で行われている息子の野球試合を見ながら、
自分の半生を思い出す、そういうお話。
サッコ&ヴァンゼッティ事件、世界大恐慌、第二次世界大戦があった主人公の人生、
子供の頃の野球の思い出、野球の試合のメモをひたすら取っていた父親の思い出、
サマーキャンプの思い出、弟との友情(兄弟の場合友情っていうのかな?)
奥さんとうまくいかず不倫をし、不倫相手にガチ恋をしたけれど、やがて奥さんを再び愛するようになる、そういった色々なことが主人公の人生を流れていったけれど、
次代は変わり時が流れ、少年は父親になり息子を設けた。
そして今日も少年は野球をし、父は息子を見守るのだった。

説得/ジェイン・オースティン……
周囲の反対で別れた元カレと8年ぶりの再会。から始まる恋物語はさすが少女漫画の祖オースティン。
面白かったんだけど、山場をもう少し盛り上げてほしかったところ。

狭き門/アンドレ・ジッド……
とりあえず、コンプレックスをこじらせまくって、信仰と自罰に逃げた女の話、だとしか思えなかった。主人公はジュリエットを選んでおけば良かったのに。

ダフニスとクロエ―/ロンゴス……
海と牧場と初々しい恋と爽やかなハッピーエンド。たまにはこういうのもいいね。

剣の名誉/エレン・カシュナー……Cに近いB。キャラクターの恋愛模様などがとても面白かったけど、
悪役が中途半端すぎて、そちら方面ではイマイチ。同性愛全開でちょっと驚きました。

殺意/フランシス・アイルズ……嫌な奴しか出てこない、嫌キャラ王者決定戦。個人的には最ウザのマドレインは死んでほしかった(酷い感想)
あと、ネタバレだけど(反転)
最後の2ページ絶対要らないでしょ。悪人に裁きがくだらないとまずい、というためだけに付け加えられたような唐突なエンドだけど……。
奇跡の輝き/リチャード・マシスン……
感動系小説かと思ったら宗教小説だった。まぁ、それはそれでいいけど。
天国が本当にあるといいですね。

奇跡の少年/オーソン・スコット・カード……
えーと、これは完全にシリーズの第1巻ですね。続きが気になりますね。
続きが気になるんですが、これの次の2巻(赤い予言者)までしか翻訳されていません!
酷いです(😢)

シカゴブルース/フレドリック・ブラウン……
ブラウン好きだしこの作品も悪くないけど、そこまででもないかなぁ。青春ミステリ。


アドレナリンの匂う女/ジェームズ・ケイン……
悪女サスペンスなんだけど、悪女に魅力を感じないとつらいところがあった。

刃傷/上田秀人…… 今回は(今まで単なる守られ役だった)併右衛門の活躍と、法廷モノにも繋がるような裁判(??)シーンが見所。 あと、主人公の衛悟とヒロインの瑞樹が結ばれて、良かったね!ただ、毎回何かというと変な輩に囲まれる『安定(マンネリ)』のシリーズ展開や、単に続刊が手元にない事も含めて、このシリーズはここまででいいかとも思う。
毎回チャンバラがあるのに、悪役の魅力がないのは厳しいよなぁ (最近は伊賀忍者とよく戦ってるけど)

創竜伝1/田中芳樹……
真面目で優しい頼れる長男、クールで毒舌ホスト系の次男、
やんちゃで元気な三男、おとなしいけど怒ると一番強い四男。
ドラゴンの血をひくこの四兄弟が、暴れまわるエンタメバトル。
キャラクター小説として四兄弟に魅力があるので、そこを楽しむのがお薦め。悪役がネット右翼な言動を繰り返したり(作者はネトウヨ大嫌いだと思われる)、
クレーマーみたいな読者から来たファンレター(というか中傷メール)を公開したりと、色々とやりたい放題かましているので、
そういうのが苦手な人は注意ね。
ぼくはまぁ、「作者、楽しそうだなwww」って思ったけど、
割と危ういバランスというか、もう少し踏み外すと途端に嫌になると思う。

クレイジーカンガルーの夏/誼阿古……
田舎に住む中学生のもとに、東京から「異分子」の少年がやってくる。父母の離婚問題で、彼は一時的に預けられたのだ。
母親に会うために、田舎町から東京に電車を乗り継いで向かう、昭和版スタンドバイミー。
リアリズム溢れる昭和の田舎描写は善し悪し。
まるで作者の少年時代をそのまま振り返ったような、『ホントっぽさ』が、逆に『田舎のいやぁ~な、湿った夏』を思わせる。
それがリアルで良いとも思うけれど、
『機動戦士ガンダム(初代)』の話が頻繁に出てきたり、富野由悠季と宮崎駿とはっぴぃえんどhttps://youtube.com/watch?v=DpnSNRvG6rw
とに彩られた男子学生の青春に、
懐かしさを感じられるかどうか、と言われると「わからねぇ……」ってなってしまう。
あと、男なら「『あげる』じゃなくて『やる』といえ」とか、男が台所に上がるのは恥ずかしいとか、なんか色々、昔の人って何考えて生きてたんだろなぁってなった。


C→暇つぶし程度にはなった作品

デミアン/ヘルマン・ヘッセ……自立して新しい世界を切り開きなさい、という超人思想的なお話、でいいのかな?
そうとしか読めなかったんだけど。

イノセント・ゲリラの祝祭/海堂尊……
本作で表現される、日本の官僚制度の腐敗や、医療現場の置かれた厳しい現実など、作者の想いが伝わってくる作品。
ただし、作者の熱意が強すぎるあまり、小説の体をなしておらず、これではほぼ論文のよう。
会議室という狭い世界での論絶バトルということもあり、法廷モノのような緊迫感を期待したが、それもなしで、氏の作品の中で初めて「あまり巧くないな」と感じた作品。
とりあえず1作のうち20回は「言い放つ」という単語を見たけど、そう使う単語でもないので、悪目立ちしている。

ポンスン事件/クロフツ……つまんない事を言うようだけど、卑劣な恐喝犯は死んでほしかったと思うの。

ダンシング・ベア/ジェイムズ・クラムリー……前作の「酔いどれの誇り」は名作だったんだけどなぁ。今回はただドンパチやってるだけだしなぁ。

秘闘/上田秀人……徳川家基暗殺事件は、1巻の「密封」でもう解決したやろ……? 何故もう一度出してきた??

隠密/上田秀人……上田秀人の「奥右筆秘帳」7巻『隠密』読了。69点。
今回は繋ぎの巻。
最後に主人公とヒロインとの仲を、ヒロインパパが認めてくれるところで終わるので「良かったのぅ」という気分にはなるが、
さて本編の内容が面白かったかと言われると うーーーーん、、、前巻ほど酷くはなかったけど……
シリーズ全体の特徴として、
何やら怪しげな陰謀により、奥右筆であるヒロインパパが襲われる(主人公が護衛)。
毎回チャンバラ! とこんな感じなんだけども、
人物描写に魅力が感じられないため、毎回襲ってくる奴が同じように感じてしまう。
辛うじて冥府防人だけは存在感を出しているけど、それ以外の甲賀忍者、伊賀忍者、お庭番、お山衆に個性を感じるかと言えば感じないし、それは津軽藩士や薩摩藩士、松平主馬守の部下なども同じ。
本当に全方面から命を狙われているんだけど、毎回同じことをしている感が付きまとう。
謎自体も、1巻で明かされる徳川家基暗殺事件が最大の謎で、3巻の大奥の物語も面白かったけど、それ以降はトーンダウンしているというか。

コロナもあって、買っちゃった8巻までは読もうかなと思うけど、
読むのは3巻までで良かったかな、って思った。


D→自分には合わなかった作品

銀の匙/中勘助……

星界の紋章Ⅰ 帝国の王女/森岡浩之……

上中下巻の全3巻の作品を、上巻だけ読んで評価するようなものなので、正当な評価は不可能。
そのうえで、とてもじゃないけどしんどいのでここで離脱。

アーヴという『宇宙エルフ』のような存在が設定・容姿(イラストがあるので)ともに魅力的で、アーヴ社会についての考察が割と細かい。
そこが作品の魅力になってはいるのだが、アーヴという存在単体だけで読むにはあまりにもしんどいのが、ぼくの本音。
原因は漢字に振られた大量の『アーヴ語』ルビ(カタカナのルビ)。
架空言語はたまにファンタジーやSFで見るが、読みやすく処理できている作品もある中で、大半の作品は実に読みにくい代物になっている。
本作もその悪例。
ラフィールは確かにかわいいし、アーヴは魅力的。けど、ごめん、むり。