☆80ヤード独走  評価 A+

20歳の夏、彼はスターだった。
アメリカン・フットボールの試合で、80ヤードの独走ゴールを決めたのだ。
皆から祝福され、恋人のルイズは彼を自慢にし、溺愛した。

やがて時は流れ、1929年の大恐慌が訪れた。

職を失くし、酒浸りになる彼とは対照的に、ルイズは自身の才能を開花させ、
本来の自分の世界に飛び込んでいく。
夫である彼の、知らない世界へ。


ステージが変わり、関係性も変わってしまう切ない恋愛物語。


☆「アメリカ思想の主張」 評価 C+

ひたすらかわいそうな主人公が、皆に金をせびられる話。
かわいそう。

☆「ストロベリー・アイスクリーム・ソーダ」 評価 B₋

軟弱なピアニスト志望の弟が、兄に付き合わされて他人のボートを無断借用し、
おまけに無理やりボート主の子供と喧嘩させられる話。
最後、「弟はついに男になった。兄ともわかりあえるようになった」
みたいな、ちょっといい話ふうになってるけど、
喧嘩なんてしたくない弟が、無理やり喧嘩せられてかわいそうとしか思えなかった。


☆「ニューヨークへようこそ」 評価 B

恋の始まり。

☆「夏服を着た女たち」 評価 B+

通りの女を見るとついついじろじろ見てしまうしょうもない男と、
束縛が強い女の話。
嫉妬かわいいと思うか、面倒くさいと思うかは読者次第かな。

ぼくも人間観察好きだから、結構見ちゃうほうだけど、
それをいちいちグチグチネチネチ言われるのは正直嫌だな。
一方で、この男はちょっと見すぎだとも思うw
でもなんだかんだでこの男、奥さん愛してるなぁってのはわかるし、男は、失ってから女の良さに気づくんだよなって思う。

まぁ、奥さんに甘えてるよ、この男はって思うけど、
でもやっぱり奥さんの束縛強すぎって思うし、
いろいろモヤるww

☆「カンザス・シティに帰る」 評価 B

クソ妻の言いなりになるかわいそうなボクサー夫の話。


☆「原則の問題」 評価 B+

車にぶつかられ、鼻を殴られたのに、『大した犯罪ではないから、示談で済ませろ。裁判にはお金も時間もかかるぞ』と言われてしまう、かわいそうな運転手の話。
運転手の『社会不適合者感』へのある種の共感があった。


☆「死んだ騎手の情報」読了。評価 A₋。

バーバーは、怪しげな男スミスに「冒険」の話を持ち掛けられる。
何度かフライトをするだけで、大金を支払うというのだ。
怪しみながらも話に惹かれていくバーバーだったが、競馬場でバーバーとスミスが賭けた馬の騎手が落馬し、死んでしまう。
冒険もいい。けれど、そこには危険がつきまとう。
うまい話には裏がある、バーバーは理性を取り戻し、「冒険」の話を断った。

そして一か月後、バーバーの親友、頭は足りないが人のいいリチャードソンは大金を手に入れた。
スミスの仕事はそれほど危険でもなかったのだ。
バーバーは虚しい気持ちで去っていった……。

日常の中の不思議な冒険話は「真夜中の滑降」などでも描かれる、もう一つのショーの顔だけど、
こちらはなんと冒険に出ないのが失敗だったというオチで面白い。


☆フランス風に 評価 B+

エジプトに行っている間に、恋人を寝取られた話。
切ない。


☆愁いを含んで、ほのかに甘く 評価 A₋

大女優になるという夢と野心のために、主人公を捨てた元カノ。
二年が経ち、夢破れた彼女は故郷に戻ろうとしていた。
これまた切ないけど、主人公は二年で別の人と巡り合えたみたいで良かった。
ぼくだったら一生引きずるわ、こんなん。


総評

というわけで、アーウィン・ショーの短編集「夏服を着た女たち」読了。83点。
生々しくも、うまくいかない恋愛模様が多い短編集。
正直、(恋愛相手としては)ロクな女性が出てこないので、読んでいて厳しかったw
恋愛なんてするもんじゃないですね、と思ってしまったw