76点。自分の理解力不足を棚に上げて言えば、設定が『破綻』しているSF。
ファンの方は読まないでください)。


☆一番言いたい事

本作は『西暦』1999年夏編(夏蓮・紗羅・凛音)、『西暦』20016年冬編(未来編)、『西暦』1999年真夏編(ラストルート)に分かれています。

夏編と真夏編は登場人物が共通になっております、が、なんと『真夏編』は『夏編』の4万年後の世界です。
しかもどちらも『西暦』1999年です。

……意味不明なんですが???


作中の言葉を借りれば、『同レベルの文明で、同じような島』だそうですが……そんな説明で納得できますか?
同レベルの文明で同じような島があってもいいですし、『切那・凛音・紗羅・夏蓮』は伝承上の人物でもあるので、繰り返し出てきてもいいと思います。何だったら『生まれ変わり』でも構いません。

しかし、ハゲ散らかした町長とか、本土から来た大学院生とか、気のいい駐在さんまで生まれ変わって、同じフルネームを名乗ってるんですか?
4万年後に、そんな偶然ってありますか?
更に言えば、『西暦』という単語を使った時点でアウトではないですか?
同じような歴史を繰り返したとはいえ、キリストがまた出てきて、また磔になって、暦をリセットしたんですか?

と、こういう事情から、『SFとしてのisland』は正直点数が辛くならざるを得ません。

前作の『ひまわり』の方が遥かに好きですし、
SF設定のギャルゲ・エロゲと比べても『ever17』『シュタインズゲート』『はるまで、くるる』『うたわれるもの2』などと比べると、1ランクも2ランクも落ちる印象です。


あと、まぁ色々事情はあるんでしょうけど、18禁で出せましたよね、この作品。


☆キャラクターの事

もう1点厳しかったのは、嫌いなヒロインはいないけれども、『夏編・真夏編』に好きなヒロインもいなかったことです。
冬編の3人は好きでしたが、夏編の3人には愛着がほとんどありません。


切那が好きなのはロリンネ=クオンなのか、凛音(クオンの娘)なのかも
いまいちわかりませんでしたし、
なぜロリンネ=クオンが切那よりも先に目覚め、年齢が上になっているのかもわかりませんでした。
そもそも『ロリンネ=クオン』の娘の凛音って、主人公の娘でもありますよね?
近親相姦になるけど、いいんですか?(いや、別にいいかw ついでに言うなら親子に二股かけてて、どちらも好きってことでもいいかw いいけど、純愛っぽい雰囲気を出されると困るw)


☆各ルートの事


一番楽しめたのは、『夏編』紗羅ルート。  評価 A-
マリアの正体は、結局単なる母親なのですが、
『紗羅が過去に飛んで子供を産んで、その紗羅が成長してまた過去に飛んで子供を産む』
メビウスの輪仮説は痺れましたね。
いや、そっちで進めていってくれた方が面白かったのにw

あと、媚薬っぽいもの飲んだ後、エロゲなら普通にHしてると思うし、その方が『メビウスの輪』仮説に信憑性が出ましたよね。なんでエロなしなんや(涙)
毒蛇の毒を被弾したワンちゃんが不憫でした。
あれ、マーヤ(人間)は結局どうなったんだっけ??


次が、冬編。 評価 B+
単純に、ヒロインがかわいかったので。
悲惨な終末ルートの割に、そこまで悲壮感が漂っていないのは、良いのか悪いのかよくわかりませんが……。
ロリンネかわいい。巨乳サラもかわいい。こっちのサラも攻略したかった……。


3番が、真夏編。評価 B
説明が破綻しすぎている気はしますけど。
まぁ、脳みそ空っぽにして、
『そんな事もあるのかもしれないなぁ』で済ませれば良かったのかもしれない。
いやでも、そういうゲームじゃないよねww


4番が、夏編、夏蓮ルート。評価 B-

終始、夏蓮の主体性のなさに振り回されっぱなしのルートで、正直夏蓮は好きじゃないです。
一番『どこにでもある・ありふれた話』としてSF要素ほぼ皆無のラブストーリーでした。


5番が、夏編、凛音ルート。評価 C

別ルートではミステリアスで心惹かれていた凛音だったのに、付き合うと『重くてメンドクセー女』に成り下がって、これは地雷ww
というのはまぁいいとしても、『お互いに自分を殺し合う』謎展開をポカーンと見てました。

別に、切那Aだろうが切那Bだろうがどうでもいいし、
凛音Aも凛音Bも同一人物だし、
昔の切那だろうが、赤の他人だろうが、どうでも良くないか?

本物だか偽物だか知らないが、
隣にいるそっくりさんを愛せばいいのでは……?

と思ってずっとプレイしていたので、このルートの大半が茶番に感じられました。


『ロリンネ』と『クオン』ぐらい年齢が離れていれば、同一人物でもだいぶ差異が出てくるけど、
『切那A』と『切那B』にそこまで差異があるとは思えん……。


☆総評

煤紋病という怪しげな風土病(実は風土病ではなかった)が蔓延している『浦島』。
そこに暮らす御三家の歴史と、タイムトラベラーらしき主人公。
徐々に解き明かされていく島の秘密、という部分はワクワクして読みました(夏編紗羅ルート)。
煤紋病への恐怖に怯え、夜しか出歩かない凛音の世捨て人的な立ち振る舞いも魅力的でした。


ただし、ここが頂点。
その方向で進めてくれれば面白かったのに、話は煤紋病やら島の秘密を迂回して遠未来へと飛びます。


2万年後も煤紋病は解決されておらず、『浦島』がなぜ『アイランド』になったのかも不明。


そもそも『ユーラシア国(だっけ?)』でクルツ・カレンとか、サラ・ガーランドとかって名前なのに、
日本語がバリバリ通じるのも不明(そこはご都合主義で眼をつぶってもいいですが)


そして滅亡寸前だった『冬編』の人類が2万年後、再び世界全体に散らばるほど勢力を取り戻せた理由も不明。


結局、最後まで不明なまま、放置された説明が多すぎませんか?
放置というか、設定に無理があったようにしか感じませんでした。