77点。
大きなストーリーで物語をダイナミックに動かすよりも、静的な状況下での思弁小説的、対話劇的な「いつもの」ロリータシリーズではあるが。3年ぶりにプレイしたせいか新鮮に感じられた。


今回に関しては、
中盤のかざりの家出が、ラストの「主人公を探してあげる」行動に結びついており、
それが心の病を患ったにもかかわらず、放置されていた主人公の境遇にも重なって、一応の起承転結はできている。

とはいえ、やはり短文感想にも書いた通り、それはあくまでも起承転結の装置であり、
思うように生きられない青年と、少女たちが、ささやかに『社会に反旗を翻す』、
刹那の幸福へと逃避を企てる、シリーズ全体のテーマは受け継いでいる。


不幸の中に、一滴でも、幸福の雫が滴れば、「生きていてよかった」と思えるようになれる。
それは、確信というよりも、作者自身がそう自分に言い聞かせているように読めるし、
僕自身もそれはあまりに儚い希望に思えるけれど。


それでも、このゲームをプレイした方、
この感想を読んでくださった方。
あなたの不幸の中に、一滴でも、幸福の雫が滴りますように。と、そう願わずにはいられない、本作なのでありました。