2022年ワールドカップ

準決勝 クロアチアVSアルゼンチン

    クロアチア   0-3    アルゼンチン

試合内容 B₋
個人的MVP FW フリアン・アルバレス(アルゼンチン)


GK リバコビッチ 6・5       エミリアーノ・マルティネス 6・5
DF ロブレン 5         ロメロ 5・5
  グバルディオル 5・5       オタメンディ 6・5
  ソサ 4・5           モリーナ 6
  ユラノビッチ 5        タグリアフィコ 6
MF ブロゾビッチ 5        パレデス 6
  コバチッチ 6・5         デ・パウル 6・5
  モドリッチ 5・5         マク・アリスター 6
FW クラマリッチ 4      MF エンソ・フェルナンデス 6  
   ペリシッチ 4・5      FW アルバレス 8
   パシャリッチ 4        メッシ 7・5

監督 ダリッチ 5          スカローニ 7


欠場者(ア)DF モリーナ(出場停止)
      DF アクーニャ(出場停止)
交代(ク)
   ソサ→オルシッチ 4
   パシャリッチ→ヴラシッチ 4
   ブロゾビッチ→ペトコビッチ 5
   クラマリッチ→リバヤ ?
   モドリッチ→マイェル ?

  (ア)
  パレデス→リサンドロ・マルティネス 5・5
  デ・パウル→パラシオス 5
  アルバレス→ディバラ ?
  モリーナ→アンヘル・コレア ?
  マク・アリステル→フォイス ?


アルゼンチンの完勝だった。
勝利の殊勲者はメッシの分まで走り続け、先制のPK奪取&2ゴール(自ら得たPKを決めていればハットトリック)のアルバレス以外に考えられないだろう
メッシもここぞという場面では違いを作りだしていた。

後半のクロアチアは、45分間全く良さが出なかった
オルシッチ、ヴラシッチといったサイドアタッカーを入れ、ペトコビッチというターゲットマンを入れたにも拘らずクロスが全く上がらず、中央突破に固執した結果、再三アルゼンチンのカウンターを食らったのだ。
ブラジル戦の延長後半にできていた事がなぜできなかったのか、正直よくわからない。
また、もう一人のターゲットマンであるブディミルをなぜ投入しなかったのかもよくわからない。

何にせよ、クロアチアはベスト4に進めただけでも立派だった。
それだけに散り際が呆気なかったのは残念でならない。




ベスト8敗退国

☆ ブラジル代表  3勝1分1敗 8得点3失点

  攻撃 S 守備 S 面白さ S
  個人的MVP FWヴィニシウス(ブラジル)

これ以上、完璧なブラジルは見たことがない
ネイマールが悪目立ちせず、トップ下で攻撃陣を操縦。
両翼のヴィニシウス、ラフィーニャ、最前線のリシャルリソンのカルテットが織りなす美しいサッカーは、サッカー王国の復活を予感させた。
長らく失われてきた「美しいブラジル」を現代に復活させたチッチ監督の手腕も大きい。

私がワールドカップを見始めたのは1994年からだが、その前の1990年も含め、「美しいブラジル」など一度も見たことがない
(1998年は多忙だったため、あまり観れなかったのだが)。
2002年の3Rは前線の3人に全てを託すようなチームだったし、2006年も似たようなものだ。
2010年代に入るとFWにタレントを欠き、ルイス・ファビアーノやフッキといった2線級がCFを務めた大会が続いた。

しかし、長き時を経て、見るものを虜にする「美しいサッカー」をチッチ監督は復活させた。
最前線からの即時奪還、『攻撃し続ければ、失点もしない』という大原則は
セルビア戦、スイス戦2試合あわせて枠内シュート0本に抑える堅守という形でも現れた。
主力を休ませたカメルーン戦は参考にならず、韓国戦は枠内シュートを6本も打たれるなど、韓国の素晴らしい挑戦が光ったが、試合自体は4-1と余裕の快勝。


そして最後のクロアチア戦も、120分を通して枠内に許したシュートはわずか1本だった。

この敗戦は、事故のようなものだ。
老練なクロアチアの戦いぶりにはシビれたが、敗北が決まった今ですら、こう思う
2022年の最強チームは、ブラジル代表だった、と。




☆ オランダ代表 3勝2分 10得点4失点

  攻撃 B+ 守備 A₋ 面白さ B₋
  個人的MVP コディ・ガクポ


くじ運に恵まれたオランダは、大会前からベスト8がノルマと言われていた。
そして、その通りのベスト8敗退ということで、ある意味予想どおりの結果に終わったと言える。

今大会のオランダ攻撃陣は小粒で、エースがデパイという時点で優勝候補とは到底言えないわけだが、
2列目にも最前線にも対応する、新星ガクポの得点力はチームを助けた。
最終ラインのファン・ダイクはさすがの存在感を発揮したが、
ビッグネームではフレンキー・デ・ヨングは今大会も黒子に徹し、ドゥムフリースは波が激しかった。

「美しく勝つ」オランダは今大会も封印され、もはや過去の遺物。
オールドファンの記憶の中にしか既に存在しない代物となりつつある。
ただしこのタレント力で、手堅く勝つファン・ハール監督の手腕は健在で
戦術面で相手を完全にハメたアメリカ戦、
5バックから4バックへ移行し、戦術戦では明らかに優位に立っていたアルゼンチン戦と、
好き嫌いはともかくとして、さすがの名将ぶりを見せてくれた。


☆ポルトガル代表 3勝2敗 12得点6失点
 攻撃 A 守備 B+ 面白さ A₋
個人的MVP MF ブルーノ・フェルナンデス


大会前はノーマークだったポルトガルだが、予想していた以上には面白いチームだった。
フェルナンド・サントス監督を侮っていたとも言える。

ベルナルド・シルバこそ黒子に徹していたが、柔のジョアン・フェリックス、剛のブルーノ・フェルナンデスがチャンスメイクとフィニッシュに精力的に絡み、小気味良い連携を実現していた。
そして、最前線にはいるだけで怖いクリスチアーノ・ロナウドや、スイス戦で突如ブレイクしたゴンサロ・ラモスが現れた。
中盤に攻撃的な駒を並べた反動か、サイドバックのオーバーラップは自重気味ではあったが、そこでバランスを取り、サントス監督は攻撃的なタレントを多くそろえながらも、大崩れしないチームを作り上げた。

残念だったのはやはりクリスチアーノ・ロナウド、もしくはそのパートナーだ。
代表の勝利よりも、自らのエゴを最優先するこのスーパースターは、所属していたマンUと同じく、
ベンチスタートに不満を漏らし、チームの空気を悪くしてしまった。
ウルグアイ戦でのブルーノ・フェルナンデスのゴールを、手柄を横取りするかのように喜んだシーンも含め、正直見苦しさを感じた。
このような振る舞いをしている限り、彼を獲得するビッグクラブは現れないだろう。


イングランド代表 3勝1分1敗 13得点4失点
 攻撃 A₋ 守備 A+ 面白さ B₋
個人的MVP FW ブカヨ・サカ


サウスゲイト監督のイングランド代表は、今大会も低重心でしっかり守備を固め、
両翼のスピードを活かしたカウンターサッカー。
マグワイアを中心としたセットプレイも非常に強く、大きな穴のないチームを大会に送り出してきた。
特筆すべきは若手の多さで、フォデン、サカ、べリンガム、マウントと20代前半の選手を攻撃陣に多く抱えていた。
その走力でサイドからカット・インし、多くの選手が複数ゴールを決めて見せた。
ケインばかりがクローズアップされがちだが、MVPには黒子に徹してアシストを量産したケイン、
サカ、ラッシュフォード、中盤の軸であるべリンガムなど、誰にするか迷ったほどだ。

ただし、個人的にイングランド代表のリスクを取らないサッカーは正直見ていて面白くはない。
こればかりは好みの問題になってしまうが、列強国の中で一番つまらないのがイングランド代表で、
これは20年前のエリクソン監督からカペッロ監督に続き、今のサウスゲイト監督まで受け継がれている。
敢えてリスクを取る必要がないのかもしれないが、小国ならまだしも、強豪国なのだから強豪に相応しい戦いを見せてほしい、と思ってしまう。

プレミアリーグは世界一エキサイティングなリーグで、
個人的にはここ数年のマンC、リバプール。
去年あたりからのアーセナル、ブライトンのサッカーは見ていてワクワクするのだが、イングランド代表にはそれがない。

どうもネットを見ていると、
「プレミアリーグファン=イングランド代表ファン」
「スペインリーグファン=スペイン代表ファン」な人が多いようだけども、
何故そうなるのか僕には正直よくわからない。
(バイエルンファン=ドイツ代表ファン、はわかる気がする)

プレミアリーグの2強(マンC、リバプールでも、マンC、アーセナルでも良い)が表現しているような美しさは、この代表にはないからだ。

準々決勝 フランスVSイングランド

        フランス  2-1   イングランド

試合内容 C+
主審 サンパイオ A₋
個人的MOM FW アントワーヌ・グリーズマン(フランス)

GK ロリス 6・5          ピックフォード 6
DF ヴァラン 6          マグワイア 5・5
  ウパメカノ 6        ストーンズ 5
  クンデ 6          ショー 5・5
  テオ 4           ウォーカー 5・5
MF チュアメ二 5・5        ヘンダーソン 5・5
  ラビオ 6          ライス 5
FW グリーズマン 6・5    MF  べリンガム 5・5
   デンベレ    4          FW  サカ 5・5
   エムバペ 5        フォデン 6
   ジルー 6・5         ケイン 6

監督 デシャン 6        サウスゲイト 5

欠場者(フ)DFリュカ(負傷・大会絶望)


交代(フ)
   デンベレ→コマン ?
   
  (イ)
   サカ→マウント 5・5
   ヘンダーソン→スターリング 5
   フォデン→ラッシュフォード 5
   ストーンズ→グリーリッシュ ?



恐らく今大会でも最も守備が硬いチーム、それがイングランドだ。
低重心で構え、攻撃は前線のスピード頼み。その前線両翼も献身的に守備に参加する運動量を持ち合わせるため、ちょっとやそっとでは崩せない。
ボールを奪えば、前線両翼が走力を生かして駆けあがり、直線的にゴールを目指す。
セットプレイの強さも無類である。
そんなイングランドは、他のどのチームも成し遂げられなかったエムバペ封じを今大会初めて実現した。
エムバペだけじゃなく、デンベレも封じられ、攻め手に困ったフランスだったが、
偶発的とも言えるチュアメ二のミドルと、グリーズマン→ジルーのホットラインで2ゴール。
イングランドを文字通り寄り切った感じだった。

ブラジルのサンパイオ主審にも触れておきたい。
「カード基準が超甘口」な今大会で、一人だけ欧州基準でカードを出してくれる、
欧州サッカーを見慣れている人間としては安心できる審判だ。
(ブラジル人なんだけど)

逆に言えば、大会の基準から外れてはいるのだけど、彼が裁けばアルゼンチンVSオランダもあんなことにはならなかっただろうと思わずにはいられない。
(ブラジル人なので、アルゼンチンの試合は裁けなかったんだろうと思うけど)

準々決勝 ポルトガルVSモロッコ

       ポルトガル  0-1      モロッコ

試合内容 A₋
個人的MOM SB アディヤド・アラー(モロッコ)

GK ディオゴ・コスタ 5・5      ボノ 8
DF ルベン・ディアス 5・5     エル・ヤミク 6
   ペペ 6            サイス 6・5
  ゲレイロ 5          ハキミ 7・5
  ダロ 5・5           アディヤド・アラー 8・5
MF ルベン・ネーベス 5・5      アムラバット 8
  ベルナルド・シルバ 5      アマラ 6
  ブルーノ・フェルナンデス 7  ジイェフ 5・5
  ジョアン・フェリックス 7    ブファル 6・5
  オタービオ 5・5        ウナイ 7・5
FW ゴンサロ・ラモス 4・5     エン・ネシリ 6・5

監督 サントス 6        レグラギ 9・5

欠場者(ポ)DFヌーノ・メンデス(負傷・大会絶望)
      MFダニーロ(負傷)
   (モ)DFアギエルド(負傷)
      DFマズラウィ(負傷)

交代(ポ)
   ゲレイロ→カンセロ 7
   ネベス→クリスチアーノ・ロナウド 5・5
   ゴンサロ・ラモス→レオン 5・5
   オタービオ→ヴィティーニャ ?
   ダロ→オルタ?

  (モ)
   サイス→ダリ 6
   アマラ→バヌン 5
   エン・ネシリ→シェディラ 3
   ジイェフ→アブクラル 5・5
   ブファル→ジャブラヌ ?

まずはモロッコ、おめでとう!!
ベルギー、スペイン、ポルトガルを倒し、アフリカ勢初のベスト4にたどり着いたモロッコの力は決してフロックではない。

アムラバットやサイスに代表されるような魂の守備、
中盤でボールを剥がせるウナイのテクニック、果敢に攻め上がるハキミ、アラーのオーバーラップ。
ゴール前に立ちはだかる守護神ボノ。
そして、団結力溢れるチームを作り上げたレグラギ監督。

そのレグラギ監督は、退場者を出した残り8分も、耐え凌ぐだけでなく素早く修正を施し、アブクラルを前線にコンバート。
鋭いカウンターからポルトガルゴールを襲う意欲を見せ、「攻撃は最大の防御」だという大原則を見せてくれた。
最終ラインに負傷者が多く出るなかでも最後まで崩れなかったのは、ハードワーク・団結力・走り切る力、そして臆することなく前に出ていく攻撃的な姿勢に他ならない。


対するポルトガルも決して悪い内容ではなかった。
前戦でハットトリックを決めたゴンサロ・ラモスを先発させ、リードされると後半早い時間帯にクリスチアーノ・ロナウドを投入するベンチワークにも間違いはなく、
ハキミにサイドを制圧されていたゲレイロをカンセロに代える采配も妥当(まぁ、最初からカンセロ先発でも良いとは思うのだけど)。

相変わらず今大会キレキレの、得点力溢れるチャンスメイカー陣、柔のジョアン・フェリックスと剛のブルーノ・フェルナンデスも、モロッコゴールに何度も迫った。

恐らくクリスチアーノ・ロナウドは今大会が最後だろうが(次のEUROぐらいまでは出るかも?)、
フェリックス、レオンといったアタッカーの有望株も育っており、最終ラインを背負って立つルベン・ディアスもまだ25歳。
ロナウド、ペペの2人を除けば主力級にベテランはいない。

優勝できるかは別にして、まだしばらくはポルトガルの強さは続くだろう。

準々決勝 オランダVSアルゼンチン

   オランダ  2-2      アルゼンチン
PK        3-4

試合内容 C+
主審 マテウ・ラオス C₋
個人的MOM FW リオネル・メッシ(アルゼンチン)

GK ノペルト 6          エミリアーノ・マルティネス 6
DF ファン・ダイク 5・5       オタメンディ 2・5
  アケー 5            リサンドロ・マルティネス 5
  ティンベル 5           ロメロ 6
  ブリント 5           モリーナ 6
  ドゥムフリース 4・5        アクーニャ 6・5
MF デローン 5             デ・パウル 6
  フレンキー・デ・ヨング 5    エンソ・フェルナンデス 5・5
  ガクポ 6              マク・アリステル 4
FW ベルフワイン 4            アルバレス 4・5
  デパイ 4               メッシ 7・5

監督 ファン・ハール 7      スカローニ 5・5


交代(オ)
   ベルフワイン→ベルフワイス 5
   デローン→コープマイネルス 5・5
   ブリント→ルーク・デ・ヨング 6・5
   デパイ→ヴェフホルスト 7・5
   ガクポ→ラング ?

  (ア)  
   デ・パウル→パレデス 2・5
   アクーニャ→タグリアフィコ 5  
   ロメロ→ペセーラ 3
   アルバレス→ラウタロ 6
   モリーナ→モンティエル 5・5
   リサンドロ・マルティネス→ディ・マリア 6



4-2-3-1システムを大会中に育て、上昇傾向にあったアルゼンチンと、
5-3-2システムで固い守備的サッカーでベスト8までやってきたオランダ

戦力的にはアルゼンチンの方が明らかに上だったのを、PKにまでもつれさせた要因は、
両監督の差と、不必要なラフプレーだ。

恐らくディ・マリアのコンディション不良と、アレハンドロ・ゴメスの不調もあって、アルゼンチンはオランダをリスペクトする5-3-2システムを敷いてきた。
これで、オランダの両サイドを封殺し、固い試合ながらアルゼンチンがリード。

しかしオランダは後半19分に、ブリントに代えてルーク・デヨングを投入し4バックに変更。
更にヴェフホルストを投入し、オランダは空中戦に特化したパワープレイにシフトする。
にも拘らず、アルゼンチンは5バックを継続。
アルゼンチンのオタメンディ、パレデスのラフプレイで試合がヒートアップする。

主審のマテウ・ラオスは元々スペインリーグでカードの多い審判だが、今大会のカード基準は『非常に緩く』統一されている
ただし、自らに対する抗議にはイエローを躊躇わないラオス主審
こちらの基準は統一されていなかった模様で、ラフプレイにはカードが出ず、抗議にはカードが出る歪な試合展開になってしまった。

このような緩いカード基準では、いつかそれを悪用するチームが出てくるだろうと思っていたが、
今日のアルゼンチンはまさにそれ
で、パレデスなど即退場させるべき悪質なプレイで試合を無駄に荒れさせた

そして後半55分、ほぼ試合終了間際に、ペッセーラまた無駄にラフプレイを犯し、そこからのFKでオランダが同点に追いつく。

延長後半8分、ようやくアルゼンチンがディ・マリアの投入で、4バックに変更すると急にアルゼンチンが活き活きと攻勢に出る。
しかしこれができるなら、なぜ最初からやらなかったのか。
少なくとも、オランダが4バックに変更した時に、すぐに対応するべきだったのではないか。
ディ・マリアとゴメスが使えなかったなら、アンヘル・コレアを試しても良かったのではないか。

結局、PK戦ではアルゼンチンが勝った。
順当な勝利だ。
しかし、いつもの5バックから4バックに変更し、ヴェフホルスト、ルーク・デ・ヨングを投入して空中戦に特化したファン・ハール監督と、
いつもの4バックを棄てて5バックにした結果、ファン・ハールに修正された後も腰が重く、同点に追いつかれたスカローニ監督。


監督の差は歴然だった。
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