ゲーム関連

Splush Wave「ドラゴンファーム」感想

80点+3点(新たな挑戦に乗り出した意気に+3点)

「ドラクエ麻雀RPG」という新ジャンルを開拓したSplush Waveが、また新たなジャンルを打ち立てた。その名も「ドラクエ将棋シミュレーション!」

将棋の体裁をとっていますが、ガチの将棋ではないのであしからず。
駒の初期配置を変えられますし、中盤以降、飛車を3枚も4枚も用意できますしw
相手の駒を倒しても、自分の駒として使う事もできませんし。

駒を取るという形ではなく、駒のHPを0にするということで、将棋とは似て非なるゲームです。
ネタが古すぎて通じないかもしれませんが、「くにお君のドッジボール」と「リアル・ドッジボール」の関係が近いです(くにお君のドッジボールは、ボールを当てて相手のHPを削るゲームでした)。


ゲームの難易度は低いです。
何度でも「強くてニューゲーム」ができるので、序盤は破産してターニアが毎回売りに出されてましたw

本来の将棋とは違う謎の駒もいくつかありますが、正直「王」よりも強い「君主」とか、
「銀」の改良版とか以外は、ほとんど無視してもいいものばかりでした。
前述の理由により、桂馬は正直リアル将棋と比べて使い勝手が悪かったですね。

飛車が超強いのはリアル通り。
中盤までは、王の周囲を金で警護するのも、まぁ大体リアルと同じじゃないでしょうか。
そして香車の自爆テロが激強ww 
火炎の息とかベギラマとかを覚えさせたキャラを香車にして、敵の集団に突撃カマすと面白いように相手の駒が溶けます。

逆に敵の自爆テロでうっかりやられる事もありますが、まぁ「強くてニューゲーム」できますし。


粗削りのためか、UIが若干使いづら(ドラッグ&ドロップがやりづら)かったり、
香車が一番奥まで突撃した時に「トランスし(成り)ますか?」と聞かれて、うっかり「いいえ」を選んでしまうと身動きが取れなくなったりのケアレスミス対策はちょっと何とかしてほしいw
森とかでは角や歩などが身動きとれなくなっていたりしますしw


このゲームにストーリーを求める方は少ないと思いますが、バーバラの野ションを3回ぐらい目撃したら、
いつのまにかバーバラと恋人になっていました!
この農場、トイレないんですか!?


借金返済をしてしまうと、「恋人を代えてニューゲーム」が選べなくなるのはちょっと悲しい。
きちんと直前でセーブしておけよという話なんだけど、別にクリア後にも「恋人を代えてニューゲーム」機能はつけといたままでいいじゃんか……。


ヒロインは、アリーナ・バーバラ・女僧侶の3人とコンパクト(物足りないとしか言いようがない)だけど、
まぁそれでも楽しめました。
何より、マンネリ化していた「ドラクエ麻雀」の殻を打ち破って、新たな「ドラクエ将棋」という挑戦を成功させたことは大いに評価したいです。

続編、楽しみに待っております!

「三国志11PK」 194年孫策でやってます

現在203年で、中盤戦といったところです。

前半に、ゲーム全体の感想を。
後半にプレイ日記を書きます。


「三国志11PK」は、結論から言うと結構面白いです。
しかし、致命的な問題……そう、KOEIお得意の「多発するフリーズ」を抱えておりまして、
これが理由で2周目をプレイする気にはならないと思います
(これがなければ、もう1周ぐらいやりたかったのですが)。
現在中盤ですが既に10回はフリーズしたかな……投げ出しかけました。

「初級」でプレイしているからかもしれませんが、「信長の野望」と違い、
序盤は大勢力に始終喧嘩を売られる事もないので、落ち着いてプレイできるのが良いですね。

また、今回は(三国志6以来だからというだけかもですが)キャラの列伝なども充実しており、
結婚させることができたり、義兄弟の契りを結んだりと、
歴史イベントこそ貧弱なものの、その分ifの三国志を楽しむことができます。
普段よりも更に、キャラの魅力(脳内補完込みとはいえ)を味わえるのが楽しいです。


また、普段(三国志2・3・4・6)では見られなかった現象が起きたのも面白かったのですが、
それはプレイ日記に書きます。

敵が凄い勢いで攻めてこない反面、中盤戦以降も気を抜けないのが本作の特徴です。
というのも『輸送』の使い勝手が悪すぎます。悪いというか、リアルです。
奥地でいくら開発して資材を蓄えても、それを最前線まで運ぶのに何か月かかるねん!
しかもその間、輸送兵たちは兵糧を食べているおまけつきww

更に、これはあまりポジティブじゃないのですが、少し治安が下がるとすぐ賊に襲われ、
敵勢力や賊に城を奪われると、今までやって来た内政が全てぶち壊しになるのはつらいですね。

面白いのが舌戦で、カードゲームみたいな感じなのですが、台詞がかなり笑えますw
(特に詭弁w)
在野武将をスカウトしようとすると頻繁に舌戦を申し込まれるので「キタキタ!!」とテンションが上がりますが、捜索させる武将の頭が悪いと何もできませんw
そしてなぜか舌戦に負けると軽傷を負いますw 一騎打ちで負けても怪我しない事も多いのに。

合戦も面白く、戟兵・槍兵・騎兵の3すくみシステムは楽しいです。


今回は敵を捕虜にしても、有能な奴に限ってちっとも仲間にならず、それどころか脱獄してしまいます。見張りは何をやってるんだ!


キャラの能力値ですが、孫権さん随分能力値低いんですねw
孫策さんはまだ存命ですが、孫権に後を継がせるの悩むレベルです。
あと、頭の良い配偶者と結婚させることで、張飛さんが知能武勇兼備のスーパー武将になりますw

一枚絵マップは、ぐるぐる回転するのが正直見づらいです。
慣れれば戻し方もわかるようになるんですが、ずっと北が上でいいですよw


【プレイ日記】

190年曹操と194年孫策で迷った結果、後者をチョイス。
まずは江東の小覇王らしく劉曄・厳白虎・王朗を倒していきます。

部下はとにかく水軍に強いキャラクターばかりw 陸上では……まぁ弱くはないですけどw
程普・韓当・黄蓋のうち、「6」までは冷遇されていた韓当さんが強くなっていますね。
序盤はシステムが全然わかっていなかったので、黄蓋さんは呉国体(孫堅の未亡人)と再婚させて一人で笑っていました(笑う要素あったっけ?)

孫策軍のエースは孫策と、もちろん周瑜。これは中盤に至る今も変わりません。
史実通り、大喬と小喬を嫁にもらってニッコニコです。なるべく同じ部隊に入れて楽しんでます。

前述の宿将3人以外では、甘寧・周泰あたりが強いのは当然ですね。甘寧は在野にいましたけど。
あとなぜか徐晃も在野にいたのでもらっておきました。
攻めてきた劉曄軍を返り討ちにして太史慈をゲット、厳白虎軍を倒して厳白虎配下にいた凌操も獲得しました。
呂蒙も配下になりましたが、本作の呂蒙は知力低いですね。
「男子三日遭わざれば刮目して見よ」イベントでもあるのでしょうか?

文官は魯粛・諸葛瑾・張昭・張紘、あとなぜか在野にいた程昱がいますが、このゲーム、文官の存在感は薄い気がします。
内政は建物を建てれば自動的に収入が入ってきますし、建物を建てるのが早いか遅いかぐらいの違いしかないような……??


次にどこを攻めるか迷った末、劉備を攻める事にしました。
ちなみに袁術君はお友だちです。しかし「三国志11」の同盟相手は何もしてくれませんね!!!
単なる不可侵条約って感じで、援軍すら送ってくれない。ビジネス上のパートナーって感じですね!


劉備は我が建業からはだいぶ遠いのですが、建業近郊になぜか劉備の港があって目障りなんですよね。
劉備は陶謙から徐州をもらって、なんか結構勢力伸ばしていましたw
呂布より強くなってる……。というか、呂布はいつの間にか滅ぼされていました。
貂蝉が在野武将で流れてきたけど(涙)
194年シナリオの劉備って、大した事ないことが多いのになぁ。

戦いを仕掛け、うっかり……いや、確信犯的に劉備は殺してしまいましたが、
徐州を占領し、さて配下は……関羽と張飛ぐらいしかいねぇ!!!!
趙雲は!? 公孫瓚配下だ! 黄忠はなぜか馬騰配下、馬超さんも当然馬騰軍。
諸葛亮はまだいないし……
ま、まぁ関羽と張飛を手に入れただけでもいいや。
未亡人になった麋夫人を関羽と結婚させたら、関羽さん喜んでいましたよ!
関羽・張飛は当然頼りになるエースとしてこの後活躍します。

その後どこを攻めるか……周瑜はしきりに孔融を攻めろと言ってきますが、
孔融配下ろくなのおらんし、北海を取ったら袁紹と領土接しちゃうじゃん……。

というわけで、194年から始めているので恨みはないはずですが、一応父の仇、劉表を倒しました。
(今回の蔡瑁さん、データ高いっすね!)
が、そこで誤算が。

まずは小さな誤算。

①袁紹が孔融を滅ぼし、こちらに攻め込みまくってきて、せっかくとった小沛を奪われる(カヒは死守しました)
(これは、本作のCPUがあまり好戦的に思えなかったので、油断しましたね。普通に想定して然るべきでした)

②恐るべき馬騰。張魯・リカクを滅ぼし、曹操領土の一部も奪取し荊州北部まで進出

この②は驚きました。
今まで「三国志」シリーズをプレイしていて、馬騰さんがこんな快進撃をしているのは初めて見ます。

③劉表を倒したことで、劉璋とも国境を接してしまい、しかも江陵めがけてわけのわからない小軍勢を頻繁に繰り出してくるww

④信じられないぐらい存在感のない曹操も、便乗して孫策に攻め寄せてきた!


というわけで、我が孫策軍はお友達の袁術と、遠方の公孫瓚以外の4人から憎まれ、攻撃されてしまうのでした。

この中で一番弱いのは、あまりにも意外な事実ですが曹操です。兵士5万しかいません(袁紹・袁術・馬騰は25万います。うちの孫策は20万です)
しかも、配下はよだれが出るほどの粒ぞろい。

というわけで、攻め込んできたのをきっかけに、曹操を倒すことにしました。
なお、4勢力を同時に相手するのは無理なので、馬騰とは何とか同盟を結ぶことに成功しました。

劉璋は小勢力しか攻めてこないし、厳顔を捕まえて配下にして、黄権・雷銅を殺したらガックシきたのか大人しくなりましたw
まだ油断はできないけど、これで江陵に大軍を置く必要はなくなった。


そして、曹操との激突。
曹操はもちろん、夏侯惇・夏侯淵・司馬懿……じゅるり。
楽進や李典もデータ結構高くていいですね! 于禁さんもちょっとだけ上がってる。
許著や典偉、荀彧、荀攸><
郭嘉だけ仲間になってくれなかったけど! 大体の武将は獲得しました。


そんな折、袁紹がついに二正面作戦の大攻勢をかけてきます。
陳留と北海にそれぞれ大軍勢を引き連れてきているのです。

きているのです、という書き方からおわかりいただけるように、この状況でこの感想を書いています。


配下の質では圧倒的に孫策ですが、兵士や、敵の数では袁紹なんですよね。
田豊・張こう・高順・逢紀は捕まえて配下にし(張こうと高順強いなぁ! 前者は当然だけど、高順も随分出世しとる!)辛評は切り捨てましたが、
顔料・文醜が残っているのは大きい。
というか背後の公孫瓚を無視して、こちらに攻め寄せてくるのはなぜ……。
お金みついでご機嫌取ったのに、向こうから攻めてきたので一瞬でパー。
ムカついたので袁譚と袁尚は殺しました><


ここから先は、まずは袁紹の猛攻を防ぎつつ反撃。ここが中盤最大の山場ですね。
何とか倒したら、そのまま公孫瓚を倒して趙雲をゲットしたい。

で、現在の兵力分布は馬騰25万・袁紹25万・袁術20万・孫策20万・劉璋13万・(曹操5万でした)なんですよ。
馬騰と袁術とは同盟も結んでいるので、袁紹の後は劉璋でしょうか。領土的にはめっちゃ縦長だけどw

その後は、同盟を破棄して片方ずつと闘う事になるでしょうが、より厄介なのは馬騰の方ですね。
袁術には一応、最初から最後まで不可侵条約を結んでいた義理もあるし、袁術を最後に回すべきか
最終決戦よろしく馬騰を最後に回すべきか、迷います。

馬騰軍、優秀な武将が多いので強いんだけど、だからこそ配下にして彼らを使って、誰かと闘いたいんよね。
袁術には恨みもないし……援軍出してくれないけど!!!! 

まぁ、あまり先の事を考えても仕方ないので、臨機応変に。
まずは袁紹との決戦ですね。


と、こう楽しんでプレイしているのに、とにかくフリーズがウザくて仕方ない。
これは本当に酷い。

ゲームの得点が73点、フリーズでマイナス10点って感じです。


KOEIのシミュレーションゲームは、中盤までプレイすれば大体そのゲームの面白さはわかります。
なので早めに感想を出しました。

さくらの雲 スカァレットの恋 感想(ネタバレ)

86点:
細かい部分が所々気になるが、大正浪漫を感じられるSFミステリー。


【前置き】

前作「アメグレ」よりも好きです。

ループものということで、前作「アメイジング・グレイス」と一見似通っているのですが、
「アメグレ」が『記憶全部を持ち越してループできた』のに対し、
「さくレット」は『記憶を持ちこせず、文字数制限のある電報』という形でループするのが違うところです。


完全一本道シナリオなので、あまり各ルートに分けて評価しても仕方がないのですが、
いつもどおり各ヒロインルートの感想を最初に書き、総評を最後に書きます。



【共通ルート(1回目)~不知出遠子ルート】 評価は B+

2020年からやってきた主人公の司が、チェリィ探偵事務所の探偵に拾われ、依頼をこなしながら
大正時代の人々と触れ合っていくのが共通ルート。

蓮からの依頼である猫の蘭丸探し、
遠子からの依頼であるまりも探し、
博物館を狙う怪盗ヘイストとの対決、
不知出家での幽霊騒ぎなどが、毎回のルートで起こる出来事。
これらのやりとりが非常に心暖かく、歴史情緒豊かで、大正という居心地の良い『異世界』にどっぷりと浸る事ができました。
ミステリ小説も、シャーロック・ホームズとアルセーヌ・ルパンぐらいしか著名なものはないのですね。

(ざっと思いついたところ、1908年のルルーの「黄色い部屋の謎」と1911年の「ブラウン神父」ぐらいしかないや)


その中で異質なのが魔人加藤という怪しい憲兵と、
関東大震災復興の立役者となるはずだった後藤新平氏の暗殺事件。

個人的に加藤が未来人だというのは遠子ルートで大体わかってしまったので、
隠す気はなかったのかなと思います。

1920年に起こるはずのない関東大震災が帝都を襲うところで、初周終了。
関東大震災で明らかにパニックを焚きつけていた雪葉とマイは、初周から既に怪しさマックス。


2周目となる遠子ルートで起こる大きな出来事は
怪盗ヘイストの正体を突き止めたことと、後藤新平を守った事でしょうか。
また、関東大震災の時期が1921年にズレているのも興味深く、加藤が『人為的に』起こしている事がわかります。


本作のHシーンは、蓮と所長がSなので、M女子の遠子さんはかわいかったです。
(僕がSなので、ヒロインにガンガン責められるシーンでは抜けないw)



【水上蓮ルート】  評価 B

加藤大尉が大金をかき集めていることと、未来人である事が確定するルート。
蓮のラブレターは良かったですね。成金太郎が助かるとても珍しいルートw
あと、蓮は痴女。


【メリッサルート】 評価 A

蓮ルートまでとガラリと趣向を変えて、突然始まる寝台列車殺人ミステリー。
そしてまたも殺されてしまう成金太郎。
このルートでは、リーメイと影虎やリーメイと加藤の関係など、
サブキャラクター同士の隠された関係が炙り出されていくのが面白かったです。
遠子ルートで絡みが既にあったリーメイと遠子の関係も含め、リーメイはいろんな人と繋がっていますね。

大正の『歪み』を消していく歴史改変・歴史修正ミステリーが読みたいのであって、
こういうコテコテの寝台列車殺人ミステリが読みたいわけじゃないんだけどなあ、
と思いつつも、まぁこれはこれで。

最後にメリッサさんに完全に騙され、度肝を抜かれてルート終了。
あと、メリッサさんもかわいくて大好きです。
主人(?)の遠子さんよりも物語の本筋に絡んでくるとは、1周目ではまったく思ってなかったけどw


【所長ルート】 評価 A₋

いよいよ魔人加藤と対決するグランド・ルート。
司がやってきたのは2020年(桜雲2年)だった!というのは、
とても驚いたのですが、反面ちょっと引っかかる部分があるので後述します。

加藤大尉の壮絶な自爆は、
長編作品で『親殺しのパラドックス』をここまで直截的にやっちまった例が記憶にないので、爆笑しましたw

所長の名前を敢えて隠していた意味がよくわかりませんが(メリッサと加藤はわかる)、
「アメグレ」以来続く伝統芸なのでしょうかw



【ちょっと気になったところ】

「こまけぇこたぁいいんだよ!」でギリギリ処理可能(だから高評価をつけた)だけれども、
あまり設定が緻密じゃないなぁと感じた部分がいくつかあるので、書きます。

グランドルートなので当たり前かもですが、これは全て所長ルートの部分です。


疑問:1 『桜雲以外』

1・雪葉さんは生きてていいんだ?

……確かに雪葉さんを殺すのは酷な事かもしれません。
しかし、歴史の歪みが云々というのなら、雪葉さんが生存していてはダメでしょう。
仮に雪葉さんがまたも大太刀周りを演じ、日本に来たマッカーサーや吉田茂あたりをブスっと刺したらえらい事になりますよ!


2・加藤さん、結局何がしたかったわけ?

……まぁこれは、あくまでも『全ては語らない。想像に任せる』部分で良いとは思いますが、
やっぱりよくわかりません。

関東大震災を早めて、速攻で復旧を遂げるというところから「第二次世界大戦」への準備を早急に進め、
戦勝国にでもなろうとしているのかなと思いましたが、
その割にサンフランシスコ条約で活躍する所長を国外に出そうとしたりしているし、
ただの『未来の右翼』ではないような気もします。わけがわからないです。


3・冬茜トムさん、『賢明』という単語を知らない?

……「賢明」を「懸命」と10か所以上も書いていたのは気になりました。
他には誤字がほぼなかったので、冬茜トムさんは『賢明』という単語を知らないのでは?



疑問・2 『歴史改変関係(桜雲関連多め)』

1・司の行動が理解不能

……『令和』から来たというのなら、歴史の歪みを正して2020年に帰りたいという気持ちもわかります。
まぁ、色々このご時世大変ではありますが、
これから「関東大震災」→「暗黒の昭和初期」→「第二次世界大戦」を控えている日本で暮らすよりは平和ですからね。

しかし、第三次世界大戦真っただ中の「桜雲」からやってきたのなら、歴史を改変して「第三次世界大戦」を起こさせないように動くのは、決しておかしなことではないはず。
現に作中でも最初はそう動いていました。

それが、所長との初Hあたりから突然心を入れ替えて(?)、『桜雲』に繋がる方向へと歪みを潰してまわり、
自分はこの『大正』にいてはいけない、と悟りを開いたのが意味不明でした。

歴史改変を行なって少しでも平和な日本を目指してもいいですし、
別ルートでそうしていたように『大正』で暮らしても良かったと思うんですが。

なので、『桜雲』から来たと明かされた瞬間はビックリしましたが、
その後はむしろ不可解な気持ちで読み進めてしまったので、あのサプライズは正直不要だった気がします。


主人公の行動動機が理解不能(共感不能)というのは、一人称小説を読み進めていく上で一番キツいので、
この「桜雲」サプライズは盛り上がるどころか、逆に僕のプレイ速度が下がった感がありました。


2・そもそも『桜雲』と『令和』の分岐はどこ??


……『桜雲』世界線では「4・13事件」、「西原事件」という2つのテロ事件が起こっています。
(令和世界線では起こっていない……はずです)
この2つは司自身が食い止めました。

しかし、その後第二次世界大戦が起こり(1939~1945で年も一緒)、高度経済成長が行なわれるというのは一緒のようです。
昭和は律義に63年続き、その後『平永』という元号がこれまたきちんと31年続き、そのあと『桜雲』が来るようです。
天皇制も存続しているのですね。




司が挙げていた違いは『サンフランシスコ条約』で連合48か国と結んだのが『令和』世界線ですが、
『単独講和』したのが『桜雲』世界線のようです。

その後、西側陣営と(1990年以降も続いていた!?)東側陣営が第三次世界大戦を起こしたようなんですが
違いはここなんでしょうか?


あまりこの条約について詳しくないため僕の手には余るのですが、
もしそうならば、
大正時代に起きた事件がその後の世界線にそう大きく影響するものでしょうか?
(所長はサンフランシスコ条約時に、イギリスの大使として活躍したようですが)

そうだとして、日本・朝鮮・台湾の扱いで2020年に第三次世界大戦が起こるとは、
ちょっと信じがたいところがあります。

まぁ、2023年現在、ロシアがヤクザの鉄砲玉みたいにウクライナに侵攻し、中国もきな臭い動きはしておりますが……。
……あれ、『令和』世界線も安全ではないんじゃ(混乱)


3・加藤や司が行なう歴史の歪みはNGだけど、『桜雲』から『令和』への【歪み】はアララギさんは黙認するの?

……まぁね、アララギさんの行動原理まで考えても仕方ないよね。


で、これら気になった部分のほとんどが「桜雲」関連の問題点(?)なんですよね。
確かに、「えっ! 桜雲!?」という驚きはありました。

未来人が手を下すのではなく、現代(大正)を生きる人たちがより良い選択を行う事で、
より良い未来(桜雲→令和へ)を掴むんだというメッセージも何となく伝わりました。


しかしそれ以上に、桜雲関連の疑問点や、司の行動原理がさっぱりわからなくなったため、
結果的にあの『どんでん返し』は逆効果だったんじゃないかなぁと思いました。



【総評】

気になる事を書いていたら、なんだかむしろマイナス点ばかりを書いちゃいましたが、
大正を舞台に、のどかな(憲兵とかいるけど)日々を送る探偵事務所やヒロインたちとの触れ合い。
歴史を歪めようとする悪人(?)との対決、読みやすい文章と、先が気になる展開で
どっぷり大正を楽しむことができました。

ただそれだけに大正時代を所長と生きていく、そんな選択枝があっても良かったと思いました。
令和ならまだしも、桜雲の世界に戻りたいなんて普通思わないでしょ。

令和だって、迎えてくれたの立ち絵もない母親と、所長の子孫だけだし……。

毎日キスしてロリータ感想

77点。
大きなストーリーで物語をダイナミックに動かすよりも、静的な状況下での思弁小説的、対話劇的な「いつもの」ロリータシリーズではあるが。3年ぶりにプレイしたせいか新鮮に感じられた。


今回に関しては、
中盤のかざりの家出が、ラストの「主人公を探してあげる」行動に結びついており、
それが心の病を患ったにもかかわらず、放置されていた主人公の境遇にも重なって、一応の起承転結はできている。

とはいえ、やはり短文感想にも書いた通り、それはあくまでも起承転結の装置であり、
思うように生きられない青年と、少女たちが、ささやかに『社会に反旗を翻す』、
刹那の幸福へと逃避を企てる、シリーズ全体のテーマは受け継いでいる。


不幸の中に、一滴でも、幸福の雫が滴れば、「生きていてよかった」と思えるようになれる。
それは、確信というよりも、作者自身がそう自分に言い聞かせているように読めるし、
僕自身もそれはあまりに儚い希望に思えるけれど。


それでも、このゲームをプレイした方、
この感想を読んでくださった方。
あなたの不幸の中に、一滴でも、幸福の雫が滴りますように。と、そう願わずにはいられない、本作なのでありました。



さくら、もゆ感想(注意:叩きます)

めちゃくちゃ叩きますので、ファンの方はここから先は読まないでください。


☆前置き1

45点。
この感想では、まずこの作品の致命的欠陥の1つであるテキストへの愚痴から入ります。
次に各シナリオの感想を書き、総論を書きます。


テキストの話


駄文のね、遂行(誤字)もされていない誤字だらけな上、
日本語能力も怪しいライターの、読みず(誤用)らい。
こんな、ライター自身が読むのに苦痛を感じるような、憎からず(誤用)思っている文章を、
私は、feeは、このおバカな、一介のつまらないエロゲ―マーはね、
それでも楽しもうと、楽しまなければかけたお金と時間が無駄だと、賢明に(誤字)、懸命に頑張って、頭がかおしく(誤字)なるほど頑張って、プレイしたんだよ?

その感想をネットに、それを読むあたなに(誤字)、届けたいな、届けばいいなと祈って、この感想文を、きっと、なにかの、ほんの少しだけかもしれないけれど、それでもだぶん(誤字)あなたの参考になる事もあるかもしれないと思って、この感想文を書いたんだよ(クドい)
読みず(誤用)らくてごねんめ(誤字)



さて、↑のレベルの文章を45時間読む覚悟がない人は、このゲームは避けた方が無難だと思う。
とにかく、誤字がてんこもりな上、無駄な繰り返し文の多発、
「読みらい」だの、憎いと思っている相手に対して「憎からず」という単語を多用する(13回は使っていた。絶対、ライターは日本語を間違えて覚えている。『ず』は否定形だと知らないのだろうか?)

「下っ足らず」、徹底した「ら」抜き言葉等々を延々書いて推敲もしないライターは、
恥を知った方が良い

「だぶん」「かおしくなる」「ごねん」「あたな」「あひさ」などは、作中の誤字をそのまま使わせていただいた。およそ10分に1回は誤字にあたったので、300個近くはあったと思う。
途中から物語を読むゲームというより、誤字を探すゲームになってしまったが、
やはり「頭が【かおしく】なる」が本作を表すのに最もふさわしい。
まさにプレイヤーの頭をかおしくさせるテキストである。


また、作者が自分の文章に酔っぱらっているのかは知らないが、意味不明なやり取りも散見する。
たとえば共通ルート、転入生のハルが、不安を吐露するシーン。

ハル「みんなに忘れられていたら、どうしよう」
  「ちゃんと、お話し(原文ママ)できなかったら、どうしよう」 
  「そう、思うと……やっぱり、すごく、とても、とても……怖いんだよ」

これに対して主人公の大雅は

大雅「たとえ”魔法”が使えなくなってしまっても……」
  「いつの間にか特別なんかじゃ、なくなってしまったとしても……」
  「少女時代が終わり、特別な日々の記憶も少しずつ薄くなっていき……」
  「代わりに、不安や心配やさみしさばかりが横たわる――そんな大人の世界に手招きされても」
  「……世界中の誰もがみんな、君たちのことを、君たちの”魔法"のことを忘れてしまったとしても……」

などと世迷いごとを並べている。

誰も、魔法の事なんて話していない
そもそも君(ハル)の心配に対して、君たち(魔法少女たち)の話をされても困る。

転入が不安だと言っている女の子に、こいつは何を語り続けているんだ? 
こんな文章を読んでいると、こちらまで頭が【かお】しくなってきそうである。
頼むから、相手の話を聞いてほしい。

日常テキストも徹頭徹尾面白くなく、『目玉焼きに何をかけるか』で140行も書いてしまうぐらいだが、ちっとも面白くない。
そんなもん、各自が好きなものをかければよろしい。

十夜がツンツンして、それに対して大雅がわざとらしくスネて、十夜が涙目になるパターンも数回あったが、ワンパターンすぎて2回目以降ダルい上にわざとらしくスネる主人公が気持ち悪い。

文章の癖としてもう一つ、
「桜の花びらが目に入り、涙を吹いた俺だ(文は僕が作った)」のように、「人名+だ」で終わる文章が非常に多いのだが、癖だろうとは思うが正直気になる。
別に誤用ではないので良いのだが、こういう表現は見せ場で使うからこそ生きるのであって、
日常描写で何十回も使われると鼻につく。


文章力がないのは仕方ないとしても、推敲はライターの、あるいは(雇っているとは思えないが)校正の『最低限度』の仕事だ
書いたら書きっぱなしというのは、プロとして失格。
弁当を作って、味見もせずに人に出すのか? メシマズヒロインじゃあるまいし。
どんなに美味しいラーメン屋でも、前の人がこぼしていったスープを拭かずに、その席に客を案内するのか?

完全趣味作家の僕ですら、ネットに、あるいは新人賞に出す前に自作を4回は推敲する。
エロゲー感想も2回は推敲している。

それは、「自分の想いを伝えたくて、文章を書く」からで、「相手に届けたくて」文章を書くからだ。
特に、作品の場合、自分の作品を作者ぐらいは愛してあげないと浮かばれない
自分が作った自慢の物語やキャラクターの魅力を他人に伝えたかったら、推敲ぐらいして当然じゃないのか?
こんな文章では、ライター自身が読み返すのも苦痛だったのではなかろうか。とすら邪推してしまうし、文章に推敲をしないライターは、子供を作るだけ作って育児放棄をする親のように無責任である。


ここまでは、テキストと『作者の姿勢』の事しか書いていないが、もうこの時点でプロの仕事ではない。
にも拘らず、この作品は世間では高評価であるらしい。解せない。
こんな読み【ず】らい文章を40時間も読むひまと理解力があるなら、ドストエフスキーだのトーマス・マンだって読めるはずだし、そちらを読んだ方が遥かに有益な気がする。

皆さんは、この暗号文のような酷いテキストを頑張って解読し、感動なさったのだろうか?
それとも、適当に読み流し、最後だけ感動したのか?
あるいは、こんな酷いテキストにもはや慣れてしまい、酷いとすら感じなかったのか。
別に批判ではなく、素直な感想として聞いてみたいところだ。

これはもはや「合う・合わない」という問題ではなく、単純にテキストが『ヘタクソ』であり、
ライターは『推敲』を一切しておらず(ここに一番、怒っている)、『日本語能力』も怪しいと言わざるを得ない。
小説向きの文章と書いていらっしゃる方もいたが、こんな悲惨な小説はまず間違いなく通用しないだろう。
まぁ、出版社で散々ダメ出しをされたり、校正者もついてまともなテキストに甦るかもしれないが。


もうこれだけで僕の感想としては十分なのだが、せっかくクリアもした事だし、
作品内容についても触れておく。


ヒロインは4人だが、個別ルートには特徴があり、前半と後半で2つの物語が展開される。


☆夜月姫織ルート 評価 B₋(S~E)

姫織ルート前半:姫織とは関係ない、十夜の友だちの話
姫織ルート後半:姫織の出生の秘密と、ナナちゃん。


前半は、姫織とは直接関係のない、十夜の友だちの話である。

この世界は過去も未来も、建築物や流行り言葉、ファッションセンスが変わらない謎空間に支配されているのだが、まぁそれは伊坂幸太郎作品などでもそういうものはあるので、そこはツッコまないでおく。
ドラえもんは、大昔から現在、未来まで土管のある空き地で皆が遊ぶのだ。

少女時代、十夜と仲良くしてくれたお友達。
いつしか十夜を忘れてしまうも、亡くなる直前に彼女を思い出す。
そして、最終列車が彼女の魂を来世へと送ってしまうその前に、十夜が彼女に会いに行く。

というストーリー設定は、王道ではあるが魅力的だと思う。
個人的には『刻の終着駅』という設定も良く、(現世に絶望を抱えている人間としては)自分なら、来世に向けてどんな買い物をするだろうかと考えてしまう。
しかし、である。


主人公がテレポート魔法を試みるも失敗
→姫織(魔法少女)の家の近くにいたので、姫織を叩き起す
→姫織に最低限の事情を説明
→姫織が「恥ずかしい夢」を見ていたけど、変な寝言言ってなかったよね?などと発言。それについてやりとり。
→姫織が魔法少女に変身。衣装がえっちぃなどと発言。それについてやりとり。
→姫織、空を飛ぶ魔法失敗
→姫織「私は空を飛ぶ魔法が苦手だった、だけど他の魔法なら大丈夫」
→姫織、新魔法発動


ここまでを4分で行なったというのは、どう考えても無理がある
地の文をすっ飛ばして、セリフだけを朗読したって4分以上かかるはずだ。

それだけでなく、「変な寝言言ってなかったよね」だの「衣装がえっちぃ」だの、あまりに緊迫感のないやり取りが多すぎるのだが、
作者は『残り時間6分』という立場になった事がないのだろうか?
気が急くばかりで、無駄なやり取りなどしている余裕はないはずだが。
(こんなやり取りをするなら、残り時間30分って事にしとけばよかったのに。30分でもギリギリだけど)

主人公たちの悠長さのせいで、せっかく良い話であるにもかかわらず、全く感情移入が出来ない残念な姫織ルートの前半だった。


姫織ルートの後半については、あまり書くことは多くない。
姫織が常に腹を空かしている理由と、毒親だらけのこの作品には珍しく、まともな親が出てくるぐらいである(その代わり、毒親戚は出てくるが)。
叙述トリック(?)も出てくるが、単に紛らわしいだけで作品の面白さに一役買ってはいない
なお、姫織は一度死ぬが、この作品においてキャラクターがすぐ死んで、あっさり甦るのはよくあるパターンだ、ということは後々判明する。


☆杏藤千和ルート 評価 B

千和ルート前半:千和の恋物語。ヘタレ主人公が、最後、全校生徒の前で告白するのは良シーン。
千和ルート後半:千和の『パパたち』の物語。主人公よりもナハトが活躍。

散々「男らしさ」だの「ヒーローになりたい」だのと謎のこだわりを訴え、
みんなに奢る事がカッコいいと勘違いしている【昭和の男】、大雅のキモチ悪さは相変わらずだが、
そんな大雅を慕う千和ちゃんは、(ダメ男に騙されそうな気がするものの)健気でかわいい。

薄倖そうな健気ヒロインを描くには、やはりダメ男は必須なのかもしれない。
とりあえず、バイト代を半額にした上に、毎度やってくる幼馴染全員にメニューを奢って、
それで本人は【あひさ】(作中からの誤字)さんからお小遣いをもらっているんだから世話はない。

千和の一世一代の告白も、茶化してしまう主人公は控えめに言ってもクズであり、
ヒーローや男らしさどころか、凡百の一般男性よりもなお悪い、サイテー男なのだが、
それは本人が自責しており、その後の展開に繋がるので良しとする。

全校生徒の前で告白するのは、冷静に考えて千和にとっても迷惑なのだが、いかにも「青春」という感じで案外好きなシーンだ。


後半は、千和の生涯。
ソルとナハト(と遠矢)という3人のパパたちが描かれる。
姫織ルート前半の、『十夜のお友達の息子』である遠矢が登場してきたのはルートの繋がりを感じさせて良い。
またも登場する毒親はもう放置しておくとして、ソル・ナハト・千和の3人の生活が描かれる。
回りくどいにも程があるものの、結局ナハトが良パパで、大雅よりもよほどいい男なのだった
そりゃナハトから見て、千和を大雅なんぞにはくれてやりたくはないだろう。

大雅が千和に、全校生徒の前で二度目の告白(またかよ)をした後
突然数時間も過去話が挿入されるのは興ざめで、構成に難があると思う。
そこは告白→結ばれる!と素直に展開してほしい。



☆柊ハルルート 評価 B-

ハルルート前半:学園祭に向けたライブ活動と、とあ(漢字忘れた)姉弟のすれ違い純愛物語。
ハルルート後半:何度も死んでしまうハルを助けるために、主人公も死んで転生し続ける話。ハルと主人公の因果も語られる。

前半は、シスコンともひろ(漢字忘れた)君が、姉に向けたラブソングを作る学園祭ライブ物語である。
しかし残念ながら、ライブシーンはない。そこを書かないでどうするのかと問い詰めたい。
ライブ後の、ともひろがあず咲を送り出すシーンは良い。
また、姫織ルート、千和ルートで登場した十夜が、千和の世話にかまけてハルの母親を育児放棄したというのは、何とも言えない悲しい因果ではあるが、繋がりを感じられて良かった。
良かったのだが、そこでまた毒親の誕生である。やれやれ。


後半は、何度も死んでしまうハルを、世界線を乗り越えて助けに行く話であり、未来人ハルと未来の大雅(推定年齢30代)の邂逅のエピソードも語られる。
なお、ともひろは死んだらしいw

このライターの癖として、タイミングを見つけ次第、同内容の言いかえをするのはもはや諦め気味なのだが、
「大雅くん……いいえ、おじさん」と言い換えるのはいくらなんでも失礼すぎて笑う

6回のチャンスがあると、5回目までは消化試合で6回目で解決する、というのは
まぁ定番なのでそこはツッコまないが、
頑張るのは主人公じゃなくてハルだよね、という結末は納得できる。


プレイしていてよくわからなかったのは、パラレルワールドとクロの関係だ。
パラレルワールドに飛ぶことは大雅の「不幸」ではないため、クロは肩代わりをしない。
しかし、大雅の「死」は「不幸」だからクロも肩代わりするという事になるのだろうか?

でもそれなら、なぜ大雅がパラレルワールドに飛べて、クロもパラレルワールドに飛べるのだろうか?
大雅がパラレルワールドに飛ぶために死ぬと、クロは問答無用で殺されてしまうのだろうか。
それで問題は解決するが、あまりに不憫すぎる。


なお、クロルートは、ハルルートの、ハルが死んだ世界線の物語である、と思う。


☆クロルート 評価 B-

前半:唐突に挿入されるましろの昔話
中盤:2人の大雅と、「夜の王」の正体
後半1時間:孤独に生きた大雅とクロの物語と、エピローグ


まず、後半1時間は良い。
正直ここまでの得点は35点ぐらいだったのだが、後半1時間が良かったので、チョロい僕は点数を大幅に上げてしまった。
特に、僕のようなさみしさを抱えた「ぼっち独り暮らし男性」にはなかなか刺さる内容となっている。

が、冷静に考えればクロを選ばず、ハルか千和あたりとくっついた方が幸せだった気もするので何とも言えない。

しかし、前半・中盤は『最悪』である。

まず前半、唐突にクロからの通話で、
(偽)大雅が忘れていた、幼き日の「本物大雅と、ましろさん」のエピソードが延々語られる。
ここのシーンがとにかく長く、またしても毒親物語である(厳密に言えば、ましろの両親は毒親とは言いづらいのだが)。

輪をかけて酷いのが相変わらずなテキストで、クロからの伝聞であるにもかかわらず、
大雅の一人称がメインになるため、違和感が凄かった。

伝聞調「~だったようだ」、あるいは三人称、クロの語りなどで処理すればいいのに、
いかにも大雅がその時代を生きているかのように、一人称現在形で描かれるものだから、非常に混乱した。
せめて現在形ではなく、過去形を使う程度の工夫はできなかったのか?
記憶喪失なのに、なぜ現在形で過去の自分の事を喋れる(書ける)のか、理解に苦しむ。
しかも時折、クロからの電話で現代に戻るのだから混乱もひとしおだ。


中盤に至っては酷いの一言だが、これはひょっとしたら僕の方に原因があるかもしれない。
テキストは相変わらず最低レベル。
にもかかわらず物語が【無駄に】(主観)入り組んでおり、本物大雅だけでなく、偽大雅までが登場する。
更に、別の世界線(並行世界)の彼らまで登場し、死者は生き返り、生き返ったと思えばまた死ぬため、もはや意味がわからない。
そこを持ってきて、偽大雅には名前がなく、『ぼく』という名前なのだが、大雅の振りをしている時だけ一人称が『俺』になる……ならまだいい。

後半になってくると『ぼく』と『俺』の使い分けが完全に崩れ(もしくは僕には理解できなくなり)、
まるで二重人格が統合されるように、交互に『ぼく』と『俺』が飛び出して、
そこにいかにもな傍点が振ってあったりするのだからたまらない。
これが精密なテキストを書くライターならともかく、誤字だらけなライターなため、1つ1つ『傍点の意味』を考えるのもバカらしく、半ば思考放棄して適当に読んだため、熟読・玩味なさった方には、
この物語の良さがわかったのかもしれない。

しかし、ライターの愛情が欠けている誤字300個超のテキストを、なぜ読者が愛して、熟読してあげなければならないのか、というのが理解力に乏しい私の、僕(おれ)の、おばかなエロゲ―マーfeeの感想である。
というか、複雑なら複雑で、『アぺイリア』や『あおかな』のようにうまく図解を使えばいいのに、
そういう工夫もない。
ロクなテキストも書けないのに、テキスト一辺倒勝負の硬派なスタイルを挑むライターの無謀な挑戦は、中央値90という僕からは到底信じられない成功を収めたようだが、
僕には全く響かなかったため、敢えて「大失敗」と言わせていただきたい。

そもそも大雅が2人いる必要性を感じなかった、というのが一番悲しいところで、話を無駄に複雑にしただけで面白さには全く繋がっていないと感じた。

これは全編に言える事だが、「俺は……奏大雅は」
「ハルは……この魔法少女の柊ハルは」と、何度も武者名乗りをあげてみたり、
「とってもおバカな私だけれど、それでも……」と自己卑下が枕詞になっている本作だが、
「ぼくは……いいや俺は……」を連呼された日には、
「いいや拙者は……あちきは、おいどんは……」と延々繋がれそうで恐怖さえ覚えた。


☆総論

全ルートを通じて描かれているのは、
『親の愛情を受けられず、自己肯定感の低い少年少女』と、『虐待毒親』がベースであり、
そんな親に愛されない子供たちを守るのが、『夜のイキモノ』ということで、
家庭環境はかなり似通ったものがある。

それもあって、
「私なんか生まれてこなければよかったのに」
「あなたとは出会うべきではなかった」というぼやきを50回近くは聞かされる羽目になる。
まるでtwitter病み垢のTLのようである。

そんな彼らは「何かを得るためには、代償を払わなければならない」と思っているため、
どのルートでも「自己犠牲ルーレット」が展開されており、いい加減ウンザリしてくる。

A「何のとりえもない私なんかが……あの子を守りたい」自殺してBさんを救う
B「何のとりえもない私なんかのためにAさんが……せめてCさんを守りたい」
自殺してCさんを救う
C「何のとりえもない私なんかのためにBさんが……」
以下略のような感じである。

千和ルートが最も高評価(といってもBだけども)なのは、この自己犠牲ルーレット+毒親物語が比較的薄かったためである。


これは繰り返しになってしまうが、『たった一人のあなたのために』歌を届けたともひろ、あるいは『あなたのための物語』と銘打つならせめて、
たった一人のあなたに届けるための、最低限の努力(つまり推敲)ぐらいはしてほしい。
テーマと、ライターの姿勢が完全に矛盾している。

クロルートの世界観はここまで複雑にする必要は全くなかったと思うのだが、
そこまでの世界観、過去―現在―未来が繋がっていて、「夜」の世界があるという
この設定自体は悪いものではなかっただけに、
構成を組みなおし、不要なシーン・文章は極力カットし(恐らく半分は短くなるだろう)
まともな文章で読めば80点ぐらいはつけたかもしれないと思うと、なおさら忸怩たるものがある。


なお、ここまで一言も触れていないが、Hシーンは全く抜けない。
それを目当てに買う人もいないだろうが、最後に一応触れておきたい。





記事検索
月別アーカイブ
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

プロフィール

fee

QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ