ゲーム関連

紙の上の魔法使い ネタバレ感想

81点
ビリビリ破いてしまいましょう。パチパチ焚(も)やしてしまいましょう。
なぜそうしないのか、疑問です。さすれば誤字も目立たないのに。
長文感想は夜子への愚痴が多いので、夜子ファンの方は回避推奨。







本作、「紙の上の魔法使い」は面白かった、とは思います。
しかし、私が好む物語傾向とは外れていたことも事実。
ここでは、その理由について書いていきます。


☆一本道シナリオのメインが、遊行寺夜子(クリソベリル)であることの辛さ


本作は、一般的な萌えゲー・キャラゲーではありません。
それは始める前からわかっていました。
人の暗い部分を描くため、ある程度ヒロインが『汚れ』役を被っても良いとは思います。
最後の最後で夜子が『告白』ができるくらいには成長するので、どうしょうもない少女の成長物語として、ある程度仕方のない面もあったのでしょう。

しかし……本作の遊行寺夜子へのストレスは強すぎました。


初対面の相手に対して「オマエ」と呼ぶ礼儀のなさ。
顔を合わすたびに「大嫌い・出ていけ」と瑠璃を口撃する品のなさ。
喧嘩をした後、自分が悪いと思っても瑠璃に謝れない幼稚さ。


遊行寺一族の排撃や、毒親である闇子さんが作り上げた、という意味で夜子もまた被害者だとは思いますが、
その闇子さんと、理想のメイドである理央に甘やかされて育った結果が、この無駄に偉そうな小娘、遊行寺夜子の現在です。

月社妃と四条瑠璃を殺し、日向かなたを4年もの間、不幸に陥れたのは夜子の故意ではありません。
夜子がもしも『いい子(注:feeが好む女の子)』だったら、「夜子の故意じゃないよ!」と擁護したかもしれません。
しかし、元々性格ブスな夜子が原因になってこのような悲劇が生み出された……のみならず、それがメインヒロインである(?)、という事実には、なかなか困惑させられました。

このような「汚れ」役を被せられるヒロインならば、せめて日常的にもう少し人好きのする性格に作ってほしかったな、というのが率直な感想になります。


また、最終章のクリソベリルにしても、彼女の悲惨な境遇は最後の最後で明かされますが、
正直『今更そんな事言われても』という気持ちが強いです。
今まで散々不愉快な思いをさせられてきた悪役に、「こういう事情があったんだ」と最終章で言われてもさぁ……。
せめてこのエピソードを中盤に挟むことはできなかったのでしょうか?
どう考えても、『魔法の本を破り捨てる』以外の選択は思いつきませんでした
(物語を読むために、仕方なく『破り捨てない』も選びましたが)




☆各章と他ヒロインについて

2章の「ルビー」はやや退屈でしたが、他ルートに関しては全般的に引き込む力をもっていました。
非常にストレスが溜まる、胸糞な物語ではありましたが、最後までクリックする手が止まらずどんどん読んでしまいました。

個人的には最愛なる妹、月社妃ちゃんがイチオシです。惚れてしまって当然です。

1章では散々だった、日向かなたちゃんの後半の巻き返しにも驚きました。
終盤ではすっかり頼りになる相棒として、瑠璃を支えてくれました。
個人的な好みとして、かなたを異性として好きかと聞かれると難しいですが、背中を預けたくなる女の子です。

伏見理央ちゃんは、悲劇の女の子としてかわいそうでありました。夜子の忠実なメイドとして、どうしてもインパクトは薄くなってしまいますが、とてもいい子だったと思います。

……だから、この3人を抑えて、夜子を選ぶわけがないんですわ……。

家に引きこもって本を読むだけの行為を責めるのはさすがにあれだとは思いますが、
学校も遊行寺家の謎の力で進級できているという恵まれた(?)立場。
対人恐怖症はかわいそうですが、家庭教師なり通信教材なりで学力だけでも最低限保つことはできるでしょうに、それすらしない本の虫。
白髪赤眼の美貌はリアルなら神秘的でしょうが、金髪ヒロインや赤髪ヒロインが咲き乱れるギャルゲ世界ではルックスで他ヒロインの優位に立てるわけもなく。

それでいて瑠璃が好きとか、どうなってるんですか!?
瑠璃が好きなら、せめて愛想ぐらい良くしたらどうですか?
瑠璃はドМなので気にしていないようですが、
読んでいる僕は終始この小娘との会話は苛々させられました。

瑠璃に告白もしておらず、あれだけ感じの悪い小娘が勝手に嫉妬して、かなたや妃を不幸にしていたと考えると片腹痛いものがあるのですが。
最後の告白で、若干救われる部分があったにしろ、
プレイ時間にして何十時間も耐えた末にこの小娘の成長を見せられても……という気持ちです。
(それでも、成長したこと自体は嬉しかったです)


☆どうでもいいが、どうでもよくない誤字脱字

ver1.6のパッチを当てても、ざっと100個以上の誤字があったように思います。
バックログ6行の間に、複数の誤字が収まってしまう事すら2回はありました。

少々の誤字は多めに見ますが、この誤字の多さはプロの仕事だとは思えません。
自分が書いた作品を、書きっぱなしにするのではなく、きちんと推敲してください。
推敲までが、書き手の仕事です。
私ですら、エロゲの感想文(たとえばこの文章)は2回程度は推敲しています。
自作小説を書く際には4回は推敲しています。

自分が書いた文章にある程度の誇りを持ち、他人に読んでもらいたい、他人に伝えたいと思う気持ちがあれば、そのぐらいはしますでしょう?
ライターにとって、この作品は、twitterのツイートや友だちへのLineのような、推敲などせず気楽に書き殴れる程度の愛着しかないのかと、そんなふうに誤解(?)してしまいます。
もちろん、ライターじゃなく校正の方(絶対いなさそう)の仕事でもありますが、この誤字の多さはやはりライター自身が推敲を全くしていないのだと思います。
それは、文章を綴る人間として、あまりにも無責任な態度ではないでしょうか。



☆本に対する愛情が感じられない

僕は、本を読むのが好きです。
この作品を読んだ方も、本(ノベルゲームも、本にカウントします)を読むのが好きな方がほとんどだと思います。

しかし、本作を読んで『本っていいよなぁ』と思う事は一度もありませんでした。
ただひたすら迷惑で災厄をもたらす『魔法の本』によって、被害者が出続ける展開に、
そんなに迷惑な魔法の本は、全部燃やしちまえよ、と思いました(遊行寺汀の立場)

レイ・ブラッドベリの「華氏451度」をはじめ、ディック・フランシス「重賞」、スティーブン・キングの「ミザリー」などの読書を通じて、
本が焼かれるシーンのつらさ・苦しさを経験したことはありましたが、

『こんな本なら燃やしちまえよww』と思ったのは初めての体験でした。
ライター氏は本が嫌いなのでしょうか? そんな事はないですよね?
なんだか、それすら疑ってしまうぐらい、本に対するどす黒さ、底意地の悪さを感じたゲームでした。

良い作品だとは思います。
なにせ、とり憑かれたように、凄い勢いで読めてしまいましたから。

が、個人的にこの作品が好きかと聞かれると、好きにはなれませんでした。

「アオイトリ」感想(バレあり)

70点。
姉妹編である「アマツツミ」に比べると、シナリオ↓ ヒロイン↓↓ エロ↓↓と、かなり見劣りする。
設定を大きくしすぎ、能力に頼りすぎ。感想は辛口なので、大ファンの方は読まないでください






低評価の理由はいくつもあるが、やはり姉妹編である『アマツツミ』との比較は避けられないだろう。

☆シナリオ全般について

『シナリオ』に関しては徹頭徹尾、『万能能力』で解決されるので白けてしまう。

なるほど、『アマツツミ』にも言霊能力があったが、それなりに『制約』が課されていた。
ところが本作では、そういった制約がほぼない。


『アマツツミ』のテキスト中に、『欠点のない万能な能力じゃ盛り上がらない』(うろ覚え)という文章があったが、まさにそれ。
あかりルートはまだしも、小夜・メアリーの両ルートは酷い。


単品で見た場合はそこそこ面白い理沙ルートは(あかりの次に面白かった)、
他ルートとの整合性が全く取れておらず、これはこれで酷い。
理沙の病気設定・悪魔の性格設定などが、他ルートと全く違っている。
1年経ったあかりトゥルーで理沙が生きているのは、明らかにおかしい。
クリスマス前のホームルームで、生徒の前で律を襲って社会的に死を迎えた理沙先生へのフォローも全くない。
僕は最初、この理沙ルートからプレイした。
そのため、理沙ルートでの悪魔の性格を念頭に置いてメアリー・小夜ルートを読んだため、すっかり混乱してしまった。

そんなわけで、理沙ルートは悪魔の性格も病気設定も『本編』とは違う、夢オチ的な扱いになっている。
酷い。


「演劇」が物語のベースであり、「主演女優」に選んだヒロインと結ばれる仕組みであるにもかかわらず、
小夜ルートでは演劇が中止で中身が不明、理沙ルートでは適当に流されているのも不満が募る。


あかりルートはさすがグランドルートということで盛り上げようとはしているが、やはりループ設定、奇跡設定のせいか感情移入がしづらく、「ふーん」で終わってしまった。


☆エロについて

「アマツツミ」の方がエロかったのは間違いない。

大きな理由として、主人公の律君がアマツツミの誠君よりも「潔癖」だからだろう。
いや、「潔癖」というのも気が引けるが、最序盤以外にはルートヒロイン以外とのHシーンはない。

まぁモラリストとしてはそれでいいのかもしれないが、そのせいで律との触れ合いを増やした
小夜・あかりが衰弱していくというのはあまりにも本末転倒で、
「いいから他の娘も抱けばいいのに」としか思わなかった。

「アマツツミ」の誠君が無節操すぎて感情移入できない、という感想もちらほら見たが、
そういう声に配慮してしまったのだろうか?
個人的には、物語が進んでもヒロインからの来襲があるアマツツミの方がよほどエロく感じた。
誠君は『里の常識』で生きている人だし、律君も『相手の負の感情を食らうため』にHをしていたのに、
それをやめさせた結果があれじゃ、お話にならない。
リアル路線の物語じゃないのに、奇妙な潔癖感を持ち込むなんて、Fu●kでしょ。
これはエロゲだぜ。


さて、全体の話はここまでにして、個別ヒロインで言うなら
陥没乳首の母乳王あかりと、3P大好き赤錆姉妹はエロかった。
しかし、あかりはシナリオ上安心して抜けない感はあるし、
逆に赤錆姉妹はエロは頑張っていたけど夢オチ的な扱いなのでなんだかなー。
織部こころ・水無月ほたるのダブルエロヒロインには勝てず、ここでも敗北。

メアリーは、Hの最中に目がハートマークになるのが苦手でした。


☆ヒロイン

メインヒロインである海野あかりの健闘が光ったが、それ以外のヒロインはやや力不足。
こころん&ほたるんの魅力には敵わなかった。

個人的に理沙先生は結構好きだったが、何度も言うようにシナリオが夢オチ……。
律の初体験という、ある意味大事なキャラクターなのに、それを活かしきれなかったように感じた。
メアリーも悪くはないが、顔かたちが似ているこころんと比べるとどうしても……。
小夜はあまり得意ではなかった(愛もあまり得意ではない)。

というか、小夜よりも赤錆美果子の方が魅力を感じたんだけど……美果子は巧く描けば絶対面白いキャラになったのにな。
『万能の力』なしで、あれだけ人間を超えてるキャラが描けるんだから、奇跡はほどほどにして、
そっちの線でやってほしかったですね。


☆総評

「アマツツミ」で書いた、

【『キャラ抜きゲーの、優等生』。ヒロイン良し(こころんとほたるんは最高)、エロ割と良し、シナリオテキスト割と良し。突き抜けたものはないけれど、丁寧に作られた良作キャラゲー】

に合わせると、ヒロインそこそこ良し(あかりは良い)、エロそこそこ良し(あかりと赤錆姉妹)、シナリオテキスト微妙。突き抜けたものはない、凡作キャラゲーという感じ。


最後に一つ断っておくと、メーテルリンクの「青い鳥」を読んでいません。
なので、実は「青い鳥」に絡めた、深い深いテーマが描かれていたりした場合、そこの部分は評価できません。
あらかじめ断っておきます。

美少女万華鏡 理と迷宮の少女 バレあり感想(80点)

怪奇ミステリ色が強い中盤まではなかなか面白い。終盤はなんだかなぁ、という感じ。シリーズで一番好きなのは「神の造りたもうた少女たち」、次点で「忘れな草」と本作です。


学園で頻発する「青蜘蛛の呪い」は、「オカルティックADV」の名にふさわしい質。
犯人がバレバレすぎるという欠点はあるけれど、事件を追いながら皇や月丘との親交を深めていく日々。
そして何よりじれったくなるような、蓮華との甘酸っぱい恋が描かれる中盤までは本当に面白かったです。

延々とびゃっこ氏を描いている生徒たち、これでもか、と畳みかけられる狐のエピソード
「こっくりさん」「玉藻の前」「きつねラーメン」「野干=薬缶」「白狐(びゃっこ氏)」。
学校の怪談チックな、音楽室やプールでの惨事、夜な夜な夢遊病のように出歩く主人公、
見える人にしか見えない神社、執拗に夏彦に迫るもよか。


ただ、面白かったのは、もよかとの対決まで。
『万華鏡めぐり』~『転生』の終盤は、今までほとんどなかったHシーンのオンパレードで、あれほど欲しかったHも食傷気味。
序盤からずっと相思相愛だった蓮華と、遂に結ばれたのは嬉しかったですけどね。
ストーリー上、本編ではHシーンを入れられなかったため、
事件が全て解決してから、後日談として大量のHを用意した、突貫工事的な印象を受けました。


万華鏡めぐりは、一応前作までの舞台背景や音楽などは出てきましたが、
本作で語られるような『愛』の物語だったかなぁ、と首を傾げたくなるところが少々。
(とくに、数日前にクリアした「罪と罰の少女」については、記憶が鮮明だったので、『そんなテーマの作品じゃなかったよなぁ?』と)
最終作なので、無理やりくっつけただけにも思えました。
何より転生話にするなら、『万華鏡世界の主人公たち』も、主人公と蓮華の転生って事にすればよかったのでは?
(「神の造りたもうた少女たち」は、ダブルヒロインなので難しいか)


転生後についても、蓮華とのイチャラブ以上に、皇が夏彦へ抱いてくれていた友情に、心を動かされましたね。
「青蜘蛛の呪い事件」の20年以上後だと思われるので、転生後の年代は、西暦2040年ぐらいなんでしょうか。もよかと高瀬先生がその後、どんなふうに歳を重ねたのかは気になります。
あの旅館はまだあるのかしら。


これにて「美少女万華鏡シリーズ」はおしまい。

ストーリー性の高い「読ませる」シリーズで、エロシーンも多いので好きでしたが、
最終作は逆にエロが物語の足を引っ張った感があって残念でした。
本作に限った事ではありませんが、基本的に本シリーズのHシーンは男性受け身なМ向けのシーンが多いので、
僕の嗜好にはあまり合わないんですよね。


なんか文句ばかり言ってしまった気もしますが、シリーズ通して楽しませていただきましたし、
本作も中盤までは本当に面白かった。蓮華もかわいいし、良作だと思います。



美少女万華鏡 罪と罰の少女 ネタバレ感想

72点。

想像以上の鬱ゲーでした。

主人公の夕摩は、鏡に映った自分を見て双子のお姉ちゃんを妄想し、
下着を盗んでオナニーするやべぇ奴、なのは冒頭でわかっていました。
なので、可憐な夕摩くんに萌えたり感情移入したりすることは正直できなかったし、
そんな主人公が姉にいたずらされたり、おばさんにレイプされたりしても興奮できないし、楽しみ方もよくわからず、物語中盤ぐらいまでは全然面白くなかったです。


夕摩の周囲も、精神虐待パパは論外として、
オカルト不気味女やら、全く空気の読めない苛々させられる女やらで、好きになれるキャラが一人もいなかったし。
最後まで読むと、その二人も主人公や夕莉よりはよほどまともなのですが。


中盤以降、夕摩君が単なる変態ではなくて、異常者だという事が薄々わかってきて、ある意味面白くなりました。
正直、僕の好みからは全く外れますが、そういう捉え方をするなら、悪いゲームではないなと。


夕香里と夕紀夫の子供が、夕莉と夕摩。
そしてエンディングで生まれる夕莉と夕摩の子供は双子。
この事から、恐らく『歴史は繰り返す』のだろうなと推測できます。

夕香里はカモフラージュのために他の男(礼二郎)と結婚し、
夕香里は実の息子である夕摩に性的虐待をし、夕摩は両親を殺して夕莉と結ばれます。

夕莉、または夕摩もカモフラージュのために他の誰かと結婚し、
実の息子や娘に性的虐待をして、実の子供に殺されるんじゃないかなと思いました。

夕莉も、夕摩も、『相手を籠の中に入れたがる・相手に依存をする』という夕香里の悪癖を、
きちんと受け継いでいますしね。


いちかルートは、今まで『美しく、完璧のように描かれていた姉』の『醜さ』が描かれるシーン
(母と同じだ、と夕摩が感じるシーン)に意義があったように思います。
母だけでなく夕莉も、他の女子と夕摩の関係を妨害していましたし
夕摩だけじゃなく、夕莉にもそういう悪癖があるということです。


ただ、夕摩に何故かめちゃくちゃ尽くしてくれる高橋さんが謎だったのと(金銭欲としか思えないけど……)
精神病院に入院しながら、夕紀夫おじさんの振りをして夕莉と手紙のやり取りをする事は可能だろうか?
という疑問は残りました。


☆タイトルの意味と、夕莉エンドラストについて


タイトルの意味がよくわかりません。
そもそも『少女』ではないですよね。これは『二人』の罪であるはずです。
まぁ、『~少女』というのが「美少女万華鏡シリーズ」タイトルの慣例ですので、仕方がないのかもしれません。


また、ドストエフスキーの『罪と罰』ともほとんど関係はないですね。
そもそもあれはキリスト教小説なので、宗教色がほぼない本作とは『罪』や『罰』の意味も異なってくると思いますし、
本作で言う『罪』と『罰』は、せいぜい『因果応報』ぐらいの意味合いでしかないと思います。


ロシア文学は苦手なので間違っているかもしれませんが、あの作品で言う
『罪』と『罰』とは、『悪行』とそれに対する『罪悪感・心の負担』の事だと思います。
つまり『罰』とは『他罰』ではなく、『自罰』です。

ラスコーリニコフは貧困と家族への想いから、金貸しの老婆を殺害しますが、
自らの罪に苦しみ、大層な殺人理論をでっちあげて、自己の良心を欺きます。
それが有名な『英雄が善行を為すためには、無価値な人間の生命を奪う事も許される』(テキトー)というものです。
その後、ソーニャという聖女(神と言い換えても構いません)と出会った彼は、やがて自らの罪ときちんと向き合い、自首をします。
ソーニャはそんな彼を見捨てず、シベリアまでついていきました。
ラスコーリニコフはきちんと反省し、ソーニャは傍で彼を見守り続けました。




しかし、そもそも、サイコパスである夕摩には『罪悪感』もありません。
『罪悪感』がない人間、良心が欠落してしまった人間には神もありませんし、
『罰』もまたありません。

夕摩が殺すのは全て『怨恨』殺人ですし(夕紀夫は殺されるほどひどい人間には思えなかったけど💦)、
そのことによって自分を正当化する必要性すら、彼は感じていないように見えます。
夕莉や、いちかなど他ヒロインも、もちろんソーニャのような聖女役は務めていません。
となると、ドストエフスキー的な『自罰』ではなく『他罰』。
因果応報。

では、何によって罰せられるかと言えば、上でも少し書きましたが、
『双子の子供』によって罰せられるという未来が想像できますね。


しかしこの一族は本当に罪深い一族というか、どうしょうもないですなぁ……。
救いのないゲームでした。

アマツツミ ネタバレ感想 81点

☆第1章  織部こころ シナリオ(本流)B+  キャラ A エロ A


一言主の末裔である言霊使いの誠が、里に降りてくる冒頭から、
織部家に『家族』として入り込み、お世話になったあずきさんの命を助けるまでのお話です。
愛が里に下りてくるまでの話、と言い換えてもいいですね。

冒頭部での誠は、隠れ里で暮らしていたため、『人間社会』の『善悪』が今一つよくわかっていません。
「悪い事をしてはいけない」という良心はあるのですが、
隠れ里で教えられたこと以外は、何が「悪い事なのか」がよくわかっていない状態です。

謎の少女ほたるは、そんな誠を『あなたはまだ何色にも染まっていない』と見抜きます。
唯一、『言霊』の力が効かないほたるが、誠をサポートする事により、誠は少しずつ『人間社会』に馴染んでいきます。

とはいえ、本作に出てくる『社会』は非常に優しいです。悪い人は出てきません。
なので、そんなヘンテコな誠でもなんとかやっていけますし、誠はそのエキセントリックなところも含めて、こころやほたる、響子にもモテモテでエッチにも誘われる、という何とも羨ましいエロゲ的展開が待っているのです!

嫌がる人もいるでしょうが、個人的には『こういうのでいいんだよ、こういうので!』という感じ。
しかも、本作は結構Hシーンにも力が入っているので、非常に嬉しいです。

というわけで、超かわいい妹(言霊の力で勝手に妹にした)こころにも慕われる、ウッハウハな日々が続きますが、こころの母親、あずきさんの寿命は尽きかけていたのでした。
あずきさんの命を救うため、命をかけて誠があずきさんを助ける、というのが1章の物語になります。

こころはH1とH3がエロかったですね。


☆第2章 朝比奈響子 シナリオ(本流)B+ キャラ B-  エロ B

あずきさんを助けた誠は、危うく命を失いかけますが、里から誠を追いかけてきた愛が誠を救います。
そして織部家にまた居候が増えての第2章。

教室に溶け込めない、コミュ障の響子。響子には霊感があり、それで浮いてしまっています。
また、響子には幼いころに親友の鈴夏を亡くした過去があり、鈴夏ともう一度会いたいと思っています。
そんな中、誠の言霊の力と、響子の霊感が合わさって、鈴夏の霊が登場。

というわけで、まぁよくある話と言えばよくある話なんですが、しんみりとまとまって良いお話になっています。ほたるルート以外だと第2章が一番好きですね。

ただ一方で、個別ルートは縁結びの幽霊がHなハプニングを起こし続ける、とかいう内容で
一番つまらなかったですw 


☆第3章 恋塚愛 シナリオ(本流) C+ キャラ B エロ B+

里では誠の許嫁だった愛。本音では、誠が隠れ里に戻る事を願っています。
そんな愛ちゃんが、嫉妬心にもかられて誠を翻意させようとするルートです。

愛ちゃんは悪い子じゃないんですけど、『私たち(言霊使い)は神だから、人と交わるのは良くない』というお説教一点張りで、具体性に欠けたのがこのルートの欠点……というか本作の欠点ですね。
過去の伝承なりなんなりを持ってきて、人と交わった神の悲惨な結末などを描き、愛に感情移入できれば良かったのですが。

キャラ的には、基本Мが揃っているヒロイン勢において、ただ一人のS属性なのでその辺が好きな人には良いんじゃないでしょうか?
個人的に、母乳が出るのはエロいとは思いましたが、なんで母乳が出るのかがさっぱりわからず、気になって夜も眠れませんでした。読み飛ばしちゃったところで説明があったかな?

個別ルートは、そんな愛のデレシーンが見られますし、人間的にも柔らかくなるので、個人的には割と好きです。


☆第4章 水無月ほたる シナリオ A- キャラ A エロ A-

一週間が過ぎると、過去の記憶をところどころ失う、謎の少女ほたる。
そんな彼女の秘密に迫る、最終シナリオがほたるルートになります。
ほたるルートは2つに分かれていて、『天津罪』ルートと『大団円ハーレム』ルートがありますが……まぁいっぺんに書いちゃってもいっか。

ほたるの正体は、実は『お人形』(生霊的な感じ)。
本体は病院のベッドで、残り少ない余命を過ごしながら、若くして病に倒れた不運を、世界を呪う少女です。
元々のほたるは『お人形』のように、快活で元気いっぱいの楽しい性格だったのでしょうが、
重病に倒れ、苦しんだ末にダークサイドに堕ちてしまったのでした。
オリジナルほたるのことを、ここでは闇ほたると書きます。


本作は『良い意味で』キャラゲーであると同時に、『悪い意味で』もキャラゲーだなと感じます。
まず、闇ほたるが、全然ムカつきません。むしろかわいいし、健気です。
闇ほたるは物騒で意地悪な言葉を吐き、主人公の誠は初め殺意を覚えるのですが、
読者の僕は殺意どころか、闇ほたるが不憫で不憫で仕方ありませんでした。
闇落ちしてなお、「こころんの親友は私だけ」と言い張るなんて、かわいいじゃありませんか……。
「あずきさんのケーキが美味しい」など、これ全然悪い奴じゃないだろ……。
自暴自棄になってやさぐれて口が悪くなっただけの、いい子やん……


なので、闇ほたるとの交流を深めていく『大団円ハーレム』ルートを普通に楽しむことができたのは良いのですが、一方で「そこまで闇だったか?」という疑問もあるのです。
しかし、某August作品のラスボスがあまりに不快だったにもかかわらず、ラストルートではあっさり許されて「ハァ??」ってなったこともありますので、
不快に感じない闇ほたるのバランスはちょうどいいのかもしれません。

その闇ほたるも「病院にいると人間の醜さがよくわかる」というようなことを口にしていますが、
具体的なエピソードは一切ありません。


『そして彼女はこの世の「悪」を語った。聞くに堪えない、人が人を傷つける、醜悪な現実を……』

引用↑


これだけですよw
そもそも、本作に出てくるキャラは基本全員いい奴ですし、これじゃピンときません。

まぁ、あまりに酸鼻な話を読まされるのもしんどいのでキャラゲーとしてはこれでOK
と思う一方で、「ごまかさずに、エグっていけよ!」と思ってしまったのも事実です。


☆総評

響子ルートの灯篭流しや、ほたるルートの夜の湖など、美しいシーンも多く、
キャラはかわいく、しかもエッチ。
シナリオもまぁ、マイルドではあるけれどバカらしくて読めないようなものではなく、
テキストは丁寧で、特に文句のつけようがない、優等生的、良作キャラ抜きゲーでした。

なんだかんだでいいゲームだったなぁ。









記事検索
月別アーカイブ
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

プロフィール

fee

QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ