本・映画などなど

自分用メモ わたしの本当の子供たち

☆ マークとの結婚 世界線A (トリシア)――カストロ暗殺、ロバート・ケネディ大統領など架空の世界線

6章

×× 冷たいマークと冷たい親戚

×退職

××マークとの痛いだけのセックス


8章

××クソ夫マークとの生活

〇母親との絆

〇〇初めての子供、ダグの存在

10章

〇〇ヘレン、ジョージ、キャシーの誕生

12章

△婦人運動

14・16・18章

△離婚の成立
〇フェミニズム講師の職を得る

20章

〇ヘレンの出産(パトリシアの孫の誕生)
▲母の死(同居)

22章

〇55歳にして初めての恋愛。デイビッドとの恋愛と別れ。(女性運動への意欲低下)

24章・26章・28章

×天安門事件(ソ連はゴルバチョフ、アメリカ・ドイツは架空首相)

×マークの死

××息子ダグの死(HIV)

30章

××孫ジェイミーの死(ジェイミーの死を忘れてしまった事)

☆ マークとの結婚拒否 世界線B――マッカーシズム、キューバ侵攻成功などの架空世界線

7章

――失恋の傷跡

〇ほっとしていたように見えるマーク

〇〇女友達マージョリーとのイタリア旅行

〇〇イタリア美術に目覚め、一人でもイタリアに旅行するようになる

〇レズビアンのローナと友人になる

9章

〇〇ベアトリス(女性)と恋に落ち、結ばれる

〇イタリアのガイドブックを書く

〇イタリアに住むようになる

11章

△反戦運動

13章

〇〇マイクルに依頼しての性行為、娘フローレンスの誕生

15章

〇〇ジニー、フィリップの誕生
△マークとの再会(彼に対する弱い嫌悪感)

17・19章

△母を老人ホームへと送る
××IRAのテロに巻き込まれ、ベアトリスが脚を失う

21章

▲母の死(老人ホームにて)

23章

××印パ戦争で核兵器使用

25章

××ローナ、マイクルの死。被ばくによる甲状腺がん。

27章・29章

××ベアトリスの甲状腺がん


☆☆共通頂

パットの同性愛指向(世界線Aでは娘のキャシーが同性愛、もしくは両性愛)

子供の一人が音楽家志望

パットの、社会運動への関心

教師指向(マークと結婚する前に教師をやっていたので、当たり前か)

パットの心臓発作、認知症など

作品感想キャスまとめ

アニメ 僕だけがいない街 感想(ネタバレ注意)

「文学少女と慟哭の巡礼者」 感想(バレあり)

なぜ、私は記事を書くのか

自分の事を知ってほしい。相手の事が知りたい。
自分の気持ちや知識、情報を相手に伝えるため、人類は会話を生み出しました。
しかし会話だけでは、目の前にいる人間としかコミュニケーションが取れません。
そこで、生まれたのが文字でした。

文字の誕生によって、遠くにいる人同士でもコミュニケーションが取れるようになり、自らの知識を後世に伝える事もできるようになりました。

そうした動きの中で、人の想像力は多数の物語を生み出していきます。
作家と読者は場所を超えて、時代を超えて、一つの世界を分かち合えるようになりました。

本というツールを通じて、作者と読者が素敵なひと時を共有する。
作者は物語を書くことで、読者を勇気づけ、笑顔を作り、
そんな読者の笑顔を見て、作者の心にも暖かな火が灯る。
お金をもらうために書くだとか、お金を払ったんだからその分だけ楽しませろというような、そういったつまらない商業主義ではなく、もっと原初的で素朴なWin-winの関係。
作者と読者の幸せな関係を、私は尊く感じます。
そうした想いは、本書の題材となった宮沢賢治や、
あるいは本書を描いた野村美月さんもまた、心に秘めていたのではないでしょうか。
私の思い違いかもしれませんが、だからこそ、私はこの本に心を動かされ、こうして記事を書いています。
この文章を読んでくれたあなたに、素敵な本を知ってほしくて。

変質していく目的(「文学少女と慟哭の巡礼者」の感想)

なぜ人は、物語を書くのか。
そうすることで、読む人を幸せにしたかったと、
本書の『悪役』であるミウは言います。
繰り返しになりますが、それは物語を綴る目的の中で、一番素朴で、一番素敵な『志』だと私は思います。

しかし、ミウは物語を描けなくなりました。
当然、彼女は、作家になれませんでした。
他者への憎しみに押しつぶされるようになりました。
ミウは他者から評価されるための手段として物語を綴るようになり、いつしか物語を綴り続ける事でしか、評価を得られない。
好きな人を繋ぎとめられないと、考えるようになってしまいます。

雨にも負けず、風にも負けず、
誰かの幸いのために、命を燃やすことがミウにはできませんでした。
デクノボーと呼ばれ、褒められぬ事に耐えられませんでした。

『誰かの幸いのために、命を燃やす』のではなく、
愛されるために、読者を自分に繋ぎとめるために、物語を綴るようになった彼女は、物語が生み出せなくなると、盗作に手を染めるようになりました。
純粋な『志』は無惨に変容し、ミウは何も生み出せない、本物のデクノボーになってしまいました。

物語の語り手であり、かつてのミウの半身でもあった井上心葉(このは)は、
ただ、大好きな人に気持ちを伝えようと、その想いのままに物語を綴り成功を収めます。
ジョバンニ(ミウ)は自分を置いていったカムパネルラ(心葉)に、妄執とも呼べる愛憎を抱くのでした。

そんな銀河鉄道の旅を影で操る『ブルカニロ博士』の正体はなかなかに意外で、完全にジョバンニ(ミウ)を食っている点もまた、エンタメとしてとても驚かされました。

文学少女シリーズの紹介(全8巻のシリーズですが、私が読んだ、5巻までの紹介です)

順番が逆になりましたが、ここでシリーズの紹介を簡単にします。
(いきなりミウとか心葉とか言われても困りますよね:汗)

本シリーズは、元新人賞作家(絶筆中)の少年、井上心葉(このは)と、『文学少女』である天野遠子の2人を中心に、2人にかかわる人々のドラマを描いた、作品シリーズです。

主に心葉視点で物語が進み、どうにもならなくなったところで、物語を解きほぐすため、満を辞して遠子が登場する。心葉をワトソンに、遠子をホームズに例えるなら、ミステリ的な骨格を持ったシリーズともいえると思います。
また、洋の東西を問わず、過去の文学作品を下敷きに物語を綴っていくという意味で、二次創作的なシリーズという事もできるでしょう。

どんな作品が下敷きにされているかと言いますと、
1巻が「人間失格」、2巻が「嵐が丘」、3巻が「友情(武者小路実篤)」、
4巻が「オペラ座の怪人」(原作未読です!読んでおけばよかった!)、
5巻が「銀河鉄道の夜」というラインナップになっております。

人間失格

人間失格著者: 太宰 治

出版社:三栄書房

発行年:2018

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嵐が丘 上

嵐が丘 上著者: 小野寺 健/E. ブロンテ

出版社:光文社

発行年:2010

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友情 新装版

友情 新装版著者: 小田切 進/峰岸 とおる/武者小路 実篤

出版社:ぎょうせい

発行年:2010

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銀河鉄道の夜

銀河鉄道の夜著者: 宮沢 賢治

出版社:三栄書房

発行年:2018

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特に2巻の「文学少女と飢え渇くゴースト」

“文学少女”と飢え渇く幽霊(ゴースト)

“文学少女”と飢え渇く幽霊(ゴースト)著者: 野村 美月

出版社:KADOKAWA(エンターブレイン)

発行年:2006

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における『狂気の愛・妄執』は、本家『嵐が丘』のインパクトを超え、魂の震える思いがしました。

1巻の「文学少女と死にたがりの道化」

“文学少女”と死にたがりの道化(ピエロ)

“文学少女”と死にたがりの道化(ピエロ)著者: 野村 美月

出版社:KADOKAWA(エンターブレイン)

発行年:2006

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にしても、虚ろな内面を愛想笑いで隠す、大庭葉蔵のキャラクターを見事に活写されていたように思います。

そして何より、宮沢賢治の生き方を通して、素朴な物語信仰を綴った本書。
全く売れず、社会から見向きもされなくとも、雨にも負けず、風にも負けずに物語を綴った宮沢賢治の生き様を改めて振り返る事で、
ワナビ(死語)としての私も、とても勇気づけられる想いがしました。
たとえ、ほとんどの人に読まれなくても、プロになれなくても、
伝えたい想いを文章で、物語を通して、綴っていきたいと、
改めてエネルギーが湧いてきた次第です。

まぁ、要らない茶々を入れるなら、病みキャラが多すぎだろ、
女性登場人物の半分がメンヘラやんか!と言いたくもなりますが、
『人間失格』で『嵐が丘』なので仕方ないかな、とそこは目をつぶってくださいw

あ、最後に、琴吹ななせちゃんがツンデレかわいいので、そこもプッシュしておきます!
最終的に心葉とくっつくのは、多分ななせじゃなくて遠子なんだろうなぁ。

2020年に読んだ本



S→味わい深く、いつまでも心に残りそうな作品

再起/ディック・フランシス……
Aに近いS。
フランシス86歳でも衰えず、内向的だが熱い情熱を持つ主人公が攻撃を食らい、そこから仲間の助けを借り、不屈の闘志で立ち上がる競馬シリーズの醍醐味は健在。
シリーズ内でも上位レベルで面白いが、唯一の不満点としては『いつも通りすぎる』ところか。
考えてみればこのシリーズ、主人公も敵も必ず男性であり、最後は1対1の決闘である。それ自体が悪いことではないが、今回は共犯に女性がいたのだから、どうせなら悪女キャラをもっと際立たせても良かったのでは?
やはり英国紳士に女は殴れないのだろうか。

間違いなく良作だが、シッド・ハレー4部作(「大穴」→「利腕」→「敵手」→「再起」)の中では、
最高作「利腕」と2位「敵手」に比べてやや劣るのでSをつけるのは甘い?
いやでも面白いしな。良作!

VA文庫版 Planetarian―ちいさなほしのゆめ―/涼本悠一

人口過剰問題解決のために、宇宙へと乗り出した人類だったが、それも廃れた。
『スノーグローブ』では、昔は大人気だったデパート屋上のプラネタリウム。今は客がほとんど来ないそこで、少年との再会を待ち続けるロボット、ほしのゆめみの姿が描かれる。やがて第三次世界大戦が起こり、人類世界は壊滅的な打撃を受けた。

人類を破壊へと導いたのは大量の核兵器、そして自らが作り出した、
シスター服の戦闘用ロボットたちだった(『エルサレム』)。

時は過ぎ、人類は地中世界に潜って生息していた。
星を見る事もなく育つ地球人たち。
シスターの女神像(ロボット)が見守る集落に、一人の旅人が訪れる。彼は、手作りのプラネタリウムを子供たちに見せた。
子供たちの心には、今はもう見る事の出来ない星々が強く焼き付いた(『星の人』)

月に、チルシスとアマントというAIの双子がいた。
チルシスは言葉を覚え、すくすくと育ち、アマントは『船』を作った。
やがてチルシスは、言葉を伝えるため、地球へと旅立った(『チルシスとアマント』)

全体を通して言えることは、『終末モノSF』+『(アシモフの)ロボット』+『キリスト教』の3点がモチーフになっていること。
海外SFで言えば、アイザック・アシモフのロボット三原則をベースに、
レイ・ブラッドベリの終末観を味わえる、しみじみものSF。


はじまりはセントラル・パークから/アーウィン・ショー……幸福に暮らしていた一家が、子供が巣立っていき、パパとママのやりたい事も変わっていって愛情はありながらも離れていく、しんみり系作品。
何とも言えない余韻。

三国志/北方謙三……記事はこちらに書きました。

インフェルノ/ダン・ブラウン……記事はこちらに書きました。

ありふれた祈り/ウィリアム・ケント・クルーガー……
90点を超える勢いだった中盤までと比べ終盤少し失速した感はあるが、
年間トップ10には入るであろう作品。
特に、前半の幸せだった家族、父と、姉のアリエル、主人公、弟のジェイクの5人の関係性が暖かい(母も一応入れてもいい)。
また、目の見えないエミールと耳が聞こえない自閉症のリーゼ、
そしてエミール以外にリーゼが唯一心を許す、どもりのジェイクの関係も良い。酒に溺れながらも優しいガスが新たな幸福を掴み立ち直っていく姿や、一度は崩れかけながらも再び取り戻した父母の絆も非常に暖かく、繊細で読ませる。
やや気になるのは後半。
町で次々と人が死に、姉のアリエルも犠牲となってしまう。
この物語のテーマは、キリスト教的な『人を赦すこと』にあると思う。
母は父を赦したし、ジェイクはリーゼを赦した。
しかし、父はエミールを赦せたのか、主人公や母はエミールとリーゼを赦せたのか。
もし赦せないのだとしたら、果たして『罪』が誰にあったかを明示する意味があったのか
(エミールの罪は、明かさずとも読めばわかるようになっている。リーゼはわからないが、果たして裁くことも赦すこともできないのならば、
『犯人を見つける必要があったのか』)。興味がある
割と急いで読んじゃったせいもあり、ぼくの読解力不足もあって
その辺がなんだかしっくりこずにモヤモヤが残った。
とはいえ、読み終えた後、主人公が過ごしたニューブレーメンの一夏が、読者の心に香るような素晴らしい作品でした。11歳のジェイクが、神。主人公はヘタレ。


ナイチンゲールの沈黙/海堂尊……
前作「チームバチスタの栄光」が、ミステリという枠組みの中での論理的美しさを表現していたのに対し、
作者は本作で、ミステリという枠組みに頼らずとも詩的物語の美しさを表現してみせた。
個人的には奇策(一発屋ともいう)である「バチスタ」の方が印象深いけれど、逆に本作では奇策に頼らずとも面白い作品を生み出せる事がわかり、作者への信頼感が増した。
瑞人と由紀、そして小夜の関係性。小夜の歌に乗せて、由紀が海辺に舞うシーンが殊更印象深い。
次作も読みます。


吉永さん家のガーゴイル11巻/田口仙年堂(再読)……
再読のつもりじゃなかったんだけど、このブログを検索したら9年前(!?)に一度読んでたわ……。
まぁとにかく、面白かったし癒されたのでおk。
バカ騒ぎの中にも優しさが混じるこのシリーズは、心の清涼剤ですね


文学少女と飢え渇く幽霊/野村美月……
まず、この作品はエミリー・ブロンテの『嵐が丘』のオマージュ作品である。二次創作、と言っても良いぐらい、『嵐が丘』の魅力に頼っている部分がある。そこを割り引くかどうかが難しいけれど、作者は明確に『嵐が丘』のオマージュであると明示しているので、パクリではない。
現代日本を舞台に、『嵐が丘』で描かれた、狂おしく鮮烈な愛憎を見事に再現し、更に一ひねり加えた
『ライトノベル版 嵐が丘 ver1.5』。
古典名作でありながらややとっつきにくい『嵐が丘』の猟奇的な狂愛そのままに、魅力を更に加える事に成功したと感じた。ただし、全300ページ中、面白くなるのは200ページ以降とスロースタートなのはネック。
殺して、犯して、吐いて、拒んで、奪い尽くす愛。
叩いて、縛って、鎖を打って、刺して、憎む、愛。
邪魔する者を全て殺して、
時を戻して、親族全て殺し、結婚さえも利用して、
ただ、相手の心に憎しみを刻みつけることで、
自分を覚えていてほしい、
そんな愛の物語ですね。

文学少女と慟哭の巡礼者/野村美月……感想はこちらで


文学少女と繋がれた愚者/野村美月……
このシリーズの特徴でもある、クライマックスの盛り上げ方、遠子先輩の口を通じて語られる作者の『魂の叫び』は必読。
過去の失敗に『繋がれ』て進めなくなったすべての『愚者』への、エール。
『どんな時も、心に理想を掲げる愚か者であって。失敗を恐れず行動する愚か者であって』。

一方、武者小路実篤の『友情』を『恋と再生の物語』と読み解くことはもちろん可能だけれど、前作の『嵐が丘』ほどの近接性はないような気がした点。
あまりにも小西さんがかわいそうで、結ばれて欲しかったという気持ちが1点で、ちょっとモヤッた。
けど、やっぱりこのシリーズ大好き。3作読んで全部85点以上なので、残り5冊大切に読みます。


クレイジーフラミンゴの秋/誼阿古……
中学1年生の女子、晴の初恋が描かれる作品。
「クレイジーカンガルー」と並んで、いやぁな感じのリアリティが強い作品だけど、
「カンガルー」の男子学生生活は全くなじめなかったのに対し、
こちらの「フラミンゴ」の方が心情的には共感できた。
同年代の男子の『ガキ臭さ』と、自らもまた『オトナとコドモの中間にいる、女子主人公』。
そして、年上の男性に感じる憧れと恋。
切なくて、良い作品ですね。
誼阿古はこの2作しか出してないけど、売れなかったのかなぁ。
明らかに売れそうな作風じゃないけど、『フラミンゴ』の方は良かったのでまた書いてほしい

A→読んで良かったと思える作品

五番目のサリー/ダニエル・キイス……
堅物で何もできないオドオド系のサリー、
みんなのまとめ役デリー、
知的で芸術を愛するノラ、
奔放でエッチ大好きなベラ、
乱暴で暴風のように物を破壊しまくるジンクス。

一つの身体に5人がいる、そんな物語。
ラスト、1人の人間になったサリーだけど、後ろ盾がいなくて本当に1人で生きていけるのか少し心配……


わたしの本当の子供たち/ジョー・ウォルトン……
パトリシアの『選択』(マークと結婚するか、しないか)が世界の運命を変えた理由を、【カオス理論】で説明するのはさすがに乱暴すぎやしないか?と思うので、SFというよりファンタジーと考えるべき作品かなと思った。マークとの結婚を選べば、悲惨な家庭生活が待っているし、マークとの結婚を選ばなければ大切な人を手に入れ、そして失う未来が待っている。
前者の人生はくすんではいるが、離婚後は概ね平穏で、
後者の人生は輝いてはいるが、大切な人々は次々に死んでいく。
この、ヒロインの人生選択において、
世界の変動は(核兵器使用による)『甲状腺がんの多発』という事象以外に特に変動はないため、
ヒロインの人生選択で、世界の歴史まで変える意義が個人的には見いだせなかったのは
僕が『世界平和』にほとんど興味がなく、『個人の幸福』を願う人間だからだろうか

作品内では『個人の幸福』と『世界の幸福』が対比されているように感じるけど、
どう考えても『個人の幸福』にしか興味がないので、
そこは対比にならないんだよなぁって。
しかし、本当にくすんで冴えない結婚生活が、『不幸な人生』なのかはちょっとわからないところはある。

どちらのルートをたどっても、最終的には認知症になって老人ホームに入れられてしまう。
まぁ、それが人の一生というものなのかもしれない。


四日間の奇蹟/浅倉卓弥……
知的障碍者の千織と、過去の悔恨を抱え続ける元ピアニストの如月。
2人がある日訪れた施設(重度障碍者居住ホーム)は、慈しみに満ちた真理子たちスタッフが運営する、楽園だった。
そこで起こった、四日間の優しい奇蹟の物語。「いい話だなぁ」と思うし、ディテールもきちんと描かれていて心に残りそうな作品なのだけど、
読者が『奇蹟』を無条件に受け入れられるかどうかで判断が分かれそう。
個人的には、「そんな事があってもいいんじゃない?」とも思う一方で、童話のハッピーエンドのような釈然としない気持ちも残る。
あと結局、最後、千織はどうなったん? 障碍者じゃなくなったってことでいいの?

文学少女と穢名の天使/野村美月……

文学少女と月花を抱く水妖/野村美月……

夏服を着た女たち(短編集)/アーウィン・ショー……
生々しくも、うまくいかない恋愛模様が多い短編集。
正直、(恋愛相手としては)ロクな女性が出てこないので、読んでいて厳しかったw
恋愛なんてするもんじゃないですね、と思ってしまったw

吉永さん家のガーゴイル12巻/田口仙年堂……
いつまでも時が止まっているかのような、愉快な御式町商店街にも、季節の移り変わりはある。
何より吉永家の長男、和巳が高校を卒業し、晴れて大学生になるのだ。
今まで相思相愛ながらも、『何となく』付き合ってきた後輩、片桐桃とも一波乱が起きたが、晴れて告白し、結ばれる。
「ガーゴイル」全15巻、時が動き出した12巻。

12巻単独の感想を書くなら、恋物語として悪くないと思うけれど、サイドエピソードとして流れる『チャック』の物語はインパクト不足、かなって思った。
和巳と桃の恋愛模様の話としては満足です。

月と六ペンス/サマセット・モーム……
型破りな天才画家、ストリックランドの人生を描いた作品。
40歳で一旗あげて、タヒチまで行って天才画家に!という人生自体には感銘を受けたけど、
ストリックランドの人格に嫌悪感が強くてちょっと辛かった(ストルーヴェさんがかわいそうすぎた)
ストリックランドさんの人格はさておき、
『責任』とか『良心』とか『しがらみ』とか『失敗への恐怖、挑戦への恐怖』とか、
そういったもの全てから【自由】になれれば
人生もまた【自由】に思いのままにデザインできるのかなと思った

復讐法廷/ヘンリー・デンカー……
娘をレイプし、殺した相手は法の穴を突いて無罪放免。
父親はレイプ殺人犯を撃ち殺し、自首をした。
父親の「意思」で、「故意に」撃ち殺した。法律の条文どおりならもちろん有罪。
しかし法の穴を突く凶悪犯は無罪とされ、父親は有罪。それで本当に良いのだろうか?
という物語。

何の役にも立たない「法律」は「変える」べきである。
誰にとっても有害な「ルール」に従うべきではない。
しかしそれと同時に、守るべきと定められたルールを各々が勝手に破るのも、それはそれで危ういとも思う。

「ルールで決まっているから」を思考停止の道具として採用し、冷酷に、機械のように人を裁く『法』の在り方と、
「明らかにルールが間違っている!」と『個人が判断する』ことの危うさとどちらが危険だろうか。
ただ、この父親が無罪になったのは、良かったと思う。
フィクションとしてみるならば。あるいは、特例・個別ケースとしてみるならば。


異邦の騎士/島田荘司……
面白かったんだけど、終盤、「今まで信じていたものは全部嘘だった!」的な、いわゆる「ドンデン返し」が起こります。起こるんですが、ドンデン返し前の方が面白かったんだよなぁ。
あと、割と救いがないのもちょっと悲しい。面白かったですけどね。

ラブコメ今昔(短編集)/有川浩……
Bに近いA。自衛官をモデルにした恋愛短編集。
表題作「ラブコメ今昔」、3番目の「広報官走る」、6番目の「ダンディライオン」は面白かったし、
2番目の「軍事とオタクと彼」や5番目の「秘め事」あたりは正直あまり面白くなかったので評価に困るけど、読みやすいしいいんじゃないかな?

赤い予言者/オーソン・スコット・カード……
精神的なインディアン的世界観と、物質的な西洋白人の相容れない世界観の対立を、実際の史実を基に描いた歴史ファンタジー作品。
最後30ページ、無理やり駆け足で物語を締めた感じが拭えないのが残念だけど、そこまでは面白かった。

密封/上田秀人
……徳川家基の怪死と田沼意知暗殺事件をベースに、その闇を探る歴史ミステリ+バトルもの。
徳川一族の系譜が頭にないと、本気で混乱するので、家系図をつけてほしかった。面白いけど、江戸時代の知識がないと読みづらい。バトルはどうでもいい。

国禁/上田秀人
……1800年代初頭、徳川家斉の時代を舞台にした歴史陰謀もの+チャンバラな小説。
歴史陰謀部や江戸時代の蘊蓄が面白い。
主人公の人間関係とか、アクションシーンなどのエンタメ部分は小説としてはあまり面白くないけど、江戸時代のお勉強的な意味では面白いので続きを読むかどうか迷う。

侵触/上田秀人
……相変わらず、
江戸時代の陰謀→奥右筆が狙われる→ボディガードの主人公がバトル
→倒す
の公式で済まされる話ではあるけど、江戸時代の豆知識部分が面白いのが魅力。
しかし、江戸時代って本当に身分に強く縛られていて、皆が『家』の『禄』(お給料)や『家格』を少しでも上げよう上げようとし続けているのが息苦しいなぁ、という感想は変わらず。
というかそういう時代だったんでしょうね、多分。平和な時代で大きな変動が起こらなかったため、身分も固定され、先祖代々の『家柄』や『功績』で給料が決まり、生き方が固定される時代。
たぶん、黒船が今後襲来したり、大きな争いが起こるとはまだ誰も思っていなかった時代だとそうなるのかなぁ。『今』がずっと続く事なんて絶対ないのに、人間は、『今の社会体制』がずっと続く事を前提で、考えるものだなぁと思いました。



B→暇つぶし以上の有益な何かを得た作品

マリオネットの罠/赤川次郎……赤川次郎らしからぬ(??)割と重たい雰囲気。サスペンススリラーとしてさすが赤川さんと思わせる出来だけど、最後のどんでん返しは要らないし、ヒロインはひたすら気の毒だし、まぁ何というか(彼の中での)異色作だなぁと
しかしこれがデビュー作ですか

灼熱の小早川さん/田中ロミオ……
汗フェチの、汗フェチによる、汗フェチのための作品。

非常にリアルでいやぁ~~~な『空気・同町圧力』が立ち込める1-B。それを是正しようとする、痛々しい女子高生、小早川さん。
やる気が空回りして、どんどん堕ちていく小早川さんが遂にエロ自撮りに走ったシーンは、図らずも興奮した。
小早川さんが脱いだYシャツの脇の部分がちょっと湿ってた、って話でええんか??


ジェネラル・ルージュの凱旋/海堂尊……「ナイチンゲールの沈黙」の裏にあたる物語だけど、
個人的に好きなキャラがいなかったせいか、ちょっとけん引力に欠けたかな。つまらなくは、なかったけども。救急病棟、小児科病棟の慢性赤字体質の話。

ロケットガール1 女子高生リフトオフ/野尻抱介……
宇宙に行くまでがひたすら長いが、宇宙でのシーンは読ませる。想像以上にSFしている。
ただ、地上の人間たちが好きになれないし、まぁ続きは読まなくてもいいかなって感じ。

マリア様がみてる リトルホラーズ/今野緒雪……
リトルホラーと銘打っているように、奇妙で不思議で宙ぶらりんな話が集まっている。
『ワンペア』が怖くて、『ハンカチ拾い』がロマンを感じて良い。
ただ、良くも悪くも宙ぶらりんなのと、最後の『胡蝶の夢』(&【糊付け部分の、リトルホラーズ】)が一番つまらないため、読後感はちょっとしっくりこなかった。
また、祥子様たちが卒業してしまい、代わりに入ってくる新入生もまだいないので、物足りなさもあった。



アリアドネの弾丸/海堂尊……
前半は「イノセント・ゲリラ」に引き続きAi推進派 VS Ai拒絶派の論戦に終始し、退屈。
中盤以降事件が動きミステリとしては面白いものの、被害者・加害者共に魅力はなく、(加害者は不気味ではあるが)、ミステリとしても人間ドラマとしても最高峰の「チーム・バチスタ」や
、詩情イメージの美しさが印象深い「ナイチンゲール」にはだいぶ落ちる。

リオノーラの肖像/ロバート・ゴダード……時が過ぎ、少女は大人になる。
庭園を去り、新しい住人が庭園に住み、そして新しい物語を、繰り返された物語を。役者を変えて再演される物語。
過ぎ去りし過去は、夢幻のように揺らめき、いつかそこで起こった事実も、時の中に忘れられていく。

夏の日の声/アーウィン・ショー……面白いんだけど、感想に困る。
今は50代になった主人公が、近くの公園(学校?)で行われている息子の野球試合を見ながら、
自分の半生を思い出す、そういうお話。
サッコ&ヴァンゼッティ事件、世界大恐慌、第二次世界大戦があった主人公の人生、
子供の頃の野球の思い出、野球の試合のメモをひたすら取っていた父親の思い出、
サマーキャンプの思い出、弟との友情(兄弟の場合友情っていうのかな?)
奥さんとうまくいかず不倫をし、不倫相手にガチ恋をしたけれど、やがて奥さんを再び愛するようになる、そういった色々なことが主人公の人生を流れていったけれど、
次代は変わり時が流れ、少年は父親になり息子を設けた。
そして今日も少年は野球をし、父は息子を見守るのだった。

説得/ジェイン・オースティン……
周囲の反対で別れた元カレと8年ぶりの再会。から始まる恋物語はさすが少女漫画の祖オースティン。
面白かったんだけど、山場をもう少し盛り上げてほしかったところ。

狭き門/アンドレ・ジッド……
とりあえず、コンプレックスをこじらせまくって、信仰と自罰に逃げた女の話、だとしか思えなかった。主人公はジュリエットを選んでおけば良かったのに。

ダフニスとクロエ―/ロンゴス……
海と牧場と初々しい恋と爽やかなハッピーエンド。たまにはこういうのもいいね。

剣の名誉/エレン・カシュナー……Cに近いB。キャラクターの恋愛模様などがとても面白かったけど、
悪役が中途半端すぎて、そちら方面ではイマイチ。同性愛全開でちょっと驚きました。

殺意/フランシス・アイルズ……嫌な奴しか出てこない、嫌キャラ王者決定戦。個人的には最ウザのマドレインは死んでほしかった(酷い感想)
あと、ネタバレだけど(反転)
最後の2ページ絶対要らないでしょ。悪人に裁きがくだらないとまずい、というためだけに付け加えられたような唐突なエンドだけど……。
奇跡の輝き/リチャード・マシスン……
感動系小説かと思ったら宗教小説だった。まぁ、それはそれでいいけど。
天国が本当にあるといいですね。

奇跡の少年/オーソン・スコット・カード……
えーと、これは完全にシリーズの第1巻ですね。続きが気になりますね。
続きが気になるんですが、これの次の2巻(赤い予言者)までしか翻訳されていません!
酷いです(😢)

シカゴブルース/フレドリック・ブラウン……
ブラウン好きだしこの作品も悪くないけど、そこまででもないかなぁ。青春ミステリ。


アドレナリンの匂う女/ジェームズ・ケイン……
悪女サスペンスなんだけど、悪女に魅力を感じないとつらいところがあった。

刃傷/上田秀人…… 今回は(今まで単なる守られ役だった)併右衛門の活躍と、法廷モノにも繋がるような裁判(??)シーンが見所。 あと、主人公の衛悟とヒロインの瑞樹が結ばれて、良かったね!ただ、毎回何かというと変な輩に囲まれる『安定(マンネリ)』のシリーズ展開や、単に続刊が手元にない事も含めて、このシリーズはここまででいいかとも思う。
毎回チャンバラがあるのに、悪役の魅力がないのは厳しいよなぁ (最近は伊賀忍者とよく戦ってるけど)

罪と罰/ドストエフスキー……感想キャスはこちらです

創竜伝1/田中芳樹……
真面目で優しい頼れる長男、クールで毒舌ホスト系の次男、
やんちゃで元気な三男、おとなしいけど怒ると一番強い四男。
ドラゴンの血をひくこの四兄弟が、暴れまわるエンタメバトル。
キャラクター小説として四兄弟に魅力があるので、そこを楽しむのがお薦め。悪役がネット右翼な言動を繰り返したり(作者はネトウヨ大嫌いだと思われる)、
クレーマーみたいな読者から来たファンレター(というか中傷メール)を公開したりと、色々とやりたい放題かましているので、
そういうのが苦手な人は注意ね。
ぼくはまぁ、「作者、楽しそうだなwww」って思ったけど、
割と危ういバランスというか、もう少し踏み外すと途端に嫌になると思う。

クレイジーカンガルーの夏/誼阿古……
田舎に住む中学生のもとに、東京から「異分子」の少年がやってくる。父母の離婚問題で、彼は一時的に預けられたのだ。
母親に会うために、田舎町から東京に電車を乗り継いで向かう、昭和版スタンドバイミー。
リアリズム溢れる昭和の田舎描写は善し悪し。
まるで作者の少年時代をそのまま振り返ったような、『ホントっぽさ』が、逆に『田舎のいやぁ~な、湿った夏』を思わせる。
それがリアルで良いとも思うけれど、
『機動戦士ガンダム(初代)』の話が頻繁に出てきたり、富野由悠季と宮崎駿とはっぴぃえんどhttps://youtube.com/watch?v=DpnSNRvG6rw
とに彩られた男子学生の青春に、
懐かしさを感じられるかどうか、と言われると「わからねぇ……」ってなってしまう。
あと、男なら「『あげる』じゃなくて『やる』といえ」とか、男が台所に上がるのは恥ずかしいとか、なんか色々、昔の人って何考えて生きてたんだろなぁってなった。


脂肪の塊/モーパッサン……
ドイツに占領されたフランス。
フランス人の娼婦はドイツ人に抱かれるのを断るが、
自分たちが酷い目に遭いたくない『同胞』のフランス人が、娼婦をドイツ人に差し出す。
帰ってきた娼婦は、ドイツ人に抱かれた女だとバカにされるのだった

C→暇つぶし程度にはなった作品

デミアン/ヘルマン・ヘッセ……自立して新しい世界を切り開きなさい、という超人思想的なお話、でいいのかな?
そうとしか読めなかったんだけど。

イノセント・ゲリラの祝祭/海堂尊……
本作で表現される、日本の官僚制度の腐敗や、医療現場の置かれた厳しい現実など、作者の想いが伝わってくる作品。
ただし、作者の熱意が強すぎるあまり、小説の体をなしておらず、これではほぼ論文のよう。
会議室という狭い世界での論絶バトルということもあり、法廷モノのような緊迫感を期待したが、それもなしで、氏の作品の中で初めて「あまり巧くないな」と感じた作品。
とりあえず1作のうち20回は「言い放つ」という単語を見たけど、そう使う単語でもないので、悪目立ちしている。

ポンスン事件/クロフツ……つまんない事を言うようだけど、卑劣な恐喝犯は死んでほしかったと思うの。

ダンシング・ベア/ジェイムズ・クラムリー……前作の「酔いどれの誇り」は名作だったんだけどなぁ。今回はただドンパチやってるだけだしなぁ。

秘闘/上田秀人……徳川家基暗殺事件は、1巻の「密封」でもう解決したやろ……? 何故もう一度出してきた??

隠密/上田秀人……上田秀人の「奥右筆秘帳」7巻『隠密』読了。69点。
今回は繋ぎの巻。
最後に主人公とヒロインとの仲を、ヒロインパパが認めてくれるところで終わるので「良かったのぅ」という気分にはなるが、
さて本編の内容が面白かったかと言われると うーーーーん、、、前巻ほど酷くはなかったけど……
シリーズ全体の特徴として、
何やら怪しげな陰謀により、奥右筆であるヒロインパパが襲われる(主人公が護衛)。
毎回チャンバラ! とこんな感じなんだけども、
人物描写に魅力が感じられないため、毎回襲ってくる奴が同じように感じてしまう。
辛うじて冥府防人だけは存在感を出しているけど、それ以外の甲賀忍者、伊賀忍者、お庭番、お山衆に個性を感じるかと言えば感じないし、それは津軽藩士や薩摩藩士、松平主馬守の部下なども同じ。
本当に全方面から命を狙われているんだけど、毎回同じことをしている感が付きまとう。
謎自体も、1巻で明かされる徳川家基暗殺事件が最大の謎で、3巻の大奥の物語も面白かったけど、それ以降はトーンダウンしているというか。

コロナもあって、買っちゃった8巻までは読もうかなと思うけど、
読むのは3巻までで良かったかな、って思った。


D→自分には合わなかった作品

銀の匙/中勘助……

星界の紋章Ⅰ 帝国の王女/森岡浩之……

上中下巻の全3巻の作品を、上巻だけ読んで評価するようなものなので、正当な評価は不可能。
そのうえで、とてもじゃないけどしんどいのでここで離脱。

アーヴという『宇宙エルフ』のような存在が設定・容姿(イラストがあるので)ともに魅力的で、アーヴ社会についての考察が割と細かい。
そこが作品の魅力になってはいるのだが、アーヴという存在単体だけで読むにはあまりにもしんどいのが、ぼくの本音。
原因は漢字に振られた大量の『アーヴ語』ルビ(カタカナのルビ)。
架空言語はたまにファンタジーやSFで見るが、読みやすく処理できている作品もある中で、大半の作品は実に読みにくい代物になっている。
本作もその悪例。
ラフィールは確かにかわいいし、アーヴは魅力的。けど、ごめん、むり。


E→プロ作品として見るにはつらい作品
 

ペルソナ×探偵NAOTO/間宮夏生

雑、の一言に尽きる。それ以上書く意味があるだろうか……。作者、推敲した?
誤字脱字も凄いし、論理の飛躍も酷いし、テーマの踏み込みもない。
評価ポイントは直斗の巨乳だけ。

ドラマ版「螺鈿迷宮」見終わりました(ネタバレあり)

82点。原作は未読なので、比較評価などはできません。


☆概要

本作では大きく2つの事件が取り上げられています。


①碧翠院連続安楽死事件

②立花、戸山連続殺人事件


うち、②に関しては正直『どうでもいい』です。
ただ、いつも以上に田口君も白鳥君も鈍くて、「そこはもうわかってるから!」という部分を
(視聴者の僕からは)1話遅れで解き明かしたり、葵くん(原作では女性らしいですね!)の発作のタイミングがドラマ的に都合が良すぎる気がしました。
強いストレスを与えたら発作が起こるように思ったのですが、それなら終盤の白鳥尋問時に発作が起こってもおかしくないし、発作が起こって暴れたらそこでおしまいな気もして、ちょっと雑だなと感じました。


☆碧翠院病院と桜宮一族――楽園の崩壊――

印象に強く残るのは①。

患者たちの、そして一家の大黒柱である人情味あふれる父、巌雄。

二重の意味で『レイプ』と『悲劇』に晒されながら、なんとか生きる姉、小百合。
彼女には『喪に服す未亡人』のような、諦観にも似た悲しみを感じます。

そして、視野は狭いながらも誰よりも純粋な心を持ち、社会の不条理に傷ついていく繊細な妹、すみれ。

彼ら・彼女らが行っているのは、終末期を迎えた癌患者の緩和ケア。ホスピスと呼ばれるもの。
そこで行われるのは延命治療ではなく、残された寿命を『苦しみなく、幸せに生きていく』治療。
そして、最後に患者が迎えるのは、痛みのない、安らかな死(=碧翠院による、安楽死)。

それは現代日本の法に触れるかもしれないけれども、残された寿命をもがき苦しんで、ただ痛みと絶望に塗りつぶされて生きるよりも、幸福な安楽死を遂げたいというのは、多くの患者の希望ではないでしょうか?
私には、碧翠院は多くの患者にとってと同じように、理想的な病院だと感じられました。


☆心に響かない、白鳥・田口の『安楽死否定』

一方、主人公側の田口・白鳥コンビはそんな碧翠院の罪=『安楽死殺人』を暴く側になります。
個人的には主人公側が、必ずしも共感できる存在でなくてはいけない、とは思っていません。
しかし彼らが、とりわけ白鳥がなぜそこまでして『安楽死を否定するのか』。
これが全く見えてきませんでした。
法律で悪と決められているから裁く。
厚労省役人としてはそれでいいのでしょうが、破天荒な白鳥のキャラクターを考えると、それだけを理由にするには違和感があるというか、これでは単なる『体制側のイヌ』でしかないように感じました。


安楽死を否定するには様々な理由があると思います。

たとえば、安楽死に見せかけた、医者の殺人事件が起こる可能性が最たるもの(A)でしょう。
他にも、遺族の気持ちの問題(B)もあります。

しかし、本ドラマではAについては全くと言っていいほど触れられません。
より問題なのはBの方で、ここを描ける機会はいくらでもあったように思います。


安楽死殺人=自殺幇助で人々を『救って』きた父の巌雄は、
8年前、死を懇願する息子の葵を救うことができませんでした。
『生死を左右する神』としての巌雄ではなく、『遺族として、息子を愛する人間』としての巌雄の弱さと人情によって、巌雄は葵を救えなかった
そして8年間、葵が生きてきて幸せだったようには、私にはまったく思えませんでした。

さて、8年後。再びその時はやってきました。
碧翠院の炎上。父の巌雄と母の華緒の自殺の輪に、葵も迎え入れられる事になります。
小百合とすみれ、二人の姉妹をこの世に遺したまま。

小百合は、一家3人の自殺をどう受け止めているのでしょうか?
すみれは、どう受け止めているのでしょうか?

安楽死を望む患者、自殺を希望する人間を、遺された人間はどう受け止めれば良いのでしょうか?
日々を苦しみ続ける絶望者たちを、『生きていればきっといいことがある』とか『自殺は良くない』という何の力もない言葉で片付けて良いものなのでしょうか?


桜宮一族の作り上げた理想の病院は私にはとても眩しく、
田口・白鳥の今回の立場は、あまりにも白々しく、私の心には映ったのでした。


あとは、3話ぐらいで巣立っていった女子バレー部顧問の先生のその後も全く不明だし、
田口先生とすみれの関係も深めようと思えば深められたし、もうちょっと色々できたんじゃないかなぁ、もったいない。


というわけで82点。
心に残る作品だった事に間違いはありません。







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