本・映画などなど

レイ・ブラッドベリ「太陽の黄金の林檎」読書対談のご紹介(5/18更新)

ホームページオブ百合機械、管理人の残響さんと、
「太陽の黄金の林檎」の読書会を行いました。

1冊の本について、7時間以上の対談を行うというのは人生において初めての体験でした。
素晴らしい機会を与えてくださった残響さんに、深く感謝いたします。
とまぁ、かしこまって言うのもなんなんですが、楽しかったですw

対談の模様はこちらにて公開しております。
まだ部分的にしかお見せできませんが、どんどん公開していくのでよろしくお願いします!

(5/21追記)

ちょっと都合がつかず、UPが少し遅くなってしまうかもしれません。
意外に早くできるかもしれず、それはまぁお互いの状況次第ということになりますが、気長にお待ちくださいませ。
「近日公開予定」になっているものは、既に対談を終わり、編集を残すのみとなっておりまして、
それ以外のものはまだ対談はしておりませんが、既にお互い読了済み、という状況になっております。


『太陽の黄金の林檎』 up状況

・霧笛        

歩行者       4/2公開

四月の魔女     5/16公開 

・荒野        諸事情により、この作品の対談は見合わせました

 ・鉢の底の果物    5/16公開 

・目に見えぬ少年   

・空飛ぶ機械     5/16公開  

・人殺し       4/2公開

・金の凧、銀の風  近日公開予定

・二度と見えない   4/2公開

・ぬいとり     5/18公開 NEW

・黒白対抗戦    5/18公開 NEW

・サウンドオブサンダー 

・山のあなたに

・発電所

・夜の出来事   5/18公開 NEW

・日と影     5/18公開 NEW

・草地

・ごみ屋     5/16公開 


・大火事     近日公開予定

・歓迎と別離

・太陽の黄金の林檎 

ジョン・ハート「キングの死」読了(軽バレあり)

評価は A+

「川は静かに流れ」、「ラストチャイルド」と、家庭の悲劇を描くジョン・ハートの、これがデビュー作。
やはりと言おうか、この作品も家庭の悲劇を扱った作品だ。


「キング」とは、主人公ワークの父親である。
裸一貫で成り上がった実力者であり、権力欲・支配欲・金銭欲にとりつかれた人物だ。 
その彼が、死んだ。

ワークにはジーンという妹がいる。
ジーンは夫を亡くした後、自殺未遂を繰り返し、精神病院へと入ってしまった。
そこで知り合った謎の女アレックスと、レズビアンの関係を結ぶ。
その女、アレックスは、かつて実の父親にレイプされていた。そしてその父親を彼女は殺害した過去を持つ。
「キング」は当然、ジーンとアレックスの交際には強く反対していた。

ワークは、売れない弁護士である。
あまりにやる気がないが、父親に誘導されるままにこの職を選んでしまった。
ワークにはバーバラという妻がいる。正直全然タイプではないのだが、父親に誘導されるままにこの妻を選んでしまった。
そして、ワークには幼馴染の恋人ヴァネッサがおり、バーバラには隠れて不倫をしている。
ワークの人生は、「キング」の言うなりだった。


「キング」が妻を……ワークとジーンの母を殺した日、ワークは見て見ぬふりを選んだ。
そしてワークとジーンの関係は壊れた。


そんな、ワークの人生を支配していた「キング」が死んだ。
犯人は誰なのか。
そういった、ミステリとしての魅力もさることながら、やはり最大の読みどころはワークの成長だろう。

ヴァネッサとの関係、ジーンとの関係、バーバラとの関係。
そして亡き父との関係を見つめなおし、ワークは新たな人生を歩み始める。
ワークが歩んできた人生は、お世辞にも、立派な人生ではなかった。
それでも、傷を抱えながらも人は生きていく。


「キングの死」はジョン・ハートらしい、家庭の悲劇を描いた傑作ミステリである。
「ラストチャイルド」こそが彼の現時点での最高傑作だと思っているが、本作もそれに勝るとも劣らない、素晴らしい作品だった。


 

作家別読書紹介(古い海外小説編)

普段は作品ごとに書いているんですが、作家別にちょっと書いてみようかなと思い立ったので。
自分が読んだものだけなので、とてもいい加減です。


☆ホラー

○スティーブン・キング

説明不要の、ホラー小説界No1作家。
身近な恐怖を描けば右に出るもののいない作家だと思います。

好きな作品を挙げていけばキリがありませんが、
「ザ・スタンド」、「死のロングウォーク」、「ファイアスターター」、「デッドゾーン」、「グリーンマイル」、
あたりが推薦作でしょうか。
あまり沢山薦めても読みづらいでしょうし……でも、他にも薦めたい作品は多数あります。

終末世界での善と悪の衝突を描いた超大作ホラーファンタジー「ザ・スタンド」
「バトルロワイアル」の元ネタでもある、キング最強のホラー青春小説「死のロングウォーク」
国家権力に追いかけまわされる超能力者の恐怖を描いた「ファイアスターター」

ホラー小説の巧い作家は、人間心理を描くのが巧い作家でもあります。
未来予知能力を持ってしまったジョン・スミスが、予知に従って未来の独裁者候補と戦う「デッドゾーン」
そしてただただひたすらに悲しく美しい「グリーンマイル」など、
深く考えさせられる作品も多数残しているので、単純に「ホラー=怖い、気持ち悪い」と食わず嫌いをしている方がいれば、騙されたと思ってホラー色の薄い作品を読んでみてください。

○ディーン・クーンツ

キングに次ぐホラー小説の大家らしいです。
まだ2作しか読んだことがないのですが、「ファントム」は面白かったですね。
今後読んでいきたい作家の1人です。

○シャーリー・ジャクスン

スティーブン・キングが影響を受けた作家の1人で、
閉じられた世界で描かれる、狂気と幸福の姉妹愛「ずっとお城で暮らしてる」はやはり見逃せません。

☆歴史小説

ハーマン・ウォーク

頭のおかしなクィーグ艦長と、それに反抗する副官。
いくら頭がおかしいとはいえ、上官の命令に従わなかった副官は軍事法廷で裁かれることになる……
果たして、副官の運命はいかに……という単純な軍事法廷ドラマに留まらず、
感動あり、恋愛あり、どんでん返しありの長編「ケイン号の叛乱」は人物を深く描いた名作です。

第二次世界大戦前夜~真珠湾攻撃までを扱った歴史大作小説「戦争の嵐」も、ボリュームが気にならず、
めくる指が止まらないほど面白いので、第二次大戦に興味があるけど、「お勉強」ではなく、「楽しみながら知りたい~」という方はこちらもぜひ!

ジェームズ・クラベル

アジアを舞台にした歴史小説シリーズ「アジアン・サーガ」4部作が素晴らしい…と言いたいのですが、2作しか読めませんでした。絶版だったり未訳だったりするんですよね。
三浦按針(ウィリアム・アダムス)を主人公に、江戸時代の日本を描く「将軍」は、一人の外国人が日本文化を理解し、同化していく様子を当時の欧米事情やユーモア、ロマンスなども交えて描き切った贅沢な作品。
ドラマ版では若き日の島田陽子の美人ぶりも楽しめます。

そんな「将軍」以上に感動したのが、「キングラット―チャンギ捕虜収容所―」
一つの楽園の崩壊、価値観の大きな転換が描かれるこの作品では、何が本当に幸せなのかを考えさせられました。
文庫にもなっておらず、手に取りにくい作家ですが、是非読んでみてほしいと思います。


ジョン・ジェイクス

ケント一族を主人公に、巻ごとに主人公を変えながら
18世紀のアメリカ独立戦争から、ゴールドラッシュ、米墨戦争、南北戦争、米西戦争などなど
ケント一族とアメリカの150年の歴史を振り返る、大河小説シリーズ「ケント家物語シリーズ」がお薦め。

全8巻でハードカバーOnly、おまけに誤字脱字が山ほどあるやる気のない出版社、
とどめに、アメリカの歴史小説って、日本人の皆さんは興味あるんですかね……? という疑問など
数々湧いてくるのだけれども、
そこはそれとして。

全8巻中6冊を読んだ私としては、やはりこのシリーズはお薦めするに値する面白いシリーズだと思っています。
できれば順を追って読んだ方が良いとは思いますが、一作一作ストーリーも完結していますし、
順番どおりに読まなくても大丈夫です。

個人的には第一作の「私生児」をまず手に取ってほしいですね。
第四作の「復讐者」もとても面白かったです。


☆ファンタジー

リチャード・アダムス

動物を主人公にした冒険モノの最高峰「ウォーターシップダウンのウサギたち」はもちろん、
冴えない青年が心に闇を持つ絶世の美女に恋をする「ブランコの少女」もお薦めしたい作品です。



☆一般小説

アイン・ランド

「リバタニアリズム」という政治思想を小説の形で描き、アメリカ人に大きな影響を与えた(一説では、「聖書」の次に影響を与えたという話も)という、「超個人主義・実力主義・資本主義」の大家。
興味を持った人はググって下さいw

実力はあるのに認めてもらえない天才建築家が、周囲の俗物人間の影響を跳ねのけて、やがて認められるようになる「水源」は掛け値なしに面白く読んだ。

一方で、同じようなテーマであるにも関わらず、実力はあるのに認めてもらえない人格者の偉大な天才と、実力はないくせにのさばっている無能で性格も悪い俗物社会主義者の対立という形をとった
「肩をすくめるアトラス」は、読むに値しない偏りきった小説という印象を受けた。

アメリカでは大ベストセラー作家の彼女だが、日本で読むには敷居が高い。
何せボリュームが膨大すぎるのだ(「肩をすくめるアトラス」は2000ページ級。「水源」は文庫化されていないはずですが、文庫にすれば1700ページぐらいはあると思います)。

というわけで、お薦めかどうかはわかりませんが、せっかくなので紹介しました。


アーウィン・ショー

都会派の一般小説作家、ということになるんですが……どう説明して良いのやらよくわかりません。
冴えない中年紳士が突然大金を手に入れた事から始まる、ドキドキ人生物語「真夜中の滑降」が好きです。
詐欺師とまで友情を築いてしまう、主人公の「いい奴」ぶりが愛しい、とても爽やかなお話ですね。
3兄弟が、やがて大人になり人生の目標を見つけていく「富めるもの貧しきもの」もお薦めです。


○ジョン・アーヴィング

SFの記事で取り上げたカート・ヴォネガットと似た雰囲気を(勝手に僕が)感じる作家で、人生における悲哀を
少々突き放した筆致で描きます。
その突き放し方が絶妙で、必要以上に感傷的になるわけでもなく(僕は感傷的なのも大好きですが)、さりとて冷徹すぎることもなく、優しく暖かく見守る感覚が素晴らしいですね。
人生は悲しい事も苦しい事もたくさんあるけれど、それでもきっと、なんとかなる。
もしくは、耐えきれないような絶望も、神の視点から見ればちっぽけで滑稽なことなのだ、と、そんな感じを受けました。
推薦作は「ガープの世界」


アーサー・ヘイリー

ニュースキャスター、医者、ホテル、空港、製造業、石油、銀行、製薬など、当時のアメリカの様々な業界を取材し、
それぞれをエンターテイメントとして高いレベルで昇華した、いわゆる業界小説の書き手です。
「○○業界あるある」がそこかしこに散りばめられていますが、もちろん、そこで働くのは生身の人間ですし、
興味のない業界についても楽しく読めます。
ブックオフ100円コーナーの常連でもあり、大きなハズレもないため、手に取りやすい作家ですね。
お薦めは老医者と若医者の衝突と理解を描く「最後の診断」を筆頭に、「マネーチェンジャーズ」(銀行)、「自動車」、「大空港」など


コリン・ウィルスン

元々は思想家なのかな? よくわかりませんが、小説も書いています。
厨二病患者がかめはめ波で月を吹っ飛ばすような荒唐無稽の物語に、奇妙な真実味を持たせたSF
「精神寄生体」は傑作。
滑稽な内容も、大真面目で描けば読み手にリアリティを与えられるのだというお手本のような作品です。
いかに人が世界を色眼鏡で見ているか、という気づきが感動を呼ぶ「殺人者」もお薦めです。




普段は作品ごとに書いているんですが、作家別にちょっと書いてみようかなと思い立ったので。
自分が読んだものだけなので、とてもいい加減です。









誰か忘れてる気もするけど、とりあえず
1950~80年代あたりの海外小説で、

1:最低2作以上読んだ
2:自分の好きな作家or超人気作家

です。

作家別読書紹介(古い海外ミステリ編)

普段は作品ごとに書いているんですが、作家別にちょっと書いてみようかなと思い立ったので。
自分が読んだものだけなので、とてもいい加減です。
エラリー・クイーンとかジョン・ル・カレみたいに、有名でも冊数を読めていない作家は紹介できませんし……。


・古典ミステリ(パズラー)編……
日本人が「ミステリ」と聞いて一番想像しやすいもの。犯人当て、トリック当てのお話。
 

アガサ・クリスティ

ミステリ界の女王。恐らく世界中で最も読まれたであろうミステリ作家。 
個人的にもとても好きな作家です。
トリックも良いですが、キャラクターの繊細な心理描写が良い。
推薦作は山ほどありますが、とりあえず
『オリエント急行の殺人』、『五匹の子豚』、『ナイルに死す』、『終わりなき夜に生れつく』の4作を。


ドロシー・L・セイヤーズ

イギリスではクリスティと並ぶ人気を誇っているらしい、ミステリ作家。
個人的にはイマイチだけど……。
とりあえず『ナインテイラーズ』が有名なので、そこから入るのが良さそう。
個人的には『学寮際の夜』が一番良かったかな。
シリーズをきちんと追いたいなら、ヒロイン初登場の『毒を食らわば』も見逃せない……かも。

 
ジョン・ディクスン・カー

密室トリックと言ったらこの人。
個人的には密室トリックにさほど熱意はないのであれですが、密室トリック好きなら絶対抑えるべき作家です。
推薦作は『ユダの窓』、『皇帝のかぎ煙草入れ』

レックス・スタウト

アメリカではすごく人気なおデブ探偵ネロ・ウルフ。
個人的にはあまり面白いと思わなかったが、とりあえず『腰抜け連盟』あたり読んでみるのもいいかもしれない。

ハリイ・ケメルマン

ユダヤ教のラビ(神父)が事件を解決するラビシリーズが有名。
事件自体はほとんど覚えてないけど、ユダヤ文化はなかなか興味深かった。
とりあえず『金曜日、ラビは寝坊した』を抑えて、面白ければどんどん読んでいくのが良いかも。


・ハードボイルド編……
「頭脳」よりも「足で稼ぐ」タイプの探偵が、頑張るお話。
 

ダシール・ハメット

ハードボイルド御三家の一人。
いきなりマフィアと抗争したりもするので、「ミステリ」という印象はあまりないかもしれない。
『マルタの鷹』、『血の収穫』あたりから入るといいのかな?

レイモンド・チャンドラー

ハードボイルド御三家の一人。
日本にも熱狂的なファンが多数存在する、抑えておくべき作家なんですが、
すみません。僕、この人の好さが全然わかりません。
とりあえず、ミステリオールタイムベストランキング上位常連の『長いお別れ』をどうぞ。

ロス・マクドナルド

ハードボイルド御三家の一人。
個人的にはこの3人ならロスマクが一番好きです。
陰気でどこか寂しげな中年探偵、リュー・アーチャーが主に家庭の悲劇を暴くというのが、特に中期以降の彼の作品の特徴。
推薦作は『ウィチャリー家の女』、『さむけ』


ジェームズ・M・ケイン

日本ではあまり知られてないっぽい? ハメット以前のハードボイルド作家で、
秀逸な心理描写、昼ドラ的男女のドロドロが互いへの敵意へと変わっていく様などが非常に面白い。
ハードボイルドというよりは、ノワール(悪党を描いた)小説に近いかもしれない。
推薦作は『郵便配達は二度ベルを鳴らす』、『殺人保険』


ロバート・B・パーカー

料理好きで家庭的でありながら、頼れる男でもある主人公スペンサーが人気のハードボイルド作家。
強者をくじくところはよくあるハードボイルドだが、弱者、子供への視線が優しい。頼りになるアメリカ的パパ。
推薦作は『初秋』、『レイチェルウォレスを探せ』、『ドリームガール』

ジョン・D・マクドナルド

アメリカの作家ディーン・クーンツが激賞する作家(全作品を二度ずつ読んだらしい)。
「作家志望者は絶対読め!」とのことだが、いかんせん日本ではあまり訳されていない。
そこまで凄いのか、いまいちわからなかったが確かにまずまず面白い。
『生き残った一人』、『濃紺のさよなら』、『シンデレラの銃弾』あたりがお薦め。


リチャード・スターク

悪党がドンパチやるアクション映画風シリーズ、「悪党パーカーシリーズ」で有名。
ストーリーは単純で、何か気に入らない事があった主人公が悪役とドンパチやるだけなのだが、
アクション描写が巧いため読ませる。
推薦作は『死神が見ている』、『殺人遊園地』


ドナルド・ウェストレイク

↑のリチャード・スタークの別ペンネーム(というかこちらが本名)。
ユーモア泥棒コメディ『ホットロック』がとても笑えるのでお薦め。


ミッキー・スピレイン

「悪党パーカーシリーズ」が出る前から、ドンパチやる作品はあったわけだが、
こちらは悪党ではなく、仮にも探偵がそれをやってしまうのが面白い。
『燃える接吻』、『裁くのは俺だ』など。
アメリカではものすごく売れたが、評論家からのウケは悪く、「こんなものが売れるなんて…」と嘆く声も多かったそうだ。


エルモア・レナード

現代を舞台にした西部劇。こちらも悪役とドンパチやるスタイルだが、どちらかというとタイマン勝負が多い。
とりあえず『ザ・スイッチ』あたりどうですか?
全く関係ない話だが、「今まで生きてきた中で一番つまらない映画だった!」と一緒に見た彼女に言わしめた
映画『ミスター・マジェスティーク』はレナード原作、映画脚本もレナードである。


ギャビン・ライアル

西部劇ならレナードよりもこちらの方が日本では人気がある気もする。悪役造形が印象深い『もっとも危険なゲーム』がお薦め。


ディック・フランシス

競馬界にまつわるあれこれの事件を描く作家だが、競馬に全く興味がなくても楽しめるのでご安心を。
古典的ヒーロー小説パターンで、
ウザい悪役登場→主人公ピンチ→友人や恋人の力を得て逆襲開始→悪役を倒す
というベタな展開が楽しめる。
推薦作は『大穴』、『利腕』、『敵手』のシッド・ハレー三部作。
他には、キチガイ悪役が鮮烈な『度胸』や、バランスの良い『罰金』、『骨折』あたりがお薦め。




・サスペンス編……犯罪に巻き込まれた市井の人々を中心にした作品、とでも言えばいいのかな? ジャンル分けとかほんとテキトーです、ごめんなさい。


ウィリアム・アイリッシュ

詩情溢れる都会のロマンスと切なさを描く、ミステリ作家。
何作も読むとパターンが読めてしまうのだが、こういうシチュエーションが好きな人にはハマるはず。
推薦作は、江戸川乱歩が絶賛した『幻の女』、『黒い天使』、『暁の死線』


アイラ・レヴィン

都会を舞台にした、非常にテクニカルな倒叙小説、『死の接吻』は必読。
小説ではないが、彼が手がけた映画『デス・トラップ』もアイラ・レヴィンっぽさが随所に出ていてお薦め。

ウィリアム・ゴールドマン

多数の映画脚本を手掛けている事から、映画人の方によく知られている気がするが、小説もなかなか。
特に、歯科医に扮したナチスの残党に追い掛け回される『マラソン・マン』と、その続編『ブラザーズ』がお薦め。

スタンリー・エリン

一応ミステリ(サスペンス)作家だと思うのでここで取り上げたが、『カードの館』などのサスペンス小説よりも、ミステリではない短編集『特別料理』の方が面白いと思う……のでこちらをお勧めします。


・スパイ小説……本人がスパイの事もあれば、秘密潜入捜査官めいたものも。

イアン・フレミング

名前ぐらいは聞いたことがあると思う、007でおなじみだが、実は「映画」と「小説」では全然作風が違う。
映画はドラえもんの秘密道具的ハチャメチャアクションだが、小説では割と普通のスパイ小説。
個人的には映画の方が面白い気もするけど、とりあえず映画と比べてみる意味でも、
『ゴールドフィンガー』を読み、読んだ後は映画を見るべし。

エリック・アンブラー

御三家~的な表現は聞いたことがないが、恐らく、ジョン・ル・カレ、イアン・フレミングとこのアンブラーが
スパイ小説御三家だと思う。それぐらい人気のある作家です。
何とも牧歌的な雰囲気を醸し出す、『あるスパイへの墓碑銘』がお薦め。

御三家とか書いておいてなんだが、ル・カレは1作しか読んでないので割愛。すみません。


・冒険小説……自然を舞台に冒険したりするお話。


アリステア・マクリーン

一昔前、日本でも人気だった冒険小説界の雄。
個人的にはあんまり面白いとは思わないのだが……とりあえず、『ナヴァロンの要塞』を薦める。

ジャック・ヒギンズ

冒険小説の括りに入れてしまって良いものか迷うが、まぁ多分ここで良いと思う。
アイルランド系の影のある暗殺者を描かせたらなかなかのもので、
『死にゆく者への祈り』、『脱出航路』が推薦作。
個人的にはそれほどでもないが、『鷲は舞い降りた』も有名なので良かったら。 


ロバート・ラドラム

日本では『ボーン・アイデンティティ(邦題:『暗殺者』)』でおなじみの作家な気がするが、
ハッタリの効いた厨二病悪役が素晴らしい『マタレーズ暗殺集団』、『スカーラッチ家の遺産』が推薦作。


・警察小説……「頭脳」よりも「足で」稼ぐところが、ハードボイルドに近い。探偵役が大勢の警官に割り振られているのが特徴。


エド・マクベイン

警察ドラマという単語から日本人が思い浮かべそうな、コテコテの警察ドラマ風作品87分署シリーズの作家。
ニューヨークを舞台にした架空の街、アイソラの空気感も読みどころ。
推薦作は『キングの身代金』、『ハートの刺青』、『死にざまを見ろ』、『魔術』あたり。
初期作はページ少なめ、会話多めで、手に取りやすいのも良い。

エヴァン・ハンター

エド・マクベインの本名。こちら名義では(ミステリとは言えない気がするが)、アメリカ版「金八先生」の
『暴力教室』が面白かったのでお薦め。 

ジョゼフ・ウォンボー

警察ドラマ風ではなく、リアリティ溢れる警察小説としては、現職警官だったウォンボーの右に出るものはいない。
特に警官たちの悲喜こもごもを描いた『クワイヤボーイズ』、『センチュリアン』は見逃せない。

ペール・ヴァ―ルー&マイ・シューヴァル

スウェーデン発の警察小説。スウェーデンといえばスティグ・ラーソンの『ミレニアム』が大人気だが、ミレニアム以前は恐らくスウェーデンで最も知られたミステリ作家だった……はず。多分。
スウェーデン版87分署といった趣で、スウェーデン文化が楽しい。
推薦作は『笑う警官』、『密室』

ローレンス・サンダーズ

50歳にてデビューし、渋い警察小説を描いた作家。 
変態すぎる犯人が印象深い『魔性の殺人』がお薦め。


【追記】

リチャード・コンドン

ケネディ大統領暗殺の顛末を、スリラータッチで描いた『ウィンターキルズ』がお薦め。
誰か忘れてると思ってたんだ……。



誰か忘れてる気もするけど、とりあえず
1950~80年代あたりの海外ミステリで、

1:最低2作以上読んだ
2:自分の好きな作家or超人気作家

です。

 

かぐや姫の物語(バレあり)

評価は B+。
 
すごく難しい作品でした。
失敗作なのか、敢えて色々考えてもらうためにそういう筋立てにしたのかも解りません。

 
表面上の物語は簡単で、オリジナルかぐや姫(竹取物語)の筋をなぞっているだけなんですが……映画版かぐや姫の視点が、現代人視点なんですね。

 
「竹取物語」は平安時代のストーリーなので、当然平安時代視点の物語だと思います。
竹から生まれたかぐや姫が、美しく成長して、貴族の婚約者にモテまくって、とうとうイケメンな帝に見そめられるけれども、月に帰ってしまった~的なお話でした(でしたよね?)。

 
今回の「かぐや姫」のあらすじをざっと振り返りますと……かぐや姫は、捨丸という若者と親しくなり、楽しく山で遊びます。
ですがある時、かぐや姫を「高貴な姫君」として育てようと妙な熱意にとりつかれた翁が、都に無理やり引っ越してしまいます。
そこでかぐや姫は、嫌なお歯黒やら何やらを強制されるわ、身分は高いけど明らかにイケてない貴族連中に次々に求婚されるわ、散々な目に遭います。
その上、周囲からは「高い身分の人に嫁ぐのは女の幸せ」と再三言われ、野山を懐かしく思いながら宮中で暮らします。

 
これは非常に現代的な思考というか、私たちの時代の人間が見たら、宮中でのかぐや姫の境遇はあまり羨ましくないですよね。
平安時代の価値観ではハッピーだったかもしれませんが、現代の私たちから見ると(……と乱暴に括ってしまっていいのかも迷いますが)、貧しくても捨丸と一緒に楽しく野山を駆け回っていた方が、幸せだったのでは?と思ってしまいます。

 
現実の平安時代の庶民の暮らしは相当辛かったらしいので、一概にそうとも言い切れないんですが、今回の「かぐや姫」の映画ではそうした庶民の悲惨さにはあまり触れていませんので、いい着物は着れないけれど、捨丸たちと楽しく野山を駆け回って、畑で作物をとったりドロボーしたりしてる生活の方が楽しそうに見えます。
間違っても、あんな「麻呂」みたいな貴族に嫁いだり、人の家を勝手に覗いて(平安時代的にはこれは普通の行為だったはずですが)いきなり後ろから抱きすくめる帝に無理やり嫁がされるのは、あまり幸せそうには思えません。

 
ですが、かぐや姫は「月に帰りたくない。ここにいたい」と言い出します。
これが解らないのです。
「月に帰りたくない。山に帰りたい」なら解ります。
でも、そうではないんですよね。実際山には帰りません。


ここで山に帰って、捨丸と暮らすエンディングを迎えたなら、「イイハナシダナー」でおしまいなんですが、一方でファンタジー設定が投げっぱなしになってしまいます。
かぐや姫が一瞬で大人に成長したり、月に呼ばれているという設定が宙に浮いてしまうんです……が、物語的にはとても解りやすいものになったと思います。

 
しかしこの映画では、そうはなりません。
どうするかというと、原作どおり月に帰ります。月に帰るんですが、その際にも山の事を懐かしむ様子はなく、翁や媼との別れを惜しんでいます。そして、これまた立派な着物を着た月の姫として、月へ帰ってしまいます。


確かにこれならファンタジー設定は活かせるんですが……今度はかぐや姫の気持ちが解らなくなってしまいました。あんなに宮中で酷い目に遭って、なぜ「月に帰りたくない」という言葉が飛び出すのか。
繰り返しますが、「竹取物語」のかぐや姫ならこの発言は解るんです。宮中でイケメンにモテてハッピーな生活を送っていたはずなので。でも、この「かぐや姫」はそうはならないと思います。

 
たとえば、山で遊んでいる幼少期を「子供時代」とし、宮中を、俗に言う「ブラック企業」にたとえるとしたら……「ブラック企業」で働き続け、もう嫌だ、子供時代に戻りたいと願うもかなわず、別の転職先(月)へと転職していくかぐや姫……ブラック企業は嫌だったけど、同僚たち(翁、媼など)との思い出は大切、みたいな話なんでしょうか? 
 
 
なんというか、すごくモヤモヤする映画です。手放しで絶賛とかはできないです。
このモヤモヤが、製作者側の意図したものなのか、それとも単に「竹取物語」に無理やりなぞらえようとした末の失敗なのかがわからないところが、壮絶にモヤモヤします。でも、こういうモヤモヤはある意味貴重というか……
奇妙な味わいのする映画でした。
こういう映画もたまには面白いですね。
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