Euro2008

Euro2008 ベスト23&総括

今大会は結局、王者スペインという意外な結果をもって終了した。
だが、強く印象に残るのはスペインでもなければドイツでもなく、
グループリーグで驚愕のパフォーマンスを見せたオランダ、
そのオランダを見事なスペクタクルで破ったロシア、
奇跡を起こし続けた神話のチーム、トルコの3国だった。

とりあえず、ベストの23人を選んでみる。


GK 3枠

エドウィン・ファンデルサール(オランダ)
イケル・カシージャス(スペイン)
ジャンルイジ・ブッフォン(イタリア)


ベストキーパーはオランダのファンデルサールだ。守備はもちろん、攻撃の基点として正確なロングスローを見せ、
破壊的な攻撃を最後尾から支えていた。
カシージャスは、王者スペインの堅守を支えた守護神。
ブッフォンの活躍がなければ、イタリアはベスト8まで上がれなかっただろう。

他に目に付いたのはポーランドのボルツ、ルーマニアのロボント、トルコのヴォルカンの3人。
前者2人はチーム成績から除外し、ヴォルカンは退場処分により惜しくも選出から漏れた。


DF 7枠

セルヒオ・ラモス(スペイン)
ジオバニ・ファンブロンクホルスト(オランダ)
ハリド・ブーラルーズ(オランダ)
ハミト・アルティントップ(トルコ)
ユーリ・ジルコフ(ロシア)
ペペ(ポルトガル)
デニス・コロディン(ロシア)


元々センターバックというポジションは地味なポジションで、選ぶのが大変なのだが、今大会はことに難儀した。
イタリア、フランスといったセンターバックの産出国は低迷し、ドイツも中央の守備は堅くない。トルコはセルベトが目を惹いたものの、欠場も目立ち、ポルトガルのカルバーリョもそこまでではない。

結局、純正のセンターバックはわずかに2人。ロシアの強シューターコロディンと、ポルトガルで脅威の得点力を見せたペペを選出。


右サイドバックは目を惹く人材が多かった。オランダの右サイドを完全に封じたブーラルーズ、トルコの大黒柱アルティントップ、ロシアの技巧派ジルコフ、スペインの若き闘将セルヒオ・ラモス。
また、選出こそしなかったものの、ポルトガルのボシングワも良かった。
対照的に左サイドは人材難も極まり、オランダのいぶし銀、ジオくらいしか思いつかなかった。


MF 7枠

8枠入れようかと思ったが、FWにタレントが多かったので7枠とする。

ウェズレイ・スナイデル(オランダ)
デコ(ポルトガル)
ルカ・モドリッチ(クロアチア)
クリスチアーノ・ロナウド(ポルトガル)
ダビド・シルバ(スペイン)
バスティアン・シュバインシュタイガー(ドイツ)
アルダ・トゥラン(トルコ)


個人レベルで今大会、明らかに別格だったのがスナイデル、デコ、ロナウドの3人。毎試合核の違いを見せつけ、真のワールドクラスの輝きを見せた。
揃いもそろってベスト8で敗退してしまったのは残念。

モドリッチ・ラキティッチ・スルナ・クラニツァルといずれも質の高い働きを見せたクロアチアの中盤から、モドリッチを選出。スルナも選びたいところだが、SHは人材の宝庫なので今回は遠慮してもらった。
トルコ奇跡の火付け役、アルダは19歳の超新星。彼の勢いがトルコを乗せたといっても過言ではない。
ドイツ攻撃陣でほぼ唯一の輝きはシュバインシュタイガー。彼の孤軍奮闘がチームを支えていた。
クワトロ・フゴーネスは日替わりヒーロー。それぞれに良い日もあり、悪い日もあったため、ベスト23には選びにくい。そんな彼らの中で最もコンスタントに活躍していたのがシルバだ。決勝で輝いたザビ・エルナンデス、準決勝で輝いたセスクも、一試合だけでは……。


惜しくも選ばれなかった選手を挙げていく。
まずは前述のクロアチアのスルナ。次に名前が挙がるのがスイスのハカン・ヤキンだ。
彼の場合やはりチームの成績が足を引っ張ったと言える。
オランダのロッベンの、フランス戦での輝きはスナイデル・デコ・ロナウドの真ワールドクラスと並ぶビッグバンだったが、さすがに1試合の活躍では選べない。
オランダのカイトも、当落線上だった一人。ロシア戦でもう少しインパクトを残すことができたなら……。
ドイツのポドルスキは大会序盤、大活躍を見せたが、トーナメントに入る頃には輝きが消えていた。
中盤の底という、地味なポジションではオランダのエンヘラール、デヨング、ドイツのフリングス、スペインのセナ、イタリアのピルロ、スイスのインレル、ロシアのセマク、ジリヤノフが印象に残った。
ただ、ポジションがら地味なせいもあって、デコ、モドリッチ、スナイデルの3人には及ばない。

今大会はいわゆるトップ下というポジションを、ほとんどのチームが置かなかったため、10番タイプの選手は全くといっていいほど選出されていない。


FW 6枠

アンドレイ・アルシャビン(ロシア)
ダビド・ビジャ(スペイン)
フェルナンド・トーレス(スペイン)
ロマン・パブリュチェンコ(ロシア)
ニハト・カフベチ(トルコ)
ルート・ファンニステルローイ(オランダ)

大会得点王のビジャよりも、むしろ今大会はトーレスの活躍が光っていた。決勝でのゴールはもちろん、それ以外の試合でも彼の質の高い動きには魅せられっぱなしだった。
ビジャの選出にも異論はないだろう。
ロシア脅威の2トップ、アルシャビンとパブリュチェンコ。アルシャビンが輝いたのはわずか2試合だったが、その輝きは周囲を圧倒していた。
決定力の低さが気になるものの、終始パブリュチェンコはゴールを狙い続け、3ゴールという結果を出した。
トルコの攻撃を支えたのはやはりニハトだろう。奇跡の男セミフももちろん、
23人候補の好選手だが、トルコの攻撃はニハトが核だった。
ファンニステルローイは、グループリーグで最強の破壊力を誇ったオランダの、欠くことの出来ぬエース。ロシア戦でも延長に持ち込むゴールを決めた。


惜しくも落選した選手は、スウェーデンのイブラヒモビッチ。彼もまたチーム成績のため落選となったが、怪我を抱えていたにもかかわらず違いを作り出していた。
次にクロアチアのオリッチ。ドイツ戦勝利の立役者は彼だろう。


国別

スペイン 4人
オランダ 5人
トルコ  4人
ロシア  4人
ポルトガル3人
ドイツ  1人
クロアチア1人
イタリア 1人


……概ね、成績どおりの人数が選出されているが、オランダとドイツの2カ国のみが成績とかけ離れた選出人数になっている。
それだけオランダにはインパクトがあったし、ドイツにはインパクトが無かったのだろう。
無論決勝まで上がってくるというのは、実力がなければできないこと。しかし
その上で言わせていただければ、
クロアチア・ポーランド・オーストリアという超ヌルグループで、クロアチアに負けて2位通過。
ポルトガル戦は審判の判定に助けられ、2-2のところを3-2で勝ち抜け、
トルコ戦は試合前から相手が満身創痍であった。
このように言い訳で塗り固めようと思えば、いくらでも塗り固められるのがドイツの躍進だった。


ちなみに大会公式のベスト23はこちら(赤字はマイベスト23にも入っている選手)。

GK
カシージャス(スペイン)
ブッフォン(イタリア)
ファン・デル・サール(オランダ)




DF

マルチェナ(スペイン)
プジョール(スペイン)
ラーム(ドイツ)
ジルコフ(ロシア)
ボジングワ(ポルトガル)
ペペ(ポルトガル)

MF

セナ(スペイン)
シャビ(スペイン)
セスク(スペイン)
イニエスタ(スペイン)
バラック(ドイツ)
ポドルスキ(ドイツ)
ハミト・アルティントップ(トルコ)
ズリアノフ(ロシア)
モドリッチ(クロアチア)
スナイデル(オランダ)



FW
トーレス(スペイン)
ビジャ(スペイン)
アルシャビン(ロシア)
パブリュチェンコ(ロシア)



GKとFWは全被り。一方MFは明らかに異なっていますね。

Euro2008 ポルトガルVSドイツ

グループAをぶっちぎりの強さで突破した優勝候補ポルトガルと、
大会前優勝候補と目されておきながら、グループBで苦戦したドイツ。
勢いのポルトガルが優勢ではあるが、大舞台での戦い方を知っているドイツも侮れない。
というのが、試合前の雑感。


デリケートなジャッジだったのは認める。仕方のないミスだとも思う。
だが、バラックのあからさまなプッシングを見逃してしまった審判が、ドイツの勝利を決定づけた。


ドイツはセットプレーを十分に活かした省エネで、得点を量産した。
この勝負強さは見事だと思う。また、不振のマリオ・ゴメスを外し、06のスタメン、シュバインシュタイガーを起用したのも成功した。
彼の正確なキックから、ドイツは得点を積み重ねたのだ。MOMも当然だろう。


ポルトガルはロナウドを抑えられたのが痛かった。随所にらしさは見せたものの、グループリーグほどの輝きはデコにもヌーノ・ゴメスにもなかった。
本来延長になるべきところを敗退に追い込まれてしまったとはいえ、
確かにドイツのパフォーマンスの方が上だったのも事実だった。

選手の採点はこちら

ポルトガル

GK リカルド 55
CB リカルド・カルバーリョ 50
   ペペ 45
RB ジョゼ・ボシングワ 55
LB パウロ・フェレイラ 50
DH ペチート 55→エルデル・ポスティガ 60
CH デコ 60
CH ジョアン・モウチーニョ 45→ラウール・メイレレス 50
RH シモン・サブローサ 40
LH クリスチアーノ・ロナウド 65
CF ヌーノ・ゴメス 55→ルイス・ナニ 65

ドイツ

GK イェンス・レーマン 60 
CB クリストフ・メッツェルダー 55
   ペア・メルテザッカー 55
LB フィリップ・ラーム 45
RB アルネ・フリードリヒ 25
DH シモン・ロルフェス 60
   トマス・ヒツルスペルガー 60→ティム・ボロウスキ 55
LH バスティアン・シュバインシュタイガー 70→クレメンス・フリッツ 50
OH ミヒャエル・バラック 60
RH ルーカス・ポドルスキ 60
CF ミロスラフ・クローゼ 55→マルセル・ヤンセン ?

Euro2008 スウェーデンVSロシア

突如ロシアが覚醒した。
眠れる大国は、第1戦スペイン戦、第2戦のギリシャ戦ともにピリっとしないパフォーマンスに終始。
取り立てて大きなインパクトを残せなかったこの国が、第3戦で別のチームのように変貌してみせた。
エース、アルシャビンの存在はここまで大きかったのか。出場停止明けのこの男が、まるで皇帝のようにロシア攻撃陣に君臨。
スウェーデンを粉砕してみせたのだ。

この日のロシアのパフォーマンスは、オランダ、ポルトガルにも並ぶ恐るべき破壊力を秘めていた。
ただし、そのパフォーマンスがどこまで続くのか。そして、チャンスの山を外し続けたフィニッシャーの力不足が、オランダに劣る点だろう。
とはいえ、とても楽しみなチームが、ユーロ開幕12日目にして新たに生まれた。


選手の採点はこちら。

スウェーデン

イサクション 75
ニルソン 25→アルベック ?
メルベリ 40
ハンソン 45
ストール 40
ダニエル・アンデション 40→シェルストレーム 55
スベンション 40
リュングベリ 55
エルマンデル 45
ヘンリク・ラーション 40
イブラヒモビッチ 45

ロシア

アキンフィエフ 70
イグナシェビッチ 65
コロディン 60
アニュコフ 65
ジルコフ 80
セマク 60
ジリヤノフ 75
セムショフ 65
ビリャレトディノフ 65
パブリュチェンコ 65
アルシャビン 85

グループC ベスト11

グループCのベスト11を選んでみようと思うが、とんだ茶番になる恐れがある。
オランダがあまりにも素晴らしく、他のチームがイマイチだったために、
オランダの選手が11人選ばれることも、誇張ではなくありうるからだ。

そうなっても怒らないでほしい。とりあえず選んでみよう。

GKは激戦区だ。攻撃力ばかりが注目されがちだが、オランダは守備も3試合で失点1。ファンデルサールのフィードは電撃カウンターの基点にもなっている。
ルーマニアのロボントも見逃せない。堅守は彼の力によるところが大きい。だが両者とも、目に見える形で文字通りイタリアを救ったブッフォンに、インパクトでは劣る。

GK ブッフォン(イタリア)

センターは難しい。フランス、イタリア共に期待を裏切った選手ばかりである。
ここはオランダから、期待以上の活躍を見せているオーイェルと、イタリアのパヌッチを選びたい。
パヌッチは右サイドで起用された時のパフォーマンスが良かったという、微妙な理由での選出だが、センターもこなせるので良しとしよう。

CB アンドレ・オーイェル(オランダ)
   クリスチャン・パヌッチ(イタリア)

右サイドバックのブーラルーズは、オランダの隠れたサプライズ。チェルシーで、セビリアで、株を落とし続けていた彼だったが、今大会では世界最高クラスの守備力を披露している。
左サイドバックのファン・ブロンクホルストも異論は無いだろう。対抗として思いつくのはイタリアのグロッソくらいか。

SB ハリド・ブーラルーズ(オランダ)
   ファン・ブロンクホルスト(オランダ)

ここからは中盤より前の面々である。だが、ここから先はほとんどオランダが独占するだろう。
まず、アンタッチャブルなのがオランダのスナイデル。次にファン・ニステルローイ、カイト。ロッベン、ファンペルシー、アフェライ、エンヘラール……。
全て選びたくなってしまう面々だが、皆オランダだ。

一方、他のチームから選ぶとなると、トップにルーマニアのムトゥ、イタリアのトニ。
中盤センターにピルロくらい。これではオランダ一色もやむを得ないか。
だが、オランダの面々も名前があがったのは7人。残りは6枠なので、全員を選ぶわけにはいかない。
というわけでバランスを考えて選ぶことにする。

DH オーランド・エンヘラール(オランダ)
CH ウェズレイ・スナイデル(オランダ)
SH アリエン・ロッベン(オランダ)
SH デュルク・カイト(オランダ)
CF ファン・ニステルローイ(オランダ)
CF ルカ・トーニ(イタリア)


……オランダ8人、イタリア3人。偏りすぎのベスト11だが、ここは大目に見て欲しい。オランダの力はそれだけ圧倒的だったのだ。

Euro2008 オランダVSルーマニア

オランダの強さは、この試合でも見られた。
今大会のオランダは極めて層が厚い。2軍ですらこの強さとは恐れ入る。
ルーマニアは、攻撃がムトゥに頼りきりというのは辛い。守備の堅さは存分に見せたが、攻撃力がこれでは予選リーグ敗退もやむなしだろう。
この死のグループで、2分を掴んだ善戦は見事といえる。が、大会中最もつまらないサッカーを見せたのも彼ら。
イタリアをも上回る、ムトゥ以外の全員が引きこもるスーパー・カテナチオ。
素直に褒める気にはなれない。
ピツルカ監督の勘違い発言の連発も、ルーマニアの好感度を下げた要因の1つ。


イタリア戦で散々審判に助けられてドローに持ち込んでおきながら、「イタリアはラッキーだった」との発言には、多くのサッカーファンが気分を害したに違いない。何せイタリア嫌いである私ですら、そりゃねーよと思ったくらいだ。
「ムトゥのPKが決まっていれば我々がベスト8だった」発言も、真実ではあるものの、そのムトゥのPK自体が審判からのプレゼントである。


全く関係ないが、理解不能の監督発言パート2。
「この大会は、若い選手が経験を積んだ大会だった」(ドメネク:フランス監督)


……テュラム、サニョール、ギャラス、マケレレ、アンリ、クーペ……若い選手がほとんどおらんのですが……。経験を積めたのは、リベリーとベンゼマとトゥラランくらいか。若手に経験を積ませたとかいうなら、DFラインを何とかしてください。スキラッチとかメクセスとか、サーニャとかクリシとか、フラミニとか、良い若手を全く呼ばなかった&使わなかったドメネク先生!


何にせよ死のグループはオランダとイタリアが突破を決めた。
その死のグループを最後までわからなくしたのが、ルーマニアの健闘だったと言えるだろう。

選手の採点はこちら。

オランダ

ステレケンブルフ 60
デクレル 65
ブーラルーズ 70→メルヒオット 60
ハイティンハ 70
ボウマ 60
デゼーウ 60
エンヘラール 70
アフェライ 70

ロッベン 65→カイト 65
ファンペルシー 75
フンテラール 65→フェネゴール 55

ルーマニア

ロボント 55
ラド 50
ギオアネ 50
コントラ 50
タマシュ 55
チブ 55
コチシュ 50
コドレア 50→ディカ ?
ニコリツァ 45→フロレンティン・ペトレ ?
ムトゥ 60
マリウス・ニクラエ 40→ダニエル・ニクラエ ?
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