S→味わい深く、いつまでも心に残りそうな作品
ゴーストハント7巻/小野不由美……
最終巻にして、一番面白かった巻。怖いし、切ないし、さすが小野さん。
それも、1巻からの積み上げがあればこそで、読み続けて良かったと思った。(反面、1巻からもっと面白いと良いのにとも思った)
幽女の如き怨むもの/三津田信三……
良い意味でタイトル詐欺。
貧しさ故に身売りされ、花魁として働き、幸せな結婚をしたのも束の間、死別し、再び花魁として働く健気な一人の女性を描いた作品。
ホラーではない。感動で心を揺さぶられた。
神は沈黙せず/山本弘……感想はこちら。
アイの物語/山本弘……感想はこちら。
王者の妻/永井路子……感想はこちら。
ドラゴンの塔/ナオミ・ノヴィク……
ドヴェルニク村のアグニシュカは、領主ドラゴンに召し出され、魔法の才能を開花させていく。
奔放に魔法を紡ぐアグニシュカと、術式に拘るドラゴンの魔法は、反発し合いながらもいつしか溶け合い、一つの旋律を紡ぎ出す。
村の周囲では、邪悪な森がじわじわと浸食し、腐った樹液が人々の体内を侵し始めていた。
文章は歌のように情景を映し、まるでその場にいるような臨場感を味わいました。
現時点では、自分が読んだファンタジーの中でも屈指の作品でした!!
北条政子/永井路子……鎌倉幕府において、源氏というものは大して重要ではなく。
頼朝以降の2代、3代においては将軍という【お飾り】を【乳母一族】が争い合い殺し合う、権力争いの象徴としての存在と化し、政子が全てを失っていくと同時に、北条家は執権の座を手に入れる。
愛に溺れた女性の悲しい物語だった。
処刑の方程式/ヴァル・マクダーミド……
35年前、13歳の美少女アリソンが誘拐され、殺された。
犯人として挙がったのは義理の父、ホーキン。
母クロエと再婚したホーキンは、アリソンを凌辱し続けていた。
ホーキンは死刑になった。
そして35年後、全ての真相が明かされる。
法律では裁けない罪があること。
それを捻じ曲げてでも、止めるべき悪はあり、
けれどそれを恣意的に見逃せば、法治国家ではなくなってしまう。
事件の結果が、次の世代の人々にまで影を落とすこと。
面白かったです。
唯一あれだったのは、ホーキンが真性のクズすぎて、
『冤罪で処刑された』事に対して、
『これで良かったのだろうか……彼は邪悪そのものではあったけど、人殺しはしていなかったのに』という思いよりも、
『こんな屑は殺されて当然』と思ってしまったこと。
少しだけ、ホーキンにも良いところがあれば、もっと色々と考えさせられたと思った。
村ぐるみで一人のクズ男をハメて死刑に持ち込んだ、
処刑の物語。
という、陰の面よりも、
あまりにもクズ。殺されて当然、という気持ちが勝ってしまった。
とらドラ6/竹宮ゆゆこ
とらドラ7/竹宮ゆゆこ
とらドラ8/竹宮ゆゆこ……
人間関係荒れ模様の修学旅行回。
竜児とも大河とも仲良しのままでいたい実乃梨と、
実乃梨と更に仲を深めたい竜児の間に生まれる齟齬に、
大河、亜美、北村なども絡み。
それぞれがそれぞれの【エゴ(自己犠牲、もエゴ)】で、がんじがらめになる様が見事。
8巻の最後の文章、
「しかし窓に~」から始まる文章で、
「【子供たちの】足を竦ませるには~」と書いているのも、自覚的だと思う。
そして、この作品に出てくる【子供たち】は、ほぼほぼ全員【いいこ】なんだよね。
でも、全員が自己犠牲ルーレットをしても、誰も幸せにならないんだよなぁ。
大河の父親回でも『子供(大河たち高校生)』と『大人』の対比がされていたし、
クリスマス回でも『いいこでいる』ことに大河がこだわっているし、
竹宮さんは完全に、高校生を【大人になりかけている最中の、子供】として描いている。
そこにブレがないから、面白いんだと思う。
とらドラ9/竹宮ゆゆこ……
とらドラ9/竹宮ゆゆこ……
完全に学園ラブコメの枠を超えて、青春小説の域に達した感のある9巻。
未成熟でありながら、大人になりかけの【半分オトナ】な高校2年生。自分は空っぽだ、と自覚する竜児と大河。
夢に向かって一直線の実乃梨。
竜児が実乃梨に惹かれるのは、彼女が自分より上のステージにいるからでもあって、実乃梨は狩野すみれと同種のキャラクターになっている。
すみれが北川を置いてアメリカに行ってしまうように、実乃梨が竜児を選ばないのは物語的には必然。
竜児にとって必要なのは手に手を取って支えていける大河なのだろう、と思う。
でも、実乃梨が好きなんだけど(小声)
とらドラ10/竹宮ゆゆこ……
とらドラ10/竹宮ゆゆこ……
高校2年生。まだまだ子供で、それでも大人へと少し足を踏み出す季節を切り取った、恋愛青春作品でした。
A→読んで良かったと思える作品
心霊電流/スティーブン・キング……
590ページ中、最後の40ページだけホラーw
電気の力で病を癒すジェイコブス師。禁断の新技術で癒された患者は多数いたが、彼は死の直前、亡くなった人が蟻のような動物に追い立てられ撲られる地獄を見てしまう。
そして、師の死をトリガーに、元患者たちは発狂する。
ストーリーを追えばそういう流れだけど、やはり6歳だった主人公と20代のジェイコブス師の出会い。
師を襲った悲劇と、成長した主人公の初恋。薬物中毒をきっかけに再開した師の変貌。といった人間ドラマに読みごたえがある。
元患者たちが発狂する、という展開もホラーっぽくて面白いけど、個人的には師の新技術は『誰にも理解されない、最新鋭の科学』のようにも読めたので、そちら方面で描いてくれれば、科学と宗教の関係を深堀りする作品になったのになぁ、とも思う。(同じ新技術でも、宗教の皮を被せれば人は信じるけれど、宗教の衣装を剥いでしまうと途端に誰も信じなくなる等)
ゴジラ 怪獣黙示録/大樹連司……
環境の破壊により、怪獣が出現するようになった地球。
アフリカ大陸をはじめ、多くの土地を失い難民化が急増する一方で、難民の受け入れ拒否やイデオロギーの対立で一つにまとまりきれない人類の敗北の歴史を描いたドキュメンタリータッチな作品。
ゴジラ プロジェクト・メカゴジラ/大樹連司……
大樹連司の「GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ」読了。79点。
ヒマラヤ山脈を破壊し、ゴジラを生き埋めにするオペレーション・グレートウォールも失敗、地球総人口が2億を切った人類は、ゴジラに最後の決戦を挑むが……。
頼みの綱のメカゴジラは、ナウシカの巨神兵を彷彿とさせてくれます。
人類が散々破壊した地球環境を防衛するために、ゴジラが蘇ったように感じるので、大人しく滅びた方が良いような気がした。
黄泉がえり/梶尾真治……
人類が散々破壊した地球環境を防衛するために、ゴジラが蘇ったように感じるので、大人しく滅びた方が良いような気がした。
黄泉がえり/梶尾真治……
亡くなった大切な人が戻ってくる【黄泉がえり】が熊本で起こる。
それにまつわる行政の混乱や、人々の混乱、そして死者との触れ合いを通じて、生者もまた変わっていく。
設定的に似ている、市川拓司の「いま、あいにゆきます」が徹頭徹尾【メインキャラ3人だけの話】
だったのに対し、こちらは黄泉がえりによる社会現象や地震など、地域に根差した頑丈な世界観が表現されている。
個人的には全力で泣かせに来た「いま、あいにゆきます」の方が好みだったりもするけど。
愛の旋律/アガサ・クリスティ……
主人公のヴァーノンと、彼を取り巻く幼馴染。親友のレヴィンと、従妹のジョー。
ヴァーノンを取り巻くのは、【欲に弱く、流されやすいネル】と【自立した、強い女性のジェーン】。
そして、全てを失った時、ヴァーノンの才能は開花する。大昔からある主題の「芸術を取るか、恋愛を取るか」をベースに、19世紀末~第一次世界大戦後までの時代を生きた男女の物語。
クリスティは、ミステリ以外を書かせても面白いです。
愛の重さ/アガサ・クリスティ……
歳の離れた妹シャーリーを過保護に愛するローラ。
けれど、シャーリーには【不幸になる自由】が必要だった。
シャーリーは、望んで不幸な結婚をし、破産し、他所に女を作り、重病に罹り、自分に当たり散らす夫を必死に看病した。
そして全ての不幸の元凶とも言える、夫が亡くなった時、シャーリーには【生きる目的】が消えたのだった。
……いや、確かに不幸になる自由はあると思うし、
シャーリーの人生にローラが口を出しすぎるのはどうかとは思う……けど、これはローラが悪いとも言えないと思いました……。
妖異金瓶梅/山田風太郎……
強烈な悪女、潘金蓮の犯罪を探偵の応伯爵が解く連作短編ながら、世界の滅亡(遼の侵攻)を描く最後の四編を加えることで、長編小説として余韻を残す仕上がりになっている。
面白かった。
とらドラ2/竹宮ゆゆこ
とらドラ4/竹宮ゆゆこ
とらドラ5/竹宮ゆゆこ
とらドラ2/竹宮ゆゆこ
とらドラ4/竹宮ゆゆこ
とらドラ5/竹宮ゆゆこ
はえだまの如き祀るもの/三津田信三……
村ぐるみの殺人に、四つの怪談、谷河の待避所にのみ棲息する真っ黒の塊、執拗に後を追いかけてくる玉砂利の音。面白かったです。
銃・病原菌・鉄/ジャレット・ダイヤモンド……感想はこちらで
ゴーストハント2巻/小野不由美……
銃・病原菌・鉄/ジャレット・ダイヤモンド……感想はこちらで
ゴーストハント2巻/小野不由美……
明らかに1巻より面白い。
幽霊屋敷とフランス人形というベタなホラー装置だけど、怖いものは怖い。
ただ、人間関係と、子供のストレスの話だけに少し重苦しい面もありました。
夢幻諸島から/クリストファー・プリースト……
魅力的な群島を舞台にした数々の島(小話)は、緩やかに繋がり連関した群島(エピソード)を紡ぐ。
島に秘められた謎は、複数の島で少しずつ解かれ、一つの連なりを持った長編に仕上がっている。
ゴーレム100/アルフレッド・べスター……
成瀬は信じた道をいく/宮島未奈……
ゴーレム100/アルフレッド・べスター……
わけがわからないが、作者の心的エネルギーの強烈さに被曝し、なぜだか先を読んでしまう知能のエナジードリンク的作品。
内容は今一つ理解できず、また読みやすい作品でもないが、読むと頭にエナジーが注がれるため意外とすんなり読める怪作。
プロジェクト・ヘイル・メアリ/アンディ・ウィアー……
プロジェクト・ヘイル・メアリ/アンディ・ウィアー……
遠宇宙で出会った地球人のグレースとエリダニ人のロッキーが、言葉も通じない状態から少しずつ交流を深めていく物語。
ロッキーの
「おい、君の顔から水が漏れてるぞ!」がとても印象的。
流星―お市の方/永井路子……
流星―お市の方/永井路子……
信長に好意的な永井さん。お市を薄幸の美女ではなく、女信長のように書いた点も魅力的。
しかし同著者の「王者の妻」ではお市と勝家はラブラブだったのに、本書では「生理的に無理」扱いされていて泣いた。
成瀬は信じた道をいく/宮島未奈……
前作に比べてみゆきの存在感は薄いけど、前作同様、成瀬のアグレッシブな魅力とそれに振り回され、影響を受ける周囲の人々が描かれる、読みやすく元気になれるライトな作品。
73光年の妖怪/フレドリック・ブラウン……
73光年の妖怪/フレドリック・ブラウン……
1・睡眠中の動物に乗り移る
2・宿主の動物が死んだ時にだけ、新しい動物に乗り移れる
3・本体は亀に似ている。
この3つのルール内で繰り広げられる、寄生宇宙人VS博士&女教師の死闘。
田舎町の片隅で綴られる、人類の存亡をかけた戦い。
明確なルールが決められていて、その枠内で殺るか殺られるかというサスペンス。
スティーブン・キングの「クージョ」に状況が似ているが、あちらほどは重くないですね。
ウォッチャーズ/ディーン・クーンツ……感想はこちら
謎のクィン氏/アガサ・クリスティ……
ウォッチャーズ/ディーン・クーンツ……感想はこちら
謎のクィン氏/アガサ・クリスティ……
ミステリアスな道化師クィンが演出し、【人生の傍観者】サタースウェイトが司会を務める、神秘的な事件を集めた短編集。
ミステリというか、幻想小説というか。
「死の猟犬」もそうだけど、クリスティはファンタジー色の強い作品も巧い。
B→暇つぶし以上の有益な何かを得た作品
ハロウィーン・パーティ/アガサ・クリスティ……
スリーピングマーダー/アガサ・クリスティ……
闇の囁き/ディーン・クーンツ……
牧師館の殺人/アガサ・クリスティ
ヨブ/ロバート・A・ハインライン……
とらドラ3/竹宮ゆゆこ……
人間以前(短編集)/フィリップ・K・ディック……感想はこちらで。
小さな黒い箱(短編集)/フィリップ・K・ディック……
パイは小さな秘密を運ぶ/アラン・ブラッドリー……
祭りと信仰の怖い話/月の砂漠……
オイディプス症候群/笠井潔……
ハロウィーン・パーティ/アガサ・クリスティ……
ナルキッソスとウンディーネの結び付きが事件の根底にあるけれど、それが表面に出てくるのが遅いので途中までは盛り上がりに欠ける。
魔女のグッドボディ夫人が謎すぎるけど、ハロウィンだからまぁいいか。
スリーピングマーダー/アガサ・クリスティ……
面白くなるまでが長いけど、犯人の邪悪さはなかなかのもの。
マープルシリーズ最終作だけど、後期のクリスティ作品ほど、マープルに『復讐の女神』としての義憤が見られないのが少し物足りない、かな。
闇の囁き/ディーン・クーンツ……
事故で妹を殺してしまい、親から虐待を受け闇堕ちしたロイ。
そのロイと友だちになってしまったコリンは、初恋の相手ヘザーの力も借りて、ロイと対峙する。
コリンの親もなかなかのクズで、その点、ロイと境遇は多少似ているが、ロイの闇堕ちは親のせいとばかりも言えないのよな。
牧師館の殺人/アガサ・クリスティ
ヨブ/ロバート・A・ハインライン……
本書は「ヨブ記」をベースにした、ハインライン思想の集大成的な作品。
ハインラインはよく、右翼だとか左翼だとか言われるけれど、思想は一貫しており、右派リバタリアニズムに属する。
とにかく『反権力・自由主義・個人主義・マッチョ主義』を標榜し続けたハインラインにとって、個人の自由こそが最高善であり、それを妨害するような大きな政府(福祉政策)などは要らない。
一方で、権力者から要らないルールを強要されたくもない。
本書において、権力者とは『教会』であり、『神』である。
ハインラインは『国家』を超えて、『神』からもどうでもいい指図などは受けたくないのだ。
自分の力こそが全てであり、個人の自由を最高善と取れば、確かにそうなる。
福祉に反対するから右翼、国家主義に反対するから左翼というのは一面的すぎる。
というわけで、ハインラインの思想は知っていたけど、神にまで喧嘩を売るとはなかなかだなぁ、と思って読んだ。
また、こういう本が出版されるうちは、キリスト教も大丈夫だなと。
なお、物語として面白いかと聞かれると67点なので、
ハインラインの考えに興味がない人は読まなくて良いと思った。
とらドラ3/竹宮ゆゆこ……
青春ラブコメ、というか学生ラブコメとして【読んでてニヤニヤさせてくれる】という意味では面白い。
ただ、序盤の大河は理不尽系ツンデレで、そういうキャラだとわかっていてもストレスが溜まるし(俺なら付き合わん)、終盤の勢いに任せた怒涛の展開は、【こういうものだ】と納得できれば楽しめるけど、普通に考えれば「いや、教師が止めるだろフツー」的な醒めた感想も強い。
ただ、序盤の大河は理不尽系ツンデレで、そういうキャラだとわかっていてもストレスが溜まるし(俺なら付き合わん)、終盤の勢いに任せた怒涛の展開は、【こういうものだ】と納得できれば楽しめるけど、普通に考えれば「いや、教師が止めるだろフツー」的な醒めた感想も強い。
人間以前(短編集)/フィリップ・K・ディック……感想はこちらで。
小さな黒い箱(短編集)/フィリップ・K・ディック……
11の短編のうち気に入ったのは3つなので、打率低めだけど、まぁいっか。
敵か味方かしかいない世界で、中立を保つ難しさを描く『傍観者』、ロボットが人間を支配する『ジェイムズ・P・クロウ』、海外SFファンなら出てくる名前だけでも楽しい『水蜘蛛計画』の3つが好き。
『水蜘蛛計画』はポール・アンダーソン(『タウ・ゼロ』が名作!)が大活躍!
パイは小さな秘密を運ぶ/アラン・ブラッドリー……
11歳、化学大好き実験大好き毒物大好きな、少女探偵フレーヴィアの魅力で読ませるミステリ。
祭りと信仰の怖い話/月の砂漠……
オイディプス症候群/笠井潔……
イリイチの、世界にHIVをばら撒こうというスケールの大きな邪悪さには驚いた。
ミステリとしては、ギリシャ神話に狂った犯罪者が多層に表現する神話的モチーフが難しすぎて整理できない。
大きな不満は、フーコーの思想が肩透かしに終わっていること。
見られるというのは、一般的には『自分を見ている相手を、こちらが見る』
(『自分を見ている相手の目に、相手を見ている自分の姿が映る)。
「見るー見返される」という対称性のもとで成り立つ事も多いが、パノプティコンに代表されるように
こちらからは見る事ができず、『見られているかもしれない』という恐怖を一方的に与え続ける事で、相手を封じ込め、弱者として規定する、『まなざしの持つ暴力性』について語っている
……という理解でいいのかな?
めっちゃ自信がないんだけど。
ミッドナイト/ディーン・クーンツ……
吸血鬼と精神分析/笠井潔……
ライトニング/ディーン・クーンツ……
アイリッシュ短編集『裏窓』/ウィリアム・アイリッシュ……
エイダ/山田正紀……ミッドナイト/ディーン・クーンツ……
「モロー博士の島」をオマージュした、寒村の住民が獣人化していくホラーサスペンス。
中盤を過ぎた辺り、獣人化した警官が創造主に反旗を翻す辺りから面白くなる。
クーンツらしく、人間賛歌が漂うのは好みの問題(安心して読める。深みはまずまず)
吸血鬼と精神分析/笠井潔……
フロイトやラカンは、赤子にとっての最初の遭遇は『母』と『自分』。
そして『自分の性』への目覚めだと定義するけれども、『男性』である事に拘泥してしまう彼らに、女性の精神を分析する事はできないのではないか、と感じた。
伝統宗教が古代人に作られたものである以上、男神と女神が存在するけれども、そうした枠組み自体が性を区別しており、ジェンダーフリーを進めていく現代にそぐわないものになっているのではないかと思う。
話はズレるけれども、多重人格者の殺人というのは、ミステリにおいてあるようで(少)ないな、と思った。
リチャード・ニーリィの「殺人症候群」など、なくはない、けれども、こういう場合でも倒叙ミステリがほとんどな気はする。
ライトニング/ディーン・クーンツ……
主人公ローラが危機に陥る時、雷鳴が轟き、騎士が助けにやってくる。
ナチスとタイムマシン、カーチェイスに銃撃戦とB級色たっぷりの娯楽小説。
アイリッシュ短編集『裏窓』/ウィリアム・アイリッシュ……
アイリッシュの長編は、甘く切ない恋愛サスペンスが多いけど、この短編集にもその香りは漂っている。
ただ、彼の作風を考えれば必ずしもミステリである必要はなく、短編ならもっといろんなタイプの作品が読めるかと思っただけに、ほとんどサスペンスで占められていて、非ミステリ作品は1作だけというのは残念だった。
一方で、収録作の質は高めで、特に表題作の『裏窓』、『じっと見ている目』あたりが面白い。『踊り子探偵』や、『帽子』、『だれかが電話をかけている』などもサスペンスを感じられる。
1930年代に書かれた短編集にしては、そこまで古さを感じさせないのはアメリカ都市生活の凄さと、アイリッシュのセンスの良さだろう。
まぁ『外は風が強いから、帽子なしじゃ歩けないんだ』や、『他人の帽子をかぶるとふけの害が~』というあたりは、なかなか時代を感じさせるけれど。
『物語』が『現実』を侵食するというテーマと、多世界解釈を組み合わせたメタフィクション的な作品。
神話の神が集合するSFならゼラズニイの「光の王」があるけど、あちらよりかなり読みやすい。
『フランケンシュタイン』の解釈が作者さんと僕ではだいぶ違う……。
賢者の石/コリン・ウィルソン……
『古き者ども』によって作られた『人間』は、彼らの手足となって働きムー文明を作り上げた。
古き者どもはあまりにも進化しすぎてしまい、自らの能力を制御しきれず文明は滅び、人間は取り残された。
故に人間は、『支配者を望み続ける』というお話。
主人公たちは、いつか目覚める『古きものども』に対抗するため、超能力を身につけようとしているけど、
それだと『古きものども』と同じように、自らの能力を制御しきれず、文明は滅びてしまうような気がするんだけど??
成瀬は信じた道をいく/宮島未奈……
成瀬は信じた道をいく/宮島未奈……
前作に比べてみゆきの存在感は薄いけど、前作同様、成瀬のアグレッシブな魅力とそれに振り回され、影響を受ける周囲の人々が描かれる、読みやすく元気になれるライトな作品。
前作が好きだった方は是非! 楽しかったです😊
ゴーストハント1巻/小野不由美……
怪奇現象をミステリ的に解き明かしていく作品。
後の小野さんの名作群に比べると見劣りするもののまずまず楽しめた。
ゴーストハント3巻/小野不由美……
今回はミステリ寄りの巻で、怖さは薄め
民謡ガール/ツキノマコト……民謡を中心に、起承転結がしっかりまとまった堅実な作りですが、主人公のミーナと幼馴染のヨッペイの関係性がとても暖かいです。
ゴーストハント4巻/小野不由美……
ゴーストハント5巻/小野不由美……
シリーズ最恐の巻と評判だったけど、全然怖くなかった。
真砂子と麻衣の仲が進展する友情巻として印象深い。
ゴーストハント6巻/小野不由美……
忌名の如き贄るもの/三津田信三……
正直に言うと、真相よりも、真実から2番目の『呼ばれたから』殺した、の方が好みだったかな。
山魔の如き嗤うもの/三津田信三.……
ホラー要素は薄めでミステリに寄った内容。
よって、ほとんど怖くない。
このシリーズのミステリ形式は、『毒入りチョコレート事件』やコリン・デクスター作品によくある、【下手な推理も数打ちゃ当たる+どんでん返しに次ぐどんでん返し】で、個人的に苦手な形式。
双生児/クリストファー・プリースト……難解、というより答えは恐らく、ない。
双子のジャックとジョー。ジョーはビルギットと結婚するが、ジャックと不倫している。
ジャックが死んだ世界線Aでは息子が生まれ、ジョーが死んだ世界戦Bでは娘が生まれる。
また、世界線Bではおおよそ現実の歴史が展開しているのに対し、世界線Aでは英独単独講和が成立し、ヒトラーは失脚しヘスがナチス首領となり、ソ連を崩壊させ、アメリカはうだつの上がらない国のまま。
世界線Aはジョーが死ぬ間際に見た夢、という解釈は確かに成り立つが、それすらも解とは言いづらい
また、ビルギットの産んだ子供が、双子のどちらの子どもかを特定することは不可能。
二つの異なる世界が重なり、離れていく姿を、
イギリスと、ドイツ、アングロサクソンとゲルマンに分かれた、元は一つの『双子』のような民族の分離と結合になぞらえた作品。ということにしておく。
ビートレス/長谷敏司……
AIが人間をアナログハックできる新時代は、『人間が世界の中心だ』と考えたい人には暗黒時代かもしれないけど、
人間が、自らの機能を拡張させて進化させた被造物が、『新人類=人工知能』として世界の中心になる未来が、暗いものになるのかは何とも言えない。
ただ、どうせ『一部の、力のある人間』がAIを独占する、AI独裁が生まれるんじゃないかと思ってしまうけども。 支配権すらも人間がAIに明け渡せれば良いけれど、人間自身が支配権を握りつつAIを利用するなら、恐らくそうなる……。
まぁ今だって人類はスマホに支配されてるし、電車・自動車・飛行機に支配されてるし、パソコンに支配されてるし、冷蔵庫・冷凍庫に支配されてるし、
モノの奴隷となって生活しているわけだけどもね。
時間のかかる彫刻(短編集)/シオドア・スタージョン……
時間のかかる彫刻(短編集)/シオドア・スタージョン……
オチの効いた作品や、孤独を覚える作品、どこか心温まる作品はスタージョン風だけど、
初期短編『ビアンカの手』に見られるような猟奇的な『欠損』はこの短編集からは感じられない。
孤独にしても『孤独な円盤』ほどの強烈さはない
収録作では、『きみなんだ!』、
『ジョーイの面倒をみて』、『人の心が見抜けた女』、『ジョリー、食い違う』、『フレミス伯父さん』あたりが面白かった。
ただ、やっぱり以前読んだ短編集『一角獣・多角獣』に比べるとパワーダウンかなぁ……。
三体2/リウ・ツーシン……
有頂天家族/森見登美彦……
銀をつむぐ者/ナオミ・ノヴィク……
冬の王スターリクと、夏を齎す火の悪魔チェルノボグの狭間で、后として活躍する二人の女性の物語。
設定は良いのだけど、視点がころころ変わるので、物語に入り込みづらかった。
C→暇つぶし程度にはなった作品
バカの壁/養老孟子
エッジウェア卿の死/アガサ・クリスティ……
犯人がクズすぎて嫌悪感しかない。
初期クリスティらしく、キャラにそこまで愛着も湧かず、やたらと込み入ったトリックは、特に好みでもない(トリック愛好家ではない)のでこの評価。
クリスマスプディングの冒険/アガサ・クリスティ
ポワロのクリスマス/アガサ・クリスティ
クリスマスプディングの冒険/アガサ・クリスティ
ポワロのクリスマス/アガサ・クリスティ
北人伝説/マイクル・クライトン
アラビアの夜の種族/古川日出男……
【1793年の、ナポレオンの侵略にあっているエジプト】を舞台に、
【読み始めたら止まらなくなるくらい面白い小説(以下、魔術書)】を書いて、それをナポレオンに読ませれば、侵略もやめて読書し続けるのでは?という作戦のもと
語り手は物語を語る・騙るわけだけど、
正直その物語が今一つ面白くない。
これではナポレオンどころか僕でも止められないぞ……。
設定上、自分からハードルを爆上げしてしまってるので、この設定で小説を書くのは勇気が要るなと思った。
ポアロ登場(短編集)/アガサ・クリスティ……
ポアロ登場(短編集)/アガサ・クリスティ……
ポアロとヘイスティングスが仲良くワチャワチャやっているのが好きなファン向け。
1つ1つの短編は特に面白いと思わないけど、シリーズの後半でめっきり出番がなくなってしまう、
「ポアロの一番の友」ヘイスくんと仲良さそうなのは、心温まる。
火曜クラブ(短編集)/アガサ・クリスティ
火曜クラブ(短編集)/アガサ・クリスティ
もう一つの異邦人/カメル・ダーウド……
ムルソーは母を亡くし、母国から離れた異邦人だった。
一方『僕』の母は『僕』を強固に縛り付けており、母国アルジェリアの独立に『僕』は手を貸さなかった。母の軛から逃げ出しつつも、フランス人のジョゼフを殺した『僕』は、この世のどこにも居場所を持たない、もう一人の『異邦人』だった。
本書は、カミュの「異邦人」を、宗主国フランスからのアルジェリアの独立を軸に再構成し、もう一人の「異邦人=僕」に語らせた物語。
輝石の空/N・K・ジェミシン
ブラインドサイト/ピーター・ワッツ
セルフ・リファレンス・エンジン/円城塔
宇宙消失/グレッグ・イーガン
闇の守り人/上橋菜穂子……
ファンタジー設定はしっかりしているんだけど、あまり心が躍らないんだよな。相性悪いのかな? つまらなくはない。
夢の守り人/上橋菜穂子……
D→自分には合わなかった作品
掌の小説/川端康成
掌の小説/川端康成
E→プロ作品として見るにはつらい作品