ラストの智夏シナリオは……結構微妙でした。
というより、この話だけ楽しみ方が違うんですよ。


今までの3つのシナリオは、仮想リアルだった。
人間の持つ弱さや欲望を描いた上で、ではどうするかというものが描かれていた。


一方智夏シナリオは、正真正銘のギャルゲー世界なんですな。
智夏は天使以外の何者でもないし、この世界は都合の良い逃避場所に過ぎない。深み、重みといったものは皆無。故に智夏には安心して萌えられるし、癒される。


智夏シナリオを、今までと同一の見方で見てしまうと「なんだぁ?」ってことになります。ここは単なるギャルゲー、というかおまけシナリオと割り切るべきでしょう。


大体、本編では陰が薄かった智夏先生との、とってつけたような幼馴染の思い出なんかを挿入されても、ピンとこないんですよ。
本編で悪戦苦闘していた教師生活も、こちらでは順風満帆って感じで描かれていますし、これじゃほんとに別の作品です。そんな都合良く行くわけないっしょ? って感じのお話に仕上がっております。



でもこのシナリオ、単なる萌えゲーのシナリオとして割り切るなら、水準レベルはあるんですよね。智夏かわいいし。


智夏シナリオがあることで、3シナリオのギャルゲー世界における特異性が鮮明に浮かび上がってくるのも事実。
智夏シナリオは、慣れ親しんだいつものギャルゲー世界。
3シナリオは、現実側に一歩踏み出したギャルゲー世界。


……で、「はるのあしおと」はラストをいつものギャルゲー世界で締めたと。