著者は雑賀匡氏。評価はB+。

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先日『重複文(あるいは、部分)』について、つよきすノベライズを叩きましたが、
この夜明けなノベライズは重複分を巧くカットし、ヒロインと主人公との物語に焦点を絞って描いている部分に好感がもてます。
何冊も買っていると、いい加減同じ文なんて読みたくないわけです。
しかもそれが必要ない部分なら、なおさら。


一方で、共通部分が無いためにとある欠点が浮き彫りになってしまったのが、
このさやか編でした。
(共通部分のある)ゲームでも思ったことですが……さやかは何で達哉を好きになったの? ってところがね、全然わからないのですよ。

フィーナはいいです。昔の約束とか持ち出してるし。
菜月はしょうがないです。かなり苦しいですが、距離が離れることによってお互いの大切さを再認識したということで。
ミアは……なんでしたっけ? 覚えてません。
麻衣は義妹ですが、昔から達哉が好きだったようなのでこれもいいです。

んで、さやか。
さやかから見て、達哉はずっと『家族』『守るべき従弟』以外の何者でもありません。麻衣のように、実は慕っていたとかそういうこともなさそうです。

第一、麻衣は年の近い兄として達哉を慕う理由がわかりますが、年も離れていて(いくつかは知りませんが、5つ以上ですよね?)環境も違う(社会人と学生)。
達哉がさやかにあこがれるのはわかりますが、さやかが達哉を好きになるというのは無理があります。

となると、ゲームがスタートしてからフラグが立つような何かがあって然るべきなんですが……。
……ない、よね? 達哉が頑張り始めたのは確かだけど、それを見たさやかが何を思ったのかといえば、
『今は学業に専念して欲しい』という、モロに家族としての感想しか持っていないようですし。

んで、ムラムラきた達哉がさやかを襲って……んで、何で相思相愛になってるの??


……ぶっちゃけ、ゲームのさやかシナリオが破綻しているので、
ゲームを忠実に再現する手法をとる雑賀氏にはどうしょうもなかった、ということなのでしょう。