欧州最強の座を決めるCL決勝は、数年に一度、伝説を生む。
たとえば、カンプノウの悲劇と呼ばれたマンUVSバイエルンしかり。
イスタンブールの奇跡と呼ばれたリバプールVSミランしかり。
一方で、到底欧州一を決めるに相応しくない、退屈な試合が展開されることも多い。


今年のカードに寄せる期待は大きかった。何せ、名実共に欧州一を決める決戦である。
残念ながら、昨シーズンのミランVSリバプールは、欧州一を決めるに相応しくない両チームの顔合わせであった。


だが、今年は違う。近年完全に欧州を席捲しているプレミアリーグ。
そのリーグで、最終節まで優勝を争った1位マンU VS2位チェルシー。
これは期待するなというほうが無理というものだ。
気持ちを更に引き立たせるのは、4月の激突。ドラマに満ちた90分でチェルシーが勝利したあの試合。
あの試合のような90分を、もう一度見たい。


果たして、夢は叶えられた。それも、あの試合を更に上回る、壮絶かつハイレベルな死闘だったのである。
サッカーファンでよかった。そう素直に思える試合だった。


☆試合の流れ

元々下馬評が高いのはマンUの方である。今や世界最強のアタッカー、クリスティアーノ・ロナウドを中心とした、テベス、ルーニーのトライアングルはまさに世界随一。
守ってはリオとビディッチが鉄壁のコンビを見せる。
一方のチェルシーは、どこからでも点がとれる、団結力があるチームではあるが、「これが世界最強だ!」と呼べるような武器はない。
成績面ではともかく、印象面ではマンUと開きがある。


前半の20分は、両者慎重な滑り出しだったが、試合を支配していたのはマンUだった。
そして、20分過ぎにクリスティアーノ・ロナウドが呆気なく先制。チェルシーもバラックを中心に攻撃を展開するも、マンUの波状攻撃に遭う。
守護神ツェフの神懸かり的なセーブが無かったら試合は決まっていたことだろう。
だが、チェルシーは絶好の時間帯に同点ゴールを決める。ミドルからのこぼれ球を、ランパード!
このゴールが、全てを変えた。


後半にはいると、完全にチェルシーペース。だが、地力に勝るマンUも鋭い攻撃を見せ、予断を許さない。
特にチェルシーの右サイド、エッシェンVSクリスティアーノ・ロナウドのマッチアップが素晴らしかった。
試合は延長後半まで、ほとんどこの流れで進む。
一度、キャリックが強引に放ったミドルが流れを変えかけたに見えたが、テリーのこれまた奇蹟的なクリアもあり、試合はこのままPKへ。


文字にすると、大したことがないように感じる。事実、決定的なチャンスの数はそれほど多いわけではない。
だが、観戦していた人ならわかってくれると思う。
まさに、欧州最高の闘いが目の前で行われていたことを。


☆マンU スタメン選手寸評(100点満点)

GK ファンデルサール 65
……それほど見せ場があったわけではないが、しっかりと抑えた。

CB リオ・ファーディナンド 70
……安定感抜群の守備の要。ドログバを封じた。

CB ビディッチ 70
……リオと共にチェルシー攻撃をシャットアウト。リオ以上に様々な局面に顔を出していた。

SB エブラ 70
……鋭い突破から決定的なチャンスを呼び込んだ。

SB ブラウン 65
……去年までは危なくて仕方の無かったこの選手だが、今年の彼は違う。成長したな、としみじみ感じる今シーズンの、そして決勝でのパフォーマンスだった。

DH ハーグリーブス 75
……どことなく大人しく、便利屋でしかなかったマンUでの彼。だが、この試合ではマンU内で最も多くの局面に顔を出したのではないだろうか。ボールのあるところ、常に彼の姿があった。

DH キャリック 70
……120分を通しての活躍というわけではないが、試合の流れを変えかけたミドルシュートの判断が光った。

CH スコールズ 60
……この試合ではやや精彩を欠いたか。鼻を負傷しながらもよく頑張ったとも思うが。

SH クリスティアーノ・ロナウド 80
……さすがの存在感、さすがの突破力、そしてさすがの決定力。この大舞台においても別次元のプレイを披露した。

CF ルーニー 65
……及第点の活躍ではあったが、彼ならもっとできるはず。決定的なパスは供給したが……。

CF テベス 70
……試合を決めるという、彼本来の仕事からすれば不満足も、献身的な守備が後ろの選手を大いに助けた。


☆チェルシー

GK ツェフ 75
……試合を壊しかねなかった、追加点のピンチを防ぎ、以後のチェルシー逆襲のチャンスを守ったのは彼だった。

CB カルバーリョ 55
……やや不安定な守備と、足もとのパス。彼がボールを持つとハラハラしてしまう。以前の彼には考えられなかったことだが、今日もルーニーにやすやすと振り切られてしまった。

CB テリー 75
……兄貴のミラクルディフェンスがなければ、チェルシーは負けていた。不安定なカルバーリョを支えながら、守備を締めた。
だから、もう泣くな。タイトルがとれなかったのは、あなたのせいじゃない。
99-00バイエルンの時の、カーンとクフォーのような、いつまでも記憶に残るグッド・ルーザー。

SB アシュリー・コール 65
……やや、カッカする部分はあったものの、まずまずのプレイ。何よりも、右サイドでプレイ機会の多いクリスティアーノ・ロナウドが、今日は左サイドでプレイした事実が、アシュリーの存在感を物語っている。

SB エッシェン 70
……クリスティアーノ・ロナウドと壮絶なマッチアップを展開。彼に突破されるシーンも多かったが、これは彼の責任ではないだろう。本職ではない右サイドバックで、それもロナウドのマーク役でありながら、攻撃にも果敢に顔を出したそのダイナミズム。スタミナは、チェルシーに勇気を与えていた。

DH マケレレ 70
……完璧なるフィルター。自らの名前を冠する"マケレレ・ロール"をパーフェクトに勤め上げた。特に、全くミスの無い落ちついた球裁きは、チェルシーに安定を与えた。

CH ランパード 65
……何を置いても、同点ゴールに尽きる。最近元気が無いように感じていたが、バラックとの共存もようやくできるようになった。

CH バラック 65
……決定的な仕事は出来なかったものの、今やすっかりチームの中心に。特に前半は、面白いほどにボールが彼に集められた。

OH ジョー・コール 60
……目立った活躍はできず。後半、ようやく元気になってきたかな?と思った頃に交代させられてしまった。

SH マルダ 50
……一人、試合の流れから取り残されていた感も。もっと早い段階でカルーと交代しても良かったのでは?

CF ドログバ 65
……得点という形ではなかったが、攻撃の基準点、ポストプレイでチームに大貢献したチェルシー無二の大エース。退場は余計だったが。



結局、PK戦の末、より王者に相応しいマンUが優勝を成し遂げた。
だが、ここまでの試合を見せてくれたチェルシーにも最大限の敬意を持ちたいと思う。サポーターも負けてなお、誇らしいことだろう。それだけの戦いを、彼らは見せてくれたと思う。


テリーかわいそうだったなぁ。


にしても、PKを外す人の特徴
①下手なフェイント、小細工を入れる(クリロナ)
②助走が短い(クリロナ、決めたけどハーグリーブス)
③蹴る前から「外したらどうしよう、どうしよう」という表情をしている(アネルカ)

がピタリと当てはまってしまいましたな。