2010年12月

アーサー・ヘイリー「最後の診断」読了(バレあり)

評価は A。

「大空港」「自動車」など、綿密な取材に基づく卓越した業界知識を基に、
絶妙なストーリーテリングを見せる、アーサー・ヘイリーのデビュー作。


この作品では、頑迷で、自分のやり方を絶対に変えない老病理学者が描かれている。
旧来の技術しか使わないため、診断のスピードも極めて遅く、本来助けられるはずだった患者を殺してしまうほど。
はっきり言ってどうしょうもない医者である。


一方で、元々は凄腕の医者であり、現在でも旧来の技術で救える範囲という条件付きではあるが、腕自体は鈍っていない、という点が、凡百のヤブ医者・悪役とは異なる点だろう。
作中では彼のどうしょうもない失策も描かれれば、彼の華麗な名診断も描かれている。
自らの診断に迷うシーン、それを外部の誰にも見せてはいけないと語るシーン。
診断ミスによって生命を奪われた患者を、心から悼むシーンなど、物語が進むにつれて、読者は彼の心に寄り添えるようになっていく。


医者という仕事は「生命を預かる」仕事だ。
どんな人間にもミスはある。患者側からすれば受け入れ難いものはあるが、医者もまた人間である。
しかし、最善を尽くした上でのミスと、頑固な老医者が自説に固執した結果のミスとではやはり趣きが違うというものだろう。


作品のラストで老医者は言う。「医者は忙しすぎる」と。
日々の業務が多忙を極め、新しい技術を学ぶ時間がない。体力・気力を極限まで仕事に搾り取られ、勉強する元気もない。これが実態だ、と。


ヘイリーの作品は、社会問題をも描く。
娯楽小説としてももちろん面白いのだが、それだけに留まらず、いろいろと考えさせられる話だ。
現在の日本の医師不足とはまた違うのかもしれないが、日本でもアメリカでも、今も昔も医師は忙しい。
そして忙しければ忙しいほど、人間、ミスも増えていく。
生命を預かる身としての責任・プレッシャーは想像するにあまりある。


娯楽作品としても一級で、特にエリザベス(亡くなった赤ちゃんの母親)の過去に張り巡らされた伏線を、クライマックスで鮮やかに回収して見せる腕前は、サスペンス小説さながらだ。


彼の作品を読むのは今回で5回目なのだけれど、私の中では最低でもB評価というハズレのなさ、安心して読める作家という位置が定着しつつある。
人物描写がステレオタイプ、という批判もきかれるが、僕は全くそうは感じない。
古本などでも出回っているため、読む本に迷ったらヘイリーを選ぼうという感じだ。
それにしても、デビュー作からこのレベルとは、正直恐れ入りました。

映画「ぼくらの七日間戦争」みました。

評価はC。

 
以前読んだ原作はB評価くらいだったはず。原作に比べて明らかにつまらない。

  
「教師がウゼェ!(確かに相当キ印)」→「反抗してやる!」という流れで、ここに関して文句はない。
だけど、「反抗」することによって、「教育改革が行われる」ならわかるけど、そんな様子はまるでない。「反抗」によって子供が成長を遂げたようにも思えない。
単にお祭り騒ぎをしていただけ。
これでは物語の体裁をなしていないよ。

だいたい、警察相手にまで大暴れをして、それで何もお咎めなしなわけねーだろ!
ご都合主義でいいから、「あの騒動が街の大人たちを動かして、教師の不当なまでの締め付けがなくなtった」くらいの描写はあっていいはず。
それを、「今度もまたひと暴れしてやっか!」エンドって、なんだよそれ。舐めてんの?
そもそも、ほとんどの俳優の演技が「大根」。どういうことよ、これ。


確か原作では、ホームレスのおじいさんから、「学校では教わらない、大切なこと」を教えてもらうというプロットがあったはず。
なぜ映画版はそこをカットしてしまったのか?


ヲタ系の話題を出して恐縮だけど、僕は本来こういう物語は大好きなはずなの。


「世界ノ全テ」(子供を虐待する親から、ヒロインを守るために友人一同7人が家出)
「てのひらを、たいように」(『サトリ』であるヒロインを、村の弾圧から守るため4人で立てこもり)
「ひぐらしのなく頃に」(ヒロインを暗殺者部隊から守るため、裏山でホームアローンごっこ)。


全部、大のお気に入り。そもそも「七日間戦争」の原作だって、好きなわけだし。
ほんと、ガッカリです。中1だから仕方ないけど、そこには真剣さがまるでない。
もっと、シリアスな場面でしょ、あれ。
あんなの、ただ学校不登校になって、ふざけてるだけじゃん。

戦女神Ⅱ クリア

エウシュリーから出ている、2002年発売の18禁RPG。

75点。

ストーリー C バトル A- キャラ B- 音楽 B- 総合 B


熟練度システムにのめりこんでしまい、60時間もプレイしてしまいました。
熟練度を上げるために、不必要に攻撃力や防御力を上げまくったり。
いや、時間泥棒ですね。素直に面白かったと思います。
今回で、僕はエウシュリー作品デビューを遂げたのですが、これが楽しめたので、「戦女神ZERO」「VERITA」「姫狩り」の3本を買ってしまったくらいですし。


ただ。
ストーリー&テキストはと聞かれると、かなり厳しい出来。
僕は後半、テキストを半分流し読みしてしまいました。


キャラクターは特に悪くはないのですが、こう『この娘に萌えたんだッ!』というほど心に残りそうなキャラもいず。その辺が、75点という「面白かったんだけど、もう一声が足りない」と感じる所以。


バトルは、よくできています。擬似FF的なシステムといっていいでしょうか。よく考えられています。
「魔法弱くね?」とか「使えないキャラがいるんですけど!」とか「グラフィック古いね」とか、「魔導鎧強すぎワラタ」とか「なんでイーリッシュさんこんなに強いんすか!? 僕はかわいい子を使いたいのに、イーリッシュさんがこんなに強いんじゃ外せないじゃないすかっ!」とか、いろいろ言いたいことはありますが、この程度の不満はたいていのRPGには付き物。
よくコンシューマーと比べている方がいますが、確かにグラフィック面以外のバトルはそこらのコンシューマー作品と比べても、平均よりやや上のレベルかなと思います。


一周目、セリカLV111でクリア。
ただ、ラスボスは超余裕だったので、ぶっちゃけ80くらいあれば勝てる気がします。


仲間キャラで言うと、とにかくイーリッシュさん。
この人、なんでこんなに強いんです? 一番弱い技でも普通に5桁行きます。
それから、マウアの魔導鎧砲撃も極悪。魔導鎧はBランクまでしか上げていないのに、30000ダメージとか阿呆すぎます。
MP/TPを極力温存したいなら、マリーニャの、狙いすまし+ひたすら打撃、がなかなかの威力。毎ターン5000くらいのダメージでした。
主人公のセリカも強いです。

*12/9 追記 マウアの魔導鎧はAランクまで上げていました。すみません。

一方で、役に立たなかったのが、まずはシェスタ。エルフ系弓術はAランクまで上げましたが、LV90程度じゃ、全く役に立たないですね。
二周目以降、使えるのかもしれませんが、一周目で戦力にするのは難しいかもです。
Aランクまでの一番強い技を使っても300とか(泣)

*12/9追記:↑シェスタの武器はCランクの「秘印のクロスボウ」でした。その後、Bランクの「魔弓ゼオ」に成長させたところ、4000ダメージ程度はいくようになりました。もちろん4000でもあまり強くないですが、武器を強くしていけば戦力になる可能性はあると感じました。



相棒のシェンナも、使おうと思えば使えるけれど(招聘術はSまで上げました)、無理して使わなくても…という感じ。


サリアも、LV75を超えてようやく召喚術を覚え出すので、僕がクリアした段階では召喚術ランクはC止まり。Cランクまでで考えれば、はっきり言って使えないです。


後はまぁ、攻撃魔法が基本的に弱いので、攻撃魔法使いも分が悪いかなぁ。
弱いって言っても、四桁ダメージまでは普通に行くので、使えないことはないけれど。


まぁ、そんな感じでした。ニ周目は多分やりません。

*12/9追記 多分やりませんとか言いながら、始めてしまいました。

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