一言で言うなら、基本を抑えた割と面白いシミュレーションRPGです。
シナリオに関しては褒めるほどのことはありませんが、雰囲気は良く、テキストも読みやすいです。
キャラクターもとりわけ萌えるキャラはいないものの、嫌みがなく、嫌いなキャラはいません。
払った金額、費やした時間の元は取れたと断言できます。
しかし、一方で印象は薄味なのです。
何故でしょうか。
それは、特徴と呼べる特徴のあまりない、極めて無難な作りだったからだろうと思います。
難点を幾つか挙げます。いずれも『育成・やり込み』に関わってくる要素です。
1つ目はユニークユニットの存在感の薄さ。より踏み込んで言うなら、『女の子度の不足』です。
僕の勝手な意見なのですが、エロゲのRPG・SLGをやる理由の一つとして、魅力ある仲間女性キャラ、女性ユニットの存在があります。
仲間になる女性とのHシーンがある、というのは僕にとって結構大きなポイントで、
「Hシーンがあるなら、こいつは育ててやろうじゃないか!」と感じることはとても多い。
故に、そんな女性キャラが多数登場するゲームでは、
「この子も使いたい。あの子も使いたい。この子は弱いけどHシーンが良かったし萌えるから使いたい!」と頭を悩ませることもあります。
下手なハーレムキャラゲーよりもよほどハーレム気分が味わえるのです。
しかしこの「王賊」ではそういう感慨はほぼ皆無でした。
ユニットを操作していてもイマイチ『可愛い女の子を戦わせている』感が味わえなかったのです。何故でしょうか。
それは1つには汎用ユニットが多いせいでしょう。
たとえば3部隊12人を運用するとして、序盤の女性固有ユニットはアルイエットとルカだけです。
後半になればネイ、ルティモネ、一葉、ケーニスなどが加わってきますが、いかんせん登場が遅い。
遅い上に、『戦力』として特別強いキャラもアルイエットさんとルティモナくらいでした。
戦場で活躍したのは汎用輸送隊、汎用魔法使い隊、汎用大魔法使い隊たちであって、固有ユニットではなかったのです。
汎用ユニットが多いのともう一つ挙げられるのが、戦場で隊が行動する際にバストアップ画像が表示されないことです。
これも地味に大きかったのではないかと思います。
たとえばルカを操作していても、なんだか普通の汎用騎馬隊を率いているのと同じ程度の感覚しか受けませんでした。
ユニットが行動する際や、それが無理ならせめてステータス画面に、ユニークユニットの立ち絵が表示されれば、それだけでも違ったのではないかと思います。
テキストの方では存分にハーレム気分を味わうことができたので、戦闘でも味わえなかったのがなおさら心残りです。
やり込みを阻害する2点目は、汎用ユニットの死亡=消滅というルールです。
つまり、自軍ユニットはイベントキャラを除き、HPが0になった時点で消滅します。
このルール自体、実は僕はあまり好みではありません。
せっかく育てたユニットも、やられればそこで終了です。
これではなかなか育てる気にならないのも当然ではないでしょうか。
3点目は、周回引継ぎにユニークユニットのランク引き継ぎが含まれていないこと。
これも地味に痛かったです。
結果、このゲームは「一周すればそれで良い」ゲームになってしまったし、「頑張ってユニットを成長させたい」という意欲には結びつきませんでした。
僕がエロゲのRPG・SLGに求めているものとは、だいぶズレがあったということですね。
ただ、それはそれでいいとも言えます。
少なくとも一周は楽しめました。
エロゲRPG特有の『女の子分』は不足気味ではありましたが、一般のRPGと違って女の子とのHシーンもあります。
とにかく無難でオーソドックスな作りなため、特徴を取り上げて巧く褒めることができませんでしたが、
それなりに満足できる作品ではありました。