愚痴が多いので、嫌な人は読まないでくださいませ。
☆前置き&良かったところ
RPGとして、一定水準には達しているゲームだと思う。
「産卵で軍隊を作る」というのは非常に悪趣味ではあるものの、ユニークなおかしみを持つアイディアで
なるほどなかなか考えたものだ。
実際やってみるとこの産卵システムは大して面白いわけでもなく拍子抜けしたものの、普通にユニットを生み出す程度の楽しさはある。
ユニットの数は70を超え、「全部のユニットを集めたい」欲を掻き立ててくれる。
また、個人的に嬉しかったのがリリシア・ノート。
一つ一つのアイテム解説がなかなか楽しく、解説を見たいがために必要のないアイテムを買ってしまう事態が勃発。
この遊び心一つで、アイテム収集の楽しさがグッと増した。
そんなわけで、2周をプレイするくらいは面白かったと言える。
出したお金と時間、ギリギリ元は取れたという印象もある。
しかし……「自分には合わなかった部分」が多く、「合う合わない以前の問題だと感じる部分」も多い。
☆主な問題点、不満点
・『振り』だけの「拠点防衛」SLG
最大の問題点は、「拠点防衛SLG」の部分。
「国盗りSLG」のような振りをしつつ、実際はオーソドックスなRPGだった前作の「Empire」に続き今作もまた
「拠点防衛SLG」の振りをしつつ、要は普通のRPGなのだ。
何故なら、この拠点には階段も廊下もなく、敵軍は瞬間移動のように何の脈絡もない部屋に現れるのである。
つまり階段の近くに「魔獣の墓場」を置いて近寄らせないように努力したりとか、そういう工夫は報われない。
やることと言えば、「財宝室」と「ダミー階段」と「牢屋」でも置いておけばそれでいい感じである。
エンカウントバトルが、やや拠点防衛らしさを出しているのだが、ゲーム後半にもなると敵の被害よりもこちらの被害が多く、
僕はこれを封印することにした。
味方主力部隊1つによる、単独殲滅こそが最も効率が良いと気づいたのだ。
これはもちろん、タイムアタックを狙う場合や難易度HARD以降なら話は別かもしれないが、Normalでならこれで十分だ。
しかしこれでは、それこそ60もいるモンスター部隊がまるで役に立っておらず、結局前作のEmpire同様
「仲間は50人以上もいるのに、使うのはいつも同じ6人」の惨状を呈してしまった。
普通のRPGとして考えれば別に悪くない出来なのだが、「悪い部分」(後述)のみを受け継いでしまっている「拠点防衛」については
明らかに失敗だったように思う。
・脇道がなく、常に「受け身」を強いられるプレイヤー
拠点防衛のよろしくない点は、常に「受け身」であることで、こちらから能動的に攻めていくような実感がないことである。
これは拠点防衛ゲームにつきまとう宿命のようなもので受け入れるしかないのだが、
本作は拠点防衛の部分がそもそも「振り」なので、こういう不満もクローズアップされてしまう。
このゲームを起動していた時間、やっていたことと言えば
「侵入してくる敵軍を撃退し、撃退し、撃退し、ちょっとHシーンを見たり軍備を整える。
一定数撃退するとシナリオが進行し、テキストを読む。
そして再び侵入してくる敵軍を撃退し、撃退し、撃退する」わけで、前作の「国盗り(の振り)SLG」にあったような
能動的に攻め込む高揚感はない。
ただ、ひたすらにやってくる敵を撃退するもので、「アクション」ではなく「全てがリアクション」なのだ。
極めて大きな不満として「フリーでレベル上げができない」ことも挙げられる。
物語の横道にそれて、弱い部隊を鍛える機会が全くないのだ。
前作でも同様の不満を持ったが、エンカウントバトルを導入して複数部隊の必要性を打ち出したかった本作では、その不満がより
顕著に現れてくる。
フリーのレベル上げマップが複数あれば、それこそ仲間モンスター全てのレベルを上げてやるぜ!と腕まくりをした可能性も否定できないのだが……。
これは非常に勿体無かったと思う。
「横道にそれる」部分もないので、まるで物語のベルトコンベアに載せられて、やってくる敵を撃退し続けるオートマタにでもなったような窮屈さを感じた。
物語の展開においても、(一応『治世』と『覇道』というパラメータはあれど)徹底したリアクションなのだ。
☆好みに合わないHシーン(アヘ顔+奇天烈なあえぎ声)
このようなスタイル(アヘ顔+むほぉぉぉぉんひぃぃぃぃぃ)がそれなりにユーザーの支持を受けているのは僕も理解している。
理解しているが、どうしても拒絶反応が出てしまい(下品にしか見えず、可愛らしさを感じない)、僕は全く興奮することができない。
単にスキップをして読まなかったことにすればいいだけではなく、ヒロインの顔を思い出そうとすると脳裏にアヘ顔が浮かんでさえくる始末で、
他のシーンで可愛いことを言っていても、一度あれを見てしまったら全然萌えられねーのである。
気持ちの悪いことを言えば、憧れのアイドルのゲロまみれ糞尿まみれのシーンを見せられるようなもので、
そりゃ長年連れ添った女房ならば一度くらいは見る羽目になってしまうこともひょっとしたらあるかもしれないが(介護とかで)、
できれば見たくないのである。
まして愛着の湧いた人間でもない、「憧れだけのアイドル」がそのような醜態を晒した暁には、その憧れも消え失せてしまうのは必定だと思う。
Dual Tail作品では過去に「奴隷将校クラリス」という、アヘ顔も「むほぉぉ」もなかった抜きゲーがあり、
これが相当僕の好みに合っていたことから、是非以前のようなスタイルに戻してほしいと感じているのだが、難しいのだろうか。
Empireでもアヘ顔や「むほぉぉ」はあったが、序盤のHではほとんど搭載されておらず、「悪堕ち寸前」に至ってようやく現れてきたように思う。
しかし本作では序盤からもうアヘ顔という有様だ。
まぁ、これは優劣の問題ではなく好みの問題なので、単に「feeには合わなかった」というだけの話ではあるけれど。
☆細々とした問題点
ゲームを快適に楽しむためのインターフェースの部分も痒いところに手が届かない印象で、
劣悪な操作性が無用なストレスの元になっています。
(注:もしかすると設定などで、変更ができた可能性があります。もし、「あれ?」と思われましたらご指摘ください。)
・物を売買する際、1個ずつしか売れない。
→たとえば銅鉱石を65個売りたいなら、65回クリックしないといけない。
・体力を回復したいとき、1クリックでHPが100程度しか回復しない。
→HPを500回復したいときには、5クリックしないといけない。全回復ボタンの1つくらい、用意してほしい。
この、無駄にクリックさせるという仕様は前作の「Empire」時と変わっていない。
前作でもレベルを1つずつしか上げられず、周回プレイ時には100回以上のクリック連打を強いられた。
「○○をいくつ売りますか?」とでもして、数字を入力させてくれれば1つの動作で済むのだし、
どうしてもクリックにこだわるなら「長押し」を有効にしてほしかった。
一々手を離して連打しないといけないとは……。
・産卵システムにおいて、レシピ上からワンボタンでモンスターを作ることができない。
・レシピ上で自分が既に産んだモンスターが見られず、自軍の所属部隊をワンボタンで見ることもできない。
→(あれ、ラミアって作ったっけ……? 見覚えはあるんだよな、敵として戦っただけだったかな?)
という場合、レシピでラミアを見ても、作ったんだか作っていないんだかがわからない。
レシピ上では「外見も、職種(ガーダーとかシューターとか)すら表示されない」ため、
仲間部隊を全てチェックしてラミアらしき奴がいるかどうかを見なければならない。
が、後半では仲間モンスターが70体くらいいたりする。
・更に、レシピは対応するシードがアイコンで表示されるため、非常に見にくい
【例:レシピを見る
fee(よし、ラミアを作ろう。この角生えたようなアイコンのシードと、卵焼きみたいなシードと、コウモリみたいなシードで作るんだね)
→産卵コマンド→fee(えと、角生えたやつと、卵焼きみたいな……あれ、卵焼きみたいなやつってこっちだっけ、あれ? できない!)
→またレシピをチェック→fee(あぁ、これだこれだ。卵焼きっていうより溶岩みたいじゃないか、ハハ)→ようやく作成
みたいな。
対応するシードをノートにでも書いて、アイコンと名称を全て暗記しないといけないんですかね……。
そこを持ってきて、前述したように「そもそもラミアって作ったっけ?」という疑問から始めると、優に3~4分はかかっちゃいます。
・イベントボスとのバトルでは、何故か一番下の師団にカーソルが合っている
→僕は強い順に上から並べてるんですよね。
きちんと注意すればいいんですが、危うく弱い師団でバトルして全滅したことがありました。
何で一番上の師団にカーソルを合わせてくれないんですかね……。
確認メッセージもないですし、イベントボス戦は負けると即ゲームオーバーなので、もう少し考えてほしいです。
・大した不満ではないが、誤字が非常に多い
→この多さは正直ひどい。読み返す時間がなかったのだろうか。
ちなみに前作でもそうだったし、基本このメーカーは(と言ってもまだ3作しかプレイしていないが)誤字がとても多いのである。
☆まとめ
本作は「拠点防衛SLG」のはずである。
しかし、拠点防衛部は張子の虎であり、ウリの産卵システムは煩雑で、
非常にインターフェースが悪くプレイしていてストレスの溜まる仕様が多い。
また、大して優れてもいない物語には脇道がほとんど用意されておらず、敵の侵入→撃退を繰り返す作業は
さながらライン工のようである。
それでいて中央値は80を超えているし、僕自身も一応2周はプレイしたのだから「つまらないゲームではなかった」ことは言えるが、
せめてもう少し操作性に気を配ってほしいと思うのだった。