まずは点数から。
シナリオ 110/150 キャラクター125/150 絵 75/100 音 90/100 その他システム 100/100
印象 35/50 合計 535/650 (26位/150ゲームくらい?)
535÷650=82.3+5
ESにつける点数 87
*異論のある方はいらっしゃると思います。絵買いをする人や声優買いなどをする方もいらっしゃいますので。
この感想ではここまでほとんど触れてきませんでしたが、やはり本作を語る上で避けて通れないのが『伝奇要素』。
ですが割と独特で、とっつきづらい設定になっている上、ライターさんはどうも難しい設定をうまく説明するのが苦手のようで、
ざっと整理してみます。
シナリオ 110/150 キャラクター125/150 絵 75/100 音 90/100 その他システム 100/100
印象 35/50 合計 535/650 (26位/150ゲームくらい?)
535÷650=82.3+5
ESにつける点数 87
【物語を支える屋台骨の強さ】
87点をつけておいてなんですが、特に感動した、笑えた、深いテーマだった! というわけではないんですよね。
ですが、ストレスフリーで退屈せず、全ての物語が楽しめる(既読率100%)というのはやはりそれだけでも高評価に値すると思います。
まず始めに、特筆したいのはフローチャートシステムでしょうか。
物語がどこで分岐したかが一目瞭然で、ワンクリックで目当てのシーンへとジャンプできる。
その上、既読率表示まで完備ということで、ついつい既読率100%を目指してしまいました。
音楽もまた素晴らしいです。
専門的なことは言えないのですが、雰囲気にピタリとマッチした良BGMが多く、
別の作業をしている時も背景に流しておきたいような、癒される音色が印象的でした。
システム、音楽、絵は物語要素(シナリオ・キャラクターとそれを綴るテキスト)を支える*脇役だと思っておりますが
本作は物語を支える屋台骨が優れているため、物語への没入度が増し、心おきなく御名神村での生活に没頭できました。
*異論のある方はいらっしゃると思います。絵買いをする人や声優買いなどをする方もいらっしゃいますので。
あくまでも僕の場合は、ということです。
【臨場感のある舞台設定】
【臨場感のある舞台設定】
天女伝説をバックボーンにした伝奇モノ、というのが本作のジャンルなのでしょう。
ただ、個人的には伝奇モノという印象はあまり強くありません。
序盤に訪れる熊との遭遇シーンや翔子シナリオでの翔子の変貌など、サスペンスもありましたが、限定的。
天女の呪いの仕組みについても、よく考えたなとは思いますが、インパクトはありませんでした。
反面、山に囲まれた田舎生活において、緊張感を高めるためのスパイス、雰囲気づくり、という意味では非常に良かったと思います。
個人的には伝奇的要素よりも、御名神村という田舎を舞台にした日常シーン、そこで育まれる恋愛模様を丁寧に描いた作品という印象ですね。
嫌いなキャラクターが一人もおらず(翔子シナリオでの立ち絵のないクソガキはちょっとウザかったけど;笑)、
非常に雰囲気が良かったです。
それでいて、田舎のマイナス部分もいろはシナリオで触れるあたりも抜け目なく、単なる『理想の田舎』というわけでもありません。
舞台設定に臨場感があり、まるで本当に御名神村という村があって、そこでひと夏を過ごしてきたような、そんな感慨があります。
ヒロインがうんたら、ストーリーがどうたらという切り口ではなく、「田舎を体感してきたなぁ」という感じ。
こういうのもまた、雰囲気ゲーというのでしょうか。
【サブヒロインについて】
本作では、伝奇的要素の絡む攻略ヒロインが4人。伝奇要素の絡まないヒロインが3人おります。
この感想では便宜上、伝奇要素の絡むヒロインをメインヒロイン、伝奇要素の絡まないヒロインをサブヒロインと書かせていただきます。
いずれも『村の一員』として欠かせない人たちです。
孝介たちの幼馴染で、現在は村で先生をしている美里さん。
春日神社の巫女で、いろはの先輩でもある朱音さん。
駄菓子屋を経営するおばあちゃんっ子の沙智子。
立ち位置、役回りが綺麗に分散しているのも巧いです。
ただ……ヒロインとして見ると、沙智子ちゃんはまだしも、美里さんと朱音さんはシナリオが短いのが残念でした。
孝介たちの幼馴染でもある美里さんですが、過去については本当に必要最小限のエピソードしか語られていない印象です。
孝介たちの記憶が薄れているため仕方ないのですが、フラグメントなどで美里さん視点から、もう少し補強してほしかったなぁと思います。
朱音さん。朱音さん本当に可愛いですよねぇ……。可愛いんですけど……やっぱり短いです。
美里さんもそうなんですが、恋愛描写自体はなかなか初々しくて読んでいて楽しいものだっただけに、もう少しゆっくり描いてほしかったなぁと思ってしまいます。
その点、沙智子ちゃんは単純な恋愛モノだけでなく、翔子との関係性も含めたものになっていて、他の2人に比べればシナリオはやや長め。
伝奇要素(水場で足を取られる)と、村の日常がうまく絡んでいる点が気に入っています。
人間誰しも、一生のうちで一度くらいは説明のつかない事柄に遭遇するもの(だと思う)。
そんな怪異を『気のせい』ということにして、日常に復帰していくあたりが、リアリティがあるというか、良かったなぁと。
ただ、「関係を秘密」にするなら避妊はしましょうよw
さくや相手にはコンドームを用意したのに、沙智子相手には中出しっすか!
あと、翔子との3Pはシチュエーション的に良かったです。はい。
ただ、このゲーム全体に言えることですが、あまりHシーンには力が入っていないのでそこは少々残念です。
【攻略順について】
個人的なお薦め攻略順は「銀子」→「いろは」→「翔子」→「さくや」→「シンセミア」です。
この感想ではここまでほとんど触れてきませんでしたが、やはり本作を語る上で避けて通れないのが『伝奇要素』。
ですが割と独特で、とっつきづらい設定になっている上、ライターさんはどうも難しい設定をうまく説明するのが苦手のようで、
しかも文章量少なく、わかりやすいエピソード・例などもあまりないまま、あっさりと説明してしまうため、孝介たちは理解していてもプレイヤーである僕らが同じように理解できるとは限りません。
僕自身は「いろは」→「銀子」→「翔子」→「さくや」の順でやったのですが、いろはルートをやっている時点では、「???なんのこっちゃ???」という感じでした。
銀子シナリオは割と説明を丁寧にしてくれるルートなので、まずは銀子ルートをクリアするのが本作の設定を理解する上で良いんじゃないかなぁと思います。
また、最終のシンセミアルートはさくやルートの続きなので、さくやを最後に。
途中までさくやと同じ共通ルートを辿る翔子をさくやの前にくっつけると、推奨クリア順となります。
【メインヒロイン各キャラの感想】
そんなわけで、まずは銀子さんから。
ゲームをコンプして改めて思うのですが、非常に重要かつ印象深いキャラクターですね。
物語の全てを俯瞰できる立場にいるのは実質彼女だけですし、見ようによっては孝介やさくやよりも核心に近いキャラかもしれません。
孝介たちに情報を提供してくれるのも、思い返せばほとんど銀子さんだったような気がします。
……そうか、伝奇要素の説明が下手なのも銀子さんのせいか……。
次にいろは。
幼馴染であり、悪友のような頼れる相棒のような、そんなポジションにいるいろはなんですが、
『幼馴染』として美味しい部分を美里に持っていかれてしまっているのが勿体ないと思いました。
あと、『いろは』って名前自体は全然悪くないんですが、どうしても文字で書くと『~といろはは言った』のように、平仮名が連続してちょっと読みにくいのが難点かもしれません。
ストーリーに関しては、御名神村の排他的側面が見られるのは地味にこのルートだけ。
怪異を村側から見た物語として、良かったと思います。が、最初にプレイしたため、説明がわかりづらかったです。
個別シナリオで一番楽しめたのは、実は翔子ルートでした。
悪夢に侵食され、変貌していく翔子の姿はなかなか緊迫感があり、地味に怖かったです。
翔子が魔性の存在として追われるように人間界を離れるラストも、余韻があって好みです。
【作品全体に貫かれるテーマ「禁断の関係」について】
最後にさくや。
本作のメインテーマは『禁断の関係』であり、OP曲でも「誰かを想うことが『過ち』というのなら」と歌われています。
ざっと整理してみます。
まず、過去において村の男性と天女(長女)が『禁断の恋』に落ちます。
「立場の違う者同士」の禁断の恋。これが1つ目。
次に、この村の男性は天女(次女)とも子供を作っているので、これも『禁断の関係』になります。
これが2つ目。「立場が違う」だけではなく、「嫁の妹(義妹)」とできているわけですからいろんな意味で禁断です。
もっとも、この時代は一夫多妻制だった気もしますので、法律上(?)では問題ないような気もしますが、
まぁそうは言っても、ねぇ(苦笑)。
この長女の血筋が皆神家に伝わり、さくやが現在受け継いでいます。
次女の方の血筋は岩永家に伝わり、翔子が現在受け継いでいます。
三女は言わずと知れた銀子さん。
そして、天女と契りを交わした男性の生まれ変わりが孝介になります。
この*3人の誰かと孝介が結ばれるというのは、大昔の「人間」と「天女」の『禁断の恋』をなぞることになるわけです。
付け加えれば、孝介とさくやは『実の兄妹』でもあるわけなので、二重の意味で「禁断」なわけですね。
ついでに言えば翔子(と沙智子)も年齢的な意味で『禁断』かもしれません。これは時が経てばすぐに乗り越えられますけどね。
なのですが、孝介と銀子、孝介と翔子の関係が『禁断』であるという描写はさほど前面には出ておらず、
孝介―さくや間に関しても「兄妹」の方が前面に出ていて、「生まれ変わり」としての描写が弱めなのは少々残念でした。
付け加えれば、大元の「過去編」に関しても、きちんと立ち絵を用意して、サブヒロインルートくらいのボリュームを用意してもほしかったように思いますし。
さくやシナリオ・シンセミアシナリオに関しても、動物の大移動自体は面白いと思うのですが、「切ない恋」・「禁断の恋」という側面は弱く、
メインルートだというふうに考えれば、少々インパクトが弱かったです。
共通ルート序盤の『いろはのいたずらメール』を出してくるくだりは印象的でしたが、それくらいかなぁ。
むしろサブルートの美里さんや朱音さんシナリオの方が、恋愛描写はしっかりしていた気さえするんですよね。
「過去編」が用意されていて、さくやルートを(サスペンス的な意味ではなく、ロマンス的な意味で)もっと過去編に絡めてくれれば
90点も夢ではなかっただけに、惜しいなと感じました。
*……こうして考えてみると、メインヒロインの中でいろはが弱い理由も何となく見えてきます。
だっていろはが相手なら全然「禁断」じゃないですし……。
【最後に、ヒロインの体型についてのどうでも良い雑感】
普段、エロゲーキャラの身長体重というのはあまり気にしないのですが、この業界は『モデル体型』のヒロインが多いという印象を持っています。
参考までに有名作として、Keyから「CLANNAD」、Type moonから「Fate/stay night」のヒロインの身長体重を見てみます。
CLANNADはメインヒロインの古河渚が155センチ43キロ。藤林杏が160センチで46キロ。坂上智代が161センチで47キロ。
キリがないのでやめますが、どのヒロインもだいたいBMIが18くらいと、完全にモデル体型です。各キャラクターごとの体型もあまり変わりません。
Fateに関してもセイバーが154センチで42キロ。凛が159センチで47キロ。桜が156センチで46キロ……皆似たような体型であまり代わり映えしません。
セイバーと渚の体型や凛と杏の体型もほとんど一緒なんですね。
セイバーなんて筋肉ついてるんだからもう少し重くても良いような、渚ってアンパンばっかり食べてるけど
太らないのか……いやまぁいいんですけど。
セイバーと渚の体型や凛と杏の体型もほとんど一緒なんですね。
セイバーなんて筋肉ついてるんだからもう少し重くても良いような、渚ってアンパンばっかり食べてるけど
太らないのか……いやまぁいいんですけど。
攻略ヒロインから外れると、ライダーが172センチ57キロなどもおりますが、やはり全体的に痩せております。
そこで「シンセミア」。さくや167センチ57キロ。翔子145センチ31キロ、いろはが172センチ61キロ、銀子が164センチ58キロ。
かなりバラエティ豊かではありませんか。
まずいろはの172センチ。これははっきり高身長な気がします。
高め身長の娘も好きですよ。
次、翔子の145センチ31キロ。成長期なのであれですが、割と痩せ気味です。
ガリ一歩手前くらい。モデル体型といえばモデル体型。子供だけど。
で、銀子さんですよ。164センチ58キロ。BMIは21.5。
標準BMIが22なので、全然太いわけじゃないんですが、いわゆるモデル体型ではありません。
サブヒロインを見ても美里さんが156センチ52キロ。
朱音さんに至っては162センチで58キロとBMI22.1!
モデルを目指しているような奇跡の体型が続出するエロゲ界において、この現実的なBMI。
ガリ一歩手前の痩せキャラから標準キャラまでを網羅しているこのキャラ設定は、何かこだわりでもあるのでしょうか。
残念ながらシナリオ上で触れられるシーンはありませんでしたが、面白いなぁと思って見ていました。
【まとめ】
惜しい部分があり、感情を揺さぶられるようなインパクトはありませんでしたが、
総じてどのシナリオ・どのヒロインにも明らかなハズレがなく、
丁寧に作られた良質な雰囲気ゲーでした。
田舎の雰囲気にとても癒されました。
既読率100%になりましたが、またそのうち御名神村を再訪したいなぁ。
既読率100%になりましたが、またそのうち御名神村を再訪したいなぁ。