2014年06月

ベスト16雑感

今大会の印象として


・会場の暑さ、移動距離の長さ


から、アグレッシブに走り回るサッカーは不向きで、体力を使わない省エネサッカーが有利だなという印象です。

サッカースタイルごとにまとめます。



・南米流王道攻撃サッカー


【ブラジル】


ラテンの香りを漂わせ、細かいパスをテンポ良く繋ぎ、スピーディーに攻めるチームです。

とにかく派手なチームで、中でも左サイドアタッカーのネイマールが絶好調。今大会は彼の大会になりそうな、そんな気配がします。

ポジション的に見ても、右サイドのフッキとFWのフレッジがやや物足りませんが、弱点らしい弱点はありません。

トーナメントの組み合わせを見ても、1回戦の相手がチリ、準々決勝がコロンビアorウルグアイと恵まれています。

優勝候補筆頭だと考えています。



・ハイプレッシングサッカー


【チリ】


中盤から激しくボールを奪いに行き、奪ったらチーム全体で速攻をかけるスタイルです。

攻撃ではアレクシス・サンチェスを中心に、バルガス、バルディビアらと奏でる連携は見事なものがあります。

ややファウルが多いのと、体力を使うスタイルなのが気になりますが、予想していたより守備も堅い、『曲者』的なチームです。

ただ、トーナメント1回戦の相手はブラジル。厳しい戦いになりそうですが、あのスペインに真っ向から挑み、粉砕したチリ。

もう一度、に期待しています。


【アメリカ】


こちらも中盤から激しくボールを奪いに行き、奪ったらチーム全体で速攻をかけるチーム。

チリとの違いは、攻撃面ではサイドバックの上がりからのクロスなど、よりフィジカルを重視している点と、

チリに比べると守備に綻びが見える点。

ややファウルが多いのは同じで、体力を使うスタイルなのも同じです。



中盤のジョーンズがチームの中心で、前線のデンプシーが熱い気持ちでチームを引っ張ります。

とにかく劇的なドラマが多いのがアメリカの特徴で、

ガーナ戦では一方的に攻め込まれシュート21本を打たれながら耐え忍んでの勝利。

ポルトガル戦では強国ポルトガルを相手に押し気味に試合を進めるも、後半ロスタイムに追いつかれまさかの引き分けと、

とにかく最後の最後まで観る者を楽しませてくれるチームです。


今大会は厳しいグループ、参加32か国中最も移動距離が長いというハンディ、エースのドノバンが監督との確執から

ストライカーのアルティドールが怪我と数々の苦難を乗り越えながら、堂々のベスト16進出。

トーナメント1回戦のベルギ―戦でも、きっと熱い試合を展開してくれそうです。



【フランス】


身体能力に優れた黒人選手、マトゥイディ、シソコ、ポグバを中盤に並べ、そのボール奪取能力と前への推進力を活かして

チーム全体で速攻をかけるのがフランスのスタイルです。

前述の3人のフィジカルに、テクニシャンのヴァルブエナ、同じくテクニックのあるエース、ベンゼマが見事に絡み合い、

欧州勢ではオランダと並んで、勢いに乗っているチームです。

今大会、思わぬ大躍進を遂げる可能性を秘めており、準々決勝で当たる確率の高いドイツとの対戦、

準決勝のブラジル戦など、好勝負が期待できそうです。



・攻守分業型サッカー(ハイプレス)


【ウルグアイ】


中盤でとにかく激しくボールを奪い、奪ったらとにかく縦に繋ぎ、前線の選手たちだけで攻撃してくれーというスタイルです。

攻撃にかける人数は少なく、ほとんど2~3人の選手だけで何とかしてしまうのですが、その2~3人、

とりわけエースのスアレスの切れ味がものすごいので何とかなってしまいます。

しかしそのスアレスが、イタリア戦で相手に噛みついたということで、この大会の残り試合すべてに出ることができません。

粘り強さはこのチームの持ち味ですが、それにしてもスアレス頼みで勝ち上がってきたチームだけに苦しいところ。

中盤、スキンヘッドでこわもてなアレバロ・リオス選手が守備面でとても利いています。



・攻守分業型サッカー(リトリート)


【オランダ】


最終ラインまで下がって自陣に近い位置にDFを5人も並べてボールを奪い、奪ったら長いボールを蹴りだして、前線の選手たちだけでどうにかしてくれーというスタイルです。

ウルグアイとスタイルは似ていますが、ボールを奪う位置が自陣深くなので、長いボールを蹴る機会が多くなります。

本来弱いチームが狙うようなスタイルなんですが、今大会、ロッベンとファンペルシーの2人が手をつけられないほどの好調状態となっていて、

あのスペインから5ゴールも奪ってしまいました。DFが5人もいるので守備も堅いです。

決勝トーナメントを見ると、1回戦の相手がメキシコ、準々決勝がコスタリカorギリシャと相手に恵まれています。

ベスト4の有力候補です。



【コスタリカ】


オランダと同スタイルですが、より守備に比重が傾いています。

前線のルイス、キャンベルの2人に全てを託す感じですが、このスタイルで何とウルグアイ、イタリアを倒してしまいました。

ウルグアイ、イタリア、イングランドを相手に失点はPKで与えた1失点のみ。鉄壁の守りです。

今大会が始まる前まで、おそらく誰もがコスタリカのベスト16進出は予想できなかったと思います。

更にトーナメント1回戦の相手はギリシャ。まさかのベスト8に期待が高まります。



・攻守分業 リトリート+ショートカウンター


【アルゼンチン】


オランダやコスタリカと違い、狙ってこういうサッカーをしているのか、

調子が悪くて(もしくは省エネで)チーム全体の上がりが悪く、結果的にこうなってしまっているのかよくわかりません。

オランダやコスタリカと違うのは最終ラインでボールを奪ったあと、ロングボールの代わりに短いパスを繋いでいくところ。

攻撃に関しては前線の4人、ディマリア、アグエロ、メッシ、イグアインの4人に任せきる感じです。


今大会は特にディマリアが良く、最大のスター選手メッシも徐々に調子が上がってきましたが、

チームとしてまとまりを感じることができないのが心配です。

ただしトーナメント1回戦がスイス、準々決勝がアメリカVSベルギーの勝者と、強豪とは準決勝のオランダまで当たらないだけに、

ベスト4の有力候補です。



【コロンビア】


コスタリカ・オランダ・アルゼンチン、中でも同じ南米のアルゼンチンに似ていますが、上の3チームがいずれも5バックなのに対し、

コロンビアは4バックです。

あまり高いところからはボールを奪いにいかず、引いて守り、短いパスを繋いでカウンターを仕掛けるところはアルゼンチンと同じです。

カウンターの鍵はエースのハメス・ロドリゲスと、俊足の2トップ、イバルボ&グティエレス。

DFでは38歳のジェペスが非常に素晴らしい動きを見せています。

良いチームですが、順当に行くとブラジルと準々決勝で当たってしまうのがネックです。



・カメレオンスタイル(ロングボール+ハイプレスカウンター+ポゼッションサッカー)


【ギリシャ】


カメレオンのようにスタイルを変えてくるチームで、非常に捉えどころがありません。

コロンビア戦ではじっくりとボールをキープし、隙をうかがってロングボールを上げて空中戦を挑む独特のスタイル。

日本戦では退場者が出たこともあり、とにかく引いて引いてロングボール、前線のサマラス頼みのサッカー(オランダ、コスタリカと同様のスタイル)。

コートジボアール戦では積極的に中盤でプレスをかけ、チーム全体で攻撃に転じるチリのようなサッカーを展開していました。

最後は誤審に助けられてのベスト16で幸運な面もありましたが、90分を通してコートジボアールを押し込んでいたのも確かです。


攻撃のエースはサマラスですが、むしろチーム全体の組織力。

カラグーニス、マニアティス、マノラスといった守備ブロックの奮闘と、けが人が相次ぎ退場者も出るなどの逆境にもくじけない、チーム全体の精神力が印象的なチームです。

コスタリカのところでも書きましたが、トーナメント1回戦の相手はコスタリカ。

ベスト8に向け、絶好のチャンスが到来しました。(2位で突破できれば日本もここに入れたのに……)



・じっくりポゼッションサッカー


【メキシコ】


試合巧者という言葉が相応しいチームで、前回王者スペインにも似たサッカースタイルです(スペインより攻撃は速いですが)。

じわじわとゆっくりボールを持ち、相手が焦れた瞬間、急速にスピードを上げて仕留めます。

GKのオチョア、DFのマルケスを中心とした守備陣と、中盤のエレーラが中心です。

攻撃のエースはドス・サントス。

失点は3試合でわずかに1点です。

ただ……トーナメント1回戦で対戦するのはオランダ。

じわじわと中盤でペースを握るメキシコにとって、中盤をすっ飛ばして長いボールを入れてくるオランダは相性的には良くありません。

ここを突破すれば、次の相手がコスタリカorギリシャなので、ベスト4も見えてくるのですが……。



・欧州型トータルフットボール(ポジションチェンジ+ハイプレス+攻撃スタイル)


【ドイツ】


スペイン、イタリアと攻撃サッカーを信奉する欧州の強豪が軒並み倒れた中、唯一従来の攻撃スタイルで活躍を見せているのがドイツです。

FWらしいFWを置かず、DFラインを除く6人が目まぐるしく動き回ります。

攻撃は6人が一体となって行い、とりわけエジル、ゲッツェのテクニックとミュラーの得点力が光っています。

一方、走り回るスタイルなので体力面で心配なところと、守備に比重を置かないためにどうしても守りが薄く、失点も多いチームです。

見ていて面白いチームであることに間違いはありません。

順当なら欧州決戦となる準々決勝のフランス戦、準決勝のブラジル戦と、熱い試合を展開してくれそうです。



・欧州型サイドアタック


【ベルギー】


ドイツとスタイルは似ていますが、ドイツほどアグレッシブではない反面、ドイツよりも守備に気を遣ったチームです。

時間帯によってはゆったりボールをキープし、突然ギアを上げるメキシコのような技術も持っています。

サイドアタッカーのアザールとメルテンス。

特にエースのアザールが素晴らしいですが、グループリーグの相手に手ごたえがなかったため、

どの程度強いのか図りきれない部分はあります。

FWのルカクが不調のため、得点を取るのに苦しんでいます。

失点はPKによる1点のみ。GKクルトワ、キャプテンのコンパニを中心に守備は固いです。



【スイス】


ベルギーに似たスタイルで、ベルギーよりも中盤の奪取力が高い点。

サイドアタックの際にキーになるのが、サイドアタッカーではなく、

サイドバックのリカルド・ロドリゲスとリヒトシュタイナーであることがポイントです。

FWが頼りなく、点が取れないのもベルギーと同じなら、監督の采配がズバリ的中し、交代選手がゴールを取っていったのもベルギーと同じです。

一方、一人で何でもできるアザールのようなスーパースターはスイスにはいません。

中盤の底でコンビを組むベーラミとインラ―、ホンジュラス戦で3ゴールを決めたシャキリがチームの中心でしょうか。


エクアドル戦では後半ロスタイムに全力で駆け上がってゴールを決めたり、フランス戦では0-5の状態から2点を取り返すなど、精神的な強さは評価できそうです。



・アフリカ型自由奔放な個人技フットボール


【ナイジェリア】


黒人選手特有の身体能力を活かして、選手個々が好き勝手にやっているような攻撃サッカーがナイジェリアの持ち味です。

印象としては日本が対戦したコートジボアールに近いですが、コートジボアールに比べるとタレントは小粒です。

イランに引き分け、ボスニア・ヘルツェゴビナには誤審に助けられての勝利ということで、

正直に言うと強い印象はありません。

アフリカ最高のGKエニュアマを中心に、何とか上を目指したいところですが、トーナメント1回戦の相手はフランス。

苦しいです。



・ショートパス主体の攻撃サッカー


【アルジェリア】


フランス生まれの選手が多いためか、サッカースタイルはアフリカというよりは、少し前のフランス流。

監督のハリルホジッチもフランスリーグでの指揮経験があります。

細かくパスを繋ぎ、連携から敵の守備を突き崩していく、ザッケローニジャパンが目指しているスタイルに似たサッカーを披露してきました。

そんなアルジェリアに、フィジカルをプラスするのがFWのスリマニ。

今大会で初めて知った選手なのですが、なかなか破壊力があって良い選手だと思います。


ただ……韓国に快勝したはいいものの、ベルギーには力負け、ロシア相手にも問題のある戦い方をしたうえで引き分け

(そのせいで勝てたとまでは言わないが、観客席からの執拗な妨害があった)と、

強豪不在のグループHだからこそ突破できたとも言える上、トーナメント1回戦の相手はドイツ。

力の差は歴然で、これ以上先に進むのは不可能に近いと言えそうです。


グループH ロシアVSアルジェリア

ロシア    1-1       アルジェリア

主審  C
試合内容  B-
MOM  強いて言うなら DHグルジャコフ(65)(ロシア)


GK アキンフィエフ(55)      エムボリ(60)
DF ベレズツキ(50)        ハリシェ(50)
   イグナシェビッチ(50)    ベルカレム(50)
   コズロフ(30)         メスバフ(55)
   コンバロフ(50)        マンディ(50)
MF ファイズリン(50)       メジャニ(50)
   グルジャコフ(65)       ベンタレブ(55)
   サメドフ(60)         フェグリ(45)
   シャトフ(50)          ジャブ(50)
FW ココリン(60)       SH ブラヒミ(55)
   ケルザコフ(55)     FW スリマニ(60)

監督 カペッロ E        ハリルホジッチ A

【ア】

ジャブ(50)→ギラス(50)
ブラヒミ(55)→イェブダ(?)
スリマニ(60)→スダニ(?)


【ロ】

グルジャコフ(65)→デニゾフ(50)
シャトフ(50)→ジャゴエフ(?)
ケルジャコフ(55)→カヌンニコフ(?)


引き分ければ突破が決まるアルジェリアと、勝てば突破が決まるロシアの決戦。
試合は開始5分、ココリンがゴールを決めロシアが先制。
その後は攻勢に出たアルジェリアがボールを支配する。

後半に入り、アルジェリアが同点に追いつく。
CKからスリマニのヘディング。これで俄然有利に立ったアルジェリアだが、直前にアルジェリアサポーターから
GKアキンフィエフへレーザーポインターが照射されていることがわかる。
極めて悪質な行為であり、許される事ではない。

その後、守りを固めるアルジェリアにロシアが迫るもタイムアップ。
時間稼ぎを繰り返した点も含め、アルジェリアの印象は地の底まで落ちてしまったが、
ひとまずアフリカ2チーム目のベスト16進出を決めた。

【アルジェリア】

まずは、韓国戦で抱いた好印象を吹き飛ばすようなマナーの悪さに苦言を呈したい。
あのレーザーポインターがなくても、スリマニのヘッドは決まっていたかもしれない。
それだけに、何故あのようなくだらない真似をするのか。
自国を世界の笑いものにしてしまうような愚行である。
あの試合を見た全世界のサッカーファンに「アルジェリアとはそのような国なのだ」と思われてしまっても良いのだろうか?

それは他ならぬ、真摯に応援したアルジェリアサポーターに対して非常にもったいないことだという自覚を、
『犯人』は自覚してほしいと、そう思う。


さてピッチの上では、ロシアを押し込むシーンも多く、試合を優位に進め、やはり力のあるチームだという思いを再確認した。
GKエムボリのファインセーブにも注目。CFスリマニはテクニックとフィジカルの両面を併せ持つ、アフリカ有数のストライカーである。


【ロシア代表 0勝2分1敗 2得点3失点 攻撃 D+ 守備 B スペクタクル D】
 
あのレーザーポインターがなければ敗退しなかった……とは言い切れないところに、今大会のロシアの実態がある。
3戦を通して非常に受け身な戦い方は、カペッロが植えつけた守備的を通り越した『臆病な』フットボールが原因だろう。 
グループリーグではベルギーに次ぐ戦力と目されていたが、めぼしいタレントもおらず、徹底してディフェンスに徹したその戦い方は大きな失望を生んだ。

同じグループステージ敗退でも、技巧的な中盤を擁しながら一瞬の隙を突かれたEuro2012のような、
「惜しまれる」敗退ではなかった。
それが非常に残念ではあるし、カペッロの罪は重いと感じる。


「結果しか見るべきものの無いサッカー」を志向するものにとって、その結果すら得られなかったならば
残るのは酷評と虚しさのみだろう。

 

敗退国について

試合記事を書いていないチームの事も少し書いておきます。

【イラン代表 0勝Ⅰ分2敗 1得点 4失点 攻撃 D 守備 B- スペクタクル度 C】

ナイジェリア戦は見ておらず、アルゼンチン戦ボスニア戦ともに集中を欠きながらのながら観戦だったため、
きちんとしたことは言えません。
ただ、非常に守備が固い一方で、攻撃面ではあまりにゴールが遠く、ことにFWのグーチャンネジャードの決定力に問題があるように感じました。


【エクアドル代表 1勝2敗 3得点3失点  攻撃C 守備 C スペクタクル度 C- セットプレイ S】

注目選手 SB ワルテル・アジョビ 平均採点65/2試合(スイス戦、ホンジュラス戦)
       CF エネル・バレンシア  65/2試合
印象の悪かった選手 SH アントニオ・バレンシア 52.5/2試合

わざわざセットプレイという項目を設けたくなるほど、エクアドル代表の武器はアジョビからの極めて正確なセットプレイに依存していた。 
ゴール近くでFK、CKを与えれば、かなりの確率でゴールに繋げられる、それだけの武器をエクアドルは持っていた。
一方で、流れの中からの攻撃は一本調子で工夫に乏しい。
その中ではジャンプ力が高く足も速い、CFエネル・バレンシアのプレイが印象深かった。
しかし本来エースのはずのアントニオ・バレンシアは戦犯とも呼べるほどの精彩のなさ。
ラフプレイから退場しチームに多大な迷惑をかけたフランス戦は採点していないのだが、
その採点を加えずとも平均採点は52.5と、エースにしては低い。
これでフランス戦の採点もしていたらどうなっていたことだろうか。


振り返ればスイス戦のロスタイム、あのゴール前での一連の流れが両チームに大きく影響を及ぼした。
ロスタイムに被弾したエクアドルは予選リーグ敗退、ロスタイムにゴールを決めたスイスはベスト16へ。
その差は、非常に小さいもので、エクアドルとしては悔やんでも悔やみきれないところだろう。

もっとも、星勘定では上述したとおりだが、中盤の構成力、見せたサッカーではスイスの方が格上だと感じた事もまた事実だった。
アジョビのFK以外に、流れの中でももっと破壊力を見せてほしかった。


【ポルトガル代表 4得点7失点 攻撃 B 守備 C- スペクタクル B-】

SH クリスチアーノ・ロナウド 平均採点62.5/2試合(ドイツ戦、アメリカ戦)
SH ナニ 62.5/2試合

敗退の理由は単純明快。多すぎるけが人の存在だ。
3試合をこなしただけなのに、積み上げたけが人の人数は総勢6人。
GKパトリーシオ、ベト、DFアンドレ・アウメイダ、コエントラン、CFポスティガ、ウーゴ・アウメイダ……。

コンディション調整に失敗したのかもしれないし、単に不運だったのかもしれない。
しかしこれだけけが人が出た中では良く頑張ったと、そう言ってもいいだろう。
特に両ウイング、クリスチアーノ・ロナウドとナニは、存分に鋭さを見せた。
一番良かったと思われるガーナ戦を除いた採点にも関わらず、62.5となかなかの点数をあげている。


一方で、ただでさえ頼れる選手いない上に、更に2人が故障で倒れ、若手のエデルしか残らなかったCFは
いかんともしがたく、フィニッシュはロナウドにおんぶに抱っこ状態。


戦犯を挙げるならペペだろう。あの退場は全くもって無駄の一言で、ドイツ戦惨敗劇の一因を担ってしまった。
また、相棒のCBブルーノ・アウベスもペナルティエリア内で相手を掴む頻度が非常に高く、
PKを取られないのが不思議なくらいだった。


今大会のポルトガルは、予選リーグ敗退という厳しい結果に終わった。
だが、本来の彼らなら。怪我人がここまで出なかったなら、もう少し先へと進めたはず。
そう思えるだけのパフォーマンスは見せてくれた。


【ガーナ代表 4得点6失点 攻撃 C+ 守備 C スペクタクル C+】

SB クワドゥ・アサモア 平均採点60/2試合(アメリカ戦、ドイツ戦)
CH スレイ・ムンタリ  67.5/2試合
CF アサモア・ギャン 65/2試合

ピッチの上では悪くない戦いぶりだった。
だが、アフリカらしからぬ団結力と不祥事のなさで近年のアフリカを引っ張ってきたガーナ代表だけに、
ポルトガル戦前でのボーナス金の悶着や、ムンタリ・ボアテンクの追放は非常に印象が悪い。
「所詮はガーナもブラックアフリカだったか……」と虚しい気持ちになってしまった。

さて、ピッチ上の話に戻そう。
終始攻めまくりながらも決定力を欠いて敗れたアメリカ戦、互角に戦い、勝ち点1を獲得したドイツ戦、
手負いなれどもやはり強豪のポルトガルとも互角に戦うも守備陣のケアレスミスで敗れたポルトガル戦ということで、負けてなお
「やはりガーナは強いな」という感想を抱かせた。
カメルーンのいたグループAはわからないが、コートジボアールの代わりにグループCにはいっていれば当然勝ち抜いてきただろうし、それはナイジェリアのFやアルジェリアのHでも同じだっただろう。


チームの中心はムンタリで、完全にチームの司令塔として機能していた。
SBのアサモアは実に穴のないパフォーマンスで最終ラインを落ち着かせ、CFのギャンは相変わらず決定力に不満が残るものの、3試合で2ゴール1アシストという数字を考えれば、エースとしての大役を十分果たしたと言える。





【韓国代表 3得点6失点 攻撃 C- 守備 D+ スペクタクル C】

残念ながら、観るべきもののない非常に弱いチームだったという印象だ。
DHキ・ソンヨン、SHイ・チョンヨンと、前回ベスト16の立役者とも呼べる選手がスタメンに名を連ねるも、
四年前の輝きはまるでなく。
唯一、新星ソン・フンミンが前線で健闘を見せていたがサポートはなかった。




 

グループF アルゼンチンVSナイジェリア

アルゼンチン  3-2     ナイジェリア

試合内容  B
主審  B
MOM CFリオネル・メッシ(75)(アルゼンチン)

GK ロメロ(50)       エニュアマ(65)
DF ロホ(55)        オシャニワ(10)
   ガライ(55)       ヨボ(40)  
   サバレタ(50)      オメルオ(30)
   フェルナンデス(50)   アンブローズ(40)
MF ディマリア(70)     ミケル(50)
   ガゴ(50)        ババトゥンデ(45)
   マスチェラーノ(50)  オナジ(60)
FW イグアイン(60)    オデムウィンギー(45)
    メッシ(75)       エメニケ(55)
   アグエロ(40)      ムサ(65)

【ア】
アグエロ(40)→ラベッシ(55)
イグアイン(60)→ビグリア(?)
メッシ(75)→アルバレス(?)

【ナ】
ババトゥンデ(45)→ウチェボ(50)
オデムウィンギー(45)→ヌウォフォル(?)

突破を既に決めているアルゼンチンと、引き分ければ突破が決まるナイジェリアの一戦。
スコアだけを見れば熱戦にも映るが、どちらかと言うと両者緊張感の欠けた、中盤のルーズな一戦となった。
点の取り合いは結局3-2でアルゼンチンがナイジェリアを破り、グループF1位の座を確保した。

【アルゼンチン】

過去2戦に比べれば少しずつエンジンがかかってきたが、まだまだこんなものではないはず。
一人絶好調のディマリアに引きずられるように、メッシも本格的に躍動を始めた。
イグアインも徐々に~といったところか。
ただ、突破を決めた後の試合だからか過去2戦に比べて守備組織のほころびが気にかかった。

【ナイジェリア】

ここまでの2戦と印象は変わらず。
組織だった攻撃は見られず、前線が各々個人技で好き勝手にやっているようなサッカーだ。
守備陣は無駄なラフプレイが多く、中でもオシャニワはレッドカードが出てもおかしくなかった。
ほぼ突破が決まっているというのに、どうしてこういうプレイをするのか理解に苦しむ。

中盤、オナジが今大会なかなか良いプレイを見せている。
今後に注目したい。

 

グループC 日本VSコロンビア

日本      1-4         コロンビア

試合内容  C
主審  C
MOM  OH ハメス・ロドリゲス(80)(コロンビア)

GK 川島(50)        オスピナ(60)
DF 吉田(60)                アリアス(50)
   今野(20)        バルデス(50)
   内田(55)        バランタ(50)
   長友(55)        アルメロ(50)
MF 青山(50)        メヒア(50)
   長谷部(40)       グアリン(50)
   香川(55)         キンテーロ(50) 
   岡崎(55)         クアドラード(65)
   本田(60)     FW  ジャクソン・マルティネス(65)
FW 大久保(50)       アドリアン・ラモス(60)

監督 ザッケローニ C     ペケルマン  S

【日】
青山(50)→山口(60)
岡崎(55)→柿谷(55)
香川(55)→清武(?)

【コ】

クアドラード(65)→カルボネロ(50)
キンテーロ(50)→ハメス・ロドリゲス(80)
オスピナ(60)→モンドラゴン(55)


コロンビアにとっては既にグループリーグ突破が決まっている状況で、ペケルマン監督はレギュラーメンバーを大幅に休ませた。
一方の日本は、ベスト16に向けてとにかく勝利が欲しい状況。

試合は、前2戦に比べ、積極的に攻撃に出る日本の動きの良さが目立ち、前半終了段階で1-1。
期待も膨らむ内容となったが、後半コロンビアはハメス・ロドリゲスを投入。
すると流れはガラリと変わる。
そのハメス・ロドリゲスが、結局終わってみれば1ゴール2アシスト。
コロンビアの完勝に終わった。


【日本】

前2戦と比べ攻撃の形が出来ていた日本だったが、相手が二軍であること、にも関わらず3点差で敗れたことを考えればあまり喜ぶ気にもならない。
この試合では今野が大ブレーキ。PKは当然だったが、他にも2度ほどPKを取られてもおかしくないファウルをし、ピンチを招くミスパスも1本。およそ考えられる限りでも最悪に近いパフォーマンスだった。
反面、相棒の吉田は安定していた。
攻撃では相変わらず本田の存在感が抜けているが、その本田も60点どまり。


【コロンビア】
 
ペケルマン監督の選択はパーフェクトだった。
既に突破を決めている試合で、ほとんどの主力を休ませ、結局フルタイムでプレイしたレギュラーはアルメロ一人。
にも関わらず4-1の勝利でチームの士気もますます高まり、最後には43歳のモンドラゴンに花を持たせる粋な采配も披露。最高の形でグループステージを終えた。

試合に関して言えば、やはりハメス・ロドリゲスだろう。
攻撃の軸が彼であることをまざまざと見せつける45分間。
コロンビアサッカー界に長らく不在だったアイドルが誕生した瞬間だった。

 
【日本代表まとめ 0勝Ⅰ分2敗 2得点 6失点 攻撃 D+ 守備 D+ スペクタクル度 C-】

今回が特別悪かったわけではないが、いつになく「期待」をしていただけに、残念な内容だった。
ザッケローニ監督のサッカーと言えば、見ていて楽しいショートパス主体のアタッキングフットボール。
反面守備は脆く、負けてしまうこともあるという印象だった。
なので、結果がたとえ伴わなくても楽しい攻撃サッカーは見せてくれるだろうと期待していたのだが、
その攻撃サッカーが全然見られなかったのが、残念だったのだ。

戦犯というわけではないにせよ、香川の出来の悪さは大きかった。
彼と本田の2人が揃ってこその、ザック流アタッキングフットボールだからだ。
また、2010の頃から岡崎をサイドアタッカーで起用することが定着しているが、FWで使うという選択肢はないのだろうか?
マインツでは1トップで起用され、結果を残している彼だけに、起用法には疑問が残る。

何というか、ここであまり書くこともないくらい、日本の印象は薄味だった。
コロンビア、ギリシャ、コートジボアールの組で最下位。
実際、内容面ではコロンビアとギリシャに、個人技ではコートジボアールに負けていた。
この組を突破できないようでは、まだまだ世界の強豪とは相当レベルの差があるということだろう。 
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