著者は垣根涼介。評価はA。
1960年代、日本外務省の棄民政策によって棄てられたブラジル移民たち。
募集要項に書かれた大嘘を信じブラジルへ渡った彼らは、その後悲惨な運命を辿る事になる。
それから40年。日系人たちによって起こされたテロ事件、標的は外務省だった。
とまぁ、こういう物語なのですが、僕が書いたあらすじではこの作品の面白さがちっとも伝わってきませんね…(汗)。
物語は、衛藤というブラジル移民一世を中心に、彼の波乱万丈の人生を描いたブラジルパートと、
彼の息子(義理の息子)ケイを中心に、テロ事件を描く日本パートに分かれます。
まずブラジルパートですが、湿気の高いアマゾンの空気が漂ってくるような描写にまずは魅せられます。
そこで文字通り苦闘する衛藤。
彼を騙した外務省への怒りや、ブラジルの国土の広さ、そして治安の悪さ。
衛藤の妻となるエルレインの大らかな魅力も印象に残り、非常に興味深い内容となっています。
異国情緒を武器とできるブラジルパートに比べ、日本パートは落ちるのではないかという危惧があったのですが、これも杞憂に終わり、最後まで面白い。
ヒロイン格の貴子のヒステリックな振る舞いには少々うんざりしましたが、ある意味感情的な彼女だからこそ、ブラジル男のケイと良いパートナーシップが築けるのかもしれません。
高速道路を時速300キロで飛ばすシーンの瞬発感など、
その場の空気を伝える描写が非常に優れており、まるで自分がその場にいて体験しているかのような錯覚を覚えました。
単純なエンタメ作品としてもとても楽しめる一方、背景には堅固なテーマ性がある点も見逃せません。
世間知らず故、本作に触れるまで、海外への移民政策の闇についてまるで知らずに生きてきました。
本作をキッカケに、ドミニカ移民の訴訟などについて知ることが出来たことも、本作から得た収穫の一つです。
……ほんと、酷いもんですね。
ドミニカ在住の原告に200万円で和解した、という記事を読みましたが、自分の一生を犠牲にするような詐欺行為、自殺者も多数出しているこの欺瞞に対し、200万円で済ませて良い話なのでしょうか……。
無論、お金の多寡ではないのでしょうが、一民間人の詐欺行為ならいざ知らず、国家ぐるみの詐欺行為なのに200万円で済ませられちゃうのかぁと思うと、騙されて渡っていった移民者達はやはり無念だろうなと思います。
1960年代、日本外務省の棄民政策によって棄てられたブラジル移民たち。
募集要項に書かれた大嘘を信じブラジルへ渡った彼らは、その後悲惨な運命を辿る事になる。
それから40年。日系人たちによって起こされたテロ事件、標的は外務省だった。
とまぁ、こういう物語なのですが、僕が書いたあらすじではこの作品の面白さがちっとも伝わってきませんね…(汗)。
物語は、衛藤というブラジル移民一世を中心に、彼の波乱万丈の人生を描いたブラジルパートと、
彼の息子(義理の息子)ケイを中心に、テロ事件を描く日本パートに分かれます。
まずブラジルパートですが、湿気の高いアマゾンの空気が漂ってくるような描写にまずは魅せられます。
そこで文字通り苦闘する衛藤。
彼を騙した外務省への怒りや、ブラジルの国土の広さ、そして治安の悪さ。
衛藤の妻となるエルレインの大らかな魅力も印象に残り、非常に興味深い内容となっています。
異国情緒を武器とできるブラジルパートに比べ、日本パートは落ちるのではないかという危惧があったのですが、これも杞憂に終わり、最後まで面白い。
ヒロイン格の貴子のヒステリックな振る舞いには少々うんざりしましたが、ある意味感情的な彼女だからこそ、ブラジル男のケイと良いパートナーシップが築けるのかもしれません。
高速道路を時速300キロで飛ばすシーンの瞬発感など、
その場の空気を伝える描写が非常に優れており、まるで自分がその場にいて体験しているかのような錯覚を覚えました。
単純なエンタメ作品としてもとても楽しめる一方、背景には堅固なテーマ性がある点も見逃せません。
世間知らず故、本作に触れるまで、海外への移民政策の闇についてまるで知らずに生きてきました。
本作をキッカケに、ドミニカ移民の訴訟などについて知ることが出来たことも、本作から得た収穫の一つです。
……ほんと、酷いもんですね。
ドミニカ在住の原告に200万円で和解した、という記事を読みましたが、自分の一生を犠牲にするような詐欺行為、自殺者も多数出しているこの欺瞞に対し、200万円で済ませて良い話なのでしょうか……。
無論、お金の多寡ではないのでしょうが、一民間人の詐欺行為ならいざ知らず、国家ぐるみの詐欺行為なのに200万円で済ませられちゃうのかぁと思うと、騙されて渡っていった移民者達はやはり無念だろうなと思います。