評価はB+。
女子に免疫がない主人公と、男子に免疫がないヒロイン。お互いのファーストコンタクトもの、という趣の作品。天然系彼女のゆきちゃんですが、自らの天然さに無自覚なわけではなく、悩みつつも天然であるというところが面白かったです。不思議ちゃん系ヒロインは苦手な事が多い僕ですが、ゆきちゃんなら大丈夫でした。
女子に免疫がない主人公と、男子に免疫がないヒロイン。お互いのファーストコンタクトもの、という趣の作品。天然系彼女のゆきちゃんですが、自らの天然さに無自覚なわけではなく、悩みつつも天然であるというところが面白かったです。不思議ちゃん系ヒロインは苦手な事が多い僕ですが、ゆきちゃんなら大丈夫でした。
タイトルから、イチャイチャするだけの作品なのかな?という危惧がありましたが、
そこは夜のひつじさんと言いますか。
主人公とヒロインのやりとりは素朴ですし、大した筋があるわけではないにもかかわらず、心理描写や台詞回しの巧さもあって、「読ませる」んですよね。
「相思相愛ロリータ」系列の、少し寂しい感じの主人公がヒロインに甘えるタイプの作品ですが、
「ロリータ」ほど『痛み』が強くなかったぶん、エッジは緩めの代わりに安心して癒される作品になっています。
これは「彼女、甘い彼女」の感想というよりも夜のひつじ作品全般の感想になるんですが、ヒロインの台詞がとにかく巧いと毎回唸らされています。
「好き好き大好き超管理してあげる」における泉奈々那の、イマドキのギャルっぽい喋りをラップ的、ミュージカル的にリズミカルに表現するやり方。
「相思相愛ロリータ」における千島まこの、ふんわりとしたひらがなを駆使しつつ、物事の確信をすとんと突いてくる大人びた台詞。
「義妹ホールと妹ホールド」における春野千穂の、余裕がなく、口下手でありながら切実な心の叫びを主人公に披瀝するシーンの台詞。
「彼女、甘い彼女」の音羽ゆきの、ちょっとピントがズレていながら、奇妙にユーモラスなその言葉選び。
夜のひつじさんが描くヒロイン像は、一見テンプレ属性です。
「幼馴染」とか「妹」とか「不思議ちゃん」とか「ロリ」とか、そういった感じ。
でも、テンプレ台詞やテンプレ描写でごまかすのではなく、その実、一人ひとりのキャラクターをきっちりと自分の中で考え、一人の息をした人間として作品に登場させている。
そして、そういった幅広いキャラクターを描写する力をライターさんが備えている。
だからどの作品をプレイしても、当たり外れはあっても、大外れがないのでしょう。
一作プレイして気に入れば、次々と手を伸ばしたくなる。
そんな同人サークルさんだと思いました。