同人サークル「夜のひつじ」さんの作品を、しばらく一気にプレイしようかと思っています。
今回はその第一弾として「幼馴染の心が読めたらどうするか」の感想を。
評価は B+。
今回はその第一弾として「幼馴染の心が読めたらどうするか」の感想を。
評価は B+。
雅貴と杞沙は6年ぶりに再会した幼馴染。
過去の事件や久しぶりの再会もあって、お互いにぎこちないやりとりを交わす二人だが、
雅貴に「心を読む」能力が備わったことから、杞沙が雅貴のことを想っていることがわかり、急接近。
二人は結ばれる。
というお話が1章、夏休み編。
実はここが一番面白かった。
杞沙はいわゆるチョロインの部類に入るような、主人公大好きっ子なわけですが、それが外面には表れていない。
また、「心を読む」ことが本質的には『チート=あまり良くない事』というルールを雅貴がきちんと持っているため、好き放題に心を読んでウッヒャウッヒャというバカゲー的な物語ではなく、あくまでも「本当は良くない」けど「使いたい」というこの後ろめたさ、そしてその後ろめたさを乗り越えて読んだ末に読み取れる杞沙のかわいらしい内面を、プレイヤーと雅貴で共有することができる。
ハートマークが出るたびに、「ここは心を読まなくてもいいかな……でも、(野次馬根性的な意味で)読んでみたい」とか、「誤解が生まれかかっているし、ここは読むべきだろう」みたいな事を頭の中でグルグル考えながらプレイしていました。
ま、まぁ1、2度セーブ&ロードして、心の中を読むだけ読むというチートもしたんですが……。
この、『心を読む』システムがとても面白かったので、1章がピークだったかなという気がします。
また、普通は心の内面なんてドロドロと汚いものも渦巻いていると思うのですが、あくまでも『かわいらしい』内面を全開にしている杞沙のおかげで、安心してニヤニヤできる雰囲気ができあがっています。
2章 With Love。
ここでは杞沙視点の物語が描かれるのですが、「なるほど」と。
1章の伏線をうまく回収していて、「ただのイチャイチャゲーに終わらせない」という作者の意思が伝わってきます。
3章の二学期編は、心を読むというチート能力によって結ばれた二人が、
そのチート能力をなくしても恋人でいつづけられるのか~という物語で、シリアス色も割と強め。
丁寧かつ普遍的な問題提起で、物語に対する作者の真摯さが伝わってきます。
反面、「ちょっと二人とも、コミュ障すぎるぞ?」という疑問もありまして。
恋人同士は、常に……は大げさでも、定期的にお互いの気持ちを確認しあって進んでいくものだと思います。
それは本当に自然な事で、何も特別なプレゼントだとかそういうのではなく、キスをすること、メールで連絡をとること、電話をすること、Hをすること、デートをすること、好きだよということ、抱き合う事、まぁそんな感じですね。
これができない恋愛送信能力の低い人(能力的にできない場合と、忙しすぎる仕事や遠距離恋愛など、環境的にできない場合はあると思います)はやはり恋愛を続けるのは難しいし、相手を信じられずに過剰な恋愛送信を求める人はやはり恋愛する事は難しい。
恋愛送信能力と恋愛受信能力がぴたりと合わさって初めて、長期的な恋愛ができるのだと思います。
雅貴と杞沙は恋愛送信能力、受信能力がMAXの状態から、急激に普通人のレベルに落ちてしまうわけです。
が、普通人とはいえど、一度はお互いの心の中を共有しあっているわけですので、普通人よりもアドバンテージがあるはずなんです。
「相手は、自分を本当に愛してくれている」から付き合った、という大前提は保たれているわけですので、後はその感情を更新し合っていけばいいわけですから。
結局そこからは二人の努力次第、ということなんですけど、
プレイが終わっても「この二人、この先大丈夫かな?」という気持ちはぬぐえませんでした。
永遠に一緒にいることができるのか……少なくとも、その確信は掴めませんでした。
しかしまぁ、考えてみれば現在付き合っているカップルのこの先が大丈夫かどうかなんて普通は解りません。
エロゲを始め、「ハッピーエンドを迎えたら、死ぬまで一緒」な物語の世界が異常なような気がします。
そう考えれば、これ自体も普通のこと。
この先が大丈夫かわからないからこそ、お互いがお互いに「好き」の気持ちを定期的に伝えあっていく。
そうして、いつの間にか長く一緒にいる。
長く続いていく恋愛とはまた、そういうものでもあるのかな、などと思いながらプレイを終えました。