雰囲気の良い、ラノベ的学園ファンタジー&ミステリ。
序盤は昼と夜、二つの学園が入れ替わるという興味深いギミックに、気合いの入ったムービーがついて
期待を膨らませてくれます。
不快要素がなく、かけあいも面白い。
主人公やヒロインのモー子もいいですが、個人的には親友キャラのおまるがかなり良かったです。
本当にいいやつだなぁとしみじみ感じました。
ただ……「ファンタジー」はプレイヤーが世界に慣れるまでは、「読者の興味」が継続するものの、
それ以降は「ファンタジー世界の『日常』」になってしまいます。
中盤以降は、昼と夜の入れ替わりも「そんなもんかなー」という感じで新奇さが減ってしまい、
居心地の良い日常テキストを延々読んでいる感じで、少しダレました。
起こる事件も、心を震わせるような慄然とする事件ではなく、ちょっとした事件ばかりですし。
そんな中、鍔姫とスミちゃんのエピソードは割と好きでしたが……。
結局最後もよくわからないままに終了。
ミストが途中で効かなくなったのは、「彼が久我満流ではないから」という説明も???
それなら最初から効かないんじゃないの? どうして途中まで効いてたの?とか。
そもそも昼と夜の世界を入れ替えた理由は何?とか。
(「時計塔の魔術で夜の世界を召喚し、昼と夜でもない境目に隠して守っているのだよ」)って言われても、
そんな雑な説明じゃバカな俺には意味が解らんよ……考えるな、感じろってやつですかね……。
設定、世界観は悪くないんですが、ドラマとしてそれを盛り上げるには至っていないと言いますか。
これだと、世界観はよく出来た凡百の魔法学園モノの域を出ないような気がします。
あと、これは知っていて買ったのであれなんですが、やはりこの「分割商法」は酷い。
まだ続きをやっていないので、エロゲ―批評空間プレイ時間中央値を参考に使わせていただきますが、
この3部作のプレイ時間は38時間。
これなら、フルプライスエロゲ1本にまとめてほしいです。
それが無理ならせめて、単体でも楽しめるように作りましょうよ……。
僕が今までプレイした「分割」的な作品だと、
『マブラヴ』、『ef』、『ひぐらし/うみねこ』(これは違うか)、『暁の護衛』、『グリザイア』とありますが、
今回ほど「酷いなー」と思ったのはなかったです。
『マブラヴ無印』はあれはあれでストーリーとしてもアリと言えばアリだし、ボリューム面でも満足できた。
(というか無印とオルタを1つにして売り出したら、さすがにアージュさん赤字だと思う)
『ef』は逆にボリューム面に難があったけど、ストーリーとしては短編連作スタイルなので完結はしている。
演出も凄かったし。
『グリザイア』も物語としては単体で完結できている。
『暁の護衛』も……南条だったっけ?のルート以外は物語的に完結しているのと、現在は「トリニティ」として三本セットでフルプライス値段で買えるようになってる。
でもこれはなぁ……上中下巻の、上巻だけをバッサリ切ったような感じだし、三本セット版も普通に12000円ぐらいしてるし……。
ちょっとあんまりだと思ったので5点ほど減点。
作品点が76点-5=71点で。