2016年05月

はるまで、くるる 感想(バレあり)

83点。

『はるよこい』というタイトルの、有名な歌曲がある。

「はーるよ来い、はーやく来い」で有名な、童謡の『春よ来い』。
そして松任谷由美の『春よ、来い』。

(超有名な曲なので紹介する必要があるかはわからないが、一応貼っておく。
「春よ来い」

「春よ、来い」


本作が2つの『春よ、来い』に捧げられたオマージュであることは想像に難くない。

童謡の『春よ来い』は作中、夕刻を告げるチャイムに使われている事からも明らかだが、
それだけならば本作のタイトルは「はるまでくるる」だったはずだ。

本作のタイトル「はるまで、くるる」の読点「、」は、松任谷由美の「春よ、来い」へ向けたオマージュであることを示している。



童謡の『春よ来い』で歌われているのは、新しい生命が芽吹く春という季節への、瑞々しい期待感である。

透き通るような空の青、そして雪の白に彩られた冬の世界にも、徐々に春が近づいてくる。

『赤い鼻緒の下駄』を履いた『歩き始めた、みぃちゃん』や、『おうちの前の桃のつぼみ』が、
「早く外に出たい」、「早く咲きたい」と、今にも来そうな春を、胸躍らせて『待っている』。
既に桃の木はつぼみをつけているし、みいちゃんは今にも外に飛び出しそうな勢いで、
あしおとが聞こえるほどに、春は近づいている。

一方、松任谷由美の『春よ、来い』は、童謡の『春よ来い』に比べて『春』の距離感が明らかに遠い。
『春よ、遠き春よ』『春よ、まだ見ぬ春』というフレーズ。
『やがてやがて迎えに来る』、『ずっとずっと待っています』、『いつかいつかきっと届く』といった想い。
今はまだ冬真っ盛り、『春』はまだ、遠いものとなっている。


距離感を考えるに、本作の『春』は松任谷由美の『春』である。
それはまだ輪郭すら見えないほどに遠く、本当に来るのかと疑いたくなるほどの彼方。
本当に迎えに来るのか、いつか本当に春は訪れるのか。
春を待つ、気が遠くなるほど長い、永劫とも思われる物語が本作であるが、
ラスト、実際に春がやってきた時の主人公たちの行動は、まさに『おんも(お外)に出たいと待っていたみぃちゃん』そのものだ。
2つの童謡は繋がり、本作はハッピーエンドを迎えたのである。


さて、「春よ来い」においても「春よ、来い」においても、春とは『待つ』ものである。
自らが勝ち取るもの、掴みとるものではなく、迎えに行くものでもない。
お外に出たいみぃちゃんも、何やら大切な人と離ればなれになってしまったらしき「春よ、来い」の女性(?)も、
ただひたすら春を『待って』いる。


それは本作における主人公たちも同じである。
これは、『春』というものの特性上致し方ない面もあるのだが、基本的に主人公たちができるのは春を待つ、冬を凌ぐという『受け身』の行為でしかない点が、エンターテイメントとしては少々残念ではあった。


氷河期に包まれた地球の春を、ひたすら主人公たちは待ち続ける。
太陽が寿命を迎えるという絶体絶命の危機を切り抜けたのもまた、外部のコンピュータによるものであり、
主人公たちの努力ではない。
つまり主人公たちは、主体的に物事を進めて切り抜けていく立場ではなく、右往左往しながら冬が過ぎ去るのを必死に凌いでいるだけなのだ。
主人公たちが頑張った結果の末に春を『勝ち取る』という、そういう流れじゃないといけないとは思わないが、
AAという、まさに人類の救世主の降臨が6人を救うのではなく、
主人公たちの力でコンピュータを解読し、自らのアイディアで「宇宙船地球号」のアイディアを思いつく、ぐらいの事があっても良かったのではないだろうか。
実際に地球を救うのはAAでも良いが、もう少し人類救済のために6人それぞれが活躍してほしかったというのが本心だった。


ゲームを初めてすぐに思ったのは、『クロスチャンネル』そっくりだなということ。
これは最後までプレイすれば、別物だとわかるのだが、
『ループ』や『狂気』、『人のいない街』といった要素から、初見では本当にそっくりだと思った。
また、思わせぶりな悪役くさい人々の台詞(実際には悪役ではないのだが)から、
『ループ=狂気の人々を集めての人体実験』であるという予測は簡単についてしまう。

この、簡単についてしまうというのはある意味曲者だ。
何せわかりやすすぎるぐらい、わかりやすいため、逆に引っかからないのだ。
『人体実験』なわけないでしょ、もしそうなら見え見えすぎてクソゲーとしか言えない。
そう思って読んでいたので、真相を知った時も、そこまでの驚きがなかったのは残念だった。

これが現実なら、どう見ても犯人にしか見えない怪しすぎる容疑者が、実は無罪だったとわかれば驚くだろう。
しかし、ミステリにおいて怪しすぎる容疑者が、実は無罪だったとわかっても、
サプライズにはならないのである。怪しい容疑者がそのまま犯人だった方がむしろ驚くかもしれない。


それと同じで、「人体実験ですよー狂気の隔離空間ですよー」との示唆が過剰すぎたためもあって、
最初の春海、2番目の秋桜のルートあたりまではさほど面白さを感じなかった。
しかし真相が明かされる次の冬音ルートは俄然面白かった。
ハッタリと言えばハッタリなのだが、このスケールの大きなハッタリにはやはり驚く。
不老不死のベニクラゲや、氷河期の説明のくだりも圧巻で、ここまで読んできて良かったと思ったものだ。
ただ、そこから先の宇宙船地球号については、前述のとおりそこまでの面白さはなく、シナリオゲーとしての楽しみは冬音ルートがピークだった。


長い時間を共に過ごす中で、登場人物間に結ばれる絆もまたループものの醍醐味の一つ。
本作で描かれる永遠に続く春休み、悪夢と終末のハーレムを振り返れば、
恐ろしくもあり、羨ましくも感じられた。
特に陰鬱さや狂気が垣間見えるテキストにおいて、冬音のしょうもないギャグには何度も笑わされた。
本作で一番好きなヒロインもこの冬音である。


下ネタがややキツいのと、ゲーム最序盤になぜかややハードめのHシーンが連発で来るので、
上品なシナリオゲーマーの方は嫌気がさして投げてしまうかもしれないが、
そこはグッと堪えてプレイすれば、なかなか面白いSFが広がっている……んだけど、
Hシーンはなんならスキップしていただければ良いとしても、下ネタの方が合わないと厳しいかもしれませんね。


次の「なつくもゆるる」も気になりますが……どうしようかなぁ。 

Euro2016 簡易プレビュー

Euroというとサッカー界のビッグトーナメントであり、普段ですとテンションをマックスにして備える大イベントなのですが、今回はどうもあまりテンションが上がりません。
最大の理由は、出場国の増加でしょうか。
さすがに24カ国は多すぎるでしょう……。
商業主義はわかるけど、16か国で十分だったのに。
ワールドカップにも言える事ですが、肥大化されすぎると追いかけることもできないし、
予選の意味がないというか。
結局「決勝トーナメントからでいいか」ということにもなりかねないので、あんまり歓迎できません。


24カ国のうち16か国がトーナメントに行くわけで、上位2チームが突破を決めるなら予想はできるけれども、
3位の成績上位4チームの予想までするとなると果てしなく面倒です。
なのでまぁ簡単かつ、テキトーに予想してみます。


☆ グループA  

◎フランス     
○スイス
○ルーマニア
×アルバニア 


開催国フランスはここに来て欠場者が続出。エースのベンゼマはチームメイトを脅迫して代表追放。
脅迫されたヴァルブエナも締め出され、守備陣に目を向ければレギュラー候補のヴァラン、控えのサコー、ズマと欠場者だらけ。
万全の状態ならドイツ、スペインに次ぐ優勝候補なのですが、この欠場者の多さはヤバい。
とはいえ、さすがにこのグループは余裕で突破するでしょう。
注目はベンゼマに代わり、エースとして立たねばならないグリーズマン。
中盤の軸であるマトゥイディとポグバ。
そして、相棒ヴァランの離脱により、一層の重責を任されるCBのコシールニーといったところ。

いろいろとゴタゴタがあったとはいえ、戦力値を見ればやはり強豪。
そしてフランスはこれまで84年の欧州選手権、98年のワールドカップと、
自国開催の大会では優勝を飾っていることを考えても、やはり優勝候補の一角と言えるでしょう。
当然、このチームは注目していこうと思います。


二番手はスイス。
06年・08年・10年・14年とビッグトーナメントに安定して出場し、安定してそこそこの好成績を収めているスイスは、スタイルも大きく変わらないため、今回も安定してそこそこの成績は収めるでしょう。
予選は突破、ただしその先は……ベスト16か8止まりといったところでしょうか。
2014年ワールドカップ時とメンバーにほぼ変更はなく、エースのシャキリを中心に、中盤のジュマイリやベーラミ、最終ラインのリヒトシュタイナー、GKのビュルキなど、堅実なメンバーが揃っていますが、前線は頼れるエースが不在です。
また、ストロングポイントである中盤も14年当時に比べればややスケールダウンしています。
このチームも注目していくつもりです。


三番手はルーマニア。
久しぶりのビッグトーナメント出場となったルーマニアですが、予選10試合の成績はなんと11得点2失点で、5勝5分無敗……。
つまり0-0か1-0ばっかりってことですね。なんちゅーつまらなそうなチームや……。
しかし裏を返せば守備は鉄壁。強豪チームも彼らを崩すのは難しい、かもしれません。
一応その守備の完成度など、注目していきたいと思っています。


四番手はアルバニア。
ビッグトーナメント初出場のアルバニアですが、今大会では開催国と同居するグループ分けや
不可解な不戦勝などにも助けられての出場で場違い感が強く、個人的には数合わせ以外の何物でもないと思っています。
しいて言うなら、ポルトガル・フランスを相手にしても崩れなかった守備陣がストロングポイントですが……
守備のチームはルーマニアを見れば十分でしょ……。アルバニアVSルーマニアとかマジつまんなそう……。


グループB

◎イングランド
○ロシア
△スロバキア
△ウェールズ


イングランド1強とも言えるグループ。
2014年ワールドカップでは惨敗を喫したイングランドでしたが、当時の代表は思い切って世代交代をした直後。
14年ワールドカップのメンバーを中心に、2年の歳月で成長した彼らは、今や立派な主軸となっております。
また、今シーズンはトッテナムのメンバーが代表に加わるなど、新鮮な風も吹いており、久しぶりに期待感のあるイングランド代表が見られそうです。
とはいえ優勝となると難しいでしょうが……ベスト8がノルマ、ベスト4が目標、ぐらいは言ってしまっても良いのではないでしょうか。もちろん注目してみます。


二番手は僅差でロシアか。
2014年ワールドカップでは悲惨な戦いで世界を失望させたロシアも、監督が代わり、調子が上向いてきたと聞きます。
残念ながら僕は現在のロシアの戦術に詳しくはないのですが、選手の顔ぶれを見ると14年とはあまり変わっていない模様。監督の手腕でどこまで変わるのか、期待です。


三番手は……この辺になってくると僕も解らないんだよなぁ。
スロバキアは、予選を数試合観ましたが、小刻みなパスワーク主体のサッカーでなんとスペインにも勝利しており、なかなか面白いチームだなと感じました。とはいえ、割とヌルいグループの2位通過だしなぁ……。

大エースのベイルを中心に、56年ぶりのメジャートーナメント行きを決めたウェールズの方を、個人的には注目しています。ボスニア・ヘルツェゴビナを上回っての出場ですしね。


☆グループC

◎ドイツ
○ポーランド
△北アイルランド
△ウクライナ


優勝候補の本命とも目されるドイツの突破は間違いなし。
ギュンドアンの欠場、シュバインシュタイガーの不調、頼れるストライカーの不在は懸念要素ですが、
2014年ワールドカップでも他国を圧倒する格の違いを見せたドイツだけに、最低でも予選リーグは難なく突破できるでしょう。
スペインと並び、世界最高の中盤からの華麗なフットボール。
司令塔のクロースは更に進化を遂げ、大一番になればなるほど頼れるエースのミュラーはますます好調。
守ってはインテリジェンス溢れるフンメルスとボアテンクのペアに、守護神ノイアー。
しいて言うなら、ドイツらしからぬ慢心と言いますか、たまに気の抜けたプレイをするのが懸念材料か。


予選番長の名をほしいままにするポーランドを引っ張るのは、エースのレバンドフスキ。
欧州でも3本の指に入るストライカーである彼に期待がかかります。
が、そのレバンドフスキをもってしても、Euro2012は良いところなく敗退していたし、14ワールドカップにも出られなかったんだよなぁ……。んー、どうなんでしょう。個人的にはあまり期待してなかったりします。


ポーランドと共にEuro2012の共同開催国を務め、ポーランドと共に予選リーグで呆気なく散ったウクライナも……んー。
ヤルモレンコ、コノプリャンカの二大アタッカーは注目かとは思うんですが、代表メンバー同士の不和も伝えられますし、あんまし期待できないなぁ。


全くの無名選手だらけの北アイルランドも期待できるかと聞かれるとできないんですが、
北アイルランドは一応これでもEuro予選グループFを首位で通過してきたチーム。
グループFは相当ヌルいグループだったのは間違いないのですが、しかし仮にも首位通過したチームですからね。一応注目して見てみたいと思います。
えーと、知ってる選手は……マクネアーぐらい? うーむ。


グループD

○スペイン
△クロアチア
△チェコ
△トルコ


最激戦区、死のグループ。

優勝候補スペインにとっても気の抜けないグループになりそうです。
2008・2010・2012とメジャー大会3連覇を果たし、一時代を築いたスペインも、2014の悪夢を経て、夢から覚めてしまった模様。
偉大なる黄金メンバーも数人が抜け、新時代のスペインは、やはり2008~12の頃に比べると少し小粒。
とはいえ、他国との比較ではまだまだ素晴らしい選手たちが揃っています。
ブスケッツ、シルバ、イニエスタ、セスクと中盤は相変わらずの豪華メンバー、守備陣もピケ、セルヒオラモス、アルバ、ファンフランと2012Euro制覇メンバーが全員健在で、GKもデヘアにカシ―ジャスと文句のない顔ぶれ。
FWが小粒なのは気になるところですが、考えてみればスペインは2012年大会もFW不在の中、優勝を成し遂げたのでした。
ただ、2014年ワールドカップの惨敗は、やはり気になるところ。
一度気持ちが切れてしまうと、全く立て直せないという弱点が露呈されてしまっただけに、今大会でも逆境に追い込まれると呆気なく負けてしまうかもしれません。精神論ではないですが、『活』を入れられるようなリーダーがほしいですね……。


不気味な雰囲気を漂わせるのはクロアチア。
モドリッチ、ラキティッチ、コバチッチ、ブロゾビッチの中盤は、イタリアやイングランドといった列強に勝るとも劣らない顔ぶれ。
2014ワールドカップでは予選リーグで敗退してしまいましたが、列強を苦しめたEuro2008、2012では、大会を大いに盛り上げてくれました。今大会も期待しているチームの一つです。


トルコもまた、非常に不気味なチームです。
単純な戦力では測れない怖さがこのチームにはあります。記憶に新しいのはEuro2008。
ミラクルターキーとも呼ばれたこのチームは、怪我人続出の中、逆転に次ぐ逆転でまさかのベスト4に進出したのでした。
2002ワールドカップでも望外の3位。この、「何をするかわからない」というオーラが、トルコの魅力です。
ピッチの中の話をすれば、Euro2008で当時若手だったアルダがブレイク、その彼が押しも押されもしないエースとして中心となります。
ただ、今大会はチーム数が多いんでなぁ……その中では、個人的注目度は下の方なので、後追いになるかもしれません。


チェコもまた侮れない。
何せ激戦の予選グループAを首位通過したチームです。
……とはいえ、選手を見ると、守護神のツェフを除いて大して強そうにも見えないんですが……
強いんですよね? だって、予選リーグでオランダに2勝してるし……。
とりあえず、注目してみたいと思います。


☆グループE

○ベルギー
○イタリア
△スウェーデン
×アイルランド


一応、イタリアとベルギーが二強。
本命はベルギーか。
2014年ワールドカップでベスト8に名乗りを挙げたチームが、そのまま今大会にも乗り込んで来ます。
が、唯一の不安はキャプテンでもあり守備の要でもあるコンパニの負傷欠場。
あの大金満クラブであるマンチェスター・シティが、彼一人の不在で守備陣が乱調をきたし、レスターの後塵を拝したように、コンパニの存在は偉大です。
とはいえ、まぁ予選リーグは突破できるのではないでしょうか。


二番手は、ここまで期待感のないイタリアも珍しい、と思われるほどタレントが小粒化してしまったイタリア。
もはや列強と呼んでいいのかも疑問だが、守備陣は渋いオーバー30が名を連ね、安定感はある。
ブッフォン38歳、バルザーリ35歳、キエッリーニ31歳、ボヌッチ29歳。
……若手も欲しいところだが、まぁ安心感はありますね。
しかし前線は本当にヤバい。ペッレ? エデル? 
うーん、正直中堅国でもエースを任せられないようなタレントだと思う。
ストロングポイントだった中盤も、御大ピルロの欠場はいいとして、ピルロの後継者たるヴェラッティとマルキージオが揃って負傷離脱。うーん、大丈夫か?
まぁそれでも予選リーグは突破できるだろうし、逆境の時ほど不思議な力で上位に食い込むのがイタリアでもある。期待しよう。


34歳イブラヒモビッチが頼りのスウェーデンも斜陽感は否めないものの、安定してそれなりの力を出してきたチームだけに、イタリアを脅かすことは可能。
アイルランドは……Euro2012での大惨敗が記憶に新しく、当時から強くなった印象もまるでない。
この2チームは、後追いかなぁ。


☆グループF

◎ポルトガル
○オーストリア
△アイスランド
×ハンガリー

本命はポルトガル。代わり映えしないメンバーはすっかり『いつもの』といった様相だが、
それでもアンドレ・ゴメスなど若い選手もちょこちょこっとは出てきた。
大エースのクリスチアーノ・ロナウドの存在がピックアップされるが、メジャートーナメントで彼が本来の輝きを見せた事はない。
とは言うものの、最終ライン、中盤と大きな穴はなく、頼れるストライカー不在は毎大会のことなれど、それこそクリスチアーノ・ロナウドがストライカーとして覚醒すれば……ひょっとすると、ひょっとするかもしれない。

対抗はオーストリア。
久しぶりとなるメジャー大会だが、9勝1分無敗という予選の成績は素晴らしいのひとこと。
アラバを中軸に、面白いチームに仕上がっているのだろうか。期待したい。

小国アイスランドのメジャー大会進出は驚きでしかないが、予選ではオランダに2連勝するなど、
説得力のある成績を残しており、決して数合わせとは侮れない。
残念ながらまるで知らないのだが、アイスランドのサッカーを知れる機会でもあり、とても楽しみにしているチームだ。


ハンガリーの突破もまたサプライズではあったが、予選リーグの成績を見る限り「枠拡大」の恩恵を受けた
数合わせチームとの印象は拭えない。




とまぁ、ざっくりした予想を書いてみました。
一応パスサッカーが大好きなので、ドイツ、スペインは応援します。
2014年はフランスも面白かったので応援したいかな。
なんだか強そうなところばかり応援することになっていますが、最近はパスサッカー全盛なので仕方ない。
トルコやクロアチアも期待してますね。

後は、予選リーグの試合ぶりを見て、好きになるチームが増えればいいなぁと思っています。


予想が当たれば胸は張れますが、個人的には今期のレスターのような、誰もが予想していなかったサプライズにも期待したいですね。



 

新ロロナのアトリエ 感想

評価はA-。面白かったです。

アトリエシリーズをプレイするのは今回で7作目です。
参考までに今までプレイしたアトリエシリーズの評価はこちら。


マリー  B+  初代。伝説はここから始まった。

エリー  A   既プレイ作ではこれが最高傑作。僕の中でアトリエといえばこれ。何周やったことか……。

リリー  B    悪くないものの、クリアが簡単すぎるのと、フリーズ地獄が……。

ユーディ D   本拠地移転など、なんか無駄にめんどくさかった記憶。

ヴィオラ―ト ?? 挫折したという記憶しかない。

2作連続で「ハ?」という感じだったのでこの後アトリエシリーズから10年近く離れる。 


ソフィー C-  戦闘メインのアトリエ。マップがグルグル回るのといい、疲れるゲームだなぁという印象。

新ロロナ A-  エリー並の面白さ。僕が求めていたアトリエ。ただしバグが酷いのだけは困りもの。


ということで、新ロロナです。

一言感想で書きましたが、やはり僕がアトリエシリーズに求めるのは「調合>バトル」なんですね。
限られた時間で色んなアイテムを作っていくのが楽しいのです。
二周目以降は引き継ぎもあり、詰将棋的にトゥルールートを目指していくのも楽しいですね。
ストーリーと呼べるほどのものはないけれど、各キャラクターに全くいやみがなく、女性陣はロロナを始めとしてみなかわいく、男性陣もかっこいい奴、良い奴ばかり。
個人的な好みは女性陣はロロナとエスティさん、男性陣は誰かな。
意外とジオさんとかも好きです。あとハゲルさん。オヤジばっかりww 
でも、魅力あるオヤジが活躍するのも良作の条件だと僕なんかは思うんです。


……ただ、本作は看過できないバグがいくつかありまして。
まずはアトリエシリーズ恒例の?フリーズ。
1日に5回フリーズした時は、さすがにゲームをやめたくなりましたよ。 

同じくらい酷いのは、フレンドクエストが出なくなるバグ。
これのせいで、タントリスがクリアできないんですがそれは……。

さすがにゲームクリア(と言っても、普通にクリアはできるんですが、タントリスエンド&アストリットエンドがクリアできない)ができないのはいただけませんよ。 


修正パッチを当てれば治るようですが、それに気づいたのは3年目の11月20日……手遅れなり。

というわけでネット環境にある人は早急に修正パッチを当てましょう。
ネット環境がない人は、タントリス&アストリットは諦めましょう。
……パッチを当てればいいこととはいえ、やはり満足にクリアできないゲームにA評価は出せないのでA-評価で。


 

この大空に、翼をひろげて 感想(バレあり)

話115/150 人120/150 絵80/100 音85/100 その他100/100 印象40/50 

合計 540/650(25位/全180ゲームぐらい中)

 ESにつける点 88点。


評価はS~E。



☆ 小鳥ルート 評価 A+ 


心を閉ざしていた車いすの少女、小鳥は、ある日グライダーと出会う。
足の不自由な自分でも、空を飛ぶことが出来るかもしれない。
そんな想いを胸に秘め、小鳥はソアリング部の活動へと熱中していく。
一度は諦めていた恋を叶えた、大空での告白。
「危険だ」という両親の反対に一時は屈しそうになるものの、大好きな人と共に憧れの空を、少女は飛んだ。


清々しいまでの王道青春展開を見せる小鳥ルートは、本作中で一番好きなルートです。
空を飛ぶというのはとても危険なことです。
実際に空を飛ぶパイロットにも勇気は求められますが、大切な人がパイロットとして空へと旅立つ、
それを見送る事しかできない人々の心の負担は想像を絶するものがあります。
一度空での事故を目の当たりにしている小鳥の両親や飛岡には、それは耐えられないことでした。
彼らがフライトに反対するのは、正しいと言えば正しいのです。

しかし小鳥にとって大空を飛ぶことは、やっと出会えた夢・生きがいでした。
周囲に配慮して夢を諦める、他にもっと安全な遊びがある。それがいわゆる「オトナ」の選択かもしれません。
佳奈子が話す、飼われたインコの翼を切ってしまうというエピソードは、小鳥ルートのテーマをそのまま表しています。
大切な子、足の不自由な子を危険から守るため、翼を奪う事が正しいのかどうか。
実際のところ、正しいかどうかは誰にも解りません。
本作はハッピーエンドで幕を下ろしますが、小鳥が実際に事故に遭った可能性はありますので。


本作は共通ルートから一貫して、小鳥の心理描写がとても丁寧でになされています。
彼女が本当に空に焦がれているさまがプレイヤーにしっかり伝わるように描かれているのです。
冷静な目で見れば、それは確かに「子供のわがまま」なのかもしれない。
でも、空を飛びたいと願う気持ちがこんなにも伝わってくる小鳥だからこそ、応援したくなるのです。


モーニンググローリー直前。
空を飛ぶこともできず、小鳥も父親の車に乗ってしまった局面からの一連のシーン。
小鳥のSOSを受け取り、自転車で駆けて小鳥を迎え、そして大空を飛ぶ。
できすぎと言えばできすぎ、王道すぎといえば王道すぎですが、
冒頭でのSOSに絡めてきたのは非常に巧く、その後も失った夢の象徴である「自転車」も動員し、
ピンチからの大逆転を見せてくれた本ルート終盤は、クリックする手が止まらなくなりました。


小鳥と碧の関係性も非常に良かったと思います。
恋人としての二人も良いのですが、個人的には恋人になる前の親友としての彼女にとても魅力を感じました。
こんな異性の親友がいたらなぁと心から思える理想的な関係で、小鳥の髪を梳かすシーンや、
彼女の悩みを受け止めるシーンなど、つくづく良いなぁと思わされました。
空の上での告白も素晴らしかったし、前述した自転車で追いかけるシーンなど、絵になるシーンがとても多かったですね。


期待していたとおりの本当に良いシナリオで、とても満足しました。



☆ 天音ルート  評価 A-  

イスカ・天音・達也。
三人が抱いた空への想いはしかし、志半ばで潰えたかに見えた。
その想いをただ一人、超留年までして守ってきた天音。
そんな天音の想いと、イスカの残した航空日誌にも触発され、天音のもとへとたどりついた小鳥、碧、あげは。
更にはそんな4人の活躍を見て、やってきた亜紗と依留。
一時的に天音は去るものの、顧問として復帰。
そしてついに雲の回廊を飛んだ天音の元にやってきた懐かしのイスカ。
本ルートは、現ソアリング部の話でもありますが、どちらかと言うと旧ソアリング部、
「イスカと天音の物語」と言い切ってしまっても良いように思います。


本ルートを構成するパーツは完璧。
「先輩から後輩へ」というテーマは部活動青春ストーリーの定番(の割にエロゲではほとんど見ない)ですし、
奇をてらうことなく堅実に物語を着地させ、最後は良い気持ちでハッピーエンド。
うん、良い話でした。


ただ……なんだろう、小鳥ルートに比べて若干の物足りなさが残るのも事実。
原因は幾つかあります。


1、(飛岡の妨害、イスカのノート発見という障害はあるものの)割と順風満帆なこと。
少なくとも小鳥ルートの終盤のような、畳み掛けるような危機とは無縁です。


2、恋愛要素の薄さ。これは「好きずき」だと思っています。
「恋愛ゲームだから恋愛要素がないとダメ」なんてことは言いませんし、「主人公が大活躍しないとダメ!」とも思いません。
しかし、前述したように小鳥ルートは「恋愛要素もきちんと描かれ」、「主人公の活躍もあって」素晴らしいエンディングを迎えたのに比べ、天音ルートは基本「天音とイスカの物語」。
言ってはなんですが、碧は空気だったように思います。
その辺が、少し物足りなく感じたのかもしれません。


3、小鳥ルートが好きすぎたこと
勘違いだったら申し訳ないんですが、このルートって、ルートロックがかかっていましたよね?
小鳥ルートの先に読むならこれでも良かったと思うんですが、
あの小鳥ルートの感動の後でこれを読むと、「天音ちゃんも好きだけど、小鳥ルートがグランドエンドだよなぁ」と思ってしまう僕がいるんです。
まぁこれは欠点とは言わないですけど、ゲーム最後のグランドルートを飾るには…という。


4、飛岡先生が想像以上にどうでも良かった件。
飛岡先生が「実は善い人」なんじゃないかということは、小鳥ルートを読みながら想像できていました。
多分、生徒の事を心配するあまり、ちょっとやりすぎちゃった人なのかなと。
きっと事故の原因になった飛岡先生はイスカを溺愛していて(生徒として。いや、恋愛としてでもいいけど、さすがに年齢的に苦しいw)、イスカも飛岡先生を慕っていて。
そんなイスカが、事故に遭い……悲しみでおかしくなってしまった。もう二度とこんな想いをしたくない。
要は小鳥の両親の過激バージョンですね。
で、天音ルートで明かされる過去なんですが……えーっと、まぁ確かに予想は当たってはいました。

しかしですね、飛岡とイスカって単なる一教師一生徒じゃないですか。
深い信頼関係とか絆とか、あんまり書かれていないと思います(嫌いあってはいないみたいだけど、それぐらいじゃないですか)。
いや、僕は教師ではないので解りません。真面目に、生徒の一人ひとりをここまで真剣に想える先生もいるのかもしれません。
しかし、犯罪行為を犯してまで邪魔をする動機がこれじゃ、納得しづらいでしょう。

これじゃ単なる「障害としての、キチガイ悪役」以上のキャラになれていません。
イスカと飛岡先生のエピソードを幾つも入れて、それこそイスカが退学を考えている時に飛岡先生がひきとめて、それから天音に出会ったとか、飛岡先生が生徒から陰口を叩かれて自信喪失していた時にイスカに励まされたとか、
そういうエピソードの積み重ねがあり、飛岡先生にとってイスカという生徒が、問題児ながらかわいくてかわいくて仕方なかったとか。
そんな描写があれば、飛岡先生の気持ちも解るなぁ、実は善い人だったんだなぁと思えたんですが……。


5、天音の立ち位置の不徹底


これは天音ルートの問題点というわけでもないのですが、せっかくなのでここで書きます。
望月天音というキャラクターは「子供」と「大人」の中間点に位置する、とても魅力的な設定を持っています。
学生(留年)時の天音は完全に子供の論理で動いていますが、講師として戻ってきた際の天音は
事あるごとに「オトナだからな」を強調し、実際グライダーへの熱意も薄れているように思われます。
これは勿論、「諦め」はあるのでしょうが、恐らくは「オトナにならなきゃ」という自己抑制によるもので、実際には熱意を失ってはいなかったのだと思います。
そうでなければ、イスカとの約束を一時的にとはいえ吹っ切ってしまったことになります。
それはさすがに寂しい。


が、天音というキャラ自体が相当天然なため、ひょっとしたら本当に吹っ切っていたのかもしれず、
イマイチよくわからないことになっています。


他ルートの話をするのもあれですが、あげはルートの天音は、グライダーに対してもかなり「オトナの」視点を取ります。
つまり、「危険だからやめといた方が良い」という視点を取り続けます。
一方で、依留ルートや小鳥ルートでの天音は普通に乗り気で、どう考えても危険っぽい発進方法を提案するなど、ライター間でのすりあわせの不備故の違和感もあったように思います。

(主人公の碧の性格が、あげはルートだと非常に変なのは言うまでもありませんが
依留に関しても、他ルートではソアリング部に対してほぼ終始『ツン』を貫くのに対し
天音ルートではソアリング部に『デレ』ています)。


天音というキャラクターの「オトナなんだけど子供」という立ち位置は、うまく活かせれば魅力的、だと思うんですが、心理描写が解りづらかったり、複数ライターの問題もあって、あまりうまくいっているように思えなかったのは残念でした。
一度は諦めた夢を再び追いかけるという展開なのですから、もっと盛り上げることはできたように思いますし、
もう少し天音の心の動きが追えれば、もっと良かったのにと思います。
もちろん、僕の読解力がヤバい可能性はありますし、あるいは読者の想像に委ねる部分なのかもしれませんが。



とまぁブツブツ言ってきましたが、イスカと天音が電話で話すシーンは、予想はしていてもやはり良いですよね。
少々物足りなかったけど、良いルートだったと思います。


☆どうでもいい余談

本作を気に入っている理由の一つにはこの天音の存在があります。
というのも天音は超留年していて、25~26歳なんですよね。
この恵風学園は高校+短大というか5年制っぽいので、
碧・小鳥・あげはは高2~3だから、16~18歳(エロゲの登場人物は18歳以上ですが、まぁとにかく)。
風戸姉妹は高1だから15~16歳。
この年代の8歳差だの10歳差というのはかなり大きいと思います。


で、実際のところ、この手の青春作品って年齢の近い者同士がワイワイやっている作品が多い。
まぁそれはそれで良いのです。
ただ、年上キャラが出てくるエロゲだと、かなりの確率で、おじさんだの行き遅れだの言い出す感じがあって……僕もそろそろ年齢が気になる年頃なので、こういうの、割とキツいです。
そりゃね、わかりますよ、学生から見たら僕だってもういい年だってことは。
一緒に同じノリで混ざれるとも思っていません。

でもそんなふうに言わなくたっていいじゃないですか……って感じで、まぁプレイしていてなんか寂しい気持ちになっちゃうんです。鬱ゲーじゃないのに鬱になってどーすんだよ……。


だけどこの天音というキャラは、碧たちに普通に溶け込んでいますよね。
小鳥は気さくに「天音ちゃん!」って呼んでいて、誰もそれを不思議に思っていない。
年齢の差を感じさせない友情が、読んでいて「いいなぁ」と思ってしまうのです。
「あんちゃん」も良い感じの青年で、文字どおり碧たちの良きあんちゃんとして活躍していて
「俺ももうトシだからな…」みたいな自虐ジジイめいたことも言わないし、安心してプレイできます。


年齢いじりネタ、好きな人は好きなんでしょうけど個人的には結構不愉快なんで、
もうちょっと少なくなるといいなぁと思っています。
せっかくだから大人キャラも、もう少し仲間の輪に入れてあげてください……。
無理ならせめて、いじりキャラ的な乱暴さで扱わないでください……。



☆ あげはルート 評価 C+

複数ライターの弊害故か、大不評を買っているルート。
評判に違わず、つまらないルートでした。
共通ルートでは純正幼馴染として魅力を放っていたあげはだったのに、凡庸なライターによって地雷ルート/地雷ヒロインにされてしまうとは……。 


本ルートがつまらない理由は

①ストーリーラインがめちゃくちゃ
②あまりにもノリが寒い
③テキストが下手

の3点。この中で個人的に特につらかったのは、②のノリの寒さですね。
主人公とあげはの会話が徹頭徹尾面白くないし、主人公のモノローグもものすっごく寒い。


たとえば、あげはとの関係について主人公が「恋人ではなくセフレなのではないか?」と(個人的にはクッソどうでもいい)悩むシーンがありまして。

沈みかけの月に向かって、俺は両腕を突き上げ、肺を空にして、腹の底から吠えた。
「好きなのに、なんなんだよぉぉぉぉ あいつはぁぁぁぁ!!」

そして↑の翌日、夜中に近所でオオカミの遠吠えが聞こえたとヒロインが噂し怯えるという展開です。


ここぞという熱いシーンで腹の底から吠えるのは良いと思うんですが、
「好きなのになんなんだよぉぉぉあいつはぁぁぁ!」と叫ぶようなクッソくだらないシーンで、そんなに頑張らなくたっていいでしょう。
というか単なる近所迷惑男じゃないですか。
しかもオオカミの遠吠えと間違われるというオチ。こんなのを見せられてどうすりゃいいんです?
笑えっていうんですか? 

とにかくこのルートのモノローグは非常に鬱陶しく、ノリもいちいち寒く、会話は非常につまらない。
もう読んでてウンザリしてきます。

「この辺の冷静さは、自転車競技で鍛えられた賜物だ」
4行後
「ケータイを手に、電話する前よりムカムカしてきた」

とかも酷いし、「返事を待て」と言われているのに数時間後に再び答えを迫るなど、もういろんな意味で頭を抱えてしまいます。
 


①も酷いです。


過去、主人公の告白をあげはは拒絶しています。
主人公は引越していき、あげはの大事な居場所は失われました。

そして現在、主人公は再びあげはに告白しますが、あげはは首を縦に振りません。
なぜかというと、主人公のことを受け入れてしまうと、また大事な居場所が失われるかもしれないからです。

えっ?? 

過去、告白を拒絶してあげはの居場所は失われたのでしょ?
なのに、現在では『受け入れてしまうと』大事な居場所が失われるという話に変わっている。
まるで意味が解りません。


そもそもこの「告白を受け入れるか受け入れないか」という話自体が、とてつもなくくだらない。
……いや、告白の可否は本来くだらなくはないんです。
でも、このシナリオにおいてはとてもくだらない。


何故かと言うと、主人公があげはを好きだという気持ちが全く伝わってこないからです。
なぜ、あげはを恋人にしたがっているのかも全くわからない。
なりゆきでHしちゃったから、「ちゃんと付き合わないといけない」。
恋人でもないのにHをするのは「不純なような気がする」。だから付き合う。
その程度の動機しか見出せません。そんなのは単なる主人公の自己満足でしょう。
だからくだらないのです。
現にあげはを恋人にする前後の描写を読んでも、
「あげはと恋人になりたい」のではなく、「誰でもいいから、とにかく恋人が欲しかった」ようにまで読めてしまう。

(同じような悩みが天音ルートでもありましたが、こちらはくだらないとは思いませんでした。
それは、碧が天音の事を好きだという気持ちが、きちんと伝わってきたからです)


主人公があげはをすんごく好きだったなら。
なりゆきでHしちゃったけど、そういういい加減な気持ちじゃなくて、「真面目にあげはが好きなんだ」。
そういう熱い気持ちでの告白なら応援もしましょう。
しかし、「なんとなくHしちゃったけど、不真面目な奴に見られたくない」みたいな動機であげはに告白し、
あげはが返事を保留すると苛々する。すんごく、自分勝手でくっだらないなと思ってしまいました。


そもそもこのルートではほたるが主人公にアプローチをかけており、主人公は二股をかけられる位置にいます。
ゲスな事を言いますと、「恋人にならず、セフレでいい」というあげはの態度は、本来的にはとてもありがたいはずなのです。
なのに主人公はそのチャンスをみすみす捨てに行く。あげはに対して苛立ちまで見せる。
主人公がなぜあげはを恋人にするかというと、最初にHをしたから。
これが仮に、ほたるといる時に雨が降り、Hをしちゃったなら主人公はほたるを恋人にした事でしょう。
このルートのうっすい恋愛描写では、そのようにしか読めません。
それならば後述する依留ルートのように、あげはとほたるを同時にいただいちゃう方がナンボか清々しいってもんです。


まぁそんなわけで、破綻したシナリオとクソ寒い主人公のノリが合わさって、共感不可能なストーリーが展開されたのがこのあげはルートになります。


☆風戸亜紗ルート B- 


可も不可もない……としか言いようがないのがこのルート。
適度に楽しいんだけど、小鳥・天音ルートに比べるとだいぶ落ちる印象です。
しかしながらあげはルートで味わったような、心を揺るがすような憤りもなく。
亜紗ルートは本当に何もいう事がないです。



☆風戸依留ルート B

風戸姉妹から想いを寄せられ、亜紗を選ぶと上記亜紗ルートへ。
どちらも選べないを選ぶと依留ルートへ……。
……なんで依留を選ぶっていう選択肢がないねん! 
それぐらい用意しといてよ!

と思ったけど、まぁそれはそれとして依留はなかなかかわいかったですね。
それに結構Hシーンも良かったです。


シナリオゲーにおいて、堂々と恋人を2人作っちゃう3Pルートというのはなかなか珍しいのではないかと思います。
バカゲー寄りの抜きゲーでは割と見るんですけど、シナリオゲーだと「誰か1人に決めなくちゃいけない」という制約が割と強いような。


僕は、「純愛ストーリーの美しさ」は好きで、「女同士の修羅場―三角関係モノ―」も好きでして、
そういったストーリーはやはり「男女1対1の恋人関係」というものが前提となっていると思います。
ですが……言ってしまってはなんですが、そういうのではなく単にイチャついているだけの作品の場合、
別に1対1でイチャつこうが、女の子数人に囲まれてイチャつこうがどちらでも良い……むしろ後者の方が幸せ度は高いのではないかと常々思っておりまして。


そりゃ、今の日本社会で1対複数のハーレム関係は「不純」であるとされている事ぐらいは解ります。
解りますが、まぁそこはエロゲーなんですから。他に不純なことなんていくらでもしてるでしょ?
1対1の恋愛を正面から描いた作品ならともかく、そうじゃないなら楽しい方がいいじゃない。


というわけで、風戸姉妹ルート。結構面白かったです。
たまにでいいから、こういう恋愛の形を描くシナリオゲーもあって良いんじゃないかなぁ。


ただ、本編の「空を飛ぶ話」に関しては、『準備が整った翌日にモーニンググローリーが来る』というのは
いくらなんでもご都合主義すぎますし、
そもそも「空を飛ぶ話」と、「双子とイチャコラする話」のかみ合わせがあまり良くなくて、
なんだか二つの異なる物語を交互に読んでいる感覚を受けたので、完成度はあまり高くなかったように思います。


☆空を飛ぶシーンについて


本作品からは、「空を飛ぶこと」への憧れは痛いほど伝わってきました。
また、「自分たちでグライダーを製作する」ことが大事だというのもわかります。
ただ……僕がバカなだけかもしれないんですが、グライダーで空を飛んでいるシーンの描写はイマイチ巧くない。
今機体がどうなっているのかとか、どういうふうに山岳波に乗るのか、みたいなところがどうにも想像しづらかったです。
これは、僕が物事を立体的に捉えるセンスがないためもあるのですが、(ここで他作品を出すのもアレですが)たとえば「蒼の彼方のフォーリズム」で空を飛ぶシーンでは、一度もそういうことはありませんでした。
あの作品ではテキストだけではなく、視覚効果も使って巧く位置関係を表現できていたのに対し、本作はテキストのみで表現しようとしたせいもあって、今一つよくわからなかったです。
また、たとえばサーマルとはなにか、なんたら翼(もう忘れてしまった)の働きは何か、みたいな専門用語についてTipsを入れるなどの工夫も欲しかったですね。


キャラクターたちが抱く空への想いや、モーニンググローリーの美しい光景は伝わってきたのですが、
実際に空を飛んでいるシーンの臨場感は今一つで、そこは少し残念に思いました。


☆Hシーンについて


この手の作品にしては割とエロかったなぁと思いました。
愛撫のシーンを長めにとってくれているのもあるし、声優さんの演技もあるし、テキストも良かったと思います。
僕は、素晴らしい物語があれば別に抜けなくても良い、というプレイヤーではありますが、
しかし抜けるにこしたことはないです。
特に小鳥と依留が抜けたかなぁ。でもあげはや天音でも抜きました(亜紗では抜いていない)。
あげはとほたるの3PはFDの方にあるのでいいんですが、個人的に小鳥&あげはの親友丼もあったらなお良かったです(FDの方でいいのでw)。


☆総評

空に憧れる少年少女がグライダーを作り、飛んでいく。
個人的に「青春」モノは大好きでして、評判もかなり良かったため、ものすごく期待していた作品です。
そんな高い期待の更に上を……とまではいかなかったものの、十分期待に応えてくれて、とても満足しました。
欲を言えば、天音シナリオが小鳥シナリオクラスで楽しめれば、
あるいはあげはシナリオがせめて依留シナリオぐらいの出来ならば、90点もつけられたのにと思いました。

FD(フライトダイアリー)は買いましたので、そちらもプレイしようと思っています(冬のFDは未購入です)。
また、「見上げてごらん夜空の星を」も積んでいますので、そちらにも期待……なんですけど、
「ころげて」に比べるとあまり評判が良くないような??
ころげてレベルで楽しめるなら、絶対にやらねば!なんですが。


長文乱文をお読みいただきありがとうございました。




 
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