2019年07月

ハーレム双子ロリータ

生活に疲れた社会人主人公と、社会的弱者のロリータ。
「夜のひつじ」作品のロリータシリーズでは定番の組み合わせだが、本作の主人公(「僕」)は殊更自罰感が強いように思われる。
何かのバックボーンがあるのかと思ったら、特に何もなかった(読み逃しでなければ)のは拍子抜けだけど。

夜のひつじ作品が「キリスト教」的世界の影響下にあることは指摘するまでもない。
生活に疲れ、「純粋さを失いかけた」主人公を救うのは、無垢なる天使こと「ロリータ」たちだが、その「ロリータ」たちにすら罪の萌芽は見受けられる。

人は子供から大人への成長過程で、社会制約と自らを客観的に観る眼を学ぶ。
「ありのままの感情を、ありのままにぶつける」事への躊躇いは増えていく。
周囲の目を気にして、仮面を被るようになる。
ありのままにふるまうと、奇異の眼で見られるから。
奇異の眼で見られることに耐えられるほど、強くないから。

キャプチャ2

僕にあげられるのは「楽しい時間」ぐらいだから、それすらあげられないならいる意味がない。
僕がもらえるのも「楽しい時間」ぐらいだから、それすらもらえないなら時間を割く意味がない。
金銭や情報といった『価値』ではなく、ただ『楽しい時間』を分け合える関係。
それが、『友達』であり『愛』だと思う。


キャプチャ3

キャプチャ4

今までの「夜のひつじ」作品がそうであったように、本作も『あらすじ』として語れるような突飛かつ新奇な筋はない。
ただ、そこに流れているポエミスティックな空気感は、何物にも代えがたいものがある。

キャプチャ7

肉体的な「抱擁」も、言語での「抱擁」……平たく言えば、深いレベルで相手に慈しみの言葉をかけ合う事も、日本社会には欠けている、と感じる。
抱きしめ、抱きしめられる。ある種ウェットかもしれないが、そういった関係が皆無だからこそ社会生活のストレスは一向に軽減しないのではないかとも思う。
リラックスして、肌と肌が触れ合う感覚は癒しだ。そういった機会が絶対的に欠けている、と思う。

「ロリータ」シリーズを語るとき、どうしても『自分語り』の側面が強く出てしまう。
自分の内面を強く覗き込むような、そんな詩情に満ちている、そういった作品なのだろう。

この青空に約束を⑧羽山海己ルート(ばれあり)+キャラ雑感(追記)

☆海己ルート 評価

航 B+
海己 A
シナリオ A-
羨ましさ A
青春度  A
Hシーン A-

「羽山」の家は「星野」の家に憎まれていた。
航の父と海己の母が不倫の末、駆け落ちをしてしまったからだ。
本人たちにとっては仕方のなかったことかもしれない。
けれど、残された星野家の人々と、羽山家(海己の父、海己)の人間には深い傷を残した。

航のことを、誰よりも近くで見守り、慕ってきた海己。
けれどそれは決して告げてはならない恋だった。
航にとって、誰よりも身近な存在だった海己。
手の早い彼も、海己にだけは決して手を出すことはなかった。

周囲を傷つける事だけはしたくない。それが海己の願いだった。
二人が一緒になったとき、他の人間は離れていく。そんな強迫観念に付きまとわれていた。
誰からも祝福されず、多くの人に憎まれた不倫騒動は、海己を強く縛ったのだ。

それでも、二人は結ばれた。きっかけは宮穂の怪談話。
だがそれはあくまでもきっかけで、ずっと温めていた恋が瞬時に沸騰しただけのこと。

けれど、周囲は……とりわけ星野家と羽山家は許さないだろう。
ひょっとしたら、(航に想いを寄せる)つぐみ寮の仲間たちにすら許してもらえないかもしれない。
航と海己は、正面から「納得してもらう」ことを選択する。
「逃げ」るのは確かに楽だ。家族との縁を切り、南栄生島から離れれば、それで済む話だ。
けれど、それは皆を悲しませた不倫騒動と何ら変わらない。
だから、立ち向かう。
二人の思い出の場所、つぐみ寮を存続させるため。
そして周囲の人々を納得させる、二人の戦いが始まった。





凛奈をクリアした後、そのまま一気にやるはずがPC故障でえらく時間が空いてしまい、テンションががくっと落ちてしまいました。
また、書いていて思ったのですが、「つぐみ寮の存続」と「海己の恋」は本来別ものであるにも関わらず、強引な力技で一気に解決してしまったため、あらすじ紹介が「???」な感じになっています。
まぁ実際「???」なのですが、海己の演説シーン自体は「こんにゃく」屈指の名場面ですし、
最終的につぐみ寮が存続したのは(多分)このルートだけなので、
海己ルートこそが完全無欠のハッピーエンドになります。
海己ちゃんかわいいし、いいんじゃないかと。

とはいえ、ストーリー上の「真・ルート」は凛奈なんだなぁ~と思いました。
一番後味が良い(ハッピーエンド)のは海己なんだけどね。

茜ルートはやっぱり蛇足じゃないか?


☆おまけ

「約束の日」まで読んだうえでの感想ですが、
「南栄生島」を一つの楽園。そしてその中にもう一つ小さな楽園「つぐみ寮」がある。
そうした設定を納得した上で、そこに同化できるかどうかが、この作品を楽しむ上で大きなポイントになってくると感じました。

しかし、このゲーム、はっきり言って短いです。
無駄なシーンが少ないのは良いことな反面、「つぐみ寮の生活」を存分に楽しむには少し短すぎる気もします。
つぐみ寮の特別性を実感できなければ、このゲームを楽しむ事は出来ないと言っても過言ではないので、もう少しじっくり読ませ、愛着をもっと持たせてほしかったなと思いました。

具体的には「春、凛奈の歓迎会」、「夏、みんなで海へ」、「春、約束の日」といったイベントはあるものの、数が少ないと思います。もっと7人でいろいろやっても良かったのではないでしょうか?


また、航の未熟さはやはり引っかかる部分はあり。
高校生なのだからこれでいいのだ、とは頭では思うのですが(僕だって高校生の時は、バカだったw)、それにしたって「何やってんの?」感はありました。特にマラソン大会前の凛奈とのやり取りにそれを強く感じました。


個人的に一番感情移入しやすかったのは凛奈。次に静。それからさえりでしょうか。航は移入しづらいです。
女の子として恋人にしたいのは、海己、宮穂、少し開いてさえりの順。

ストーリー的によくできていると感じたのは、凛奈、海己、大きく開けられて残りの5人。
ただ、個人的に苦手な奈緒子も含めて、誰が欠けても「つぐみセブン」は機能しない、完全無欠なチーム。
誰か1人を~というなら海己になるかもですが、7人全員が好きですね。

正直、「この青空に約束を」は僕の中でそこまで評価の高い作品ではありません(10段階で7ぐらい)。
しかし、それはそれとして、(PC越しではありますけれど)つぐみ寮の仲間に入れてもらえて
楽しかったです。

それではまた。


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