2020年11月

創神のアルスマグナ感想(バレなし) 76点

3周目までクリア。別ブランド作品、「ヴィーナスブラッドブレイヴ」に似たタイプのRPGで、(ノーマルモードでやる限り)ヴィーナスブラッドより難易度が易しいので、ヌルゲーマーの僕にもストレスなくプレイできた。
個人的には、ヴィーナスブラッドの『不必要なユニット(弱すぎて使えない)』がゴチャゴチャしている感じがあまり得意ではないので、
今回の『アルスマグナ』の方が情報が整理されており、各々のユニットにも愛着が感じられて面白いと感じた。

1周目ノーマル(ロウルート)→2周目(ベリーハード・カオスルート)→3周目(ナイトメア・ロウルート)とプレイしたが、特に詰まる事はなく、とはいえボス戦ではたまに苦戦するなど
バランスは良かったと思う。
唯一鬱陶しかったのは、即死攻撃を多発してくる雑魚ユニットか。

1周目ではガード役をセレスに、シン、エンリ、ナムタル、ソニアあたりが活躍した。
2周目になると5大元素のオリジンたちが異様に強いので、この5人で組めば力押しできてしまうのが善し悪しか。その割にオリジンたちはHシーンが1つしかないのが残念だ。

Hシーンに関しては、エンリが割とエロかった……というより、エンリで1回、ソニア先生で1回抜いた以外、多分抜いてないです。

シナリオについては、特に語るほどのこともないので割愛。


総じて、特に名作!というつもりもないけれど、批評空間では評価の高いヴィーナスブラッドシリーズよりも、批評空間で評価の低いこちらの作品の方がぼく個人としては楽しめました!

小松左京「日本アパッチ族」感想(バレあり)

イントロ

本作は、鉄を食べる人間(通称、『日本アパッチ族』)が誕生・発展し、ついには日本を滅ぼしてしまうまでの物語です。

作者の小松左京さんには多少苦手意識があります。
SF界の大御所だということはわかっているのですが、今まで何作か手に取って、あまり肌に合わなくて。
しかし、後述する『SF祭り』には欠かせない作家として、しぶしぶ手に取った本作、「日本アパッチ族」が予想外に楽しく、こうして記事を書きました。

自分が読みたい作品を手に取るのが基本ですが、こうして課題図書的に読むのも新しい出会いがありますね

アパッチ族の誕生

「失業」が罪とされ、屑鉄と野犬が跋扈する流刑地に送り出される、本作の「日本」。
失業者たちは流刑地で飢死していき、彼らの運命は多くの庶民(有職者・中産階級)たちに知られることはなかった。

あまりに食料がないため、ある日「屑鉄」を食べ始めた人々は、
やがて体が鋼鉄化し、新人類「日本アパッチ族」へと生まれ変わる。
果たして、日本アパッチ族は日本国からの独立を求め、闘いを開始し、遂には日本そのものを併呑してしまうのであった。

というのが大まかなストーリー。

鉄を食べる、という行動も含め、
居留地に押し込まれた60代のおばあさん(今の感覚だとまだおばあさん扱いは早い気がするけど)が、兵隊を悩殺しようとすっぽんぽんになって、射殺されてしまうシーンなど、
『描かれている事実の悲惨さ』と、相反する『奇妙な滑稽さ・おかしみ』が本作には共存しています。
クスクス笑って楽しく読んで、でも少し立ち止まって考えるとゾッとする、る。そんな珍妙な味わいのある作品でした。

そんな一見コミカルな作品を支えているのは、説得力を持ったガッチリとした骨組み。
鉄鋼業界や政財界の動き、反対だけで対案を持たない野党と、事なかれ先送り主義の与党の政争。
貧富の格差拡大と、国民の分断。そして貿易摩擦の末の全面戦争。

虐げられた貧民が日本アパッチ族と化し、ついには日本を打ち倒す社会革命的な内容。
そして、日本アパッチ族が作った新しい国も、ディストピア的傾向を持つ検閲国家へ育っていく様子も、寒々しい思いを抱かせます。
1960年代に書かれた作品ながら、古さを感じず現代に通じる作品だと感じました。

余談1

ユーモラスでありながら不気味な侵略者を描いた作品として、本作と同じ肌触りを感じた作品に

山椒魚戦争

山椒魚戦争著者: 栗栖 継/Karel Capek/カレル チャペック

出版社:早川書房

発行年:1998

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があります。

また、人間が別の生物へと超進化していく、という意味では

地球幼年期の終わり

地球幼年期の終わり著者: 沼沢洽治/アーサー・C・クラーク

出版社:東京創元社

発行年:2017

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ブラッド・ミュージック

ブラッド・ミュージック著者: Bear Greg/小川隆

出版社:早川書房

発行年:1987

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のような味わいを感じることもできます。
こうした流れに連なる珠玉の一品として、本作「日本アパッチ族」も忘れられない作品になりそうです。

余談2

現在、SF作品を集中的に読む『SF祭り』が私の中で絶賛開催中です。
多分、期間は3か月~半年(2021年2月~5月ぐらいまで)
なので、SF作品のレビューが多くなるかも。

シミルボンには書きませんでしたが、既に

和製フィリップ・K・ディックを思わせる

あなたの魂に安らぎあれ

あなたの魂に安らぎあれ著者: 神林 長平

出版社:早川書房

発行年:1986

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や、荒唐無稽で愉快なエンタメ

産霊山(むすびのやま)秘録

産霊山(むすびのやま)秘録著者: 半村 良

出版社:集英社

発行年:2005

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などに出会うことができました。
あぁ、いろんなジャンルにいろんな宝石が埋もれているんだろうなぁ。

前回はミステリ、今回はSFを集中的に読みましたが、時間の許す限りいろんなジャンルが読みたいです。

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