2021年07月

「シンフォニック=レイン」感想(バレあり) 追記あり

87点。
最高の楽曲をメインに、常に雨が降り続ける街での少年少女たちを描く『愛』の物語。

☆前置き

愛には種類があります。
本ゲームにおいて、与える愛(アガペー)を体現するのがアリエッタ(フォーニ)であり、
貪る愛(ナルシシズム)を体現するファルシータとは対象を為しています。

アリエッタの愛は、赦す愛。それは、一種人間の域を超えた神の愛です。
他者を照らす、与える愛です。
一方、ファルシータの愛は徹頭徹尾、自分に向けられた自己愛になります。
他者はただ、自分の欲望を満たすための道具であり、大切なのは己のみということになります。

献身的にクリスに尽くしながらも、自分への愛情を期待してしまう、トルティニタはその中間と言えるでしょう。

なぜこんな事を書くかと言えば、本作ではキリスト教が象徴的に使われているから。
ナターレ(クリスマス)の日、トルタは礼拝のため長い行列に並びます。当然アリエッタも並ぶでしょう。
しかし、ファルシータは演奏会のため、途中で抜け出してしまうのです。

本作はピオーヴァという架空の街を舞台にした物語ではありますが、本作で使われる用語のほとんどはイタリア語です(歌詞内の、日本語と英語については重箱の隅をつつくことになるので、スルーします)。
これはイタリアが事実、音楽の国だからというシンプルな理由でしょう。

ただし、ファルシータの曲「雨のmusique」のmusiqueとリセルシアの曲「リセアンヌ」はフランス語です。二人は同じ孤児院で育ったので、孤児院がフランス語圏にあったのでしょう。
ちなみに、リセの母親エスクのエスクも、ひょっとするとフランス語かもしれません
(エスクとは、フランス語で「質問します」という意味だそうです。なお、グラーヴェはイタリア語)。

長々と書いてきましたが、イタリアにしろ、フランスにしろ、「カトリックの国である」、
という点を抑えて、ゲーム内の感想に移ります。


☆リセルシアルート 評価 B

歌を歌いたいにも拘らず、父親から虐待を受け、無理やりフォルテ―ル奏者にされかけているリセの物語。
リセの、盲目的な父親への愛情と、父親の狂気を感じたルートでした。
「自分はクリスと共に行く」と父親に告げたシーンが、恐らくリセのハイライト。
父親の元を離れ、『鳥のように、空を飛べる』ようになるまでのお話です。
リセは良い子なのですが、アリエッタを振ってまで付き合いたい、とは思えませんでしたが、それはそれ。


曲名の『リセエンヌ』は、フランス語で『女子学生』を差しますが、リセルシアの「リセ」ともかかっていますね。
彼女の境遇を考えると、妙に歌詞が明るいのですが、これが彼女の本来の性格と見るべきか、儚い希望を歌ったものとみるべきか。
プレイ中は後者だと思っていたのですが、クリア後の印象では『彼女本来の強さ』を表しているように感じました。
さりげなく、『今を生きてる、陽射しの中で』、『夜の空にも星が瞬く』といった『晴天』にまつわる歌詞がつけられている点もポイントで、トルタの『秘密』やファルの『雨のmusique』とは大きく印象の異なる部分です。


リセの物語は、喉を潰された状態からほんの少し回復したところで終わっていますが、
ED曲「hello!」で『口ずさむメロディーが 路地を抜け風になる』とあるので、恐らく歌は取り戻したのでしょう。
そして『今 私は自由、どこまでも行けそう Like a bird, I will fly to you』と
言っているので、恐らくはハッピーエンドなのでしょう。

今まで、物語に対してこういうアプローチをとった事はないのですが、本作では、『楽曲から』物語を読み解く必要があるなとこのルートを読んで感じました。

また、妻(エスク)に去られ、娘(リセルシア)を虐待していたグラーヴァは、
ファルシータとくっついた未来のクリス君の姿を表しているように思いました。



☆ファルシータルート 評価 A-

「歌手になる」という野望のために、全てを利用する事を決めた悪女、ファル様のルート。
それはクリスすら例外ではない、というよりも、クリスの事を愛しているようには思えない、というのが個人的な感想です。
間違いなく、更に優秀なフォルテ―ル奏者が見つかれば、クリスは棄てられるでしょう。
大事な彼女アリエッタを棄てて、そんなファルさんに、ひょこひょこついていくクリス君……哀れです。

曲者なのがED曲「メロディー」。この解釈は非常に悩みました。
長くなりますが、引用します。


『やがて覚悟が芽ばえていた
この夢のためならば 他を捨ててかまわない
つめたいと思うでしょう 振り向かない私を
だけど時には どちらかを選ぶこと 避けて通れない

皮肉なもの そして抱えてるカナシミこそが
奏でるメロディー
それは とても力を持つ

さよなら ありがとう
言えなかった言葉たちを
奏でましょう
君のその背中に 祈りをこめて』


この『メロディー』歌詞で僕が立てた仮説は、

①アーシノが本命
②クリスが本命だけど、クリスを棄てた未来から書かれた歌詞
③ファルは恋をした事もないのに、勝手に恋を棄てたと言っている
④アーシノと出会う前に既に恋を棄てていた


この中で、まず④は一番魅力がない説ですね。
個人的には『雨のmusique』→『メロディー』へとファルの心境が変化したと捉えたいので、
その意味からも④はあまり取りたくないです。

③でもいいんですが、これだとファルの『覚悟』が軽く感じてしまいます。
やっぱりファル様の覚悟を示すには、具体的に誰かとの恋を棄ててほしいので。

となると①か②か。
アーシノの性格があまり女性受けしそうにない(傲慢)という難点があり、ファルとアーシノを頭の中で並べてみても全然お似合いな感じがしないのが難点ですが、個人的には①を取ると面白いんじゃないかなと思います。


『つめたいと思うでしょう 振り向かない私を』 
アーシノに振り向かないファル。

『だけど 時には どちらかを選ぶこと 避けて通れない』
恋(アーシノ)をとるか、夢(優秀なフォルテ―ル奏者のクリス)をとるか
クリスが『夢』だとするならば、『恋』の対象は、アーシノしか該当しない。

『皮肉なもの そして抱えてるカナシミこそが 奏でるメロディー それは とても力を持つ』
抱えてるカナシミ=アーシノを棄てた悲しみ。
アーシノに対して何も思わないならば、ファルは『悲しみを抱えない』。

『さよなら ありがとう 言えなかった言葉たちを』
アーシノを突き放すために、ひどい言葉を言ったファル自身への言及。ということになります。

もちろんこれは、未来でクリス君を棄てて他の男に走った場合でも同様の事が言えるので、②の解釈も取れますし、それはそれで面白いと思います。


孤児院から戻ってきた年始最初の1日だけは、ファルの演奏に『欠けたものがなかった』点も注目したいポイントです。
ファルが孤児院に抱く気持ちは本人が言うような、「嫌い」だけではない、という事もわかります。
『メロディー』では『抱えてるカナシミこそが 奏でるメロディー』と書かれているので、「孤児院に行くことで悲しくなった」のだと思います。
そしてその悲しみは、「自分の過去への哀れみ」ではなく、「孤児たちへの思いやり・孤児たちへの愛」なのではないかな、と思いながら読みました。

メインについてはこんなところですが、
ファルがリセルシアを嫌っていたという描写から、リセルシアの悪評の源がファルにあることが想像されます。
本来、父親が『アレ』だというだけでピオーヴァの学生たちがリセルシアを積極的に悪く言うとは思えないので、ファルが裏から手を回していたと考えるのがしっくりくるかなと。


ファルは、非常に独善的で自己中心的であり、目的のためには手段を選ばない人間ですが、
一方で、『そんな自分を誰かに肯定してほしい』という甘さを持つ人間としても描かれています。
この部分がまた、「身勝手さの極致」とも思いますし、「サイコパスに振りきれない」部分でもあると思いますが、
一方で「良心に苦しめられる、邪悪なだけではない、一人の女性」としてのファルシータの脆さ、儚さを描いていて、奥行きのあるキャラクターになっていますね。

それにしても、ファルのような女性に見初められてしまうと、本当に大変です。
ファルというキャラに関しては、個人的には『嫌いだけど、妙に気になる』という位置づけでしょうか。
あるいは、『離れて観ている分には、魅力的』。
リアルで、少し似ている人に恋をした経験があるのでフクザツではありますw



☆トルタルート&トルタ視点トルタルート 評価 B+

双子を見れば、入れ替えトリックを疑え、の定石や
某ageのちびっこナースルートでこのトリックは経験済みなので、トルタの役回りに関してはそこまで驚きはありませんでしたが、『雨』の方は驚きました。

伏線回収という意味での驚きが大きいルートですが、
ルート単体の感想を書くと、
『切ない』いうよりも、トルタは空回ってるなぁと思いながら読みました。
本人は真剣だけども、傍から見ると喜劇的だなと。
まぁでも、それも含めて、トルタもまだ子供だし、トルタなりに一生懸命だったのでしょうね。
アリエッタの変装をするシーンなどは、途中から本人もわけがわからなくなっていたように思いますが(苦笑)

そして相変わらずの、頼りがいのあるニンナおばあちゃんの安定感。
(そういえば、ニンナにはフォーニが見える謎が最後まで明かされませんでしたが、
ニンナなら何ができても驚きませんw)

それにしても、ファルシータに隠れがちですが、トルタもハイスペックで、努力の人ですね。
トルタ視点が入ってくると、どうしてもトルタを応援しながら読んでしまいます。
ファル様にクリスは渡さねーぞ!


☆フォーニ(アリエッタ)ルート 評価 B

いや、良い話だとは思ったけど……僕の中では前のルートを読んで、もう『クリスの嫁=トルタ』になっちゃったんでw
中身がアリエッタとはいえ、フォーニに恋をするのもちょっと難しかったですし。

アリエッタが『無償の愛』を表しているのは、「fay」の歌詞を読んでもわかりますが、天使すぎてw
アリエッタが一種、人を超越した神の愛を体現していたのは、自分の状態(瀕死)を認識した上での事だと思うので、生還した後も同じ心境を保てるかは少しわからない部分もありますが……。


☆楽曲について

一番好きな曲は、ダントツで『Im always close to you』です。
これは、ゲーム本作とは直接関係ない部分で、故・岡崎律子先生の遺言にしか思えない歌詞にあります。
個人的に、ゲーム音楽(という括りで良いのかすらわかりませんが)でここまで感動したのは、本当に久しぶりの事になります。恐らく、ゲーム音楽ではベスト5。
ゲーム音楽という括りを取り払っても、人生で聴いた曲でベスト20には入る曲になりました。
噛み締めるように、何度も何度も。多分、この10日間で70回は聴いています。
これからも聴き続けることでしょう。
闘病中の岡崎さんの想い、そして生きている僕らに贈るメッセージ。
本当に優しくて、絶望の中で希望を探し求めるとき、灯台のように心を照らしてくれる曲だと思います。

ただ、これは『岡崎律子さんが、闘病中に作った』という外部情報も影響していると思いますし、
「シンフォニック=レイン」というゲームの評価にどこまで加えていいものかは迷いました。

他には、ファルの2曲と、トルタの2曲も好きです。
というか、全曲好きですけど。



好きなヒロインはトルタ。
アリエッタは家族枠な感じになっちゃってるけど、アリエッタルート以外だと亡くなっちゃうんですよね……。
トルタとくっつくクリスを、アリエッタには家族として祝福してほしかった(都合良すぎですねw)

別枠でファルシータ。
愛憎入り混じるというか、大嫌いだけど大好きですね、こういうキャラは。
そこを持ってくると、悪い子じゃないんだけど、リセはちょっとインパクトが薄かったかなと思います。


追記:

工画堂文庫から出ている、ショートストーリー集(1つ300円)を読みました。
これによって、だいぶ印象も変わり、↑で書いた考察(?)感想も若干変更があります。

まず、ファル様の本命はアーシノだった説は多分この様子だとありませんw

なので、自動的に
②クリスが本命だけど、クリスを棄てた未来から書かれた歌詞説にスライドしました。

また、ファル×リセカップリングによって、愛を知ったファル様も随分まともな淑女に成長し、
リセも幸せにしていることから、どうもお互いにとってのベストパートナーはこの2人だった模様。

リセもファルも、クリス君とくっつかない方が幸せになれるんやね……。


他、フォーニの原型となった妖精の絵本の話が面白かったです。

ドラゴン麻雀ダークネス2 感想

70点。
RPG+麻雀の画期的なシステムも、もうドラクエだけで7作目。
それなりに面白いのは確かだが、さすがにマンネリが極まっている。

『ドラゴン麻雀3(3部作)』を頂点に、緩やかに下がり続けているシリーズ7作目。
特に『ダークネス』は、シナリオが良くない。
ひたすら盛り上がりもなく、お使いイベントをさせられるだけなのだ。

また、これは僕の方の問題だが、ドラクエを8までしかやっていないので、本作のキャラクターの大半を知らないのも、楽しみを阻害する理由になっている(ドラクエ11はそのうちやりたい)。


と、いう事で感想はここまでである。

さて、ここから下は10年前にプレイした、
シリーズ2作目の『ドラゴン麻雀3 天空編』の感想のコピペである。
『手を抜くんじゃねぇ!』とお怒りの向きもあるだろうが、何ということか、
今読み返しても、全く攻略法が変わらないんだから仕方がない。

そんなわけで、以下引用です。





まず、このゲームは『イカサママージャン』ゲームです。
麻雀の腕は“ほとんど”関係ありません。マージャン初心者でも安心してプレイできる反面、
マージャン上級者の方は、『普通のマージャンとは違う』ということを認識してプレイして下さい。


具体的に言いますと、 攻撃的に打った方が良いと思います。敵も味方も、即ツモはデフォルトなので、
フリテンを気にしたり、ベタ降りを選択するのは、このゲームに限っては愚策です。
すぐにツモれるので、役満級の技を作る場合を除き、チーやポンなどもあまりお薦めできません。




まず、使えるスキル。このゲームは、本当に沢山のスキルがあり、その中から自分の戦い方に沿ったスキルを選択していくことになります。
僕が考える必須スキルはこちら。


・『ホイミ系』(序盤はホイミ・ベホイミ。後半はベホイム、ベホマ、ベホマラー。ベホマズンもエクストラダンジョンでは必要?)

回復が出来ないと話になりません。人間全員が覚えるくらいの 心構えでいきましょう。
同様に、キャラが死んだ時のためにザオリクも全員に用意しましょう。

・『イオ系』

リーチ技の中で恐らく最も汎用性が高いのがイオ系のスキルです。
リーチ一発がほぼ必ずつく、素晴らしい魔法です。
戦士系の●●斬りは正直 あまり役に立たないと思います。
勇者の使えるギガブレイクなどでも代用可能ですが、消費MPを考えるとやはりイオナズンはなるべく多くのキャラに覚えさせましょう。


・『バギ系』

こちらはドラを大量に発生させるリーチ技。
リーチ一発こそつきませんが、イオ系以上に上がった時は高得点が期待できます。
配牌時の敵の台詞を見て、余裕がありそうならイオ系ではなくバギ系で大ダメージを狙いましょう。
ただし、欲をかいて敵に上がられてしまっては元も子もありませんが(何度悔しい思いをしたことか・・・)
リーチ時にイオかバギで迷った時、第三の選択肢としてギガブレイクなどを覚えておくと便利です。
ある程度点数が必要、でも敵が上がりそう。そんな時に使えます。


・『ギラ系』

ツミコミ技は、ブレス系の『かがやくいき』『しゃくねつ』や『グランドクロス』などいろいろと役に立つ技が多いです。
これらはどれを使っても構いませんが、ベギラゴンはその中で最も習得が簡単だと思います。
魔法使いに転職してLV30くらいで覚えられますからね。
これは前述のブレス系などで代用しても構いません。

・『バイキルト』『スカラ』『ルカニ』など

このゲームで敵に与えるダメージのほとんどは、牌を捨てる際の打撃攻撃によるものです。
なので、その威力を増すこれらの魔法はまさにバトルの生命線と言っても過言ではありません。
特にバイキルトの効果は絶大ですよ。

・『ラリホーマ』『マホトーン』『フバーハ』など

配牌時、または敵のリーチ時を狙ってかけることで、効果を発揮する防御系の魔法たち。
敵がリーチした瞬間に、マホトーンで、リーチ技のイオナズンを封じる。
配牌時、敵を眠らせてツミコミ技を封じる。
これらの魔法が効を奏すと戦局がガラリと変わります。
特にラリホーマは、7割のボスに効きます。ラリホーマがあるかないかで、難易度はグっと変わってきますね。


上記までを踏まえると、必然的に『魔法使い』『僧侶』系のキャラが強く、『戦士』『武闘家』系のキャラはあまり使えないということになります。
ただし、HPの高さは魅力ですので、全員をいっぺんに魔法使いにするわけにはいきません。
順番を守って、常に何人かは戦士系のキャラも入れるようにしてください。


また、基本即ツモ即リーチなので、ハイテイで効果を発揮するメラ系の技などは本当に序盤以外は全く役に立ちません(メラミ、メラゾーマは一回も使う機会がないかもしれません)。
同様に、ロン上がりを防ぐヒャド系魔法も、あれば数回は使うこともあると思いますが、せっかくロンを防いでも次のターンでツモられるなんてことがザラにありますので、使い勝手は悪いです。

euro マイ・ベスト26&記憶に残った選手&ベストマッチ10試合

今回はコロナウイルスの影響で、1チームの登録が26人ということで、26人を選んでみます。


  GK 
  ジャンルイジ・ドンナルンマ(イタリア)
  ヤン・ゾマー(スイス)  
  カスパー・シュマイケル(デンマーク)

GKはドンナルンマは確定。イタリアの守護神の座をブッフォンから受け継ぎ、世界最高峰のGKとして堂々とメジャー大会にデビューした。
2人目からは迷ったが、まずはスペイン戦で脅威の活躍を見せたゾマー。
3人目は、デンマークをベスト4に導いたシュマイケルを選んだ。

他、シュマイケルに代えて、イングランドのピックフォードを選ぶのもあり。
個人的に、ビルドアップ時のキックミスが多かったので外したが、セービング面では問題がなかった。
また、ノイアーはその守備範囲の驚くべき広さで、改めて世界最高峰のGKだという事を印象づけた。


DF レオナルド・ボヌッチ(イタリア)
  レオナルド・スピナッツォーラ(イタリア)
   ハリー・マグワイア(イングランド) 
   カイル・ウォーカー(イングランド)
   ジョルディ・アルバ(スペイン)
   ロビン・ゴゼンス(ドイツ)
   ペペ(ポルトガル)
   ヨアヒム・メーレ(デンマーク)


対人守備の強さを印象付けたのが、ボヌッチ、ウォーカー、ペペの3人。
左サイドバックは今大会タレントが多く、イタリアの左サイドを担ったスピナッツォーラ、
ドイツの攻撃のキーマンとなったゴゼンス、
頼りないセンターの守備を補いながら、オーバーラップでもパーソナリティを見せたジョルディを選出。
マグワイアは、ディフェンスとしてもそうだが、セットプレイ時のヘディングは脅威となった。

もう一人はメーレ、アスピリクエタ、キエッリーニ、キアルあたりで迷ったが、ここはメーレを選んだ。最初の試合からスタメンだったなら、アスピリクエタを選んだと思う。


МF ジョルジーニョ(イタリア)
   ニコロ・バレッラ(イタリア)
   コケ(スペイン)
   ルカ・モドリッチ(クロアチア)
   ステフェン・ズバー(スイス)
   エミル・フォシュベリ(スウェーデン)
   トマス・ディレイニー(デンマーク)
   ミゲル・ダムスゴー(デンマーク)


王者イタリアの最大の武器となった中盤のジョルジーニョ、バレッラに異論はないだろう。
そのイタリア戦で最高の試合を見せたスペインからは、ブスケッツやペドリも選出に値すると思うが、
個人的に他試合も含めた総合的な働きで、コケを選んだ。
フィルター、ゲームメイク、クロス、そしてゴール前に飛び出しゴールを狙うなど、コケの働きはオールラウンドだった。

ベスト4のデンマークからは中盤を締めたディレイニーと、超新星ダムスゴーを選出(ダムスゴーはFWな気もするけど、まぁいいや)
スウェーデンでコンスタントに得点を重ね、唯一最大ともいえる脅威となっていたフォシュベリも迷わず。スイスのサイドアタックを活性化したズバーは、エースのシャキリを上回る武器となっていた。
モドリッチは、現在でも世界最高峰のМFとして、試合を決める活躍を見せた。


選考外の選手についても少し。
まず、イングランドのフィリップスはガツガツ系の潰し屋として、存在感を見せた。
そのフィリップスよりも遥かにクオリティの高さを見せたのは、チームはベスト16で敗退したものの、このポジションでは世界最高、フランスのカンテ。
ドイツのクロースもまた、チームは早期敗退したにもかかわらず、格の違いを見せつけた。レジスタとしてのクオリティでは、ジョルジーニョと双璧だろう。
オランダのヴァイナルダムも、予選リーグでは素晴らしい活躍を見せた。


FW
ロレンツォ・インシーニエ(イタリア)
フェデリコ・キエーザ(イタリア)
ハリー・ケイン(イングランド)
ラヒム・スターリング(イングランド)
ロメル・ルカク(ベルギー)
カリム・ベンゼマ(フランス)
ハリス・セフェロビッチ(スイス)
パトリック・シック(チェコ)


イタリアでラッキーボーイとなったキエーザは、今大会でスーパースターに上り詰めたかもしれない。
「小さな魔法使い」インシーニエは、ナポリで見せてきた魔法をビッグトーナメントでも見せてくれた。
シックはスコットランド戦の超ロングシュートで完全に勢いに乗り、コンスタントにゴールを決めて5得点。
決定力不足に毎回泣かされるスイスの救世主となったのがセフェロビッチ。彼の決定力が本物ならば、今後スイスを背負って立つFWとなるだろう。

基準点としても、ゲームメイクも、フィニッシャーとしても活躍を見せたオールラウンドなFWとして、ケインとベンゼマを選出。前者は説明不要。後者もクオリティは特大だった。
スターリングはデンマーク戦での疑惑のPKの印象が最悪だが、イングランドの数少ない武器として、ぬるぬるとした単独ドリブルは、延長戦になっても衰えず、相手ディフェンスを散々苦しめた。
残り1人は「戦術ルカク」のベルギー。彼がいなければ、ベルギーは何もできなかっただろう。


選ばなかった選手についても少し。
スペインの選手は日替わりヒーローで、選出が難しかった。クロアチア戦で輝いたフェラン、サラビア、イタリア戦の偽9番ダニ・オルモなど、気に入った選手はたくさんいたのだが。

フランスのエムバペのスピードはやはり世界最高。とはいえ、0ゴールでチームもベスト16敗退では選びにくい。
得点王のクリスチアーノ・ロナウドはさすがではあるが、PKが多いので選考せず。


ベストマッチ10

1位 フランスVSスイス

ジェットコースターのようにドラマチックな試合。
天国から地獄へ、そして天国へ。迷うことなく、本大会のベストマッチ。


2位 スペインVSイタリア

1秒たりとも目が離せない、両国の超絶ポゼッション争い。
スペインの神髄と、ポゼッションもカテナチオもできるイタリアの二面性。


3位 スペインVSクロアチア

ドタバタ逆転劇。フランスVSスイスと同夜に起きた、ノーガードの殴り合い。


4位 ドイツVSポルトガル

ドイツの両ワイドアタックが火を噴いた、今大会ドイツのベストマッチ。


5位 デンマークVSロシア

後がないデンマークが見せた、恐るべき爆発力。ベスト4へ進んだ北欧のおとぎ話、ここに開幕。


6位 オランダVSウクライナ

グループリーグ屈指の、派手な打ち合い。


7位 デンマークVSベルギー

圧倒的に押しこむ、チーム力のデンマーク。しかし後半に出てきたのはスペシャルな『個』だった。


8位 ベルギーVSポルトガル

猛攻をしかけるポルトガルと、耐え凌ぐベルギー。良くも悪くも、大会で最も激しかった試合。


9位 イタリアVSスイス

良質なサッカーを見せるスイスに、ポゼッションで格の違いを見せつけたイタリア。


10位 イタリアVSトルコ or スイスVSトルコ orウェールズVSトルコ or デンマークVSウェールズ

9位までは決まったんだけど、10位はどれでもいいや……。






euro2020 決勝 イタリアvsイングランド

イタリア  1-1   イングランド(home) イタリア勝利

МОМ CB レオナルド・ボヌッチ(イタリア)
試合内容 B₋

GK ジャンルイジ・ドンナルンマ 6・5  ジョーダン・ピックフォード 7
CB レオナルド・ボヌッチ 6・5     ハリー・マグワイア 6
   ジュルジュ・キエッリーニ 6  ジョン・ストーンズ 6
RSB ディ・ロレンツォ 5     CB カイル・ウォーカー 6・5
LSB エメルソン・パルミエリ 5  LWB ルーク・ショー 6
CH ジョルジーニョ  3・5     CH カルビン・フィリップス 6
  ニコロ・バレッラ 5      デグラン・ライス 5・5
  マルコ・ヴェッラッティ 5    RWB キーラン・トリッピアー 6
RWG フェデリコ・キエーザ 6   ОH メイソン・マウント 5
LWG ロレンツォ・インシーニエ 6    ラヒム・スターリング 5・5
CF  チーロ・インモービレ 4   ハリー・ケイン 6

監督 ロベルト・マンチーニ 7   ガレス・サウスゲイト 6

欠場者(イタ)スピナッツォーラ
   (イン)フォデン

交代(イタ)ニコロ・バレッラ→ブライアン・クリスタンテ 5
      チーロ・インモービレ→ドミニク・ベラルディ 6
     フェデリコ・キエーザ→フェデリコ・ベルナルデスキ  6
     ロレンツォ・インシーニエ→アンドレア・ベロッティ 5
     マルコ・ヴェッラッティ→マヌエレ・ロカテッリ 5
     エメルソン・パルミエリ→アレッサンドロ・フロレンツィ

  (イン) キーラン・トリッピアー→ブカヨ・サカ 5
       デグラン・ライス→ジョーダン・ヘンダーソン 6
       メイソン・マウント→ジャック・グリーリッシュ 5・5
       ジョーダン・ヘンダーソン→ジェイドン・サンチョ 4
       カイル・ウォーカー→マーカス・ラッシュフォード 4

イングランドの3バックが見事にハマった、前半となった。
ガチムチ系中盤2枚(フィリップス&ライス)を並べた中央の守備は強固で、両ワイドに開いたトリッピアー→ショーから先制ゴールが生まれた。
こうなるとイングランドは強い。ハイプレスとブロック守備の2段構えの守備でイタリアを封殺、
奪ったボールはショートカウンターで、中盤まで降りてきたケインのゲームメイクも効果的だった。

イタリアを応援している身としては正直に言えば楽しめない部分も多かったが(イングランドのサッカーは好きじゃない)、そういう個人的な好みを抜きにして、イングランドの充実度が際立った。
とはいえ、イングランドの攻撃は相変わらず工夫がなく、セットプレイからのストーンズ、マグワイアの強烈なヘッドに頼るものでしかなかったが……。


しかし後半、イングランドがプレスに出られなくなり、ゴール前に引きこもって守備ブロックを作ると、イタリアが完全にボールを支配するようになる。
インシーニエが中盤に顔を出して楔のパスを受け、チャンスメイクに関わり始めると、
セットプレイからボヌッチが同点ゴール。
そのまま試合は延長、PK戦へ突入し、イタリアが優勝を成し遂げた。


しかし、イングランドのPKキッカーはなぜサンチョ、ラッシュフォード、サカだったのだろう。
ヘンダーソンのような重鎮をもっと残しておけば良かったのに。
特にサンチョやラッシュフォードは、投入時間帯を考えてもPKのためだけに入ったようなもので、
それでPKを外してしまっては仕方がない。




コパ・アメリカ決勝 ブラジルvsアルゼンチン

(home)ブラジル 0-1  アルゼンチン

МОМ WG アンヘル・ディ・マリア(アルゼンチン)
試合内容 B₋

GK エデルソン 5・5     エミリアーノ・マルティネス 7
DF チアゴ・シウバ 5   オタメンディ 5
  マルキーニョス 4・5    ロメロ 6
  ダニーロ 5      アクーニャ 5・5
  レナン・ロージ 3・5    モンティエル 1・5
МF カゼミーロ 5     パレデス 5
   フレッジ 4・5   ロ・チェルソ 3・5
  パケタ 6       デ・パウル 6
FW エヴェルトン 4   ディ・マリア 6・5
  リシャルリソン 6  メッシ 5・5
  ネイマール 6    ラウタロ・マルティネス 5・5

監督 チッチ 5・5  スカローニ 6

欠場者(ブ)ジェズス
   (ア)

交代(ブ)フレッジ→フィルミーノ 5
     エヴェルトン→ヴィニシウス 5・5
     レナン・ロージ→エメルソン 5
     パケタ→ガブリエウ・バルボーサ 5・5

  (ア)パレデス→ギド・ロドリゲス  5
     ロ・チェルソ→タグリアフィコ  5
        ロメロ→ペセーラ 5  
    ラウタロ・マルティネス→パラシオス 4・5
    ディ・マリア→ゴンサレス 4・5


ホームで圧倒的有利と思われたブラジルと、30年近く国際タイトルから見放されているアルゼンチンの決勝。
試合内容は、90分を通してブラジルが猛攻を仕掛け、アルゼンチンが耐え凌ぐ展開となった。
前半22分、幸運な形でアルゼンチンに先制点が生まれる。
メッシの鋭いスルーパスを、ブラジルのレナン・ロージが対処しきれず、裏へ抜け出したディ・マリアへ。そのディ・マリアがエデルソンの動きを冷静に見極めて、美しいループシュートを決めた。
しかしスローで見ると、ディ・マリアの位置はオフサイド。しかしロージが触ってしまったため、オンサイドになってしまったのだ。ロージのプレイは責められないが、高くついたプレイとなった。


しかし、コパ・アメリカを観ていると南米のサッカーは汚いと改めて思い知らされる。
準決勝のコロンビアvsアルゼンチンの、コロンビアがあまりにも醜いサッカーをしていたので少し麻痺してしまったが、今日のアルゼンチンも相当に汚かった。
とりわけモンティエルは、欧州基準なら2回は退場していただろう。
ややお上品な欧州サッカーに物足りなさを感じる方もいらっしゃるかもしれないが、個人的にはこのような目を覆うばかりの、足を狙ったタックルが頻発する試合はみたくないなと感じた。

また、全体的にハイプレスがなく、プレスの位置が低いため、欧州サッカーのハイプレスに慣れている身としては、南米のサッカーは牧歌的で、時代遅れだなとつくづく感じた。
もっとも、時代遅れだからつまらないかと言うとそれはまた別で、ディフェンスとの1対1ドリブルなど、欧州ならば普通にプレスがかかって3人・4人に囲まれてしまうような状況で、
律義に一騎打ちを仕掛ける中世の戦争のような、ドリブル突破などは別種の楽しさがあった。

とはいえ、このサッカーでイタリア、スペイン、フランスのような欧州の強豪に通じるとは、正直思えなかったけれども。

最後に、メッシ、代表初タイトルおめでとう!
記事検索
月別アーカイブ
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

プロフィール

fee

カテゴリ別アーカイブ
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ