2021年11月

「リディ&スールのアトリエ」クリアしました

Vita版です。
全エンドクリア。

可もなく不可もなし、ただし丁寧な作りは好感が持てるといった感じで、
アトリエシリーズに顕著な(特に「フィリス」はそれが原因で投げた)フリーズが一切起こらなかったのは、
(本来それが当たり前とはいえ)評価ポイント。

個人的にはアーランドシリーズのファンだけど、
不思議シリーズも(フィリスはバグで途中で投げたけど)3部作一応クリア。
「ソフィー」のプレイは5年前という事もあってあまり記憶にないが、「ソフィー」よりも面白かった感触はある。


本作は難易度が緩めで(ノーマルの場合)、ヌルゲーマーにはありがたい仕様。
中ボスのファルギオル、ラスボスの魔核(だっけか?)は強かったが何とか勝てた。

地味に面倒だったのがオリフラムの作成で、『特性付け』を理解していないとクリアできない。
中ボスよりも何よりも、ここで一旦投げそうになった。

全エンドに関しては、『お店エンド』は難易度を一時的にハードにしないとお金が溜まらないが、それ以外は特に普通にやっていればクリアできる。


シナリオ面では、亡くなった母親を探して~というアトリエあるあるな展開で、特に書くこともない。

キャラクターは仲間キャラに魅力をほとんど感じず、唯一良いと思ったのは前作主人公のフィリスだけ。次点でスールかな。
仲間キャラよりも父親のロジェが好きだった。

個人的に苦手なのがアトリエシリーズによくある『ダメ男いじり』で、
マティアスなんかは全くダメではないのにいじられているのがかわいそうだった。
ロジェも浪費癖はともかく、誰よりも人間味を感じるのにリディから邪険にされているのがかわいそう。
アルトへの対応も含め、リディが好きになれないのはつらかった。


戦闘では後衛からのフィリスの援護射撃が激烈で、雑魚戦ではめちゃくちゃ頼りになった。


MIBURO 感想(バレあり)

86点。
新選組と幕末期を重厚に描いた、骨太「歴史小説」。



☆はじめに

本作は、ごく一部を除いて史実通りに新選組を描いた、歴史小説になっています。
非常に丁寧に描かれており、歴史小説好きにはたまらない作品でした。

反面、本気で感情を揺さぶられるシーン(いわゆる最大瞬間風速)はさほど大きくなかった点と、前作や前々作をプレイしないとわけがわからないエピソードがある点はマイナス要素です。
特に後者に関しては、不必要に感じたため、割と大きなマイナス。


本作は新選組結成(回想シーンですが)から、戊辰戦争の終結、浅くではありますが西南戦争までカバーした作品になっています。
そんな長大なメインルートから枝分かれする形で、各ヒロインとのifルートが展開されるというスタイル。
『G線上の魔王』とか『穢翼のユースティア』のような形ですね。

それでは、感想を書いていきます。



☆沖田総司ルート。
評価はB+。

中ボスの桐野利秋とのチャンバラが割と熱かったです。
他のルートヒロインは救う事ができますが、総司は病死なので、どうしても救う事ができないのが悲しい。


☆近藤勇ルート。
評価はA₋。

土方歳三の散り様が一番しっとりと情緒的に描かれていて、感動しました。

史実の近藤勇と比べると随分優遇されているのが本作のイサリンで、
『三国志演義』の『劉備』のような、『新選組&イサリンageバイアス』が入っているのは、ひしひしと感じましたね(笑)

と申すのは、ほぼ史実通りではあるのですが、本作の特徴として、
新選組メンバーの悪行は基本的にうまくごまかされています。

最も顕著なのが河合喜三郎の切腹事件で、史実では近藤勇の女遊び絡みで切腹させられたという説が強いのに対し、本作では伊東甲子太郎一派の仕業になっているうえ、粛清もされずに逃がされています。

この、『粛清されずに逃がされる』のと、『基本、悪いことはぜんぶ伊東甲子太郎のせい』というのが、本作における特徴的な『バイアス』です。

まぁ、実際の伊東甲子太郎も新選組から見てあまり望ましい人物ではなかったように感じますが、それにしても
ここまで悪役にされている甲子太郎は初めて見ましたw
なんでこんな奴、引き入れちまったんだ……?

他にも甲州勝沼の戦いで、『城持ち大名』になれると浮かれた近藤勇の行軍が遅れた話とか、
永倉新八との別れのシーンなど、史実の近藤勇はお調子者で割とおバカな印象があるのですが、
ゲームのイサリンは押しも押されもせぬ新選組のカリスマ、女神のような包容力で隊を引っ張っています。


☆斎藤一ルート。
評価はB+。

会津愛に溢れた斎藤像は、今まであまり見たことがなかったのですが、こういうのも有りですね。
駆け足とはいえ、大久保が企図した『武士身分の解体』から、不平武士が立ち上がった西南戦争、紀尾井坂の変までやってくれるのも嬉しかったです。
何より、完全にifではありますが、本作の悪役である、にっくき大久保を斬り殺してくれたのも嬉しかったです。



☆土方歳三ルート。
評価はA。

本作のメインルート、本流に当たるのがひじりんルート。
鳥羽・伏見からどんどんと北東に追いやられ、甲州勝沼、会津戦争、箱館五稜郭と最後まで抗戦した
土方の生き様を描くルートになります。

新選組という組織は、『まだ何物でもない(武士ではない)、理想主義の若者たちの集団』。
それ故に本来の武士以上に『武士らしさ』にこだわり、理想にこだわった結果、内部粛清が多発した様子などは、後の学生運動と似た匂いを感じます。

その新選組を体現したのがこの土方歳三ではないでしょうか。
本作のひじりんも、前述の『新選組バイアス(粛清回避)』によりだいぶイメージは穏健になっているものの、やはり怖いお人ではあります。

最後の戦友である榎本武揚との友情がほぼ描かれていなかったのは、少し残念というか、物足りなさは感じました。
(勝手に、この二人が友人だと思っていた僕の勘違いかもしれない)


☆山南敬助ルート(友の道)
評価はA。

単なるifにとどまらず、庄内藩の話を描いてくれたのが嬉しい。
新選組の皆が亡くなっていくのは悲しいけれど、子供に慕われていたという山南さん。
そんな彼女らしい第二の人生も、良かったです。
山南さんは大河ドラマ『新選組!』の影響で大好きになってしまいましたが、本作の山南さんも大好きです。


☆藤堂平助ルート(義の道)
評価はB+。

藤堂家の『裏切り』の家系を、フラフラと伊東と近藤の間を揺れ動く平助に重ねたルート。
津藩の落胤という俗説は、かなり信憑性が低いと感じているので、
歴史モノとしてはちょっと無理やりな感じはしましたが。
……藤堂高虎という梟雄と、まっすぐな性格であるにもかかわらず、結果として裏切りを繰り返してしまう平助を重ね合わせるのは、面白いなと。

たしか、浪士組が結成されたのは徳川家茂上洛のための市中警備であって、攘夷のためではないはずなので、
平助が『攘夷』にこだわる理由はよくわからなかったけど、伊東甲子太郎に洗脳されたんかな?

平助は、攻略ヒロインの中では一番『その辺にいそうな普通っぽい女の子』で、
健気でかわいらしいなと思いました。

できれば伊東甲子太郎に調教される平助のHシーンもおねがいします!(違うゲームになってしまうw)



☆永倉新八ルート(縁の道)。
評価はB。

新選組の生き証人、永倉さんのその後を描いたルート。
左之助が生きていた、というサプライズはありますが、正直特に語る事はないかなぁ。
リアル永倉さんのおかげで、新選組の資料がたくさん残り、後世にこうして伝わったのは素晴らしいことだと思います。

本作の永倉さんは、なかなか斬新な(?)性格で楽しませてくれました。
さのじが攻略できないのは……まぁいいかw
(でも源さんは攻略したかった……。お風呂場で裸を見れたので、それで満足します😢)



☆光の道(最終ルート)
評価はC+。

土方さんが、実は生きていた! 良かった良かった! ってだけ。

ファンの方には申し訳ないけど、鞘は正直割とウザい妹キャラだったし(忠臣蔵にもこんな奴いたような……)、歴史を修正するとか、前作キャラの話とか、どーでもええっちゅーねん。

一番困ったのは、土方さんが突然『日本中で一番戦い抜いたのはオレだぁ』みたいにドヤりだし、ここぞとばかりにOP曲を被せてきたのにはまいりました。
わざわざそんなこと申さなくても、プレイヤーはちゃんと土方さんの奮戦を噛みしめてるのに……正直白けてしまいました。


☆総評

そんなわけで、最後に軽くミソがついてしまいましたが、全体としては目の行き届いた大河歴史小説として、
非常に読みごたえがあり、楽しい時間を過ごさせていただきました。
なんだか、次回作「GIKEI」はファンタジー要素が激しいという噂もチラホラ聞きますので、プレイを躊躇っておりますが、本作のように歴史を描いてくれるならぜひ読みたいなと思っています。

「忠臣蔵」の一発屋ではなく、今後もインレの歴史ノベルが読みたいなぁと思わせてくれる、質の高い作品でした。


ここからはゲームと関係ない余談なので、お時間のある方のみどうぞです。




☆余談1

他ユーザー批判、というつもりはないのですが、ちょっと気になったので書きます。
嫌な気持ちになった方がいましたら、先に謝ります。ごめんなさい!


「歴史の教科書」と仰っている方を数名目にしました。
しかし、個人的に「教科書」という単語のチョイスには首をかしげたくなるものがあります。
私は本作は『歴史小説』だと言いたいです。

この「教科書」という単語を使っている方は、恐らく「それぐらい学びがある」というポジティブな意味と、「歴史どおりで、新選組が救われるようなIfがない」というネガティブな意味が入り混じっていると思います。

前述のように、確かに非常によく歴史的事件や逸話を調査され、面白く取り込んだ作品である事に間違いはありませんが、さすがに『教科書』と言ってしまうには正確さに欠ける……というより、そもそもライターのこよーてさんも「教科書」を書いたつもりはないでしょう。

『イサリンage 伊東甲子太郎sageバイアス』や『隊士の粛清がなかったことにされる』話などは前述しましたが、
それ以前の問題として、これが教科書なら児玉源太郎が新選組に入っていた事になってしまいますww


まぁ、それ以前に全員が女性な時点で、「歴史的事実」もへったくれもないように思いますが💦


また、「歴史小説」なのだから、「歴史的事実」の通りに進むのは当たり前で、これも個人的には
(心情的にはわかるけれど)的外れな批判だと思います。
そもそも歴史小説を作るな、If全開の物語を読みたいんだ!というのはまぁ個人の自由ではありますが……
個人的には名前だけ借りてきた新選組オールスターが、維新志士とタッグを組んで鬼退治するような物語にならなくて良かったなと思うばかりです。

前述のように、最終章「光の道」すら正直蛇足だと思いますし。

新選組自体の歴史は変えられませんが、山南さんや土方さんなど、各ヒロインの未来を変えることができるだけで満足しませんか?(提案)



☆余談2

本作の感想ではなく、偏ったfeeの歴史認識を開陳する自己満文章です。
歴史は大好きなのですが、世界史受験者でもありますし、歴史博士でもないのでお目汚しになるかと思います。
広い心で許してくれる方のみ、お読みください。


幕末の複雑さは『佐幕攘夷』から『尊王攘夷』への移り変わりにあるように思います。

黒船が来航した結果として、コレラの流行やインフレが起こり、庶民の暮らしは苦しくなっていきます。
その結果、「外国人を倒せ」と暴れ出したのが水戸藩や長州藩の過激浪士たちでした。

現代にも彼らの志を受け継いでいそうな排外的なネット右翼の方々がいらっしゃいますが、
過激浪士たちは実際に街中で外国人を襲ったりしていたので、まぁ考えなしにも程があるというか、色々と頭が痛いところです。

初めは徳川幕府に対して『外国人をやっつけろ! 外国人を追い出せ!』と炊きつけていた彼らでしたが、
安政の大獄を経て、どうも徳川幕府では外国人を追い出せないと感じた彼らは、
なぜか『天皇』なら外国人を追い出せると思い込み、佐幕攘夷から尊王攘夷に転換していきます。

そうした一派が長州藩の久坂玄瑞や久留米藩の真紀和泉でした。


しかし、街中で外国人を切り捨ててイキっても、外国の脅威は拭えない、という当たり前の事実を
長州・薩摩は『下関戦争・薩英戦争』で身をもって知る事になります。
個人の武力で外国人を殴っても意味はない。
そうではなく、国全体が近代化をして、欧州列強に追いつくんだ!と目覚めたのが、新しい倒幕の志士たちでした。

『攘夷勢力』としてどうしてもまとめられてしまいますが、街で外国人を襲っていた連中と、
国全体で近代化を進めるビジョンを持った人々(坂本龍馬、木戸孝允、大久保利通あたり?)では、見ていたものが違うように感じます。

個人的に、薩摩藩についてはほとんど知らない点、
また、どちらかと言うと幕府側を主人公にした作品を多くみているため、どうしても偏った見方になってしまうのですが、私が抱いている幕末の印象はおよそそんな感じです。


そんな中、佐幕派として京都の町を守護し、長州藩士や(途中で佐幕から倒幕へ鞍替えする)薩摩藩士などと敵対していくのが新選組、ということになります。


……しかし、私にはよくわからないのですが、『朝敵』になるのって、そんなに怖い事なんでしょうか?

朝敵になるのを恐れ、敵前逃亡をした鳥羽伏見での慶喜の行動が、徳川幕府にとどめを刺すことになりましたが、正直よくわかりませんでした。


そもそも大昔の王族とはいえ、権力を失って久しい天皇&朝廷が、なぜ幕末になって突然クローズアップされたのか。
水戸学の流行や、外圧に対して不甲斐ない幕府に対する不満の受け皿になった事はわかるのですが、
それでもこの時代の天皇の強さについて、イマイチわからないところがあります。

それは私の勉強不足でもありますし、私自身が熱心な*皇室ファン(?)ではないからなのかもしれませんが……


全然関係ありませんが、『関ヶ原の戦い』では石田三成を応援して徳川家康うぜぇぇぇと思っていたのに、
幕末になると幕府側を応援してしまうのは、
どうも僕自身に判官びいきというか、時代の敗者を応援するメンタリティがあるような気がしてなりません。
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