2021年12月

「シェルノサージュ ONLINE」第1幕感想

「アルノサージュ」がやりたいなぁと思って、その前段階として300円で叩き売られていた「シェルノサージュ ONLINE」を買ってきました。

……ここで早くもトラップ発生。そう、「ONLINE」を買っちゃったんですよね。
「シェルノサージュ」はDXとかOFFLINEとかが完全版(?)で、「ONLINE」版は1章しか入っていないという欠陥商品(2章までは無料でダウンロードできます)。
それに気づかずONLINEを買ってしまうなんて……酷い話です。


さて、11/28からゲームを始めましたが、10日ほどで第1章をクリアしてしまったので感想を書きます。

うん……うん……これは、出来損ないのソシャゲかな……??


『コンセプト』が僕に合わない、と言ってしまえばそれまでなんですが、
これは『ゲーム』という感じではないですね。


読書とか、他のゲームとか、サッカーとかバスケとか、要は何か別の事をやっていて、
ちょっと疲れた時に息抜きとして起ち上げる、『イオンちゃん観察ゲーム』と言った方が近いです。
にもかかわらず、イオンちゃんを無駄に遊ばせておくのがもったいなくて、気づけばゲームを何度も起ち上げてしまう……しかしそのたびにイオンちゃんは寝ていたり、工作中だったり、食事中だったり、風呂に入っていたりする。

これはあれです。ソシャゲの『スタミナ回復』待ちと、プレイ感覚がソックリですわ……。


ゲームのあらすじとしては、『アルトネリコ』シリーズの土屋氏らしく、なんだか色々入り組んでいそうなファンタジー設定。
これはそこそこ魅力的なんですが、恐らくテキストだけを読むなら2時間かそこらで読み終えてしまいます(第1章だけなら)。

それを、薄く引き伸ばすかのような、『イオンちゃんとの生活』。
1日に何度も風呂に入るイオンちゃん。食事もちゃんと30分かけ、眠れば8時間か9時間寝るイオンちゃん。
アイテム作成にも1時間ぐらいかかるわけで、いや、このチンタラ具合はとてもゲームと呼べる代物じゃありません。
待ち時間がとてつもなく、長い。


だから、やっぱりこれはソシャゲの亜種なんでしょうね。
気長に、植木を剪定するように愛でていくゲームなのでしょう。
すぐにやめればいいものを、なんだかんだで使いもしないアイテム作成を頼んでしまい、要りもしないアイテム採取を頼んでしまい、ついには1章をクリアしてしまいました。

そんなわけでOFFLINE版も改めて買い直しましたよ。


でもこれ、12章までやる意味あるんだろうか……?

flowers 感想(バレあり)

ひたすら蘇芳ちゃんがかわいそうなゲーム。
3章くらいまでは面白かったが、そこからどんどん萎えていった。

*蘇芳ちゃん以外、全方位で叩きますので作品ファンの方は読まないでください。


☆前おき

プレイ前の印象では、
『マリア様がみてる』を模倣したお嬢さま女子学校で、ほのぼのとした百合+ミステリーが描かれる、モノだと思っていました。
完全に思い違いでしたね。

この感想では、まず簡単にミステリーについて。
続いて、少女小説(百合)部について書きます。



☆『暖かくない』ミステリー


ではまずミステリー部……というより推理部から述べますが、
正直ここについては悪評も聞いていたので、元より期待していませんでした。
推理自体は、どう考えても一般のプレイヤーにはほぼ解けないであろう難解トリビア状態でしたが、
まぁ、大抵の推理小説もどうせ解けない僕にとっては大して問題ではなく。

攻略サイトを見て、正しい選択肢を選べば、主人公の蘇芳ちゃんがカッコよく推理をキメ
『きゃーー素敵ーーー蘇芳ちゃんーーー』となってくれれば、僕はそれで良かったのでした。
しかし残念ながら、あまり『きゃーー素敵ーー』とチヤホヤしてもらえない、不憫な蘇芳さん。

そんなわけで、推理部自体の稚拙さはこの際、マイナス評価に含めてはいません。
しかし、このミステリー部がキャラクターへの好悪や、設定の雑さを強調してしまったため、
結果的にはマイナスに働きました。


上に書いたように、3章あたりまでは楽しめたのですが、5章のササキ苺失踪事件。
これはいただけません。

元々、空気の読めない言動が多く2章では早速、立花への冤罪を誘発するなど
本作屈指のトラブルメイカーとしてライターにこき使われていたササキ姉妹。
ラブレターのイタズラも正直どうかと思います。
4章ではマユリのムッツリな視線を暴露してまた問題を起こしています。
5章に至っては救いようのない自己中心的な動機から狂言誘拐を仕組み、この時点で僕はもうこの姉妹には堪忍袋の緒が切れました。

『まだ友だちでいてくれるの?』という問いに、人の好い蘇芳は『当り前じゃない』と返していますが、僕の気持ちとしては、『もう二度と寄ってくんな』と言いたかったです。
そんなに学校を辞めたいなら、辞めればいいのに。
あれだけの騒動を起こしても、全く反省の色なく6話以降も空気の読めない言動を繰り返し、
立花にブチギレられてしまうササキ姉妹(特に苺)にはつける薬もありません。


こんなササキ姉妹と『3人組(アミティエ)』にされてしまった、名もなきモブキャラはあまりにも不憫であり、そりゃ退学もするわと思いました。
最終章間近では良いシーンもあるのですが、他人の秘密をペラペラ喋りそうな苺に、自分の弱みは話せないだろ……と。
身から出た錆というか、これまでの行いが悪すぎます……。


☆練られていない『3人制アミティア』制度や、学園周りの杜撰さ


そもそも、この作品において大事だったはずの『3人制アミティア』という制度自体が、
個人的には全く練られているようには思えません。


『アミティエ』という制度は『友だちの輪を広げ、人間関係を学ぶため』の制度という建前になっていたはず。
にもかかわらず、ササキ姉妹がアミティエにされているのは、おかしいのではないでしょうか?
姉妹別々のアミティエに組み込み、そこで人間関係を学んでいくのが当然では?
ササキ姉妹は学園側からも見捨てられてしまったのでしょうか。


それ以前に、蘇芳たち以外の『3人組アミティエ』が全く出てこないのが致命的です。
『蘇芳・マユリ・立花』の3人の関係を描きたかった、
という理由だけで『アミティエが三人組である』という設定が作られているような気がしてなりません。
もしそうなのだとしたら、あんまりにも稚拙な物語設計だと感じます。


また、7話の譲葉先輩転落事故に関しても、酷いです。
何の証拠もないのに『桜が……』という言葉だけを根拠に、マユリを問い詰める教師陣は、どうかしているとしか思えません。
リアル世界の学校でも不祥事は多いようですし、ある意味リアリティがあるのかもしれませんが、それにしても『暖かくない』。


繰り返しになるが、本作の推理には元々期待していません。
しかし、キャラクターが嫌いになってしまうような事件・『暖かくない』と感じてしまうような事件は願い下げですし、
主人公たちの三角関係を描くためだけに『3人制アミティア』という制度を作ったのだとしたら、
ちょっとお話にならないと思います。



☆眼鏡っ子はなぜキ印なのか


本作の蘇芳ちゃんを取り巻く人間関係は、アミティエとして『立花』と『マユリ』が配置され、
仲の良いクラスメイトとして『ササキ姉妹』。
そこから少し離れた関係で、本仲間の『えりか』と料理部の『譲葉』がおり、
更に離れた位置にダリア教諭とネリネがいます。

しかし、蘇芳の事を本当に気にかけているなと感じたのは、
個人的には『譲葉』と『えりか』の二人ぐらいで、その二人もだいぶ関係性は遠い。


ササキ姉妹についてはもう散々書いたのでいいとして、姉妹と同レベルで空気が読めない自己中女、これが立花です。

とにかく、美少女ゲーム界での眼鏡っ子は頭がおかしいと相場が決まっているのだが(誇張表現)、
本作の立花は、凌辱ゲーの主人公顔負けの行動を見せるナイス・メガネでした。

蘇芳ちゃんの身体を狙っているこのメガネは、ベタベタと蘇芳ちゃんに触りたがる性欲魔人であり、
マユリの弱みを握って蘇芳を脅し、交際を強要した上、クラス中に発表するヤベェ女です。

また、アミティエという身近な立場であり、蘇芳ちゃんに片思いをしているのだから当然彼女の事を思いやって然るべきなのに、立花にはそんな芸当はできません。

ピアノを前にするとトラウマがぶり返し、吐き気を催してしまう蘇芳ちゃんに対しても、
無邪気にピアノを薦める始末であり(別に立花に悪気はありませんが)、
「蘇芳ちゃんの肉体だけにしか興味がない」事がハッキリわかる浅ましい変態メガネなのです(←言い過ぎ?)。


☆冷たさを感じる、もう一人のアミティエ


それならマユリはどうでしょうか。立花と比べれば、マユリの方が1000倍良いに決まっています。
脅迫しながらベタベタ触ってくるストーカー女と比べたら、その時点でよほどのことがない限り不戦勝は固いです。

しかし、彼女は彼女であまり良い性格とは言えません。
序盤、立花に惚れるマユリは蘇芳と立花をあまりくっつけないように動いています。

3章でも、ピアノを前に吐き気を催し、秘密を告白しようとした蘇芳に対して、
『お前の悩みなんて聞きたくねーよ』とばかりに、『人には秘密があってもいいのだ』と突き放してきます。
これは一見正論であり、お人好しの蘇芳は『そう言ってもらえて救われた』などと良い方に解釈していますが、その後のマユリの対応を見るにつけても、マユリの本心は『踏み込みたくない・関わりたくない』以外にありません。
4章での『蘇芳は知人止まり』発言もその流れを汲むものになります。

このように、マユリは冷たい。
もちろんそれはそれでいいのですが、マユリに限らず、
蘇芳ちゃんの周囲はことごとく蘇芳ちゃんの事などどうでもいいと考えている、冷たい人々なのであります。
終盤になるとだいぶ良くなりはするものの、蘇芳とマユリが接近したともあまり感じられないまま、キスを交わし、そして超特急でいなくなってしまいます。


個人的に、マユリの『蘇芳は知人止まり』という発言で初めて、
『あれ、Flowersって、暖かい物語ではない? ひょっとして冷たい物語なのでは?』と感じてしまい、テンションがだだ下がりになったので、その点でも印象深い台詞でした。


☆ピアノはパワハラ

マユリの件から離れると、
そもそも、ピアノのトラウマを抱える蘇芳に、ピアノを強要する流れなどはどう考えてもパワハラ(?)でしかありません。

接点の少ないネリネには仕方ない面もあるとはいえ、以前キッパリと断っているにも関わらず、再度誘いに来るのは、やはりしつこい(というか、多分この人も空気が読めない系)
ササキ姉妹が気を遣えるはずもない。
アミティエであるはずのマユリや立花は気づいてあげねばならないのに、立花に至っては演奏を薦める始末です。
お嬢さま学校のはずだが、この学園には、ピアノを弾ける生徒がそれほどまでに少ないのだろうか?

蘇芳が苦手を克服する、という前向きな姿勢ならばまだ良いのですが、蘇芳はどう見ても嫌がっています。
なのにお人好しの彼女は、誰にも助けてもらえず(譲葉のみ、断っても良いのだと蘇芳を気遣っている)、結果、引き受けざるを得ないのです。


こんな冷たい・悲しい話があるでしょうか。

確かに1章の蘇芳ちゃんは自意識過剰な挙動不審少女です。
しかしそれはそれとして、友だちを作りたいと健気に願う女の子なのです。
僕もコミュ障界の仲間として、(時に空回りする蘇芳ちゃんに居たたまれなさを感じつつも)応援しながら読んでいました。

それだけに、4章で露わになったマユリの冷たさと、対称的にギラギラした性欲のみを感じさせる狂気の眼鏡に囲まれた三角関係に、
読んでいる僕の気分はどんどんと萎えていくのでした。


作品を通して『周囲の暖かさ』を感じるシーンはごく稀で、最後は突然のマユリの失踪。

「何も言わずにいなくなるなよ」という気持ちも強いですが、
それ以前に、もしマユリがいなくなることがわかっていたのなら、
なぜバスキア教諭はマユリがいなくなる一週間前に『女生徒同士の恋愛』を咎めたのでしょうか?
一週間前の時点では、マユリがいなくなる事がわからなかった? そんな事あります?


そもそもこんな「3人制アミティア」なんて制度を作っておいて、後出しのようにそんな事を言われても……この学院は頭大丈夫なのかな?と思ってしまいますが、
譲葉事件の時もマユリを糾弾していたし、普通にやべぇ学院なのでありました。


他にも、何の説明もなく『級長であり、合唱部でもある立花』が聖母役を取り上げられ、
特に歌が得意という描写もなかったマユリが選ばれたのも闇が深いです。
こればかりは立花に同情しますよ。


説明不足なのか、続編で明かされるのか、はたまた何も考えていないのか。
少なくとも『春編』単品で考えると、何も考えていないように思えます。


不満の7割が、蘇芳ちゃん周辺の人間関係にあるので
主人公が変わる夏編ならば不満は解消されているかもしれません。


しかし、この春編の出来を考えると、夏編に手を出そうとはなかなか思えないのが現状です。
批評空間の中央値を見る限り、春編が一番低いので、ここを耐えれば夏編以降は面白いのか。
それとも単に、春編を楽しめなかった人の何割かが脱落したため、数字上夏編以降の点数が高いだけなのか、それすらわからないのが困りものです。


あと、『春編』に関して言うなら、18禁で普通に出せたじゃん、って思いました。

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