2024年07月

父親が亡くなってそろそろ20年が経ちました。
著作権は僕と母が持っているので(&完全に絶版で、今後も増刷りされるとは全く思えないため)、ネットの海に父の魂を遺しておきます。

とはいえ、一つ詩を書き写してみましたが……思いのほか、大変だな……。




『朝』




蒼びかりの空に沈む
あれは なに 
あれは なにか

今朝
町なみを焦がす光と
とぎれたサイレンの音に日は昇り
吹きよせられたスラムの上
青いドームのはじからはじへ

とびかい 荒れくるう
気団は
どんな国境を越えてきたのか

みちばたに
とけわすれた氷塊
空をうつし
窓枠に切りとられた
氷塊 蒼く
すでに脈うたぬ氷塊
切りとられて
救いをもとめる
ひとさしゆびのように
みちばたに林立し

とおい朝
美しい朝には
むすうの太陽たちうたい
むすうのハムレットやオフィーリア
手をとりあい
むすうの氷の指から
ルージュよりも紅く血をしたたらせ
だが
俺の朝
おまえの朝
そして
俺たちの朝は
白く崩れた土塀に沿って
石くればかりの道を転がり

蒼びかりの空に沈みこむ
あれは なにか
あれは

刺しつらぬく痛みや
*苦がい砂粒に支えられ
くろい血を呑んで
頭かかえこむ氷塊
胃の腑こみあげる凍りついた指

今朝
ビーダマのようにころがる朝の
電柱にはためく求人広告や
ちぎれとぶ包装紙の空に
うたおうとして沈む
あの
ひざまづく人のかたちした雲や
あの
くいしばった唇のかたちした
あおじろい月や
うたうな!
月よりも重々しく
*うたよりも鋭どく
ひとつぶひとつぶの汗よりも加熱された
あの弾道のまえに

この朝
つぶやくことばは奪われて
またしても
荒れくるう白い気団
扁平なゆび
扁平な光
烈しくきしるバイオリン

蒼びかりの空に沈もうとする
あれはなにか
あれは
あれ


吹きすさぶ大腿骨
二頭筋大腿骨
ちぎれとぶ蒼空
溶けそこなった氷の塔
きしりごえたてるバイオリン
この朝
降りかかる宇宙塵に
額 射ぬかれて
まわりながら

うたうたう
砂どけい
まわりながら
祈る斜塔
炎の影走らせながら
目をまわしながら
堕ちながら

蒼びかりの空に沈みこむ
さかしまな塔
*衝激波ほとばしらせる塔
おまえは なに
おまえはなにか

眠られぬ朝
寒い朝
ようやく見えはじめた朝の
あの
憎悪の形して煮えたぎる
バイオリンの声のうず潮に
沈みこむ
あれは なに
あれは なにか


*原文ママ


ポエム 新世界より

行きたい 顔も忘れてしまった あなたの背中を追いたい
行きたい 六人で笑ってた 何も知らない若葉の季節(とき)
事あるごとに覚(さとる)が 私に突っかかっていたのは嫉妬?
私がいつもムキになって 彼をやりこめたかったのもそうなの?

知りたい 名も忘れてしまった 愛するあなたを知りたい
埋めたい カケラくずになって 飛び散った記憶を埋めたい
私たちは確かに 六人いて 真里亜(まりあ)と守(まもる)は仲良しで
私は皆に嫉妬していた 
あの人に近かった覚(さとる)に、真里亜(まりあ)と番(つがい)になった守(まもる)に
私は皆が大好きだった
きっと皆が私を好きでいる以上に  
そう思っていたから 片想いだと思っていたから

あなたの最後の言葉が花びらとなって心に積もる
「愛してる」
なんでそんなことを今更言うの?
解けない 恋の蔦鎖(つたぐさり)が あの頃へと引き戻す
呪いで繋がれている 
傷みがある限り炎は揺れない

逝きたい あなたがこの世界にもういないのだとしたら
生きたい 胸に包まれながら 鼓動を聴いていきたい
消えたのは一人じゃない みんな みんな 消えていった
残された私たちは二人ぼっち あなたを弔う番(つがい)

ねぇ 時間はなぜ 傷みの炎を焚き続けるの?
あの時 何も知らなければ みんな一緒だったの?
でも 針は戻せない 蝋は溶けていき砂は落ちていく 逆さまにはならない

あなたがつけてくれた痛みを 狂おしく抱えながら
無限の地獄を彷徨う 
本当に醜い心(もの)を 笑顔と愛で押し包みながら
生きていく
不要なものを笑顔で燃やし 罪など感じる余地もなく
生きていく
あなたがつけてくれた痛みを 悍ましく(愛おしく)抱えながら
生きていく

Euro2024総評&ベスト26

今回に関しては全試合見たわけではないので、ベスト26を紹介して良いのかわかりませんが、
まぁあまり気にしない方向で。

★今大会の特徴

1 世代交代の大会

今大会は一世を風靡したクリスチアーノ・ロナウドやモドリッチ、あるいは(本人のパフォーマンスはそれほど悪くなかったものの)デ・ブライネなどが思ったほどの活躍が出来ず、
上位進出国の主軸を担ったのは、ラミン・ヤマル、ニコ・ウィリアムズ、ペドリ、
ベリンガム、フォデン、サカ、ヴィルツといった若手選手たちでした。

2 大量得点、打ち合いの少ない大会

大会の平均得点自体が少なかったという感覚はないのですが、
派手な打ち合いが演じられた試合はオーストリア3-2オランダの試合ぐらいでした。
大量得点も、明らかに力の劣るスコットランドを相手にドイツが5-1の勝利を収めたくらいでしょうか。
全体的に慎重で受け身のチームが目立ち、1点でもリードを得ると守りに入るチームが非常に多かったのは残念でした。


3 欧州では絶滅危惧種の絶対的ストライカー

今大会、絶対的なCFと呼べる選手は軒並み低調、もしくは出番すら与えられませんでした。
出番が与えられなかった、限られた選手の代表例はジルー(フランス)であり、フュルクルク(ドイツ)であり、ヴェフホルスト(オランダ)であり、低調だったのはケイン(イングランド)であり、ルカク(ベルギー)でした。
結果、得点王争いは3ゴールで複数の選手が並ぶ、寂しいものとなりました。


4 絶滅危惧の両翼ウイングスタイルで勝ち取ったスペインの優勝

カットインを武器にするウイング型フィニッシャーは今大会も数多く登場しましたが、一番のスターであるエムバペ(フランス)は不発に終わりました。
むしろ、両翼を純正ウイングで固めたヤマル&ニコのスペインは非常に特殊なチームで、
ほぼどのチームも片翼、もしくは両翼をウイングストライカー(もしくはサイドもこなせるゲームメイカー)で固める傾向が目立ちました。
この風潮はEuro2008のスペイン代表が本格的に始めた傾向ですが、16年後にそのトレンドを逆行して逆に新鮮味を与えたのもスペインだったのはとても興味深い現象でした。


★今大会ベスト23選手

1チーム26人編成なのですが、26人だと選びたい人をほとんど選べてしまうので、
色々迷いたいという理由もあって23人を選びます。


★ GK ジャンルイジ・ドンナルンマ(イタリア)
     ジョーダン・ピックフォード(イングランド)
     マイク・メニャン(フランス)

上位2人は、迷うことなく決まりました。
最優秀GKはドンナルンマ。
特にスペイン戦が顕著でしたが、彼のファインセーブにイタリアは救われ続けました。
2番目はピックフォードで決まり。

問題は3人目で、優勝GKのウナイ・シモン(スペイン)、PK3本連続ストップを見せたディオゴ・コスタ(ポルトガル)、最後の砦として奮闘したママルダシュビリ(ジョージア)あたりも考えましたが、大会一の堅守を誇ったフランスの守護神メニャンをチョイスしました。

★ DF マルク・ククレジャ(スペイン)
     カイル・ウォーカー(イングランド)
     ジュル・クンデ(フランス)
     エメリック・ラポルト(スペイン)
     ウィリアム・サリバ(フランス)
     マーク・グエイ(イングランド)
     ヨナタン・ター(ドイツ)

やはり堅守を誇ったイングランドとフランスからのチョイスが多くなりました。
ウォーカーはベテランとは思えない素晴らしい対人守備を披露。
CBのグエイは今大会がメジャー大会初とは思えない落ち着きでイングランドの堅守に貢献しました。
サリバは鉄壁フランス守備陣の中心で、クンデは右SBとして対人守備力だけでなくオーバーラップまで見せる驚きの活躍でした。
ドイツからはグエイと同じ理由でターを選出。
スペインからは攻撃的なカラーにふさわしく、果敢なオーバーラップで左サイドを活性化したククレジャと、最終ラインからのフィードが抜群のラポルトを選出しました。
イタリアのCBからも、バストーニかカラフィオーリを選ぼうか考えたのですが、最後までラポルトと悩んだ結果、ラポルトを選びました。


★MF エヌゴロ・カンテ(フランス)
    ジャマル・ムシアラ(ドイツ)
    フロリアン・ヴィルツ(ドイツ)
    イルカイ・ギュンドアン(ドイツ)
    ロドリ(スペイン)
    ファビアン・ルイス(スペイン)
    ジュード・ベリンガム(イングランド)
    ミシェル・エービシャー(スイス)

カンテ、ムシアラ、ギュンドアン、ロドリ、ファビアンの5人は迷うことなく選出。
カンテの守備力は今なお錆び付くことはありませんでした。
ドイツの攻撃で最も異彩を放ったのがムシアラで、ヌルヌルとしたドリブル突破はイニエスタを彷彿とさせます。ギュンドアンはトップ下というポジションで攻撃性能を全開に。
ロドリはスペインの屋台骨を務め、ファビアンは初戦から最終戦までロドリの相棒として輝きを放っていました。
問題はここからで、ヴィルツは鮮烈な輝きを放ったのですが、途中ザネにポジションを奪われる試合もありました。どう見てもザネは機能していなかったので謎なのですが。
ベリンガムは、90分消えていても突如輝きを放つというむしろシャドーストライカーのような働きで、イングランドの危機を救いました。
エービシャーは個人の活躍というよりも、非常に機能的だったスイスの象徴として、偽WBを務めた彼を選出。
スイスからはジャカも選びたいところですが、泣く泣く外しました(じゃあ26人にしろよ、という話もありますが)。
ドイツのクロースは本来入れるべき選手であり、今大会で現役引退という点も含めて選ぼうと思っていたのですが、スペイン戦でのラフプレーの連続により独断で選考外。
普通のジャッジならレッドカードが出て然るべきだったと思いますし、そのせいでペドリも負傷しました。
トルコのアルダ・ギュレルも選びたかったですが、うーん……。好きな選手ではあるので選びたいけれど、まだ若いのでまた次回という事で。
ポルトガルの攻撃陣で輝いていたベルナルド・シルバも考えましたが、ポルトガル自体が期待外れだったため、選びづらかったです。
イングランドのパーマーも途中投入でいい味を出していましたが、先発が1試合もなかった(と思う)ので……。

★FW  ラミン・ヤマル(スペイン)
     ニコ・ウィリアムズ(スペイン)
     ダニ・オルモ(スペイン)
     コディ・ガクポ(オランダ)
     ブカヨ・サカ(イングランド)

ダニ・オルモはMF枠の気もしますが、やっていることがシャドーストライカーのそれだったのでこちらで選出しました。
ヤマルとニコの両翼は説明不要。スペイン優勝の最大の原動力でした。
ガクポはイングランド戦を除いてコンスタントな活躍を見せ、
サカもイングランド攻撃陣では唯一と言っていい、流れの中からチャンスに絡めるアタッカーでした。

ここは他にあまり候補も思いつきません。オランダのシャビ・シモンズも良かったですが、少々小粒ですし、フランスの攻撃陣はバルコラぐらいしかインパクトはなし。
ドイツのハベルツは明らかに0トップで、どちらかというとインサイドハーフの位置にまで下がって、スペースをムシアラやギュンドアンに開ける仕事をしていましたし、
ヴェフホルストがいる時間のみ怖かったオランダ攻撃陣ですが、彼もまた先発起用されることはありませんでした。
得点王タイのケインも、うち2点はPK。
優勝国スペインのモラタは、基準点FWとしてチームにとって必要なパーツではありましたが、世界一級とは言い難く、ジョージアのミカウターゼ、スロバキアのハラスリンといった3ゴール勢も選出するほどではないかなと。
ポルトガルの左サイドを活性化していたレオンも肝心のポルトガルがいまいちでしたし、トルコのバルシュ・ユルマズは闘う姿勢に痺れましたが、ゴール自体は多分決めていませんし……。


26人枠にするなら、クロース、アルダ・ギュレル、ジャカを入れたのかな……。


ということで、こんな感じのメンバーになりました。
やっぱり好感を持ったトルコから一人入れたかった気はするなぁ……。

ちなみに、私があまり試合を見ていないベスト16進出チームは、
スロバキア、スロベニア、ジョージアです。
それ以外だと、チェコ、ウクライナ、スコットランドも追えていませんので、この6か国から良いタレントがいても見過ごしている可能性があります。
一応見てはいたのですが、流し見の試合が多かったです。

オーストリアもそんな感じだったのですが、第2戦のポーランド戦でこれは良いチームだ、と目が覚めてその後はちゃんと見ているので、把握しているはずです。


サッカーの見すぎで、疲労で動けなくなった日が2日ありました。
なので全試合なんてとても無理でした。すみません(?)

決勝 スペインVSイングランド

スペイン    2-1   イングランド

試合内容 B+
MY POM RWG ラミン・ヤマル(スペイン)

GK ウナイ・シモン 6     ジョーダン・ピックフォード 6・5
CB エメリック・ラポルテ 5・5  マーク・グエイ 5・5
  ロビン・ル・ノルマン 5・5   ジョン・ストーンズ 5・5
LSB マルク・ククレジャ 6・5 CB カイル・ウォーカー 5・5
RSB ダニエル・カルバハル 5・5 DH デグラン・ライス 6
DH  ロドリ  6        コビ―・メイヌー 6
CH  ファビアン・ルイス 5・5 LWB ルーク・ショー 5・5
    ダニ・オルモ 7       RWB ブカヨ・サカ 4・5
LWG ニコ・ウィリアムズ 7・5     OH  ジュード・ベリンガム 6
RWG ラミン・ヤマル 8  LSH    フィル・フォデン 4・5
FW  アルバロ・モラタ 5.5     ハリー・ケイン 4

監督 ルイス・デ・ラ・フエンテ 9   ガレス・サウスゲイト 6

ロドリ→スビメンディ 5・5      ケイン→ワトキンス 5
モラタ→オヤルサバル 6        メイヌー→パーマー 6
ルノルマン→ナチョ 5         フォデン→トニー ?
ヤマル→メリーノ ?

欠場者(ス)MFペドリ(負傷)

★試合前の展望

大会一魅力的なチームと、フランスに次いで魅力の薄いチームの決勝。

スペインの弱点は前回のフランス戦で触れたとおり、両翼の突破力への依存と選手層の薄さだ。
とはいえ、あのフランスの堅陣をヤマルがぶち抜けたのだから、フランスよりも守備力の低いイングランド相手にもある程度は通用するだろう。
これまたフランスと同じで、イングランドも右サイドのウォーカーの方がより固いため、ニコは苦戦するだろう。
トリッピアーサイドのヤマルなら違いを作り出す事が出来そうだ。

一方のイングランドはリードすれば、もしくは同点の段階でも非常に低いラインで専守防衛に入る。
パワープレイ要員のいないスペインにとって、70分過ぎまでイングランドがリードする事があれば、そのまま逃げ切られてしまう可能性は高まるだろう。
特にPK戦ではイングランドの方が明らかに分が良いはずだ。

攻撃に関しては比較的継続性を持って好パフォーマンスを見せているのが右サイドのサカで、左サイドのカルバハル&ニコが彼を抑える事が第一になる。
スペイン守備陣がイングランド攻撃陣に崩される未来は見えないが、何もないところから突然のベリンガムのミドルシュートなど、個の能力は侮れない部分があり、そうして幸先よく先制して守りに入るのがイングランドの勝利の方程式だろう。

(トリッピアーじゃなくてショーがスタメンでしたねw まぁ前日に書いたものなので許してやってください)


★感想

美しいチームが、退屈なチームを倒し、優勝した。
退屈なチームが横行し、それこそが勝利への最優先と目される現代サッカーにおいて、
一つの救いを感じた試合だった。

前半は、基本スペインがボールを支配するが、イングランドは守りを固めつつカウンターを狙う。
スペインは両翼を封じられるとやはり攻め手に欠ける。
その意味で、電撃復帰のショー&ウォーカーが見事に対応した。

しかし後半開始早々、恐らくデ・ラ・フエンテ監督の采配で両翼が躍動し始める。
右翼のヤマル→左翼のニコの、ダイナミックな展開で見事に先制点を決めた。
2人合わせて39歳という、驚異の若手両翼はスペインの生命線だ。
後半、途中交代のパーマーがまたしてもゴールを決め、同点になると延長の気配が漂い始めるが、
スペインを勝利に導いたのは大会通して素晴らしいパフォーマンスを見せていたククレジャの絶妙なクロスから、(恐らくあまり得点は期待されていなかったであろう)オヤルサバルだった!
直後、イングランドはヘディングでの猛攻を仕掛けるも、グエイとライスのヘディングは
守護神シモン、そしてゴールライン上で奇跡的なセーブを見せたダニ・オルモ。
この最後の決定機を防いだスペインが12年ぶりに欧州の頂点にカムバックした。

サウスゲイトが残した成績は立派だった。しかし、退屈な攻撃陣を最後まで改善しようとせず、
ほぼすべての試合で不調だったフォデンを引っ張り続けたことなど、疑問の残る采配が多かった。
それが彼のスタイルではあるのだが。


Euro2024 決勝トーナメント展望(カードが決まり次第追記スタイル)&敗退国について(書ける国のみ)

☆決勝展望

★スペインVSイングランド

スペイン  攻撃 S 守備 A-→A+ 面白さ S       優勝確率 59%
イングランド 攻撃 C 守備 A+ 面白さ D+         優勝確率 41%


大会一魅力的なチームと、フランスに次いで魅力の薄いチームの決勝。

スペインの弱点は前回のフランス戦で触れたとおり、両翼の突破力への依存と選手層の薄さだ。
とはいえ、あのフランスの堅陣をヤマルがぶち抜けたのだから、フランスよりも守備力の低いイングランド相手にもある程度は通用するだろう。
これまたフランスと同じで、イングランドも右サイドのウォーカーの方がより固いため、ニコは苦戦するだろう。
トリッピアーサイドのヤマルなら違いを作り出す事が出来そうだ。

一方のイングランドはリードすれば、もしくは同点の段階でも非常に低いラインで専守防衛に入る。
パワープレイ要員のいないスペインにとって、70分過ぎまでイングランドがリードする事があれば、そのまま逃げ切られてしまう可能性は高まるだろう。
特にPK戦ではイングランドの方が明らかに分が良いはずだ。

攻撃に関しては比較的継続性を持って好パフォーマンスを見せているのが右サイドのサカで、左サイドのカルバハル&ニコが彼を抑える事が第一になる。
スペイン守備陣がイングランド攻撃陣に崩される未来は見えないが、何もないところから突然のベリンガムのミドルシュートなど、個の能力は侮れない部分があり、そうして幸先よく先制して守りに入るのがイングランドの勝利の方程式だろう。




☆準決勝展望

★スペインVSフランス

スペイン  攻撃 S 守備 A+→A- 面白さ S       突破確率 46%
フランス  攻撃 C+→C- 守備 S 面白さ D+→E  突破確率 54%

今大会最もエキサイティングな試合となったドイツ戦を経て、スペインの弱点も明確に見えてきた。
ニコ&ヤマルの両翼を封じられると、攻撃力が半減するということ、そして両翼に控えはいないということだ。
守備の固さなら大会ナンバー1の、クンデ&テオのサイドバックはニコとヤマルを封殺する可能性が高い。特に右サイド(スペイン左サイド)のニコは苦戦するだろう。
中央からのポゼッションもできなくはないが、フランスは中央も固い。果たしてフランスの堅陣を突き破る事が出来るだろうか?
ルノルマンとカルバハルの出場停止も痛い。もともとスペインは最終ラインの駒が薄いのも問題だ。

ただし、ここに至ってなおジルーを起用せず拙攻を繰り返すフランスが、スペインからゴールを奪うのも容易ではない。
サイドからのクロスが武器ではあるし、ラビオあたりのミドルが偶発的なディフレクションでゴールに飛び込む可能性はあるが……。

最も面白いチームと、最も退屈なチーム。
僕がどちらを応援するかは言うまでもないだろうが、僕がどちらを応援しようが、勝利チームは当然変わらない。
しかし仮にフランスが優勝を果たしたとしても、僕の記憶では、
スペインどころかベスト8で散ったドイツにも及ばないだろう。

最後にもう一度、問いたい。なぜ、ジルーを使わないのか???


★イングランドVSオランダ

イングランド 攻撃 C 守備 A+ 面白さ D+  突破確率 56%
オランダ  攻撃 B+→A- 守備 B 面白さ B+  突破確率 44%

フランスが退屈さの極北に位置するなら、2番目につまらないのはイングランドだ。
得点はベリンガムやサカの偶発的なスーパープレイに限られており、流れの中でのプレイに見るべき点は全くない。
スイス戦では3バックに変更したが、相変わらず全く機能していないフォデンやケインを引っ張る意味が正直理解できない。ルーク・ショーが復帰すれば左サイドは多少強化されるが、エキサイティングな試合を展開する姿は、全く想像できない。

対するオランダは、大会を通して試行錯誤を続け、少しずつベターな回答に近づいてきた。
その一点で、クーマンの手腕はサウスゲイトを凌駕する。
予選リーグでの、全く見どころのなかったCF(メンフィス)+2シャドー(ガクポ、シモンズ)の
4-3-3を捨て、
ルーマニア戦ではCF(メンフィス)+二列目3人(左ガクポ、右ベルフワイン、中央シモンズ)の新システムを導入。これで攻撃がかなり改善された。
更に、トルコ戦の後半ではCFにヴェフホルストを投入、メンフィスを主に左サイド拠点のフリーマンに配置する事で、ここまで全く良さのなかったメンフィスを輝かせることに成功。
相変わらずガクポは好調で、ここに来てオランダのサッカーが復活したと感じる。

ただし、何か縛りプレイでもあるのか、ヴェフホルストの先発は未だ試されていない。
前半は耐えて、後半からヴェフホルストを起用する可能性がこの試合でも高そうだが、個人的には最初からベストの攻撃陣を並べてほしい。


☆準々決勝展望

★オランダVSトルコ

オランダ  攻撃 B-→B+ 守備 B 面白さ B-→B+  突破確率 55%
トルコ   攻撃 B  守備 C 面白さ B+→A-          45%

ルーマニア戦でシャビ・シモンズをトップ下に置き、両ウイングにガクポとマレンを置く新システムにより、オランダは攻撃サッカーを取り戻したように思える。
ただし、波の激しいオランダのこと。ただの一回限りの幻なのか、これが継続するのかに注目したい。
CFのメンフィスは相変わらず不調だが、クーマンは彼と心中するのだろうか?
ザークジーを使ってみてほしいと思っているのだが……。

格上オーストリアを相手にトルコはチャルハノールを欠きながら、ド根性で凌ぎきって見せた。
逆境に強いEuro2008を彷彿とさせるような、魂のこもった攻撃サッカーでオランダをも撃破できるだろうか?
タレント力ではベスト8では確実に最弱だが、猛攻を浴びながらも追加点を奪いに行くトルコの攻撃サッカーは、1点を守り切る保守的なサッカーが横行する中、一服の清涼剤になるだろう。


★イングランドVSスイス

イングランド 攻撃 C 守備 A+ 面白さ D+  突破確率 49%
スイス  攻撃 B→B+  守備 A  面白さ B+      51%

イングランドもまた相変わらずだ。退屈な、退屈な、イングランド。
サウスゲイト監督はライスの相棒探しに奔走しているが、他にも問題のある個所は多々あるはずだが。

良質なサッカーを志すスイスは、イタリアに圧勝し、その力を全世界に知らしめた。
イングランドが先制した場合、引きこもったイングランドをスイスが崩せるかはかなり疑問だが、
先制を許さず中盤を支配することができれば、スイスが猛攻を仕掛ける展開も考えられる。
PK合戦になれば、守護神のゾマーがいるスイスが有利だ。


★フランスVSポルトガル

フランス  攻撃 C+ 守備 S 面白さ D+  突破確率 60%
ポルトガル  攻撃 A  守備A- 面白さ A-→B+  突破確率 40%

フランスは相変わらずだ。
頑なにジルーを起用せず、基準点が作れないフランスは未だにPKとオウンゴール以外から得点を取れていない。こんなチームがベスト8に残れているのは、堅固な守備によるものだが、あまりに退屈。
もう少しどうにかならないものだろうか。

ポルトガルもまた、ジョージア戦、スロベニア戦でクリスチアーノ・ロナウドの弊害が見え始めた。
ジョアン・フェリックスやゴンサロ・ラモスの出番はなく、とにかくロナウドに点を決めさせようとする縛りプレイは、片手を縛られながら戦っているようなものだ。
そんなやり方で堅守を誇るフランスから点を奪えるだろうか?

ロースコアで退屈な展開になりそうなカードだ。



★スペインVSドイツ

ドイツ  攻撃 S  守備 A+  面白さ A+  勝利確率 48%
スペイン  攻撃 S 守備 A+ 面白さ S    突破確率 52%


超攻撃的サッカーを志す両チームが準々決勝で当たってしまうのは、あまりにも惜しい。
恐らくドイツがボールを支配し、スペインがカウンターを発動する展開になるだろう。

両チームの違いは、ドイツの攻撃が中央に偏っていることに対し、
スペインは両ウイングを中心にサイドアタックを試みることだ。
そしてドイツのSBはスペインの両ウイングを止められる守備力があるように思えない。
よって、スペインがやや有利に思えるが、ドイツにはホーム・アドバンテージがある。

クロースのロングフィードがスペインのプレス網を掻い潜り、
ムシアラ、ギュンドアンらの連携が爆発すれば、ラポルト、ルノルマンの最終ラインを翻弄する事も可能だ。ただし、ロドリやファビアンも守備に参加できれば、そう簡単には崩れない。
よって、ドイツがスペインのプレスをどこまで掻い潜れるか、ロドリ、ファビアンらを巧くつり出し中央で優位を作れるか。

息を呑むような、最高のスペクタクルを見せてくれることを期待している。





☆1回戦展望


★オランダVSルーマニア

オランダ  攻撃 B- 守備 B 面白さ B-  突破確率 60%
ルーマニア 攻撃 B- 守備 B+ 面白さ B       40%


今大会のオランダは強豪国ではない。
オランダの致命傷は故障者が続出した脆弱な中盤だ。
最終ラインと前線が分断され、攻撃が事実上前線の3枚のみで行われている。
シモンズ、ガクポ、デパイの3人のコンビネーションで得点機を狙うが、一人で局面を打開できるほどのタレントはおらず、攻撃時の人数も足りていない。
スーパーサブのヴェフホルストの先発トップ起用もテストすべきだったが、クーマンはそれをテストしなかった。

ルーマニアは中盤の2人のマリン(マリウス、ラズバン)に右SBのラティウ、司令塔のスタンチュを
使い、中央・サイドに偏らず攻撃できる組織力の高いチームだ。
タレント的に少々小粒ではあるが、大崩れはしないだろう。

★フランスVSベルギー

フランス  攻撃 C+ 守備 S 面白さ D+  突破確率 60%
ベルギー  攻撃 B- 守備 A- 面白さ B+      40%

強豪国でありながら、2得点1失点で突破した3か国のうちの2か国(もう1つはイングランド)。

ただし、ベルギーに関しては事情が異なる。黄金世代は次々にいなくなり、黄昏は近づいているが、
デ・ブライネ、ドク、ルカクが織りなす攻撃は華麗だ。
ただしエースのルカクが不運に祟られており、3度ゴールを揺らしても全てVARで取り消されるという悲哀を味わった。
司令塔ティーレマンスと潰し屋オナナの中盤も安定しており、オーバーラップをほぼせずブロック守備を固める守備もかなり強固だ。


デシャン監督はなぜ、ジルーを先発させないのだろう?
ジルーを起用しなかった2018ワールドカップ初戦オーストラリア戦では、攻撃陣が沈黙。
次のペルー戦でデンベレを削り、ジルーという基準点を得てからフランスの攻撃は様変わりした。
その教訓を忘れてしまったのだろうか?
今大会のフランスはグリーズマン、テュラム、デンベレ、エムバペといったタレントたちがバラバラに走るだけで、それをまとめる基準点のジルーはベンチを温めている。
エムバペの驚異的な突破力は健在だが、結局予選リーグで上げた2得点は、オウンゴールとPK。
まともに得点すらできていないのが現状だ。
テュラムにポストプレイを託したかったのかもしれないが、ジルーの代わりは全く務められていない。

攻撃を前線の4枚に託しているため、(ラビオは攻撃に絡む事はあるものの)、守備は潰し屋カンテも含めブロック守備で攻撃をシャットアウト。
この堅陣を崩すのは一筋縄ではいかないだろう。

★ポルトガルVSスロべニア

ポルトガル  攻撃 A  守備A- 面白さ A-  突破確率 70%
スロベニア ?                        30%

スロベニアの試合も流し見が多かったのできちんと分析はできないが、エネルギッシュな動きと、
前線のシェシュコにはそれなりの破壊力を感じる事ができた。

とはいえ予選リーグで快進撃を見せたポルトガルの優位は揺るがないだろう。
今大会強豪チームの多数が退屈で保守的なサッカーしかできていない中で、ドイツ・スペインと並んで攻撃サッカーの旗手として中央のブルーノ、サイドのベルナルド、レオンと華麗な攻撃サッカーの駒が揃い、十分に機能している。
諸刃の剣となるのが39歳の大エース、クリスチアーノ・ロナウドだ。
彼がエゴを捨て、トルコ戦のようにチームプレイヤーに徹する事が出来るか、
それともジョージア戦のように、他プレイヤーのチャンスを奪うようなエゴに走るのか。
FWとしての能力は39歳となった今でも十分な破壊力を秘めているが、さすがに大会をけん引するほどのスーパースターではない。
劣勢に立った際、ジョッタ、フェリックスといったタレントをロナウドに忖度せずに使う事ができるかがポルトガルの成績を左右するだろう。



★イングランドVSスロバキア

イングランド 攻撃 C 守備 A+ 面白さ D+  突破確率 80%
スロバキア ?                       20%

スロバキアの試合は流し見が多かったため、きちんと分析する事はできない。
ベルギーに1-0とアップセットを起こし、ルーマニアに引き分けたのだからそれなりの実力があることは確かではあるが。

イングランドは過去20年、ひたすら退屈なサッカーをしてきた。
それはエリクソン監督時代からカペッロ時代を経て、今のサウスゲイトになっても変わらない。
セルビア戦の前半のみ、サカ&ウォーカーを中心に右サイドアタックを見せたが、その後はセルビアの修正に遭い、かろうじて1-0で制すると、デンマーク戦では完全にデンマークに試合を支配されドロー。
フォデン、ベリンガム、サカ、ケインといった豪華タレントを擁しながら、今大会もその攻撃力が爆発する事はなさそうだ。
むしろ交代出場のワトキンスや出場機会に乏しいパーマーなど、有り余るタレントの中から回答を探すべきなのだろうが、サウスゲイト監督にその力量があるとは思えない。



★スペインVSジョージア

スペイン  攻撃 S 守備 A+ 面白さ S 突破確率90%
ジョージア 攻撃 B- 守備 C 面白さ B-    10%

完璧なパスサッカーで娯楽性あふれるサッカーを展開したスペインが圧倒的優位だ。
ニコ&ヤマルの純正ウイングを起用する原点回帰と、依然クオリティの高い3MFにより強豪国の中では予選リーグの戦いぶりでは全16チーム中ナンバーワンだ。

ジョージアに勝ち目は薄い。クバラツヘリア&ミカウターゼのアタッカーと、守護神ママルダシュビリの奮闘は際立つが、突破できたのはスケジュールの幸運(最終戦で、既に突破を決めたポルトガルと試合ができたこと)、によるものが大きい。


★オーストリアVSトルコ

オーストリア  攻撃 A- 守備 B 面白さ B+ 突破確率 65%
トルコ     攻撃 B  守備 C 面白さ B+     35%


伏兵同士の一戦ではあるが、エンタメ性あふれる試合を期待できそうだ。
とりわけ今大会の台風の目になりそうなのがオーストリアだ。
ラングニック監督仕込みの「90分間走り続ける」プレッシングサッカーは、
今大会でも1,2を争う完成度。
中盤はザビツァーが違いを生み出すが、個の力に頼るのではなくチーム全体で相手に襲い掛かる。
ハイプレス+ショートカウンターが最大の武器のため、
VSフランスのように、強固な最終ラインを持つ相手が引きこもりサッカーを選んだ場合、
攻め手を失う恐れがあるが、トルコ、そして次のルーマニアorオランダにはオーストリアサッカーは通用するとみる。
大会前には予想していなかったベスト4に向けて視界は良好だ。

オーストリアと違い、昔ながらの純正な攻撃サッカーを展開するのがトルコだ。
サイドのアクテュルゴールの突破力を武器に、果敢に攻撃する。
格下のチェコ、ジョージアを相手に攻撃力が爆発するも、格上のポルトガルには大敗するなど、守備はお世辞にも固いとは言えず、格上相手にはあっさり負けそうだが、こちらもオーストリア、オランダorルーマニアになら十分対抗できる。
戦術的完成度という意味ではオーストリアに軍配が上がりそうだが、両チームとも運動量と攻撃力をぶつける打ち合いになるか、それともオーストリアがトルコにプレッシングの猛攻を浴びせるか。
いずれにしても複数とくてんが期待できそうなカードだ。




★ドイツVSデンマーク

ドイツ  攻撃 S  守備 A+  面白さ A+  勝利確率 80%
デンマーク 攻撃 B- 守備 A+ 面白さ C+       20%


消化試合となった第3戦でドイツはフルメンバーを投入。
結果としてターを出場停止で欠く事になったと同時に、フュルクルクやウンダフ、バイア―といった1トップオプションのテストもできず、ハベルツの0トップしかプランがないという引き出しの少なさを露呈した。
個人的にこれはナーゲルスマンの大失策だと感じている。

しかし、空中戦に強いデンマークのCB陣を考えれば、この試合は0トップのハベルツ起用の方が、
あり得なかった未来であるフュルクルク1トップよりも効果があるだろう。
デンマークは中盤含めた中央が堅固だが、ドイツのムシアラ、ヴィルツ、ギュンドアン、ハベルツの細かなコンビネーションなら、そんなデンマーク陣も崩せるはず。
仮に崩せなければ、ウイングのザネらの出番になるが、こうなるとオプションの少なさが気にかかる。


デンマークは支配力のある中盤がスローペースで、相手をいなす戦い方を試行しているが、
攻撃の大きな武器は現状エリクセンのミドル程度しか見どころがない。
2022ワールドカップ時の惨状に比べればだいぶ攻撃的になっているが、EURO2020の時のような攻撃のダイナミズムは感じられず、ドイツから点を取れる未来が見えない。

アップテンポならドイツ、スローテンポならデンマークのペースと明確に両者の違いが判る勝負だけに、主導権争いも見どころだ。

★イタリアVSスイス

イタリア 攻撃 B- 守備 S  面白さ B-  勝利確率 58%  
スイス  攻撃 B  守備 A  面白さ B+       42%

似た者同士の一戦だ。
どちらもポゼッションの意欲を持ち、細かいパスワークで相手敵陣を攻める意欲を持っているも、
攻撃陣の能力不足により大量得点は期待できない。
一方、両守護神に代表されるようにお互い守備は鉄壁。
ロースコアでの展開が予想されるが、より守備の固いイタリアが有利か? 
PK決着もあり得る。




●敗退国

〇アルバニア 攻撃 D+ 守備 D+ 面白さ D+ 

アルバニアに期待した人は開幕前にはほとんどいなかっただろう。
死の組の草刈り場だという認識はWowowの日本語実況のなさにも現れている。
クロアチアに終了間際に追いつき、結果的にクロアチアを敗退に追い込んだ事で、アルバニアは確かに存在感を残した。

〇クロアチア 攻撃 B- 守備 C  面白さ B-

2018年ワールドカップ段階で既に「黄金世代最後の舞台」と思われていたが、2022年にも3位という好成績を残したクロアチア。
だが、さすがに時の流れに屈する時がついに来たようだ。
とはいえ、クロアチアの敗退は直接的にベテランの多さとは関係がないように感じる。
アルバニア戦の失点も、イタリア戦の失点も後半アディショナルタイム。
試合終了間際に集中力が途切れる悪癖が、敗退を招いたと言える
(この2失点さえなければ、クロアチアは2位通過していたはずだ)。

また、左SBに本職のソサを置かずグバルディオルを起用するダリッチ監督の采配にも疑問を覚えた。
諸族のマンCでは確かに左SBもこなしているが、マンCはCBが余っており、本職のLSBがいないという編成上の問題もあった。
クロアチアはそうではない。左SBにはソサがいるし、CBのシュタロ&ポングラチッチはまだ一線級のCBとは呼べない。まして、衰えの見えるペリシッチのSB起用など言語道断だ。

ベテラン勢ではやはりペリシッチの衰えが目についた。
また、モドリッチも全盛期と比べればやはり落ちる。コバチッチ、ブロゾビッチは未だ健在だったが、
クロアチア級の小国では20年に一人の逸材であるモドリッチの後継者は今回も見つからず、
2018を最後に代表を退いたマンジュキッチの穴もやはり埋まらなかった。


〇セルビア 攻撃 C 守備 B- 面白さ B-

攻撃的なサッカーを志向したストイコビッチ監督のチーム作りは、
なぜか3試合で1得点2失点という不可思議な数字により、敗退を余儀なくされた。
ワールドカップ時には派手に点を取られ、派手に点を取るチームであり、今大会もアプローチ自体はさほど変わらなかったのだが、この結果の違いは対戦相手の違いによるものか。

GKライコビッチと、CBの3枚は安定しており、イングランド戦の後半ではあわやというシーンを何度も見せた。
だが、スロベニア戦では相手のペースに呑まれてしまい、デンマーク戦ではより顕著にそれが現れた。
ミトロビッチ&ヴラホビッチというツインタワーを擁していたが、サウジアラビアに行って劣化したミリンコビッチ・サビッチは往年の輝きがなく、ベテランのタディッチに頼るしかなかった。
結局中盤の支配力不足と、2トップのボールを回収する2列目の迫力不足による敗退だと感じた。


〇ポーランド 攻撃 D 守備 D 面白さ D 

レバンドフスキが故障で出遅れたのは言い訳にはならない。なぜなら彼がいようがいなかろうが、
ポーランドと言えば予選リーグ敗退の常連みたいなものだからだ。
6失点も喫したものの、GKシュチェスニーのファインセーブがなければ更に失点はかさんでいただろう。
オーストリアの勢いに圧倒されただけでなく、拙攻のオランダにも2失点を許した。
攻撃面でも見るべき点がなく、二列目からのジェリンスキの飛び出しなど、期待された武器を見せることはできなかった。




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