2026年01月

作家語り 第2回 ディック・フランシス

★イントロダクション


1冊1冊の感想はその都度書いているのだけれど、もっと大きな括り。
作家全体についてはブログで書いたことがないので、書いてみようと思います。
いつ挫折するかわかりませんが……。
 

取り上げる作家については、
①僕が好きな作家
②10作以上読んだ作家
③直近半年以内に読む予定のない作家
④未読の方のために、可能な限りネタバレを避けつつ面白さを伝える


というスタンスでやっていきます。

↑ここまで前回記事のコピペ。


では、書いていきましょう!


★本文

好きな作家を語るこのコーナーは今回が第二回。ディック・フランシスの登場です。
第一回でご紹介したアガサ・クリスティと違い、「誰?」と感じる方も多いかもしれません。


ディック・フランシスはイギリス『冒険小説』の中で、僕の最もお気に入りの作家。
特に『主人公への感情移入を促す』手腕は比類のないものがあります。

 
★ 競馬にまつわる物語を描き続けるフランシス


と書くと、「競馬? 興味ないねそんなの!」という声が聞こえてきそう。
でもご安心、そんな人でもフランシス作品は全く問題なく楽しめます!

だって、この記事を書いている私自身が、競馬にはちっとも興味がないんですもの(競馬ファンの方、すみません)。
だからね、「競馬に興味がない」と言って読まないのは勿体ないです!


さて、まず一番最初にフランシスを知らない皆さんが、誤解をしそうなポイントを訂正しておきます。
それは、フランシス作品は競馬に『まつわる』物語を描いているのであって、
ギャンブル小説ではない』ということ。


たとえば、「不正レースをするため、何者かが馬に興奮剤をもった! 犯人を捜せ!」(「興奮」)とか、
「競馬記事を書いていた記者が自殺した! 彼を追い詰めた犯人は?」(「罰金」)
といった具合。
前半ミステリ、後半は犯人との対決といった具合の「サスペンス小説」であって、
業界用語が沢山出てきて主人公が競馬で儲けるようなお話ではありませぬ。


それでいて、馬への愛情だとか、芝の匂いが香り立つような厩舎の描写などは、
さすが騎手出身の小説家だなぁと唸らされるわけですが。


★主人公の抱える内面と敵キャラの嫌らしさ

フランシス作品の主人公は、基本的に似たような人々です。
それは、『勇気があり、大胆で、正義感溢れる好人物。人付き合いが悪いわけではないが、やや思索的で内に篭る性質があり、身近な友人を大切にする。しかし心の奥底に弱さ、葛藤も抱えている』。

やや陰性のヒーロー、完璧なる英国紳士ですが、『弱さ、葛藤も抱えている』というのがミソで、
読者がググッと感情移入しやすい、絶妙なバランスの英雄に仕上がっているんですなぁ。


そこを持ってきてまた悪役が嫌らしいのなんの。
くっそー、よくもやってくれたな! と憤りを覚えながら、いつの間にか主人公を応援しまくっていること間違いなし。
誤解され、周囲から主人公が蔑まれれば読み手も悔しさを感じ、主人公が認められれば胸がすっとする。
フランシス作品は完全に、『感情移入型。主人公没入型』の物語なのであります。


良くも悪くもパターンが決まっており、たいていの作品で、悪役は卑劣。
主人公は悪役に追い詰められるも、不屈の闘志で乗り越えて、遂に悪役を倒す。
と、こういう物語が展開されます。


★ではまず、どの作品から読むべきか?

競馬シリーズ。
シリーズ、と名前がついておりますが、ごく一部の作品を除いて、作品相互の関連性はありません。


シッド・ハレーものという主人公が共通するシリーズはありますが、(「大穴」→「利腕」→「敵手」→「再起」
これはほぼ例外ですし、話も一話完結なのであまり順番は気にしなくても構いません

何せ僕自身、これがシリーズものだということを知らずに、「利腕」→「大穴」と遡って読みましたが、
全然問題なく、大いに楽しめましたから。


というわけで、どれから読んでも問題なしのシリーズですが、これから読む方には、
どの作品からお薦めすればいいかを考えてみます。


候補としてまず思いつくのが『興奮』
日本で初めて訳されたフランシス作品であり、評価も高い作品です。
ここから入るのがまぁ無難ではないでしょうか。

ただ、僕自身の『興奮』の評価はそこまで高くありません。
面白くなるまで時間がかかる作品だと思うんですよ、これ。


では僕ならばどの作品をお薦めするか。
ズバリ『利腕』です。
この作品は、僕が読んだ競馬シリーズの中で、最高傑作だと思います。


男らしさというものに価値を置かない僕のような人間でさえも虜にする、
主人公シッド・ハレーの、その男らしさ、男故の辛さ、繊細さ、傷つきやすさ、そして勇気。
悪役との対決もさることながら、妻とのすれ違いも非常にセンチメンタルに描かれており、泣かせます。
もう、僕が間にたって和解させてあげたいと思うくらい。


基本、順不同のシリーズだと思いますが、敢えて順番を気にする向きには
利腕』を楽しむために、同じくシッド・ハレーが登場する『大穴』から読むのもアリでしょう。
こちらも(『利腕』ほどではないと思いますが)非常に素晴らしい作品で、お薦めしやすいです。


★その他、僕の好きなフランシス作品


ドギツい悪役の存在感がものすごい、『度胸』は良くも悪くも忘れられない作品。
ちょっと僕の趣味からすると悪役が邪悪すぎて、血管切れそうになったので再読はしたくないんですけど、
そのインパクトで、忘れられない作品ではあります。


シッド・ハレー三度登場の『敵手』は、『度胸』とは正反対で安心して読める作品。
悪役は適度にウザいですが、それほどストレス無く爽快に勧善懲悪が楽しめます。
利腕』でもすれ違いを繰り返した妻とのあいだですが、『敵手』を読めば
「やっぱりこの奥さん、ハレーのこと大好きなんじゃん」と思えます。
なのに、やっぱりすれ違ってしまう二人……うーん、恋愛小説ではないはずなのに、切ない……。


親からの自立をテーマに、息子たちの成長を描く骨折』も忘れられない作品。
フランシスは心理描写もうまいし、人間関係の描写も暖かく、
最初はワガママで鼻持ちならなかったバカ息子が、段々主人公に心を開いていく様子、成長していく様子が
読んでいて気持ち良いんだなぁ。


何作も連続して読むと、「またこのパターンかw」と思うこともありますが、触れたことのない方は一度
読んでみることをお薦めします。



読了したフランシス作品(S~E)

「利腕」  S
「黄金」  S
「大穴」  A+
「敵手」  A+
「骨折」  A
「興奮」  A
「再起」  A
「本命」  A
「名門」  B
「侵入」  B
「証拠」  B
「罰金」  B
「重賞」  B
「標的」  B
「横断」  B-
「直線」  C
「査問」  C
「暴走」  C
「反射」  D
「追込」  D
「血統」  D


44作(かな?)中16作しか読めていません(少しだけ増えた)。
死ぬまでには全作制覇できるかな? 
1年に1冊、毎年●月の第●日曜日は「競馬シリーズの日」と決めて、読破していくのも楽しそう♪

一気に読むよりも、末永く付き合っていきたいなぁと感じるシリーズでもあります。








 

2025年にプレイしたゲーム TOP10

各ゲーム感想は大体個別に書いているので、ここでは一言感想のみ。


10位 金色ラブリッチェ

2025年はRPGばかりプレイしていたので、ノベルゲームでは唯一のランクイン。


9位 グノーシア

面白いのだけど、圧倒的にボリュームは少ない(2日でクリアしてしまった)


8位 オクトパストラベラー2

前作オクトラ1を正当進化させた作品。


7位 ユニコーンオーバーロード

やや大味なシミュレーションRPG。主人公のアレインが色んな女性キャラとフラグを立てていて笑った。


6位 ファイアーエムブレムエンゲージ

バトル面だけを見れば、相当面白い。ただし、ストーリー、キャラクターが極めて寒い。


5位 13機兵防衛圏

序盤に漂っていた『ワクワク』を考えれば、期待ほど伸びなかったなという印象。


4位 シカトリス

青春学園RPGとして、なかなか良質。演出などはチープだけど、それ以外は名作の風格。


3位 ドラゴンクエスト11

ここまでのドラクエの総決算的な作品。ドラクエシリーズの中では1、2を争うくらい好き。


2位 ファイアーエムブレム風花雪月

次作エンゲージと比べれば、ストーリー・キャラの良さは歴然。
ゲーム部分もエンゲージより面白いかも。


1位 トライアングルストラテジー

個人的シミュレーションRPG1位の「FFタクティクス」から王座を奪った、圧巻の戦国絵巻。
これを超えるシミュレーションRPGは10年に一度出るか出ないか、だと思う。



2025年は積んでいるRPGを精力的に崩したので、なかなかのラインナップを発表する事が出来ました。
1位の「トライアングルストラテジー」は、僕のゲーム史上でも有数の名作でしたし、
4位の「シカトリス」までは、標準的な年なら1位を狙える作品だと思います。

2026年もゲームの時間を確保して、面白い作品をたくさんプレイしたいです!

2025年読書ランキング


★読書TOP10

10位
73光年の妖怪/フレドリック・ブラウン

かっちりと決められたルールを厳密に守った、バトルサスペンス。
読んで深い感慨はないかもしれないが、図抜けたエンタメ性で読ませる快作。

9位
とらドラ/竹宮ゆゆこ

青春ライトノベルの古典。個人的には櫛枝派。

8位
心霊電流/スティーブン・キング

キング作品の中では小粒だけれども、それでも読ませるのは、彼独特のノスタルジックな『人生物語』によるもの。


7位 
神は沈黙せず/山本弘

『人は信じたいものだけを信じる』。
意味のない神の気まぐれに自分なりの解釈をつけ、縋りたいミームに縋り、心の平穏を得ようとする。
その結果、今日も人類はよりよい幸福を求めて善良に生き、
気に入らないミームを攻撃し、争い合いながら生きていく。


6位
妖異金瓶梅/山田風太郎

魔性の女、潘金蓮の犯罪を探偵の応伯爵が解く連作短編は、世界の滅亡(遼の侵攻)を描く最後の四編を加え、長編小説としても完成した。

5位
北条政子/永井路子

同じ作者の「王者の妻」も入れようか迷ったけれど、こちらをランクイン。
愛に溺れた女性の悲しい物語。

4位
アイの物語/山本弘

ロボット連作短編集の名作、アイザック・アシモフの「わたしはロボット」の日本版。
AI(アイ)と人間がより良く共生していくための、愛の、そして私たちの物語。

3位
幽女の如き怨むもの/三津田信三

貧しさ故に身売りされ、花魁として働き、幸せな結婚をしたのも束の間、死別し、再び花魁として働く健気な女性を描いた感動作。
こちらも同じ作者の『はえだまの如き祀るもの』と迷った。
『はえだま』の方が、因習村ホラーミステリーとしての強度は上だが、感動はこちら。

2位
ゴーレム100/アルフレッド・べスター

1980年に書かれたとは思えない、『未来を先取りしすぎた』怪作・迷作。
読めば、作者の原子力エネルギーに被曝して、わけもわからず元気になれます!


1位
ドラゴンの塔/ナオミ・ノヴィク


ドヴェルニク村のアグニシュカは、領主ドラゴンに召し出され、魔法の才能を開花させていく。
奔放に魔法を紡ぐアグニシュカと、術式に拘るドラゴンの魔法は、反発し合いながらもいつしか溶け合い、一つの旋律を紡ぎ出す。
村の周囲では、邪悪な森がじわじわと浸食し、腐った樹液が人々の体内を侵し始めていた。
文章は歌のように情景を映し、まるでその場にいるような臨場感を味わいました。




以上、2025年の読書ベスト10です!


2025年にプレイした マダミスベスト10

1・天使がいた町
2・ある令嬢の幸せな結婚
3・流年
4・ブルーホールミステリー
5・そらとくじらのエンゲ
6・崩落、そして
7・サザンクロス20××
8・鬼哭館の殺人事件
9・廻光館殺人事件
10・南極地点X
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