S→味わい深く、いつまでも心に残りそうな作品

黄金/ディック・フランシス……
20作近く読んできたフランシスの新たな一面。今までの「型」を完全に破り、見事な成功を納めた名作。
悪役はあくまで邪悪だったフランシス世界において、この悪役は悲しい。

娘は娘/アガサ・クリスティ……
共依存状態の親娘の話。
行動的にはどっちもどっちなんだけど、心情的には娘のセアラの側に立って読んでしまった。

相手を縛りつけるのも毒親だし、相手に全く干渉しないのもネグレクトだし、親って大変そうですね。
絶対僕には無理だわ……

A→読んで良かったと思える作品

遠い山なみの光/カズオ・イシグロ……

世代間の対立、もっと言ってしまえば毒親を描いた作品。
【冗長で粘着質な会話(時に笑える)】は、読むのがしんどいものの、【冗長で粘着質な人物像】を浮かび上がらせているのが面白い。

大人キャラはほぼ全員胸糞で、子供がかわいそうだけど……

この作品は、【謎とき】を作者がしてくれないので、
【自分なりの答え】を読者が創る必要があって。
極上の素材は作者が用意してくれたけど、
料理は読者が作らなきゃいけない、そういう作品だと思います。

下町サイキック/吉本ばなな……

少しシリアス成分多めで、ホラー要素を廃した「ゴーストハント」(小野不由美)のような味わい。
独特な大人に囲まれて、大人として扱われてきた影響で、人生について達観していながら素直で無邪気な一面も持つ、ヒロインのアンバランスさが魅力。

煉獄の時/笠井潔……
第二次大戦直前に出会ったイヴォンとクロエの子供が、大きくなって、イヴォンが死んで、クロエの子供のドミニクが死んで、カミーユが中年を迎える程度には800ページ二段組は長かった……。
今回はあまり哲学バトルを感じなかったのは少し残念かもしれない。

本命/ディック・フランシス……
デビュー作から、フランシス作品のエッセンスが全て詰め込まれている事に驚く。

島はぼくらと/辻村深月……
瀬戸内海に浮かぶ離島、冴島と、そこで暮らす男女4人の青春物語。
新と衣花がくっついたのは意外ながらも良かったけど、
相思相愛だったはずの朱里と源樹は……!?
というか源樹だけ最後も出番ないし、どうしたww

スキップ/北村薫……
17歳の女子高生真理子は一夜にして、娘持ちの42歳人妻教師になっていた。
真理子が『未来へ飛んでしまった自分』を淡々と受け入れていく2か月間を描いた作品。

1960年代のJK真理子からそもそも若さを感じない(ノリ・心情両方で)のが難点。

『(心の)若さ』は【形(外見)】が決めるという真理子の考えは、個人的に共感できない では何が若さを決めるのだろうと、考えさせられた  加齢(というか経験)によるものか それとも文化的なもの(ノリが古い、など。おじさん構文とかはこれだと思う)なのか 個人的には後者の方が大きそうな気が
最後の選択は、『(大人らしく)、無鉄砲に騒動を大きくせず、妥協』を選んだだけだし、
そもそも真理子はそういう子/人なんじゃないかと思う

高望みせず、秩序を重んじ、妥協の中に小さな幸せを見つける。それは決して悪い事ではない
そんな真理子なので、中身が17歳であるギャップも感じなかった

B→暇つぶし以上の有益な何かを得た作品

横断/ディック・フランシス……
カナダ横断競馬列車の凄さが今一つ描き切れてないけど、まぁまぁ面白いです。

標的/ディック・フランシス……
サスペンス作家のフランシスには珍しい、ミステリタッチ(犯人を探すタイプ)の作品。

直線/ディック・フランシス……

邦題の『直線』はもう少しなんとかならなかったのか……。
原題は『健全』とか『真っ当』とか、そんな感じの言葉なんだけど。

まぁ、「健全」ってタイトルの小説だと読まれにくいかもしれないけど、「直線」だって大差ない気がする。

ガダラの豚/中島らも……
最終巻は間違いなく面白いが、1巻は微妙。
また、サスペンスにしてはグロく、ホラーにしてはギャグを挟み込んでくるなど、ありそうでなかなかない闇鍋的な境界線を突いた作品のため、合う・合わないは確実にある。
安心して水が飲める日本は良い国だ。

蜘蛛の巣を払う女/ダヴィド・ラーゲルクランツ……

小説ドラゴンクエスト7/土門弘幸……
ドラクエ7は元々、連作短編集としては悪くないが、一つの物語としてはまとまりに欠ける作品だと思う。
ノベライズ版では、連作短編集としての味わいも1巻を除いてあまり活かされておらず、やたらダーマ神殿で覚えた技を連発するバトル小説になってしまった。

MISSING/甲田学人
……オカルト風味のラノベ。安定した筆力で不安なく読ませるけど、キャラ付けは中途半端で弱い(等身大ではなく、かと言って突き抜けてもいない)
総じて悪くない作品だけど、今一歩。

C→暇つぶし程度にはなった作品

D→自分には合わなかった作品


E→プロ作品として見るにはつらい作品

猫狩り族の長/麻枝准……
大したことでもないのに、いちいちオーバーリアクションで騒ぐ登場人物のノリについていけない……。