著者はスティーブン・キング。評価はA。

人体実験を行う、国家機関が生み出した超能力者。
心を操る父親と、念力発火能力(パイロキネシス)を持つ娘。
自分たちで勝手に生み出しておきながら、組織は母親を殺し、執拗に親子を狙う。

あらすじとしてはこんなところ。


あまりにも理不尽な敵に、怒り半分絶望半分。読んでいて、本当に鬱になります。それだけに、上巻真ん中の、チャーリーが初めて炎を使う場面は、人殺しのシーンとしては不謹慎ながらも、快哉を叫びたくなるくらいの爽快感。それほど、主人公親子に共感し、感情移入できたということだろう。
いかにもホラー、といった感じで、悪霊のような少女が表紙になっていますが、中身は全然違います。少女は被害者であり、真に恐ろしいのは、何の疑問も挟むことなく、お役所仕事のように淡々と、人を殺し、追い詰めていく組織の姿。
組織の中で邪悪なキャラは、恐らくレインバードくらいで、後は傷みに鈍感な、ごく普通の人間だと思う。
年老いた生活保護者からエアコンを奪って、熱中症で殺した役人がいたけど、イメージとしてはそんな感じ。決められたことを、もくもくとこなす。
そんな人々。


キング作品によくあることだけど、この作品も、前半に比べると後半がイマイチだ。
上巻だけならS評価間違いなしという水準だったのだが、下巻はせいぜいA評価。
各地を逃げ回る上巻と違って、つかまった後、脱出をはかる下巻は動きが極度に少ないことも、面白みが薄れた原因の一つだろう。
あれほど痛めつけられた鬱話でありながら、ラストも、カタルシスを得られることもなく、いかにも物足りない。
『店』が大々的にニュースに取り上げられ、崩壊していくところまでを描けば良いのにと思った。