評価はA+。
超一級の近未来思想小説。 独裁者、ビッグ・ブラザーの支配する国家の物語。
その最大の特徴は、徹底した世界観の作り込みにある。
徹底した監視体制、密告を奨励する制度、教育・メディアを通じて徹底的に行われる洗脳。
秘密警察。
『良い』という単語のみが残され、『悪い・素晴らしい・最高・綺麗・カッコいい・気持ち悪い・汚い・美しい・美味しい』などなどの単語が全て“党”によって排された世界。
『良い・超良い・倍良い・良くない』の4つでしか物事を表せず、思考が単純化された世界。
何も考える能力を持たず、政府に良いように操られる庶民たち。
過去の歴史に至るまで、何もかもが改ざんされ、そのことにほとんどの者が全く気づけずにいる世界。
この小説の欠点は、二つ。
メッセージ性を伝えるために、後半ひたすら気の滅入る展開が続くところ。
そして、受け取り手が慎重に、この小説を読まない限り、誤った思考を植え付けられてしまう点にある。
後者の欠点を、意図的に使ったのが、反共時代のアメリカだった。
(そう読める部分はあるにせよ)、意図的にこのビッグ・ブラザーを、スターリンと重ね合わせ、
ソ連への憎悪を生み出すために、本書を利用したのだ。
”何も考える能力を持たず、政府に良いように操られる庶民たち”を地で行ってしまうとは、
まさに恐るべき皮肉である。
本書は、”まともに考える頭を持った方のみ”に、読んでいただきたいと思う、危険な思想小説である。
付言しておくと、小説自体はさして難しい内容ではない。
読みにくい内容ではないし、ラストの方は鬱展開が続くとはいえ、小説としても面白いと思う。
なので、↑を読んで、「なんか難しそうだな」と感じた方もいるかもしれないが、心配は無用である。
超一級の近未来思想小説。 独裁者、ビッグ・ブラザーの支配する国家の物語。
その最大の特徴は、徹底した世界観の作り込みにある。
徹底した監視体制、密告を奨励する制度、教育・メディアを通じて徹底的に行われる洗脳。
秘密警察。
『良い』という単語のみが残され、『悪い・素晴らしい・最高・綺麗・カッコいい・気持ち悪い・汚い・美しい・美味しい』などなどの単語が全て“党”によって排された世界。
『良い・超良い・倍良い・良くない』の4つでしか物事を表せず、思考が単純化された世界。
何も考える能力を持たず、政府に良いように操られる庶民たち。
過去の歴史に至るまで、何もかもが改ざんされ、そのことにほとんどの者が全く気づけずにいる世界。
この小説の欠点は、二つ。
メッセージ性を伝えるために、後半ひたすら気の滅入る展開が続くところ。
そして、受け取り手が慎重に、この小説を読まない限り、誤った思考を植え付けられてしまう点にある。
後者の欠点を、意図的に使ったのが、反共時代のアメリカだった。
(そう読める部分はあるにせよ)、意図的にこのビッグ・ブラザーを、スターリンと重ね合わせ、
ソ連への憎悪を生み出すために、本書を利用したのだ。
”何も考える能力を持たず、政府に良いように操られる庶民たち”を地で行ってしまうとは、
まさに恐るべき皮肉である。
本書は、”まともに考える頭を持った方のみ”に、読んでいただきたいと思う、危険な思想小説である。
付言しておくと、小説自体はさして難しい内容ではない。
読みにくい内容ではないし、ラストの方は鬱展開が続くとはいえ、小説としても面白いと思う。
なので、↑を読んで、「なんか難しそうだな」と感じた方もいるかもしれないが、心配は無用である。