評価はA+。

A評価を出したのは実に二ヶ月ぶり。久しぶりに素晴らしい小説に出会えました。


物語は単純。つまらない仕事を長年続けた老人が、 事故に遭いとうとう天国へと旅立つ。
そこで五人の人物と出会い、老人は自分の人生に意義を見出していく。という物語です。

僕はこの五人という数字を見て、てっきり両親・親友・奥さんあたりが出てくるものだと思ったのですが、
違いましたね。
確かに奥さんは出てくるのですが、後の4人は大外れでした。


5人ということで、5つのエピソードがあるわけなのですが、どのエピソードもそれぞれ素晴らしく、全てのエピソードで涙腺が緩んでしまいました。


特に、主人公と父親のエピソードは、僕自身父を亡くしているだけに、身につまされるものがありました。
男にとって父親とは……と、大上段に構えるつもりは毛頭ないですが、少なくとも僕にとって父親とは、この作品の主人公と同じように「傷をつける者」でした。
「大嫌いな人」であり、「どう付き合っていけばいいかわからない人」であり、「それでも憎めない、大切な人」でした。
 
奥さんとのエピソードは直球ですが、一見地味に見えるラストエピソードも、素晴らしい締めだったと思います。
不妊症で子供ができず、養子を迎える夢も絶たれてしまった主人公でしたが、
実はたくさんの子供たちを、幸せにしていたのですね。
そんなことを考えると、思わずしみじみとしてしまいました。


ネットでの感想をつまみ読みすると、どうもこの本はあまり評判が良くないようで、
「話の先が読める」、「底が浅い」、「どこで感動するのかがわからない」と随分な言われようでした。
他の人がどう感じるかは、僕にはわかりません。
ですが、これだけは胸を張って言うことができます。
僕は、この本に出会えて、本当に良かっ たと。


読んだ後、優しい気持ちになれる素敵な物語でした。 
同著者の「もう一日」も読む予定なので、今から楽しみです。