【イタリア代表まとめ】 2勝3分1敗 得点6 失点7 攻撃 A- 守備 A- 面白さ A- 総合 A-

主要選手の平均採点

*アイルランド戦は採点していませんので、5試合の平均採点になります。


GK ジャン・ルイジ・ブッフォン(65)
DF レオナルド・ボヌッチ (50) 
   アンドレア・バルザーリ (50/3試合) 
   フェデリコ・バルザレッティ (61.6/3試合) 
MF  クラウディオ・マルキージオ (61) 
   アンドレア・ピルロ (68) 
   ダニエレ・デロッシ (54) 
   リカルド・モントリーボ (58.3/3試合) 
FW アントニオ・カッサーノ (63) 
   マリオ・バロテッリ (59) 


足元へボールをつなぎ、中盤を大事にするテクニカルなサッカーは、従来のイタリアとは異質だった。
顕著に現れたのが、イングランド戦で記録した64%というボール支配率だろう。
デロッシ―ピルロ―モントリーボ―カッサーノと、縦のラインにテクニシャンを配した効果が出たと言える。
また、足元だけではなく、カッサーノに預ける縦に長いロングパスも効果的で、多彩な攻撃パターンを持っていた。

光ったのは、何と言ってもまずはピルロだろう。
イタリアの攻撃の核となり、セットプレイのキッカーも務めた彼は、今なお世界最高峰の司令塔だった。
とりわけ、イングランド戦で見せたPKは、後々の語り草となるだけのインパクトがあった。
カッサーノは、前線の基準点としてピルロに次ぐ攻撃の要に。
ドイツ戦の2ゴールが印象的なバロテッリともども、記憶に残る悪童2トップとなった。
デロッシは、3バックの真ん中で印象的なプレイを見せたが、大会が進み4バックが導入されると今ひとつ『違い』を作れなかった印象だ。そのぶん、よりゴールに近い位置でモントリーボがワンタッチパスを配給した。
採点では平均61と悪くないものの、個人的にマルキージオの飛び出しがあまり見られなかったのは残念だ。


最終ラインは悪かったとまでは言わないが、クロアチア戦のマークミスと度重なる負傷で好印象を与えられなかったキエッリーニ、ユーべの先輩カンナバーロと比べると2ランクほど落ちるバルザーリやボヌッチと、
思いの外、振るわなかった印象だ。
その中で、最後尾に君臨したブッフォンは、現在でも世界屈指の名手であることを教えてくれた。

ただ、フォリクラッセ(名手)の輝きを見せた選手たちはブッフォン、ピルロ、カッサーノと、いずれも古株たち。
若手選手で継続的に活躍した選手は皆無だっただけに(バロテッリは健闘したが)、
2年後のワールドカップでイタリア代表がどのような活躍を見せるのか、少々不安ではある。



【スペイン代表まとめ】  4勝2分 得点12 失点1 攻撃 A+ 守備 S 面白さ A- 総合 S

平均採点

GK イケル・カシージャス (69.1) 
DF アルバロ・アルベロア  (63.3)
   セルヒオ・ラモス (61.6) 
   ジェラール・ピケ (55.8) 
   ジョルディ・アルバ (66.6) 
MF シャビ・エルナンデス (70) 
   セルヒオ・ブスケッツ (61.6) 
   シャビ・アロンソ (59.1) 
FW アンドレス・イニエスタ (71.6) 
   ダビド・シルバ (64.1) 
   フェルナンド・トーレス (62) 
   セスク・ファブレガス (65)

12得点の数字は立派だが、決勝とアイルランド戦の2試合で8ゴールを奪っており、その他の4試合では4ゴールである。
前述の2試合はスペクタクルでもあったが、逆にフランス戦・ポルトガル戦などはとても退屈で、スペクタクルの面では当たりはずれが激しく、評価が難しい。


スペインのサッカーは、ポゼッションありきのショートパス戦術だ。
だが、このチームが一線を画すのは、テクニックに極めて優れた選手たちをそろえており、ミスが極めて少ない
ことだ。
危ない形でのボールロスト、リズムを崩すようなタッチのぶれがないため、その気になれば半永久的にでもボールを回せてしまう。故に、相手チームがボールをもてる時間が極めて少なく、当然のように相手に与えるチャンスも少ない。
普通は『守備的:守備が堅い』と言えば、引いて守るスタイルをイメージするのだが、スペインの場合はボールポゼッションを、攻守一体の戦術の域にまで昇華している。

後は、どれだけゴールへの意識が高いか、どれだけスペースに選手が走りこめるか、どれだけ利用できるスペースが広がっているかで、スペクタクルな猛攻を見せるか、横パスばかりの退屈な展開になるかが決まる。

ポゼッションの中心は、シャビ・エルナンデス。決勝では、2アシストとMVP級の活躍で、格の違いを見せてくれた。
前線ではシルバとイニエスタの2枚のウイングが躍動。シルバのパス&ゴー、イニエスタの鬼のようなボールキープ力は大会を通して輝いていた。
最前線には、ゼロトップシステムを消化した『偽のCF』セスクが、ゲーム構築に絡みながら2得点。

また、最終ラインでは新星アルバのオーバーラップが目をひいた。
ピケにはやや不安定な守備で、ハラハラさせられたが、ラモス、アルベロアの献身的なフォロー、
そして最後尾のカシージャスの好セーブが失点を1に抑えた。