評価は A+。

今まで読んだ東野作品の中で、一番気に入りました。
(「さまよう刃」、「予知夢」、「容疑者Xの献身」、「手紙」、「白夜行」)


ある殺人事件と、それをめぐる一家の物語ですが、全編を通して『家族の絆』というテーマが貫かれています。


甘やかされて育った一家の糞ガキ(14歳)が、幼女を絞殺。
殺人が起こってなお、息子を庇おうとする馬鹿母と、それを止められないヘタレ主人公。
ヘタレ一家は、同居している痴呆症の母に罪をなすりつけ、何とか息子を守ろうとする~というストーリーです。


中盤までは、とにかくゲスな親子のやりとりにストレスを溜めながら読みますが、
ラスト50ページで、それは大いに報われました。


「今、明かされる衝撃のラスト」 などと書くととたんに安っぽくなってしまうのですが、
そのフレーズがこれほど当てはまる作品もそうはないと思います。
2度も涙腺を刺激されてしまいました。


痴呆症と、自宅介護の問題はとにかく大変ですよね。
僕自身、同居の祖母が痴呆状態になっていまして、正直あまり関わらないようにしています。


彼女のことが嫌いなわけではないとはいえ、耳が遠いので僕の声が聞こえないし、
共通の話題もないし、せっかく話しても1分後には忘れてしまい、もう一度同じことを聞いてくるので、
もう話す気力もなくなってしまうのです。


そんな自分の冷淡な対応に、祖母は傷ついたりしているのでしょうか。
そんなことを思いながら、読みました。