点数は93点。歴代6位です。


「秋葉原を舞台にしたゲームで、厨二病患者が主人公」と聞いて、しばらくプレイする気が起きませんでした。
それがいざプレイしてみたら、ここまで面白いとは。先入観にめげず、プレイして本当に良かったです。


携帯電話を操作してゲームに介入するというのは実に面白く、
メールの着信音が鳴るたびに、誰から来たのかな?とワクワクしながらメールを開封していましたw
脅迫メールや、第5章のラウンダー襲撃あたりから物語は俄然緊迫感を増すわけですが、
あまり展開の早くない序盤も、携帯をいじって遊んでいたので退屈はしなかったですね。


【物語について】

”ほぼ”全ての事象に対して、きちんと論理的な回答を用意している点が、まず素晴らしいなと感じます。
(I/Oのように、説明放棄した部分は一切なかったように感じます)

物語難易度もちょうど良く、ほんの少しメモをとる程度で全ての構造が見えてくると思います。
(つまり、「最果てのイマ」や「Remember11」のような激ムズ難易度ではないです)。


力が入っているなと感じたのはサスペンスシーンで、脅迫メールやラウンダーの襲撃は割と本気で怖かったですし、
トゥルールートの流血シーンや、初回タイムリープ後の頭痛なども、気合が入った描写だったように思います。
泣くというほどではありませんでしたが、感動するシーンは幾つもありましたし、驚きはそれこそ無数にあり、
紅莉栖萌えもありと、至れり尽くせり。


世界線を移ればディストピアは打ち砕かれ世界は平和に、と思わせておきながら、
実は第三次世界大戦が起きてしまう、などなど、捻りが利いている部分も気に入りましたし、
「死んでしまった父親を助けたい」といった切実な願いや、「女の子として生まれ変わりたい」といったささやかな願いが、
IBM5100の行方に大きく関わってしまう、という残酷さも好きです。


Trueルートという救済こそありますが、総じてこの作品は、生ぬるさとは対極にある
「冷酷さ」、「残酷さ」が物語を引き締め、名作たり得るものにしているのではないかなと。
橋田鈴の「失敗した、失敗した」の手紙は最たるものでしたし、β世界線に戻るためクリスを『殺す』シーンなども
実に奮っていたと思います。


【キャラクターについて】

キャラクターの話に移ると、主人公のオカリンとメインヒロイン(と言って良いと思う)のクリスの造形が秀逸。


世界を混沌へと導くマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真は、避けられないまゆりの死に直面するうちに、
自らの無力さを。
自分はただの一大学生である『岡部倫太郎』に過ぎないという事実を、思い知らされていきます。


あれほどナチュラルにウザったかった凶真設定が、後半になるにしたがって、岡部倫太郎という人間の精一杯の「強がり」に思え、愛おしくなりました。
そしてTrueルート、「クリスと世界を救う」という、これ以上ない目標を与えられた彼は、前向きな自信をついに取り戻します。
この一連の流れに、僕は主人公の成長を感じることができました。
声優さんも、実に良い仕事をしています。熱演ありがとう。グッジョブ、です。 


ヒロインのクリスもとても魅力的でした。
献身的に支え、励まし、力づけてくれる彼女に、オカリンは何度救われたことでしょう。
彼女が本当にオカリンを、ラボの仲間を大切に思っていることが、セリフ、行動、メール、全てから伝わってきました。


他のキャラクターもそれぞれ魅力はありますが、正直この二人に比べるとやや弱く、その点は少々残念でした。


シリアスな情報から完全に遮断されながらもオカリンを案ずる「お姫様」、まゆりの健気さは素敵ですが
(「重荷に感じてほしくない」、「やっと役に立てた」という彼女の一連の訴えは心を打つものがあります)

フェイリスやルカ子などは、物語の根幹にさほど関わってきません。


『ラボメン』は8人ということになっていますが、オカリン・まゆしぃ・ダル・クリスティーナ・バイト戦士、までの5人の絆に比べると、
残りの3人はちょっと薄いかな、と。
まぁ、閃光の指圧師は悪役なので仕方ない部分もあるとは思います。


93点(歴代6位)というのは、僕がつけた点数の中でもめちゃくちゃ高いのですが、敢えて言うならそこの部分が少々物足りなかったかなと感じています。
ラボの空気は、心地良くて好きですが、好き好き大好き超愛してる、という次元までは到達しなかったな、と。
 
絵はなかなか気に入っていますが、イベントCGにもう少し差分などが欲しいところ。
後は、バグですね。最新パッチを当てても、ロード時に高確率でフリーズするのは勘弁。


最後に軽く不満点なども挙げましたが、それでも本作は最高でした!
先が気になって、毎日睡眠不足になるまでプレイしたのは、本当に久しぶりの経験でした。