S→味わい深く、いつまでも心に残りそうな作品

ある日どこかで/リチャード・マシスン……余命いくばくもない青年が、憧れの昔の女優に会いにタイムスリップする、時間テーマの恋愛ストーリー。抒情的な文体で描かれた、素晴らしいラブロマンスに浸される、上質の読書体験だった。

タイムマシン/H・G・ウェルズ……タイムマシンものの『古典』にして、2014年の今読んでもとんでもなく面白い不朽の名作。想像を超えたスケールで未来の地球をめぐる大冒険は、幼き日にドラえもんの映画から受けたスリル・興奮・夢を思い出させてくれた。

A→読んで良かったと思える作品

キリンヤガ/マイク・レズニック……コリバという老人の夢(キクユ族のユートピア)が生まれ、育ち、崩壊するまでの物語。どの章も良いが、第二章「空にふれた少女」、第四章「マナモウキ」が特に良かった。

ラスト・チャイルド/ジョン・ハート……歯車の狂った家族が再生していくさまを描いた、ミステリの傑作。ロバート・B・パーカーの「スペンサーシリーズ」をより分厚くしたという印象。真犯人の動機もやるせない。


恋人たち/フィリップ・ホセ・ファーマー……異種族間の悲恋モノとして泣かせるとともに、言語・異種族の生体・宗教文化など、背景に流れるSF要素も緻密に組み立てられた作者のメジャーデビュー作。

エンダーのゲーム/オーソン・スコット・カード……理解できない相手のことを恐れ、徹底的に叩き潰す人間の悲哀と、それら全てを赦すバガーの対比が切ない。

最果ての銀河船団/ヴァーナー・ヴィンジ……35年の「昼」と215年の「夜」を持つ、オンオフ星。蜘蛛型宇宙人の住むその星で、天才科学者シャキナーは原子力を発明する。それにより大きく変容する文化を、確かな筆致で描いたヴィンジ渾身の力作。1200ページという長さですが、全然辛くなかったです。


天の光はすべて星/フレドリック・ブラウン……宇宙に魅せられ、夢を追い続ける57歳の主人公は、45歳のヒロインの支えもあり、ついに夢を掴みかけるが……。しみじみと読ませる名作。

愚者の聖戦(短編集)/クリフォード・シマック……ハズレなしの素晴らしい短編集。特に「緑の親指」は、長編「都市」と並んでシマックの最高傑作ではあるまいか。「カーボンコピー」「ほこりまみれのゼブラ」「愚者の聖戦」は、ブラックジョークとして面白く、その他の作品は哀感が胸を打つ。

スターキング/エドモンド・ハミルトン……平凡なサラリーマンが、未来世界の王子と入れ替わり、大冒険を繰り広げる。非常に夢のある作品で、読後感も素晴らしい。

われら九人の戦鬼/柴田錬三郎……水門を開き、寒村に水をもたらす九人の男たちの生き様が鮮烈な作品。ラストバトルの迫力はなかなか。これでもう少し悪役に魅力があれば……。


永遠の終り/アイザック・アシモフ……壮大なスケールで描かれる『エタニティ世界』の真相。そこから導き出される、文化の変遷に鳥肌。32歳童貞男の主人公にも注目(ネタ煽りじゃなくて)


ブラッドミュージック/グレッグ・ベア……人体という『宇宙』にひろがり、そして別の『宇宙』(=別の人間)へと勢力を広げていくミクロな細胞たちの活動が興味深い。第二章までの完成度はとりわけ素晴らしく、ホラー小説としても面白い。第三章以降は物語が個人の危機から、世界へとひろがり、よりSFらしくなるが、個人的には二章までが特に好きだった。

闇の左手/アーシュラ・K・ルグィン……「雌雄同体」という設定を存分に活かした名作。雌雄同体のゲセン人と、地球人の主人公。共に極寒の地を旅する間に生まれる、奇妙な愛情・友情が趣深い(発情期の際、突然変身を果たすが、男女どちらになるか自分では決められない、というのが面白かった)。1ヶ月を26日、1日を23時間に区切るなど、異世界モノを描く上でのこだわりにも注目したいところ。


ポストマン/デイビッド・ブリン……核戦争により崩壊した後のアメリカ、オレゴン州。郵便配達の制服を手に入れた主人公は、手紙を配達することで、交通の行き来がなくなっていた地域同士を結びつけていく。そんな主人公の活躍が描かれる中盤までが特に面白かったのだが、後半は改造人間とのバトルになってしまったのは残念だった。


大統領誘拐の謎を追え/クライブ・カッスラー……考えるまでもなくバカバカしい上に、ツッコミどころも山ほどある作品なのだが、それが逆に愉快で楽しいという「ノリ重視」な作品。いつの間にかフェードアウトする謎の毒ガスS、どう考えても怪しすぎるモーラン。そしてそもそも、次期大統領候補が何故マーゴリンとモーランの二択なのか(何故モーランw)、という点は確か作中では触れられていなかったはずだが、そんなところも楽しいw

時の門(短編集)/ロバート・A・ハインライン……全7篇中、お気に入りが4つ。「地球の脅威」、「時の門」、「大当たりの年」など。

地球は空地でいっぱい(短編集)/アイザック・アシモフ

タイムパトロール/ポール・アンダースン……4つの時代:4つの地域におけるタイムパトローラーの活躍を描いた物語。モンゴルの話はイマイチだったが、古代イギリス編のワクワク感、アケメネス朝編の切なさ、カルタゴ編の壮大さは一読に値する。

海竜めざめる/ジョン・ウィンダム……「海竜」の正体があまりにもわからないので、これなら『天災』という事にしても良かったんじゃないか?と思わなくはないがそれはさておき、人類が破滅していく様子や、そこからの再生への希望を描いた本作は、やはり面白かった。

月は地獄だ/ジョン・W・キャンベル……月世界におけるサバイバル生活が描かれた作品。日記スタイルで、会話が一切ないにも関わらずキャラが立っている、その描写力が素晴らしい。

文学少女と死にたがりの道化/野村美月……ラスト、ハッピーエンドにしたために「人間失格」のような強烈なインパクトが薄れたのがとにかく残念だが、それを差し引いても良質のラノベ。続きもそのうち読むかも。

白鹿亭綺譚/アーサー・C・クラーク……「幼年期の終わり」や「都市と星」などを差し置いて、これをクラークのベストとするのは割とアレだけど、一番肌にあったのはこれでしたw 「尻込みする蘭」のおかしさと、「アーミントルード(略)」のほのかな切なさが良い。パーヴィス戻ってきて……。

アンドロイド/エドマンド・クーパー……アンドロイドに支配された未来。骨抜きにされた人類が、ついにアンドロイドへと反乱を起こす。アンドロイドヒロイン、マリオンAが心に残る。

B→暇つぶし以上の有益な何かを得た作品

死者の代弁者/オーソン・スコット・カード……Aに近いB。異なる文化を持つ人種間のコミュニケーション・理解の過程が非常に面白いSF作品。ヒロイン、ノヴィーニャの複雑な家族関係、人生遍歴も面白い。

約束の地/ロバート・B・パーカー……うまくいかなくなってしまった夫婦それぞれが巻き込まれたトラブルを、スペンサーが解決する物語。事件解決よりも、夫婦間の心のケアにより重点が置かれている。いつもどおりの面白さで、安心して楽しめるスペンサーシリーズ。


ペルディードストリートステーション/チャイナ・ミエヴィル……「ガルーダとの交流」と、「モスラとの闘い」を描いた力作。二段組650ページのうち、最終50ページは掛け値なく面白く、読後感は良い。文章・世界観に迫力も感じる。しかし、長い。いくらなんでも長い……。


終わりなき戦い/ジョー・ホールドマン……ハインライン「宇宙の戦士」とオーソン・スコット・カード「エンダーのゲーム」を繋ぐ作品という印象。戦闘シーンよりも、時の経過に伴う文化の変遷が面白かった。

終わりなき平和/ジョー・ホールドマン……エヴァの「人類補完計画」だなぁ、という感想。それ自体は面白かったんだけども、後半は頭のおかしな女暗殺者の活躍ばかりが目立ったなぁ、と。

ダイヤモンド・エイジ/ニール・スティーブンソン……面白くなりそうで面白くなりきらなかったなぁという印象。プリマ―というギミックは面白かった。


バラヤー内乱/ロイス・マクマスター・ビジョルド……女性主人公の視点から、我が子を守る戦いを描く冒険SF小説。娯楽として面白く、飽きずに読めた。もう少しこのシリーズを読んでみたいと思った。

ミラーダンス/ロイス・マクマスター・ビジョルド……劣等感を持つクローンの主人公が、自立し、偉大な兄と対等にやっていけるようになるまでの物語。つまらなくはないけど、「バラヤー内乱」に比べると落ちる。

いさましいちびのトースター/トーマス・ディッシュ……トースター・掃除機・電気毛布・ラジオ・電気スタンドの5人が、いなくなった旦那様を追いかけていく物語。超短編だけあって、さすがに冒険モノとして見ると苦しいけれど、ほのぼのはできる。


夢の蛇/ヴォンダ・マッキンタイア……荒廃した世界で、蛇を使った治療を行う女治療師を主人公とした物語。全体に流れる物悲しい雰囲気が読ませる。中盤までの、各地での治療活動のエピソードが面白く、終盤の悪玉との対決はやや失速感が。

レッドマーズ/キム・スタンリー・ロビンソン……火星のテラフォーミングから波及する、様々な分野(政治・宗教・民族・企業利益・『グリーンズ』VS『レッズ』など)の出来事を詰め込みに詰め込んだ力作。「凄い」作品なのだが、「面白い」と感じるかどうかは判断の分かれるところ。



太陽の影/チャド・オリバー……Aに近いB。地球の田舎町でひっそりと暮らす、宇宙人たち。そんな宇宙人たちと交流を深めた主人公。宇宙人たちの仲間に誘われるも、地球には恋人が……というお話。心に残る良い話なんだけど、書き方のせいで主人公がちょっとウザく感じるのが難点でした。まぁ仕方ないかなぁ。

果しなき流れの果に/小松左京……小さな世界でのんびりと暮らした佐代子と、壮大な時空間を股にかけて大冒険を繰り返した野々村の対比が面白いとは思ったものの、野々村の大冒険にそこまで興味を惹かれなかったのが残念だった。とても人気のあるこの作品を高評価している方たちは、恐らく野々村サイドを買っていると思うので。

賢者の石/コリン・ウィルソン……マヤ文明の盛衰を通して描かれる、「古きものども」。人間は彼らの「下僕」ではなく、自らの「主人」とならねばならないというウィルソンの主張が描かれたSF。面白いのだが、面白くなるまでに時間がかかりすぎる。


黒いカーニバル(短編集)/レイ・ブラッドベリ


寒い国から帰ってきたスパイ/ジョン・ル・カレ……正義も悪もない、人を人とも思わないような醜悪な争い……戦争の真実を描写したスパイ小説。テーマはいいと思うが、面白くなるまでに時間がかかった。


ヒューマノイド/ジャック・ウィリアムスン……お節介ロボットが人間をどんどん廃人化していってしまうお話。主人公が洗脳され、「こうして平和になりました。めでたしめでたし」なラスト、実は結構好きです。面白かった。

超生命ヴァイトン/エリック・フランク・ラッセル……発光エネルギー体が人類を襲うお話。

ミクロの決死圏/アイザック・アシモフ……スモールライトで小さくなって、人体の中を大冒険。ドラえもんを知らないで読めば(アシモフの方が先)、もっとインパクトがあったに違いない。


終点:大宇宙!(短編集)/ヴァン・ヴォークト……飛び抜けて素晴らしいと感じた短編はなかったものの、10編いずれも楽しんで読めた。全体的に高品質で、中でも「休眠中」。「魔法の村」、「捜索」あたりが良かったです。


闇の奥へ/クレイグ・トーマス……息をもつかせぬアクション作品。個人的にマッシンジャーが好きだったので、彼の活躍しない後半はややテンションダウンした。けど、←のようなことを言うのは俺くらいだろう。たいていの読者はハイドの活躍を読むと思う。

火星人ゴーホーム/フレドリック・ブラウン……極めて性格の悪い火星人、本来ならウザいだけのはずの彼らだが、ブラウンの手にかかるとついつい笑ってしまう。単に性格の悪いキャラを出しているだけでは笑えない。なぜ本作が笑えるのかを考えてみるのも面白いかもしれない。

地獄のハイウェイ/ロジャー・ゼラズニイ……核で人類滅亡の危機に晒された世界。アメリカ西海岸ロスから、アメリカ東海岸ボストンまで、車で血清を届けに行く主人公の活躍を描いた作品。異常気象、モンスターと化した動物、追い剥ぎなど、様々なトラブルを乗り越えていく様に興奮。それだけに後半の失速が残念。

彗星爆弾地球直撃す/エリック・コタニ&ジョン・ロバーツ……ナイスガイの主人公、美女ヒロイン、イカレた天才、逞しい女暗殺者の4人が活躍する、夢の溢れるスペースオペラ。不愉快なシーン、退屈なシーンが一切なく、流れるように楽しく読めるのが魅力。反面、物足りなさもやや感じてしまうのは、故意に盛り上げようというせず、盛り上げられるシーンでも淡々と同じペースで描いたためだろうか。まぁ、失敗してわざとらしくなるよりは、良いか。


もっとも危険なゲーム/ギャビン・ライアル……ラップランドの地で行われる、孤独な男同士の決闘。しんみりとした読後感が魅力だが、惜しむらくは中盤が割と退屈なこと。ラスボスのキャラは良かったけど、ヒロインはイマイチだった。

時果つるところ/エドモンド・ハミルトン……核爆発で街が一個まるごと宇宙に飛んでしまうという、その設定は大変面白そうだったのだけど、愛国心ならぬ愛星心を発揮した地球人VS未来人という構図に終始してしまうのが残念。ラストは良かった。

スターマンジョーンズ/ロバート・A・ハインライン……後半のストーリー展開は強引すぎるが、クモイヌの可愛さと、夢のある物語自体は良かった。

ラブラバ/エルモア・レナード……あまり肌に合わないレナード作品だけれど、その中ではこれがベストか。間の抜けた悪党、適度にイケてる主人公、親切な老人、往年の映画女優など、キャラクターが光る。

竜を駆る種族/ジャック・ヴァンス……竜騎兵たちが繰り広げる戦国絵巻。ひたすら戦っているだけといえばそれまでだが……。

禁じられた惑星/ロバート・シルヴァーバーグ……『自己を他者に見せること』が禁じられた惑星で、『他者と心を分かち合うために』麻薬を広げようとする主人公。社会もクソだが、主人公の行動も褒められたものとは言い難く。

幼年期の終わり/アーサー・C・クラーク……「オーバーロード=天使」を仲立ちにした点で、彼の他ファーストコンタクト作品よりも優れていると思われる(↓の2001年より上)。バリバリのキリスト教小説。

2001年宇宙の旅/アーサー・C・クラーク……「ヒトザル」から「人類」、そして「新人類」へ。壮大なスケールで描かれた進化論は強烈だが、読んでいる最中はかなり退屈だった。ぜひ一度は読みたい、でも二度は読まなくてもいいかな、という作品。


地球帝国/アーサー・C・クラーク……クラーク作品の中ではキャラクター同士の関連もあり、読みやすい部類だと思う。また、1975年に書かれたことを考えると、未来のワープロ・パソコン技術や電波の話など、色々と驚かされる。感無量とまでは言わないものの、ラストも良い。

火星の砂/アーサー・C・クラーク……主人公の造形、人間ドラマ、火星の砂を使ったギミックなど、これまで呼んだクラーク作品の中ではベスト。

都市と星/アーサー・C・クラーク……頽廃の都ダイアスパーが非常にリアルかつ魅力的。俺もこんなところに住んでみたい……などと言うと主人公には怒られるだろうか。


宇宙のランデヴー/アーサー・C・クラーク……バイオットなる奇妙な機械生命体(?)が出てくる中盤以降は面白いが、序盤はひたすら退屈だった。地球人の存在を完璧にスルーするラーマ人(?)の無関心ぶりと、それに心を痛める(?)地球人も見所。


夏への扉/ロバート・A・ハインライン……常に前向きなハインラインらしい、タイムトラベル冒険活劇。時空SFとして面白い作品だけど、情感に欠ける(まぁハインラインにそれを望むのは無茶だけど)のが残念。猫はかわいい。

愛に時間を/ロバート・A・ハインライン……後半の600ページはそれなりに面白いんだけど、前半の600ページが退屈というのは、いくらなんでも長すぎた……。ドーラとの優しい愛のエピソードは良かった。

SF水滸伝/石川英輔……「水滸伝」のSFパロディ。(独自の)設定もなかなか面白く、手抜きパロディでは断じてない。中だるみがあるが、序盤100ページと最後30ページは面白かった。


水滸伝/施耐庵……108人のゴロツキが山に集まるお話。初めは「暴れすぎww無茶しやがるなww」と笑って読めたが、段々その悪逆ぶりに嫌気がさしてしまったのは確か。一方で、「三国志」や「西遊記」と併読することで中国小説の要素がうっすらとわかった(わかったような気がしただけかもだが)のは、今後の『創作』に活かせるかもしれないと感じた。



地獄島の要塞/ジャック・ヒギンズ……彼の作品の中では小粒だと言わざるを得ないが、「悲しい過去を背負う中年ヒーロー」の描き方は、さすがヒギンズと思わせる。退屈しない。

駆逐艦キーリング/セシル・スコット・フォレスター……物語自体はまぁ、なんてことはないのだが、筆者の体験がふんだんに盛り込まれた、リアリティ溢れる描写が魅力。夜の見張りの(心理的な)辛さ、靴を脱いだ際のつま先の解放感、「総員配置につけ」に込められた意味など、豆知識的に面白かった。


中継ステーション/クリフォード・シマク……片田舎に住む不老不死の男。その家はなんと宇宙旅行者たちの交通になくてはならない、中継ステーションだった。主人公の地球での生活、宇宙人との交流など、中盤までは名作の域も、事件が勃発する終盤は失速で残念。


ファウンデーション/アイザック・アシモフ……旧き良きスペースオペラ。めちゃ面白いわけではないが、安心して読めるシリーズ一作目。市長の話が面白かった。

ファウンデーション対帝国/アイザック・アシモフ……1巻に比べて退屈な時間が長かったが、最後の30ページ、ミュールの意外な正体とその悲哀に触れ、持ち直した。

宇宙の小石/アイザック・アシモフ……62歳の現代地球の男が、未来世界に飛ばされて超能力を手に入れ……。
面白いのだが、ラストはもう少しなんとかならなかったのだろうか。

宇宙気流/アイザック・アシモフ……「ファウンデーションシリーズ」と併せて読むことで、この時代にはまだ「地球」という星が宇宙に知られていたことがわかり、興味深かった。

ロボットの時代/アイザック・アシモフ……「お気にめすことうけあい」、「校生」、「思わざる勝利」などが面白かった。ただ、前作の方が好きな短編が多かったかな。


悪徳なんかこわくない/ロバート・A・ハインライン……非常に悪趣味かつ、読んでいてストレスの溜まる物語だが、設定の秀逸さと、(悪趣味なことの裏返しではあるが)忘れえないインパクトを持った作品。老人の妄想がたっぷり詰まった、TSモノ。

ファイアフォックス/クレイグ・トーマス……主人公の性格が(超人ではない)一般人のそれだったためか、物語に入りやすかった。描写もしっかりしており、高評価も納得の力作。

ゴッドウルフの行方/ロバート・B・パーカー……スペンサーシリーズ第一弾。当時の大学の雰囲気が味わえる。
内容は軽いけれど、それだけにさくっと読めるし退屈しない。暇つぶしに最適。

レイチェルウォレスを捜せ/ロバート・B・パーカー……スペンサーシリーズ第六弾。主義主張の異なるレイチェルとスペンサーの関係性が非常に良い。読後感さわやかな良作で、↑に挙げた「ゴッドウルフ」よりも評価は上。


暗闇にノーサイド/矢作俊彦&司城志朗……秀逸な「モンテクリスト伯」のオマージュ。カンボジアでの受難はとても面白かったのだが、その後の復讐劇は(主人公の敵役への恨みにさほど共感できなかったので)微妙だった。

高い砦/デズモンド・バグリィ……中世の武器で敵軍を迎え撃つ中盤は非常にエキサイティング。後半は、普通の冒険モノ(山越えなど)に変わってしまい少々残念。

タイタニックを引き揚げろ/クライブ・カッスラー……力のこもった作品ではあるが、「大統領誘拐~」に比べてバカバカしさが足りない。真面目にタイタニックを引き揚げられても……というところ。

やぶにらみの時計/都筑道夫……ユーモラスなホラーという、ちょっと掴みどころのない作品。この作品の特徴でもある「二人称」は、主人公の性格設定が割と特異なために読者との引き寄せに齟齬をきたしているように感じた。


ダブルイメージ/ヘレン・マッキネス……まずまずよくできたスパイものだと思うのだが、あまり特筆したいこともなく。


C→暇つぶし程度にはなった作品

僕は友達が少ない(7巻まで)/平坂読……Bに近いC。主人公の対人スキルにまずはビビる。理科、星奈あたりはタイプなんだけど、メインヒロインの夜空がウザいのと、文章があまりうまくないのがネック。

グリーンマーズ/キム・スタンリー・ロビンソン……「レッドマーズ」の続編。基本的な特徴は前作同様だが、本作では火星の支配権を確立しようともくろむ地球(超企業連合体)と、地球の支配をはねのける火星の独立闘争が描かれる。つまらなくはないが、しんどい。

火星人の方法(中編集)/アイザック・アシモフ……「若い種族」は良かったけど、他はそれほどピンとこなかったかな。

発狂した宇宙/フレドリック・ブラウン……ここではない別の宇宙へと飛ばされる、多元宇宙ものの古典。主人公が次から次へとミスしまくる姿に呆然。

不死販売株式会社 フリージャック/ロバート・シェクリィ……未来世界に飛ばされた主人公。『来世』という概念が存在し、『ゾンビ』や『幽霊』が跋扈する世界を舞台に描かれる、死生観。つまらなくはないのだが、まぁ「因果応報」だなぁくらいの感慨。


第二ファウンデーション/アイザック・アシモフ……第二ファウンデーションの位置を巡る物語。なんか巻を追うたびにつまらなくなっているような。

007 ドクターノオ/イアン・フレミング……ヒロインのハニーがかなり可愛く、不気味な孤島の雰囲気もあって楽しく読める。ただ、敵役のドクターノオが意外とショボいため、後半の盛り上がりにはイマイチ欠けた。

007ロシアから愛をこめて/イアン・フレミング……全部で330ページの作品なのに、220ページ目まで主人公とヒロインが出会わない。最初の150ページはひたすら敵の描写(しかも、その肝心の敵は最後の30ページであっけなくやられる)。設定は良いのに、構成に大失敗したとしか言いようがない。

007死ぬのは奴らだ/イアン・フレミング……体躯の立派な黒人ということ以外、あまり魅力を感じない悪役で、微妙でした。自分で手をくださず、「鮫にボンドを食わせようとする」あたりは、フレミング作品ならではのおかしみを感じはしますが……。

スタータイドライジング/デイビッド・ブリン……凶悪なイルカ(偽シャチ)の脅威は印象に残るものの、それ以外はあまり……

レインボーズエンド/ヴァーナー・ヴィンジ……老人と孫、そして少年の交流は良かったが、話のメインストリームにはまるで興味が持てず。


楽園の泉/アーサー・C・クラーク……「スリランカの神話」と「宇宙エレベーター」と「宇宙からの来訪者」の3要素がそれぞれ孤立していて、あまり有機的に絡み合っておらず、キャラに血が通ってもいない。

渇きの海/アーサー・C・クラーク……月世界を舞台にした、遭難&救出モノ。次から次へと迫る危機は、SFというよりも冒険小説のそれ。出来は良いと思うのだが、好きなキャラがいなかったり、危機自体が理系で割と難しかったので、理系能力ゼロの僕にはイマイチのれなかった。

グリーンサークル事件/エリック・アンブラー……パレスチナを舞台にした、過激派パレスチナ勢力とイスラエルの紛争に巻き込まれる主人公モノ。物語が云々というよりも、自分の命がかかった状態でありながら、ひたすら自社のことを心配する主人公の姿勢が強く印象に残った(良くも悪くも)。


ゼロストーン/アンドレ・ノートン……出生の秘密を抱える少年が、謎の石を手に入れ、謎の猫とともに冒険をするお話。最後まで謎は謎で、次巻に続く~な終わり方だったが、多分次巻は読まない。


宇宙船ヴィーグル号の冒険/ヴァン・ヴォークト……様々な宇宙生物の襲来を描いた作品。第1章に出てくる猫(クァール)は印象深い。

流れよわが涙、と警官は言った/フィリップ・K・ディック……ディックはほぼ同一のテーマで作品を描いてきた作家だが、8作目(僕が読んだ冊数)ともなるとさすがにパターンが見えてしまう。そんなディック作品同士の比較でも、動きの少なさ、キャラクターの質などを考えると水準以上とは言えない。


武器製造業者/ヴァン・ヴォークト……Dに近いC。ツンデレ女帝と主人公はともかく、それ以外のキャラが弱すぎる。『イシャ―』と『武器製造業者』両方から狙われる主人公だけど、キャラが弱すぎるのでどいつがどっちのキャラかたまに混乱するくらい、集中できなかった。


本番台本/ギャビン・ライアル……カリブの青空を背景に航空機で活躍する鮮烈なイメージが印象深い作品。しかし物語の内容自体は特に楽しめなかった。

円環少女(1巻)/長谷敏司……ヒロインのメイゼルは可愛かったけど、バトルが肌に合わなかった。


D→自分には合わなかった作品
  
レッドオクトーバーを追え/トム・クランシー……ソ連の戦艦をネコババする!というストーリーの骨子が、「冷戦」を身近に感じたことがない世代としては共感できず。最後の戦闘は緊迫感があったが。

レッドストームライジング/トム・クランシー ……戦争に至るまでの100ページと、戦後講和を結ぶまでの最後100ページは面白かった。しかし中盤の1000ページは本当に退屈だった。前作にも言えることだが、好きになれるキャラがいない。
 
ちがった空/ギャビン・ライアル……好きになれるキャラがいないと、いくら手に汗握る冒険をしても興奮しないんだよね……。 

レパードを取り戻せ/クレイグ・トーマス……「軍隊」+「潜水艦」は自分にとって鬼門だと改めて感じさせられた作品。 

ブロードウェイの戦車/矢作俊彦&司城志朗……主の無念を晴らす復讐劇なのだが、主との思い出シーンなどに乏しく、主人公たちの動機が弱いと感じる(単に、主だからと言われればそれまでだが……)。面白くない植木ネタも引っ張りすぎ。

宇宙への序曲/アーサー・C・クラーク……宇宙飛行士たちが、月に行く準備をひたすらしているだけなのだが……


007 ゴールドフィンガー/イアン・フレミング……悪役のゴールドフィンガーに魅力がなさすぎる……。